さて、トリニティに入学したは良いものの、
「なにをすればいいんだろう?」
今まで強さばかりを追い求めて生きてきたため、いきなり自由なところに追い出されて何をするべきなのかさっぱりわからない。
ただ、やるべきことはいくつか浮かんでいる。
⑴、このまま訓練を続ける
キヴォトスにおいて力は正義だ。舐められないためにも、力をつけておいた方がいいだろう。
⑵、なんらかの派閥に入る
派閥には入った方がいいだろう。派閥に保護されることで疑いの目を向けられる可能性も減るし、情報も多く手に入る可能性が高い。
⑶、勉強する
どうやら今までとは違い、戦闘面だけでなく学力面でも評価が変わってくるらしい。そして今までそんなことはなかった。つまり、私には残念ながら学力がない。それで怪しまれたらおしまいである。
これはいわゆるするべきこと、である。
しかしやりたいこと、が浮かばない。
「...さん?リエさん、一体何を考えているんですか?」
「ん?あぁハナコ?いや、大丈夫だ」
「じゃあ説明に戻りますね。ここはこれをXと置いて...」
そして何故...
私は放課後にクラスメイトに勉強を教わっているんだ?
ハナコが聡明であったのもあって、私はメキメキと学力を伸ばしていった。そして元々の場所で培った戦闘能力もあり、派閥へのスカウトがやってきた。
「フィリウス分派」
ティーパーティーへの参加権利を有する、保守的な、三大分派のうちのひとつである。勿論即答で入ると言った。その時の首長*1の「もうちょっと考えないのか?」と言っているような間抜けな表情を、私は一生忘れないだろう。少し寂しそうなハナコの表情も、忘れられないが。
なにはともあれ、目標を3つクリアすることができた。我ながら素晴らしいことだと思う。
ここである一つの考えが浮かんできた。
「あの教え*2って嘘じゃね?」と。
確かに、結局は全て虚しいのかもしれない。
最終的には、全て無に帰ってしまうかもしれない。
でも、今生きているこの世界は美しい。
そして、理解した。
この教えを心の底から崇拝しているアリウス生は、きっと陽の目は見ないだろうなということを。
それを、マダムは利用しているのでは?
それに気付くのに従って、リエの心からは、「マダム」に対する潜在的な恐怖が少しずつ消えていった。そうして、それと同時に、あの女に対するはげしい憎悪が、少しずつ動いてきた。―いや、あの女に対すると言っては、語弊があるかもしれない。むしろ、あらゆる悪に対する反感が、一分ごとに強さを増してきたのである。それほど、リエの悪を憎む心は、勢いよく燃え上がりだしたのである。
リエは、もちろん、世間知らずであるから、なぜマダムがアリウスを利用しているのかわからなかった。したがって、合理的には、それを善悪のいずれに片付けてよいか知らなかった。しかしリエにとっては、この世界で、生徒を利用するということが、それだけで既に許すべからざる悪であった。もちろん、リエは、今まで、自分が、マダムに仕えていたことなぞは、とうに忘れていたのである。
次の日、八つ当たりで不良達をボコボコにした。
...割とまじめに首長に怒られた。
そしてある日。
今日は武器のカスタム兼修理でブラックマーケット*3にきていた。さて、そんな危ないところにきていたのだが、なにやらまた*4騒ぎがおこっている様子である。...段々こっちに近づいてきてない?
「テメー!待ちやがれこのヤロー!」
「私の方は別に用事はないですー!」
「あたしたちはお前に『話』があるんだ、待てー!」
こちらに追いかけられているトリニティの服装の生徒がやってきた。いやなんでこっちに来るんだよ...
「おっ!逃げた先にもう一人トリニティの奴がいるぞ!」
「あたしら運がいいなぁ!これぞ一挙両得ってやつか?」
うわ...めんどくさ......
仕方ない...のか?
「そこのトリニティ生徒。」
「わ、私ですか?」
「下がれ。」
「えっ?あっ、は、はい!」
トリニティの違反生徒(推定)を後ろに下がらせ、不良達に向き直る。
「抵抗する気か?お嬢様ごときあたしらには勝てないだろうし、とっとと捕まれ!」
「さっき一挙両得って言ったか?」
「そうだよ!それがどうかしたか?」
「教えてやる。これは、『二兎を追う者は一兎をも得ず』というんだ」
不意打ちで間合いを詰め、不良の腹にショットガン連打。動揺しているもう一人の頭は銃剣で殴りつけ*5、あっという間に戦闘は終了した。
戦闘終了後、私は推定違反者に事情聴取を行うことにした。
「あ、ありがとうございます!」
「私は炎読リエ。貴方は?」
「えっと、阿慈谷ヒフミです、よろしくお願いします!」
「で、どうしてここにいるの?」
「あはは、えっと、それがですね...」
推定違反者...ヒフミの言うことには、『ペロロ様』?の限定アイテムがどうしても欲しかった、とのことで、まぁ、つまり、常習犯である。お前もだろ、というのは御愛嬌。
その後、同学年であることが分かり、モモトークを交換してその場は解散、ということになった。
...次の日、ヒフミが「ブラックマーケットでリエちゃんが助けてくれました!」と首長に話してしまったことが原因で、また私はキツメに怒られることになった。