絶望しかない世界で、それでも生きてる   作:タツオ・クローニン

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名前の無い兵士

 

 

 

 私は兵士だ。名前はまだ無い。

 

 俗に言う、異世界転生者だ。

 

 チートもない、生まれも良くない。まあディストピア生まれだろう。

 

 この世界では戦争がよく起こる。私は戦争の為に作られた兵士だ。

 

 食事は3日に一回、機械で充電式だ。

 

 私達、兵士に人権は無い。

 

 私は、改造人間である。壊れた重要パーツ以外は付け替えることで、対応出来る。

 

 まあ、暗い話は、置いておこう。

 

 戦場には、いろんな兵種がいる。

 私は一般兵、銃と魔法、少しの近接武器を使い、戦場を巡る。戦場の主力だ。

 彼は鎧兵( よろいへい) 、鎧を纏い空を飛び、戦場を駆け巡る。戦場の花形だ。

 主にこの2つの兵種が、我が軍の主力となっている。

 残りは、機械兵( きかいへい) と工作兵だけが我が軍には、所属している。

 

 大体私達は、一週間程度で作られる。

 その時の調整で、どの兵種になるのか決まるらしい。

 

 全員魔法使いで、兵種事に使用魔法が違う。

 私達一般兵は、身体強化、シンプルに身体能力が上がり怪我も治りやすくなる。

 全体の兵士自体の消耗量も減らせる。

 鎧兵は、重量軽減、鎧を軽量化し空を飛びやすくする。

 機動力強化によって死ににくくなる。

 機械兵は、硬質化、通常柔らかいパーツを硬くして、強度を上げている。

 硬い装甲で防御力はピカ一だ。

 工作兵は、魔力譲渡、他兵に魔力を渡す。実質的な魔力タンクだ。

 他の補助魔法も使える。簡易回復とかも。魔力が尽きた工作兵は、地雷除去作業などにも回される。一番消耗量が多い兵隊だ。

 

 彼らと私で戦場を勝ちに行く。

 負けることは死でしかない。

 私は死にたくない。他の連中はそうでもないみたいだが、

 どうも彼らには恐怖と言う感情が、存在しないらしい。

 

 私達の上官は、AIだ。彼らは自身のスペックを強化する為に、戦争を起こす。資源集めのためだ。重要な資源は主に2つ、石油と魔力だ。

 石油は、簡単だ、電力を作るために使われる。

 魔力とは、人だ。これが無ければ現在の主流兵器は、動かすことが出来ない。

 人は、工場で創られる。その装置は未だAIでも量産出来ないらしく、これの奪い合いで、戦争を起こす。

 一般的な人類が滅んでから、約65年が経っているそうだ。

 

 私達の寿命は、約15年前後だ。一般的に12年で廃棄される。

 性能が落ちるからだ。

 もっとも廃棄まで生き残る兵士は稀だが、大体の兵士は戦場で死ぬ。

 5年も生きてれば長生きだ。

 もっとも長く生きたところで会話もクソもないが、

 ちなみに私は11年と11ヶ月製造日から経っている。

 間も無く廃棄されるだろう。それとも戦場で死ぬか?恐怖しかない。この感情を消す為に、兵士達は、そもそも情操教育を、まともに施されていないんだろう。

 

 再び、AIが他のAIを見つけたらしい。

 また、戦争が始まる。

 鎧兵が空中を闊歩し、機械兵達が一般兵を守るように前線に展開した。私達一般兵はそれに続くように、前進した。

 

 

 今回の任務は、機械兵を敵兵から守り、敵拠点を制圧することだ。

 敵兵が見えた。幸い、相手は一般兵だけだ。銃を撃つ。相手も音で気づいた様だ。機械兵を盾にしながら、相手に向かって撃つ続けた。機械兵も大砲で援護してくれる様だ。大砲の爆撃で、相手の居た辺りは、一面吹っ飛んだ。

 生存者を確認する。生きていたら殺すためだ。

 

 機械兵は強いが、機動力がない。その為、鎧兵など機動力があり、火力もある相手が厳しい。しかし機械兵の火力は、鎧兵の比じゃない。

 敵拠点の城壁とも言える装甲を一撃で打ち抜けるのは、機械兵だけだ。

 

 敵拠点に、あれ以降、敵に見つかる事なく到着した。

 機械兵が砲撃で城壁を破壊した。ドーンと言う音と爆風が、辺りに広がっていた。

 機械兵が開けた穴から、私達一般兵が侵入し、残りの敵を排除する。

 殲滅戦だ。相手は全て殺す。それが命令だからだ。

 奇襲の形になっているので、中はすぐ制圧出来た。外の連中も殲滅する。敵のAIを破壊して、烏合の衆になったところを、味方と連携し、挟み撃ちの形で、殲滅した。時間は然程掛からなかった。

 残り作業は、全て工作兵の仕事だ。彼らが人間製造装置を安全に移送する。これで私達の人間製造能力が、更に高まった。他重要資源も彼らが回収する。

 

 戦闘中、左腕に弾丸を受け、形状が少し変形した事を報告した。

 工作兵の見立てによると、交換はしなくても大丈夫だそうだ。

 おそらく、私の廃棄が近いからだろう。以前ならこの程度でも交換していた。

 

 エネルギー残存量が1/4を切った為、充電ポッドに向かい、充電して眠りについた。

 

 

 

 今日で廃棄の日となった。

 特段特別な感想などない。ただ2度目の生もこれで終わりか、そう思うと少し悲しくなっただけだ。

 

 歪んだ左腕以外の四肢パーツは、まだ使えるとのことで取り外された。

 それ以外のパーツは簡単に取り外せて重要度の高いパーツはもう無いようなので、この状態で廃棄物と一緒に捨てられた。

 

 まだ生きていた。死にたくない。そう思った。

 幸いなことに左腕はまだ動く、左腕を中心に、這いながら、周囲を探索した。

 一般兵のジャンクパーツを見つけた。今までのような性能は発揮出来ないだろうが、取り敢えず動くならなんでもいい。そう思い、右脚のパーツを取り付けた。問題なく稼働するようだ。少し動きやすくなり、他の四肢のパーツを探した。見つけて装着した。

 手脚の長さが全て違い、不恰好で、動きにくいが、それでも無いよりはマシだ。

 他にも使えそうな部品やパーツ、道具がないか探した。活動範囲は手脚がない時より格段に広がった。

 

 古い予備のバッテリーと、型の古い銃を見つけた。

 取り敢えずここから脱出する。目的がある訳ではないが、それでもこんな所に居るよりはマシだ。

 

 幸いなことに、柵などで囲われている訳ではないので、簡単に脱出することが出来た。

 生後12年にして初めて、自由を得た。

 その事に深く感嘆し、涙を流した。

 

 生存可能な寿命残り約3年

 

 




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