とある研究者による新種モンスターの観測・研究記録   作:あららぎ5115

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頁-1 とある研究者と新種モンスター、初の観測

大量のモンスターの素材と編集中のモンスターの生態に関しての研究書類の山脈の中、自分はとあるモンスターが分泌する唾液の性質に対する研究結果を提出し終わり、一休みを入れていた。

未だに研究機材が置かれた机にかじりついて徹夜五日目に突入して少し変な笑い声を上げながら作業をしている同僚には気が引けるが、休憩室に付属したキッチンでコーヒー(社畜御用達眠気も消し飛ぶカフェイン濃縮地獄BLACK狂走薬G入り)を入れて自分の作業スペースに戻る。机の上の書き損じた書類(ゴミ)を脇のくずかごに払い落とし、領域侵犯してきている隣の気絶している同僚の書類を汚れないように離れたところによけてコーヒーを机に置く。ぐったりと引いた椅子に座り込みコーヒーを啜った後ため息が出た。

ため息も出るだろう。本来自分は昨日と今日は非番の筈だった。しかし、とあるモンスターの唾液に知られざる効果が微弱ながら確認されたことを皮切りに上司の強権により非番を謳歌しようとしていた自分に連絡が入り、強制的に非番は返上と相成り大量に送られてきたモンスターの唾液とにらめっこ。昨日今日とかけて唾液の成分解析、その成分が発生する原理、予測される唾液の使用用途の可能性等をまとめて先ほど自分の休日を奪いやがった上司に叩き付けて来てやったのだ。

一度啜ったコーヒーを机に戻し置く。その際に机に突っ伏して気絶している同僚の鼻にコーヒーの匂いが届いたのか「ヴゥヴゥゥ……?!」という濁った低い呻き声を上げ机に伏していた顔を匂いの発生源であるコーヒーの方向へ向けてきた。その顔は強制的に眠気を消し飛ばし作業へ強制的に戻すこのコーヒーにトラウマでもあるのか気絶しているのに非常に歪んだ顰めっ面をしていた。良く見ればその同僚の足元に同僚が使っていたと思われるコップが気絶したときに落としたのか破砕して床に散らばっていた。その破片のコップの内側だった部分にコーヒーの残りがついていた為、恐らくこの同僚はこの社畜コーヒーを飲んだ上で気絶したのだろうと気付く。

 

この社畜コーヒーを飲んだ上で意識を飛ばすとはこの同僚は何徹していたのだろうか…?

 

そんな事を思いながら部屋の角に置いてある塵取りと箒を手に取りコップの破片を回収し自分の机の脇のくずかごに捨てようとした時に、ふと気が付いた。

書き損じて他の書類と間違わないようにグシャグシャにしたゴミ以外に比較的新しい書類が入っている。

はて?と考えを巡らせながら一度塵取りと箒を床に置き、くずかごから件の書類を取り出す。

先ほど書き損じたゴミを落とす前はくずかごは空にしてあった為それより前のゴミの可能性はない。もしや自分がクソ上司に提出しに行っていた間に新しく届いて置かれたものだろうか?

そんな推理をしながら取り出した書類に目を通す。

それはとある地域のハンターズギルドから上げられた報告書及び現地調査依頼だった。

内容としてはこうだった。

 

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◯◯年✕月□日(今から2週間前)

 

◯◯地方のハンターズギルド管轄の狩猟領域内にて大型モンスターとの戦闘痕と思われる大規模な損壊が採集クエストを受注していた新人ハンターから報告された。そこには破損した刃物の一部が複数散乱していた為、もしや誰かしらが狩猟に失敗し亡くなっているのではと思い至急ギルドへ報告したとの事であった。

が、ハンターズギルドが確認した所、この地方のハンターズギルドに登録し所属しているハンター全ての安否が取れ、ハンター達に「狩猟中に武器を破損しなかったか?」と聞き取りをしたが誰一人武器を破損させたハンターはいなかった。

この時期には外部から遠征の形でこの地方に狩猟に来ていたハンターも存在しなかった為、一時は新人ハンターの杞憂と判断されかけたが一応ハンターズギルドから一度調査班が編成される事となった。

 

 

◯◯年✕月△日(報告から2日後)

 

◯◯地方ハンターズギルドによって編成された調査班が報告された地域へ赴いた所、報告通りの戦闘痕を発見。報告にあった通り無数の損壊した刃物の一部も確認された為、その地点を中心に調査班を散開させて調査を開始。その結果戦闘痕から然程離れていない地点の洞窟内にて尋常じゃない程の損壊した刀剣系武器の残骸の山を発見。更にその洞窟の壁や洞窟周囲の樹木に何かしらの巨大な刃物による切創痕が発見された。

刀剣の残骸の数はその地方のハンターズギルドに所属するハンターの数をゆうに越えており、更にはこの地方には洞窟の壁に鋭い切り傷を残せるモンスターは過去を遡っても確認されていない。可能性としては斬竜『ディノバルド』が何らかの理由で移動してきた可能性が無くはないがそうであっても刀剣の残骸の山の説明が出来ず、何か得たいの知れないモンスターが出現したのではないか?とこれを重く見た◯◯地方ハンターズギルドは王立古生物書士隊へ至急現地調査の要請を願いたい。

 

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とのことだった。

依頼書が発行されてから一週間と五日経っているのは単純にこの◯◯地方と王立古生物書士隊本部と距離があったからだな。

もう一度報告書に目を通しながら近くの棚から◯◯地方の狩猟領域の地形や環境、採取できる素材や生息しているモンスター、過去にあった外部からのモンスターの大移動の記録などをまとめた台帳を取り出して開く。

確かに報告書に記載されていた大きく刃のような形の尾を持った斬竜『ディノバルド』なら洞窟の壁に切り傷を付けられるだろう。実際縄張りの壁に縄張りの印なのか尾を研磨したいのか切り傷を作る姿を確認されている。しかし、『ディノバルド』は山になるほどの刃物の残骸を収集する生態は確認されていないし、そもそも大移動してくるような距離で◯◯地方の近辺には『ディノバルド』は生息していない。

刃物の残骸だけを考えると密猟団の軍勢がしくじったというのも考えられるがこの◯◯地方にはそんな密猟団が力を入れて仕事に掛かる程の価値のあるモンスターは生息していない。まぁこの近辺まで獲物を追い込んできたと言うことも考えられなくは無いがそんな目立つことを密猟団がするとは思えないのでその可能性を破棄する。

頭の中で様々な推測を立てては消しつつ台帳をパラパラの捲り、更に追加で◯◯地方の近辺の地方の台帳を引きずり出して開く。

そもそも報告書の内容に少し引っ掛かる。なぜ戦闘痕や洞窟で見つかったのが武器の、それも刃物だけなのか。

もしハンターや密漁者が大型モンスターの手に掛かっていたとしたら他の武器種の残骸や防具の残骸もある筈だ。いやぁ、まぁ稀に刀剣系武器だけの前衛だけのパーティで狩猟するパーティが居ないわけでも無いがそれでも防具の残骸や閃光玉等の小道具を収納しているポーチ等がその場に残っている筈だ。残骸が山のようになる程なら余計に無いのはおかしい。

手元の4冊の台帳をパラパラと捲りそれぞれを流し読みしつつ全てを読み切り台帳を全てを閉じる。

そこまでにたどり着いた結論は二つ。本来その近辺に生息していない大型モンスター、それも考えられないほどの大移動をする要因があって移動してきた。もしくは、今まで世に確認されていない新種のモンスターが発生したか…その二択に落ち着いた。

そう結論付けたところで残っていた社畜コーヒーに手を伸ばして啜る。コーヒーはとっくに冷めていて苦さが余計際立つ。

どう考えても龍歴院から調査隊を派遣する事必須な案件である。そしてその依頼書類が自分の作業スペースに置いてあった。つまり新しい仕事である(絶望)。

もう一度椅子の背凭れに深く凭れ長く息を吐く。

 

まぁ最近は既存のモンスターの追加研究だけでフィールドワークしてなかったしなぁ。運動不足気味も否めない。

 

とりあえず手に持った依頼書類に自分のサインを記入して先ほど研究書類を叩き付けたクソ上司の部屋に行くために立ち上がり作業部屋を出る。

 

行くのは良いけどせめて一日振り替え休日挟んで欲しいなぁ。

 

そんな思いは虚しく叶わず、次の日には◯◯地方行きの龍歴院専用の大型竜車揺られて白目をむく研究者でした。




モンスターハンターの二次小説はほぼほぼはじめてなので文章内で出てきた用語などに違和感や間違いがありましたらご報告ください。
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