真・転生したボクが新エリー都で凡夫になった件。   作:レトルトところてん

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気付いたら書いちまってたぜ……
朱鳶「期末テストだよね。満点とったらたくさん楽しいことできるよ!」
筆者「テストはいやだテストはいやだテストはいやだテストはいやだテストはいやだテストはいやだテストはいやだ」

期末テスト33点「やぁ」

\無事死亡/





上・エリート治安官、朱鳶!

 

 

 

 

 あれから数日が経った。デッドエンドブッチャーを吹き飛ばした次の日、周りの人にまた挨拶しに出掛けた。大抵の人は笑って挨拶を返してくれたが、一部の人(主にショウルやへディー)はキャーキャー騒いで仕方がなかった。

 

 イケショタ過ぎてやば……! と鼻を抱えながらブツブツと呟く姿には流石のボクもちょっと怖かった。

 

 今まで積み重ねてきたプロキシのお仕事も、ボンプの身体がなくなってしまえば出来なくなると思っていたが、案外そんなこともないらしい。ボクは生身のままアプリを起動することができた。

 

 人間の身か怪しくなってきたところだけど、便利だから良しとする。

 

 

「おはようおばちゃん!」

「ええ、おはようさん。こないだは助けてくれてありがとねぇ」

「ううん! いいんだよ! ボク力あるからね!」

「ほほ、そうかそうか。ほれ、あめちゃんでも食べて、今日も元気で居るんだよぉ」

「うん!」

 

 

 ルミナスクエアに向かう最中。

 

 おばちゃんから貰った飴玉を口の中に放り込み、コロコロと転がして甘味を楽しむ。美味しいなぁ、やっぱ生物は味覚がないとダメだよ。

 

 ボクの身分の設定としては、アンビーの弟ってことになったらしい。物凄い圧力で凄んでいたハンバーガー好きの姿が目撃されたとかされてないとか……。

 

 今日はアンビーにハンバーガーを奢ってもらう日となっている。デッドエンドブッチャーとの戦いで破損した装備を直したり、邪兎屋の仕事をしたり忙しかったらしい。

 

 オススメのハンバーガー屋さんに連れていってくれるそうなので、ボクは大人しくルミナスクエアで立ち尽くしていた。

 

 

「あ、あのぉ? ぼくちゃん? 今話せるかな?」

 

 

 スマホを弄りながら、アンビーを待っていると隣から声を掛けられた。誰だろうと思いつつも視線を向けると、目が見えないくらいに前髪が重たいOL風の女性が話し掛けていた。

 

 

「? はい! なんですか?」

 

 

 ボクの返事に驚いたのか、一瞬わたわたと身体を震わせる。そして鼻息を荒くしながら、

 

 

「お、お姉さんね? いまとーっても、とっても暇なんだ。だからね? 一緒に、お茶でもどうかなーって」

 

 

 と手をワキワキする。心做しか目線にも何かねっとりとした重たいものが宿っている気がする。

 

 

「こっ、こう見えてお姉さんお金もあるし、きっとぼくちゃんも満足__」

 

「ストップ。どきなさい」

 

 

 女性が伸ばした手の先が、ボクに到達することはなかった。なぜならそこには剣呑な雰囲気を醸し出したヘッドホンの少女が割り込んでいたからだ。

 

 

「あっ、あなた! な、何の用ですか!? やめてください! この子もこわがって」

 

「私はお姉ちゃんだぞ。わかったら消えなさい」

 

 

 キッ、と悔しそうな顔をアンビーに向けたあと、女性は最後までボクをねめつけるように見て去っていった。

 

 不審者を撃退する姉を名乗る不審者だ……!

 

 

「……ごめーん、まったー?」

「どうしたのアンビー? 想像もつかない口調だよ!?」

「そこは"ううん、全然待ってないよ"と返すべきよ。サトル」

「この一瞬でそこまで読み解くことはボクには難しかったなー……! でも助けてくれてありがと! アンビー!」

「……そう。行きましょ、時間は有限だもの」

「うん! 初ハンバーガー、楽しみだなー!」

 

 

 こうしてボクは午後3時頃までアンビーと食べ歩いたり、映画を見たりして時間を消費したのであった。アンビーはすぐネタバレしようとするから困るね、全く。

 

 4時から仕事があるらしく、ニコと2人で出かけるようだ。

 

 

「今日はありがとアンビー。楽しかったよ! ボクはノーマルも好きだけど、辛いハンバーガーも好きだったな」

「ええ。私も楽しかったわ。まだ美味しいお店がたくさんあるもの。また今度案内する」

「うん! 次のデートも期待してるね」

「デート……? デート。そう、ね。私も、あなたとデートしたいわ」

 

 一瞬アンビーは固まった。

 

「じゃあ、また」

「うん! ばいばい! また今度ね〜!」

 

 

 手を振り、ルミナスクエアの駅に入っていくアンビーを見送る。さーて、暇だ。プロキシとしての仕事もできなくはないけど……。

 

 それにホロウ内に入ることをリンとアキラに強く止められたので、ボクは大人しくそこら辺を歩き回っているのだ。ボクに眠る現代最強としての力を正しく知ってもらえれば、アキラやリンも考えを改めてくれるんだろうけど……残念なことにその機会には恵まれていない。

 

 一応デッドエンドブッチャーぶっ飛ばしたんだけどなー、ボク。

 

 そう考えつつ、ココティーミルクでマックスコーヒーを購入し、摂取する。馬鹿みたいに甘いけど、この甘さが癖になる。脳みそに直接栄養が注ぎ込まれているこの感覚は捨てがたい……!

 

 

 そのままそこら辺をとてとてと散歩していると、何やら物騒な声が聞こえてきた。

 

 

「おい! 何時になったらお前は金を返せるんだ? ええ!?」

「ひっ、ひぃぃ! すいません、すいません! 明日! そう、明日! 明日まで待ってもらえれば! 必ず返します! 必ず!」

「そんなことを言ってたのは昨日のお前だったかぁ? なぁ。俺たちとしてもお前を虐めたくはないんだぜ?」

「……」

「だがなぁ、お前が借りた相手ってのは虎羽組の金貸しなんだよ。お金ないので返せませぇ〜んが通らねぇ相手なんだ。こっちにもメンツってもんがあるし、メンツを潰させるわけにゃ、いかねぇわけだな?」

「そ、そんなぁ!」

 

 

 ま、まさか__!? これは、伝説の借金取り!

 

 実物を生で拝めるなんて……感激だ。映画ではよく見るけど、実際に目撃することは極めて珍しい。いや、本当はニコについてったらちょくちょく見られるのかもしれないけどね。

 

 こんな薄暗い路地裏で怖い顔したおじさんが凄んでいるなんて、迫力あるな〜! なんかかっこいい!

 

 

「だ、だれか助け__!? そこのきみぃ!」

「あ」

「あぁん?」

 

 

 ボコボコにのされているスーツの男が、こちらに助けを求めてくる。え……ボク、小学生くらいの見た目のはずなんだけど。

 

「た、助けてくれぇぇぇ! 治安局の人を! 呼んできてくれぇ!」

「……はぁ。なんつーか、お前、ゴミだな。俺ぁお天道様に堂々と胸張れねぇヤクザもんやってるけどよぉ、んなちいせぇガキ巻き込もうとすんのは違ぇだろぉ? なぁ?」

「……だ、だまれ! 元々お前らが俺を騙したのが」

 

 汗をだらだらと垂らしながら弁明する男をヤクザの強そうな人がぶん殴る。あ、歯抜けてる。

 

「だらっしゃい! 腰抜け野郎と思ってたが、こんなにもダメなやつとはな。もういい。てめぇは借金返せるまでホロウでエーテル漁りだ__ッ」

「止まりなさい! 治安局です! 大人しく投降すれば、痛い目を見なくて済みますよ!」

 

 語気を荒くして、ヤクザが男を連れ去ろうとしたそのとき。凛とした正義の声がその場を貫いた。

 

「あぁ? 治安局の巡回ルートはもう終わってるはずだが……?」

 

 ヤクザがゆっくりと声に振り向くと、そこには黒髪に朱いメッシュが入った高身長な私服のお姉さんが立っていた。

 

 ボンッキュッボンの具現化とはこのことを言うのか、そう世迷いごとが勝手に脳内に浮かび上がるほど、その人物のスタイルは凄まじかった。

 

 

「もう大丈夫です。私は治安局のお巡りさんですからね」

 

 

 ボクの頭に手を乗せ、優しく微笑む。そしてキリッとした表情で男を引き摺ろうとするヤクザに向き直る。

 

「男性を解放し、直ちに事情を説明してください」

「……私服警官ってやつか? まぁいい。こいつはよぉ、俺ら虎羽組に金を借りたわけだ。俺らは大人しく契約時に交わされた日時まで返済を待ち、そしてその時刻を破られたからこそこうして取り立ててる」

 

 いぶし銀な男はにやりと笑う。

 

「これは"合法"の領域だぜ?」

「……何を勘違いしているのかは知りませんが、違法なホロウレイダーであり、無理な借金の取り立てを行っている以上、逮捕に変わりはありません」

「できるのか? 嬢ちゃんによ。治安局の制服には基本的に連絡のための無線が備えられてる。が、今の嬢ちゃんにそれがあるようには見えねぇなぁ?」

「た、助けてくれ治安官さぁん!」

 

 表情を崩さず、しかしどこか苦虫を噛み潰したような雰囲気を醸し出す女性。どうやらヤクザの言い分には一理あるらしい。

 

 と思いきや、位置を変え、ボクを撫でながらまるで庇うようにボクとヤクザの間を遮る。ボクを撫でているように手を動かしつつ、彼女は見えないようにスマホを取り出しヤクザと会話しながら通報しようとしていた。

 

 役者だ……! 凄い! あの雰囲気はブラフだったんだ!

 

 

「なぁ、治安官さんよ。お前さんの名前はなんて言うんだ?」

「……都市秩序部捜査課、特務捜査班、班長朱鳶」

 

 え! と男性は驚いた顔をしている。ボクも聞いたことがあるくらい有名な人だ。確か、未解決事件が0のスーパー治安官って前にテレビで見た気がする。

 

 

「へぇ、あんたが。ま、実物を見りゃわからんでもないが……残念だったな」

「何がです? それより大人しく男性を解放して__」

「てめぇの未解決事件0の功績はここで終いだって言ってんのさ」

 

 

 ぴりぃぃぃん____。

 

 音が響いた気がした。音では無い音が、空間を伝わる。頭の中にビリッと電気でも流れたような感覚だ。少し違和感を覚える。

 

 何が起こった?

 

 

「ストリート育ちの俺らみてぇなやつはよ。観察力がなきゃ生きていけねぇ環境で育ったせいで、あいにく眼がいいんだ。……応援は来ねえよ。てめぇのそいつはおシャカになったからな」

「……っ! まさか!?」

 

 朱鳶の持つスマホの画面が黒く暗転している。こいつぁ、まさか電磁波攻撃!? すっげぇぇぇ!!! というか気付かれていたのか! ヤクザって凄い!

 

 

「これに懲りたらもう少し身の程ってもんを知っておくんだな。じゃ__って、おいおいマジかよ!?」

「ふ__ッ!」

 

 

 勝ち誇った顔で去ろうとするヤクザ。そして真正面から驚くべき体術で接近し、攻撃を繰り出す朱鳶。

 

 ここで攻めてくんのかよ!? と聞こえてきそうなほど驚いた表情をしたヤクザだったが、しかし男性を投げ飛ばし応戦する。

 

 

「てめ、マジか! 人質持ってただろうが! 人の心とかないんかテメェ!」

「治安局も観察眼がなければ務まりません。あなたが即座に男性に危害を加えることができる武装がないことくらい、これまでの会話と観察でわかります!」

 

 

 足技を中心とした朱鳶の連続攻撃に、ヤクザも冷や汗を垂らしながら必死に耐え凌ぐ。エリート治安官の極まった体術をよくこんなに捌けるものだ。やっぱヤクザってすげぇ!

 

 急所に当たる攻撃のみを確実に避け、残りは身体で受け止める。すると攻撃を見切られ、足を捕まれ投げ飛ばされる朱鳶。その隙を突いて、ヤクザは男性とボクの襟を掴んで表通りに躍り出た。

 

 え、なんでボクも? かっこいいこと言ってたのに追い詰められたらヤクザの人も子供を盾にするのか……。

 

 ぼけーっと連れ去られていくと、路肩駐車している車に放り込まれた。どうやらこいつで逃走するらしい。

 

 

「待ちなさい! くっ、必ず助けます!」

 

 

 なんか巻き込まれちゃったけど、面白そうなので良しとする。デッドエンドブッチャーに比べたらありんこみたいな脅威だ。後でアンビーに教えよう。

 

 

 

 

 

 






ゼンゼロおもれー
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