透き通った声の君に   作:血濡れの人形

3 / 7
なかなか歌詞を使わず曲を表そうとすると、どうにも表現に困るところがありますね。次回以降はなくすか減らすかしようと思っています。


まるで青空のような碧さで

歌声が響き渡る公園、中心にいる彼女の作り出す独特な世界は、瞬く間に周囲を塗り替えていく。まるで、澄み渡る青空のような空間。そんな世界を見せる彼女は、瞬く間に周囲の存在を魅了していく。周囲を歩いていた人々、遊んでいた子供たち、散歩中だった犬や猫、偶然近くを飛んでいた鳥たちですら、その歌声に魅入られ、近くにあった木などにとまって彼女を見る。

今までは気が付かなかったが、よくよく見まわすと、彼女から魔力が音符の形で飛んでいるのが見える。色味が薄く、よく観察しないと見えない程度のものだが、おそらくあれが、彼女の魅了の力の原因になっているのだろう。さすがはセイレーンというべきか、その魔力は僕の視認できる範囲を覆うほどに広く遠くまで飛んで行っている。

そんな幻想的な光景に見惚れながら、彼女の曲に耳を傾ける。晴れを願うようなその曲は、彼女が作り出した世界にぴったりとはまっているように思えた。そして、二度目のサビに差し掛かったあたりだろうか。彼女の世界に、雨が降り出す錯覚。

最後のスパート、その光景がさらに変わる。再び晴れ間が広がり、さらに、地面から花が咲き誇る。青みがかっている花々は、その直後吹いた強風ではるか彼方に飛ばされていく。青空の中、はるか遠くに存在する雲を追いかけるように飛んでいく花々と、そんな光景の中心に立つ彼女の姿は、やはりとても幻想的だった。

もちろんというか、あくまでこれは、彼女の膨大な魔力を使うことで起こされた幻術の一種。すでに時刻は夕暮れ時だし、周囲は土を固めてあるだけではななんて咲いていない。雨だって降ったわけではない。

膨大な魔力による暴力的な幻術、とでもいうべきだろうか。違和感すら塗りつぶす歌は、セイレーンという種族による効果もあるのだろうか。

彼女が歌い終わり、広がっていた世界が消える。そのことに悲しさを覚え、しかし、続いて歌いだす彼女に、また圧倒される。次々と異なる世界観を歌声で再現し続ける彼女は、楽しそうに体を左右に揺らし始める。それから一時間ほど、彼女はその歌声を公園に響かせるのであった。

 

・・・ちなみにこの後知ったことなのだが、歌い終わった彼女に聞いたところ、特に許可などは取っていなかったらしい。前にいた場所では問題なかったらしいのだが、この街ではセイレーンが歌う場合役所で許可をとる必要があることを伝えると、ひどく驚いていたのが印象的だった。

その流れでというか、なぜか役所に説明するときについてきてほしいといわれ、翌日休みだったのもあり、そのお願いを承諾したのだが、それがまさかあんなことになるとは、この時の僕には思ってもいなかったのだった。




晴るという曲、個人的にねのちゃんの歌枠の中で一番好きだったからこんな風な書きかたしたんですけど、字数が千文字に届かなくて、もう一曲似たような感じで書こうかなとか考えつつ、いい加減公園以外での話が欲しくなり、最終的にねのちゃんにポンコツ枠になってもらうことになってしまって、正直ちょっと申し訳なかったです。自分の文才のなさが憎い・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。