アリウス生まれ、トリニティ育ち。   作:ぱんだひーろー

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Chapter.Ⅰ 過去編
アリウスからの解脱〔1〕


「おい、時間だ。」

 

いつもの大人の声で目を開ける。昨日の訓練の影響か、それともただ単純に体育座りをして寝ていたからなのか、身体中がズキズキと痛む。まあ、いつものことなのだが。

 

「今日は1時間後に訓練、その後にマダムからの呼び出しだ。わかっているな?」

「ああ。」

 

そういって顔をすっぽりと覆うマスクをつける。

何故かというと、通称『マダム』と呼ばれる人...人?から

「貴方は私の計画において重要な役割を持っています。ですから、このマスクをつけておきなさい。いいですね?これは命令です。」

と言われてしまっているのだ。

 

そしてもう一つ、彼女の言った言葉がある。

「vanitas vanitatum et omnia vanitas」。

「空は空、一切は空である」という過去の言葉である。

この世界は、何をやっても結局は無意味なのだと。

この世界は、そんな世界なのだと。

分かっている。

 

でも、だからといって今の喜びを諦めなければならないのか?

答えは未だ出ていない。

諦めたくない。

これは私の人生なのだから。

 

なんて届かない願望を考えながら、背丈ほどある大きな翼をブラッシングし、壁にかけていた愛銃「Flame of God」(神の炎)を整備する。

 

銃身、よし。

ボルトアクション機構、問題なし。

ショットシェル、散弾11発、スラグ4発。替えの弾薬もある。

セレクターシステム、正常に稼働。

スコープ、調整完了。

 

行ける。

 

今日も労働。

 

 

 


 

 

 

今日の日課は、的を用いた射撃訓練であった。

 

射撃訓練は散弾を使おうかとも考えたが、甘えをなくすために単発のスラグ弾を使用。撃ち漏らしなくちゃちゃっと終わらせ、生徒会室にいるマダムから任務を受ける。

 

「マダム、まいりました。要件は何でございましょう?」

「リエ。あなたは現在何歳ですか?」

「...おそらく14です」

 

たまげた。歳を聞かれたことも、聞いている姿も見たことがない。それにその姿でこんなことを聞いているのはギャップにもほどがある。何?ほどよい年齢になったら殺されるの?*1

 

「ならば、もうすぐで貴方は高等学校に入る。いいですね?」

「はい。理解しております。」

「貴方をスパイとしてトリニティに入学させます*2

 

はいはい、アリウス分校で訓練を...あれぇ?

 

「私でよろしいのですか?」

「えぇ、怪しまれては困りますから、報告も不要です。入学書もゲマトリア*3に偽造させましたから問題は何もありません」

「承知いたしました。私はここを出た後どこへ行けばよいでしょうか?」

「貴方の地図端末に情報を送りました。出発は3日後です、用意をしておきなさい。」

「承知いたしました。これにて準備を始めさせていただきます。」

 

そういって高ぶる気持ちをポーカーフェイスで抑えながら、生徒会長室を後にした。

 

 

 


 

 

 

リエが生徒会長室から帰った後、マダム...ベアトリーチェは上機嫌であった。

 

「漸くあれを追い出せます。何か儀式の手助けになればと考えてあの木人形に造らせましたが、残念ながらダメそうですね。あのような神秘の塊、扱ったらどうなるかわかりません」

 

このときマダムは知らない。リエの神秘はトリニティとすこぶる相性がいいことに...

 

 

 


 

 

 

さてと、そうと決まればさっさと準備である。マイウェポンの「Flame of God」はもう準備してある。あとは...そうだな、私服と...あとよくわからないレベルの古本、少しばかりのお金と、スマホ、あと標準装備のグレポンは...要らないか。

 

トリニティにいったらどうするべきだろうか。とりあえず、どこかの派閥に入っておけば立場はごまかせるだろう。それも「ティーパーティー」*4に入れるような大きな派閥のほうが情報は集めやすいだろうし、その方がいい。ならティーパーティーの銃も使えるようにしておくべきか。確かSRだった気がする。

 

 

 


 

 

 

そんなこんなで3日がたち、晴れて日のもとに飛び出した。とりあえずスマホの地図のマーカーを頼りに合流地点を目指した。

 

「.......」

 

目指したのだが...

 

「ここであってるはずなんだけどな...」

 

びっくりするほど人気(ひとけ)がない。誰もいない気がしてたまらないのだ。ほんとに合流地点ここであってるんだろうな?

 

『言われてきたが、彼女は本当にこれを手放したのか。なんともったいないことだ。』

 

驚いて声の聞こえた方を振り返ると、謎の木の人形がいかにも高級そうな衣服を着てこちらを2つの頭でじっと見ていた。

あまりの恐怖で絶句することしかできない。

 

『そんなに恐れたまうな。私は〈マエストロ〉、彼女の協力者だ。まずは後をついてきたまえ。貴方が寮に入るまでの準備期間を過ごす場所へ行く。』

 

敵対する意思はないようだ。道中「もったいない」だの、「傑作であったのに」などと意味不明の言葉を話していたが。

 

ついた家は、雑誌で過去に見た家であった。所謂アパートというらしい。そんでこの準備期間は保護観察のためにこいつと過ごすんだと。一週間だけだが。

 

 

 


 

 

 

この1週間、様々なことを知った。飯とか、風呂とか、洗濯とか。

 

あと、トリニティの制服とティーパーティー専用の銃も手に入れた。やはり扱いにくいものは扱いにくいが仕方ない。

 

あと、私自身の「神秘」と呼ばれる力についても教わった。この力のおかげで、生徒たちは銃が致命傷にならないらしい。

やれ「手から炎が出せるはずだ」などと言われたときは現実的でないように感じたが、どうやら本当のことだったようで、火力は低いが手のひらから炎が出せた。どういうことなんだ?

 

おっと、いままでを振り返っていたが、ボーっとしている間に入学式は終わってしまったらしい。さて、何を始めようか...

 

[>.続く

 

 

 


 

 

 

生徒名:炎読 リエ (ほのよみ りえ)

所属:トリニティ総合学園

学年:一年

 

固有武器⑴:Flame of God

元ネタ:UTS-15

武器種:SG

備考:ずいぶんと年季の入ったショットガン。大きさの割に軽量だ。

 

固有武器⑵:Decree of God

元ネタ:M1ガーランド

武器種:自動小銃

備考:新品のようにきれいだ。M1905銃剣によるカスタムが行われており、銃本体は切り詰められてもはや近距離用の銃になってしまっている。

 

身体的備考:翼がでかい。

*1
紛れもない事実であった

*2
トリニティ総合学園。リエ所属のアリウスとは長い因縁がある

*3
ベアトリーチェのコネ。説明は割愛

*4
トリニティの生徒会。派閥争いを防ぐために三権分立が行われている唯一の学校である。




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