ご都合主義、独自解釈、独自設定増々です。
「いやはや、これは驚きだね」
「あー、理屈云々すっ飛ばして実感するなぁこりゃ」
「えー……普通に嫌なんだけど、否定できない」
「不思議な感覚だな」
ヘルメット片手にへらへらと胡散臭い笑みの男。
沢山の落書きされているフルフェイスのヘルメットを被った男。
バイザー付きヘルメットは無く、無表情のまま複数の色のメッシュが入った髪を弄る女。
そして、全身にパワードスーツを纏う男。
プロフェッサーと名乗る男の呼びかけに応えた四人が一堂に会した。
初めは何の冗談かと思っていたが、こうやって顔を合わせてしまえば納得してしまう――あぁ、自分だと。
経験してきたモノも違い、生まれも育ちも違い、外見的特徴で似ている所などは無理矢理でなければ上げられず、そもそも性別から違っているにも関わらず目の前に並ぶ者は鏡を見ている気分にさせられ納得してしまう。 自分はストーム1であり、彼等も同じくストーム1であると。
「まぁ、お互いに薄々察してはいそうだけど、どうであれプロフェッサーの到着までもう少し時間があるようだし自己紹介でもしようか。僕はレンジャーのストーム1、よろしくね」
「お前……まぁいいか。そういう事なら、エアレイダーのストーム1だ」
「コールはストーム1。見ての通りダイバーやってましたー」
「……同じくストーム1だ。フェンサーをやっている」
「うん。わざとだけどこれは僕が悪かった」
ごめんごめん。と続けたレンジャーの男は、その辺の瓦礫に腰掛けて自分の境遇を話し始めた。
曰く、元々は魔法なんてものが存在する世界の住人であり、事故で技術系統が全く違う世界へと行く羽目になり、そこから更に一度の事故死を経て侵略者が蔓延り始めた世界に来たと言う。
そして時間軸を移動する力を得て四苦八苦としながら銀の人を倒したものの、強烈な目眩と衝撃の後に目を覚ましたら天使の輪の様なものや翼を持つ少女達の銃撃戦が日常的に行われる世界に。
その世界にて事故死した世界での知り合いと会ったり、喫茶店をしたりしていたのだが、流れで不思議パワーに喧嘩を売ったらこの世界に飛ばされてしまったとのこと。
普通であれば非現実的すぎて展開を盛りすぎだと笑うところであったが、聞いていた三人はそういう事もあるのかと妙に納得する。
そして、それじゃあ……と話題を引き継いだエアレイダーが話し始め、別に隠すことでもないしとウイングダイバーが。最後に時折通信をしている様子だったフェンサーが話し終えると、一つの結論にたどり着く。
「元々この世界の住人であるエアレイダーは、艦艇が擬人化した世界で提督と呼ばれていて、深海棲艦という存在の不思議パワーでこっちに来たと」
「そうなるな。提督っていっても、他の鎮守府やら提督みたいに艦隊を率いてたわけじゃないけどな。艦娘と関わりはあったが、もっぱらコイツラと生活してただけだ」
話をまとめて確認をするレンジャーに返事をしながらエアレイダーが胸ポケットを叩けば、恥ずかしそうにひょこっと顔を出して周囲を伺っては隠れる存在。エアレイダー曰く"妖精さん"と呼ばれる小さな存在が、ポケット以外の場所からもチラチラと様子を伺っている。
その光景にほんわかしつつ、レンジャーは次にとウイングダイバーへ視線を向けた。
「それでウイングダイバーは巨大生物自体は存在していた別の世界からこの世界に来て、その後にヒーローが職業になっている世界で一悶着している最中に気が付けばこの世界に来ていた。であってるかな?」
「大体そんな感じかなぁ。プライマーなんて言い方じゃなくて、アグレッサーとかだった気がするけど似たようなもんだったよ。襲来初期で変態に他の子と監禁されて餓死しちゃったから詳しいわけじゃないけどね~」
そんな事よりプロフェッサー遅くない? と続けるウイングダイバーに、自分たちが早く着きすぎたからねとレンジャーが答えれば、納得はしたものの暇そうにプシュプシュと小刻みにブースターを吹かしながらウイングダイバーは低空でふらふらと揺れて暇つぶしを始める。
「最後はこの世界が地球防衛軍というゲームとしてある世界から転生してきたフェンサー。ナンバリングでいう4、4.1、5と世界と渡って、これまたISという創作の世界へ行って女子校で用務員をしている時に銀の人の悪あがきでこっちの世界に戻ってきちゃったと」
「あぁ。もっともこの状況はナンバリングをするならば6辺りになるのだろう。それを俺は知らん……ゲーム的知識は当てにしないでほしい。それと今はこちらの声を拾わない様にはしているが、無線はIS世界の人間と繋げられるようだ」
全員に確認を終えたレンジャーはうんうんと頷き、少し考え込む様子を見せたと思えばへらへらと笑い――
「さっぱりだね! 状況が謎過ぎる」
――三人へ向けてハッキリと言い放つ。
そのレンジャーの言葉に三人も異論はなく、とりあえずはプロフェッサーが来てからという結論に落ち着いた。
であればプロフェッサーが来るまでは離れすぎない程度に自由行動という流れになり、フェンサーだけが少し離れに移動し、ウイングダイバーは近場の瓦礫に腰を掛け、レンジャーとエアレイダーは情報整理がてらにと話を続ける。
「とりあえず俺等のハッキリとした共通点はナンバリングで言う地球防衛軍5の世界をストーム1として通過している。そしてそのタイミングでステージ選択もどきの時間移動ができる様になっているってぐらいか」
「そうだね。後はフェンサーの所に銀の人が現れたと考えると、向こうも向こうで多次元的に存在しているか、時間じゃなくて世界移動ができる可能性が高いって事かな」
「仮に銀野郎共も時間移動なり世界移動が可能だったとして、俺等と全く同じタイプなのかどうなのかも気になるところだな。さらに言えば、今、この時の世界線では俺等は銀野郎に負けた世界線である可能性も出てきた」
「荒廃具合から考えると可能性は高いね。まぁ、どうやっても後手後手で人類滅亡の瀬戸際だったし、あの勝利一つでどこまで巻き返せるかすら不安ではあったけど」
「そりゃそうだ。流石に今はかもしれないを上げるとキリがねぇか……」
「ただマイナスばかりじゃないのも確かだね。僕達で言えばフェンサーが外部との通信を可能にしているのはかなり大きいと思うし、プロフェッサーの存在といい、まだ真新しい戦闘跡から考えても人類は滅びちゃいない――」
レンジャーとエアレイダーの二人は、手元にある情報をまとめて意見を交えながら考察を続けていく。
そんな二人を眺めていたウイングダイバーは一切興味が惹かれず、何か暇つぶしは無いかと周囲を見渡していると、少し外れた場所で何か話しているフェンサーが目に留まる。
「一応束さん達の存在も伝えてある。許可が貰えれば次からは通信は繋げておこう」
『――? ――!』
「あぁ、助かる。あれからそちらに問題は無いか? 必要であれば手順を教えてもらえればデータぐらいなら――少し待ってくれ。ウイングダイバーか、何かあったか?」
向こう側の声は聞こえなかったが、気になったウイングダイバーがふよふよと近寄っていけば、通信で話していたフェンサーがそれに気付いた。
「何も無いから面白いことないかなって。アタシ考察には興味ないからさぁ」
「なるほど……しかし面白いことはこちらにも――あぁ、束さんがダイバーと話してみたいらしい」
「おー、噂の天才ちゃんが? アタシも聞きたい事あるし駄弁ろっか。どうすればいい? フェンサーの装備着ればいい?」
「少し待っていてくれ。束さんが言うには、通信コードさえ分かれば俺を仲介にして――『もすもすひめもす~!! 束さんだよー!!』――とのことだ」
いきなり聞こえてきた女性の声に驚きはしたものの、表面上は特に大きな反応を見せなかったウイングダイバーは近くの瓦礫に腰掛けて軽い自己紹介を返す。そうして数分もすれば、フェンサーが考えていた以上に二人の相性は良かったようで会話は弾んでいる様子。
そうこうして更に数十分。四人の元へ息も絶え替えに一人の男が近付いてくる。
オールバックに眼鏡、戦場には似つかわしくない群青色のスーツを身に着けた男。その男は自分を待っていたであろう四人を見て唖然とし、思わずといった様子で言葉を漏らす。
「……君達は誰だ?」
「「「「あぁ、なるほど」」」」
対して同時に反応した四人は、男を見た瞬間にその人物がプロフェッサーである事、ループをしている事、そして走馬灯のように過る記憶から、自分達が良く知り初めて会うプロフェッサーであると理解した。
それは四人のどれでもないもう一人の記憶。
幾度と行われた歴史改変と繰り返し。
228基地の危機、核を用いた作戦コードN、プライマル種と呼ばれる個体達、繰り返しの中でプロフェッサーと出会い、共に行ったループとプライマーが行った歴史改変。
多大な被害を出して勝利をもぎ取っても尚、負け続ける日々。
それでも死なず、戦い続け、立ち上がり続けるストーム1に対し、全人類排除を目論む記憶の先でプライマーが行った歴史改変が――ストーム1という存在の隔離。
ソレはかつて四人それぞれが対峙した銀の人が行った行為。
プライマー達が行う改変。プライマーの認識外から行われるプロフェッサーの改変。そして更にその外で行われていたストーム1の改変。
万に一つの可能性だったのか、億に一つ、それよりも僅かにしかない可能性だったのかもしれない。しかしそれでも――世界はズレた。
確かにこの世界のストーム1は隔離されたのだろう。しかしその結果のバグ。数多の過程と結末を一つに収束させようとし、歪みに歪んだ結果を埋めるように四人のストーム1を呼び込むという形で。
更にプライマーにとっては不運は重なる。
ループの記憶、そしてプロフェッサーは記憶していないプライマー側が行った歴史改変前後の記憶まで保持していたストーム1の情報は四人へと渡ってしまったのだから。
「いや、しかしなんだこの感じは……」
そんな中で一人混乱するプロフェッサーに胡散臭い笑みを浮かべてレンジャーのストーム1は言う。
「不思議かもしれないけど安心してくれて構わないよ。君の感覚は正しいし、我々は間違いなくストーム1で君の味方だ」
それを聞き少し安堵を見せたプロフェッサーに妖精達と戯れるエアレイダーのストーム1が言う。
「ただ俺等にはもう別の居場所がある。この世界のストーム1には悪いが美味しいところを貰っていく」
意味をあまり理解できていない様子のプロフェッサーに表情の変わらないウイングダイバーのストーム1は言う。
「ボーナスタイムってやつ? ストーム1なりの時短戦略ってのでもいいや。せっかくの機会だし、向こうだってズルしてんだし、欲張ってもいいじゃんね」
何かを察した様子で驚くプロフェッサーに空を見上げていたフェンサーのストーム1が言う。
「そういうことだ。ストーム1という存在が一人だろうが四人だろうがどうせ世界を救う事に変わりはない。後は選ぶだけだ……教えてくれ、貴方は何を守りたい。プロフェッサー」
M---:EDF
リングを破壊した直後の事。
突然響き渡る甲高い音。
そして上空に現れたのは、リングに匹敵する質量を持つ超巨大船。その数――五隻。
「あらら……これは向こうもバグったかな?」
「五隻か。こりゃ、プロフェッサーも含めて一人一隻か?」
「ま、待ってくれエアレイダー! 流石に私には荷が重すぎる!」
悠々と空中を旋回する五隻の超巨大船にレンジャーとエアレイダーの表情には苦笑いが浮かび、サラッと重責を押し付けられそうになったプロフェッサーは焦りに焦った。
そんなプロフェッサー達の隣には、同じ様に空を見上げているウイングダイバーが並び、いつもと変わらぬ様子で問いかける。
「何にしても一隻ずつってのは、相手は待ってくれないよね? どうする?」
「火星本拠地強襲のオペレーション・オメガの準備も終えていない今、本部も大混乱みたいだな。なんとかして時間を稼げれば……それに、篠ノ之博士と本部の研究員達が導き出した可能性が本当なら、これでは終わらないぞ」
「もうひとつのパラドックスだっけ。プライマーが居なければEDFの発足から消えちゃうからこの現状は起こり得ないとかいう」
「あぁ。遥か未来から来たプライマー達も避けていた自己存在を賭けた原点に触れる改変だ。これほどの技術が既にあるプライマーが、作戦が成功した結果にどう抗うか」
あまりの状況に静まり返っていた現場の隊員達にも不安が広がり始め、本部の混乱で騒がしかった無線は更に騒がしさが増していく。
どうすればいい! 何をすればいい! と、プロフェッサーやストーム1達へ縋る様な声も混ざり始め、それらを煽るように上空の超巨大船の動きに変化が現れた瞬間――
「流石だ。束さん」
――フェンサーの呟くと同時に人類側にも変化が起きた。
ポツポツと味方を示す信号が増えていく。
一つ。一つ。また一つ。
「まさかこんな経験ができるとは。いやはや、お互いに良い友人を持ちましたね。先生」
「何かできることがあればとは言ったけど、こんな所に呼んでくれって意味じゃなかったんだけどね。皆まで巻き込んでしまったし」
「仕方ないですよ。ホシノちゃんを含めて皆、先生が大好きですからね! 本当は争いには参加して欲しくないですが、今は店長のお手伝いをしましょう!」
黒に染まっている者が、似顔絵を貼り付けた者が、様々な制服に身を包む少女達が。
別の場所にも信号は増えていく。
一つ、一つ、また一つ。
「こちら横須賀鎮守府大艦隊旗艦大和です。救援要請に応え、現刻より妖精提督の指揮下に入ります」
「呉の長門だ。同じく現刻より我々大艦隊も妖精提督の指揮下に入る! やっと恩を返せるな」
「Guten Tag. 佐世保複合艦隊旗艦ビスマルクよ。妖精提督の指揮、お手並み拝見ね」
「Hi! 舞鶴複合艦隊、旗艦、戦艦Coloradoよ! Admiralから色々聞いてるわ。あなた達のために戦ってあげる」
海面に立ち並び、艦艇武装を纏う女性達が。
更に信号は増えていく。
一つ、一つ、また一つ。
「ここがハジメちゃんの世界ですかぁ。まぁいいです、それよりハジメちゃんはどこですか?」
「おぉ! 見たことのない物が沢山! 徹夜明けの脳に情報が染みますね!」
「私は救世たる義賊の紳士――ジェントル・クリミナル!! 今回は一風変わって世界を救う配信だ!!!」「素敵よジェントル!!」
キョロキョロと見渡す少女二人。紳士服に身を包む壮年の男に、隣でカメラを回している少女。そんな様子を呆れながらも見ている者達。
次々と現れる増援に困惑する者達はまだ止まらず。
一つ、一つ、また一つ。
「まさか実践ができるとはな」
「情報はありませんが、目視より予測できる攻撃もあります。交戦開始後も情報共有を行っていきましょう」
「お待たせ、スーくん!! 会えなくて待てなくて来ちゃったけど、プレゼントは気に入ってくれたかな?」
特殊なアーマーを身に纏った女性、少女達、青年を引き連れて現れたのは、メカうさ耳を遊ばせにへらっと笑う女性。
それぞれを知るストーム1達は喜び、驚き、唖然とし、そして納得したように応答を返す中――少し遅れて最後にポツンと一つの増援が現れる。
「あーあー、こちらEDF所属、Player1*1。随分と賑やかだが……俺のコールサインは、まだストーム1でいいのか?」
「あぁ……もちろんだ。言いたいことが沢山あるが、ただ今は……待ったぞ。心配させないでくれ――ストーム1」
的な感じで。
次は両方のDLCもコンプして行きたいなぁと思っています。