アリウス生まれ、トリニティ育ち。   作:ぱんだひーろー

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一応進級です〔11〕

さて、いつの間にか一年がたち、私は2年生になった。で、肝心の役職だが...

 

「リエさん、あの件に関してはどうなっていますか?」

「報告書をお持ちいたします、ナギサ様。」

 

なーんで首長の秘書的な場所なのかなぁ!?

あ、首長が変わって「桐藤ナギサ」様になりました。なーんか政治には強そうな雰囲気。武闘派じゃないから私を選んだのかな?よくわからないけれど、かなりの好待遇なんじゃない?

 

そして皆さん気になるであろう「あの件」について。

噂話程度だが、「連邦生徒会長が失踪した」、という情報が入り込んだ。

 

ここで一つ説明を。

ここ「キヴォトス」は、基本的に学園統治がなされており、学園がそれぞれ持つ自治区を学園が統治する。(いわば国のようなもの)

そして、それらの学園のさらにトップに位置し、キヴォトス全体を統治するのが連邦生徒会。

そのトップ、つまりこの世界で一番権力を持っているのが連邦生徒会長...

 

もし本当にそれが失踪してしまったのなら、都市の治安はもちろん、学園のパワーバランスを保つことは難しくなるだろう。

 

そしてそれは、なにもキヴォトス全体の話じゃない。

先日のことだが、ティーパーティーの3派閥のうちの一つである「サンクトゥス派」。

その首長である「百合園セイア」様が暗殺された、という情報が入ってきた。

 

アリウスだ。

 

正直、この陽だまりに浮かれていた。アリウスのことを忘れていた。

アリウスは、トリニティを恨んでいる。明らかに私があそこにいた頃よりもその感情は上がっている。

ここが破壊されかねない。

 

最近のことだが、ここにぬくもりを感じている気がする。なら、ここだけは守らないといけないのだ、きっと。

嘗てのアリウスに対する感情とはすこし違う気もするが。

 

ならば、この怒りは、どうすればいい?

 

 

 


 

 

 

リエは、ナギサにとっては優秀な右腕であった。

 

十分な政治能力*1、キヴォトスの中でも高い戦闘能力*2、そして忠誠心*3

しかも普段から訓練や勉強を怠らない努力家でもある。

それらの点に於いて、ナギサは良くリエのことを評価していた。

 

但し、そばに置いているのはそれだけではない。

 

リエの過去が、分からないのだ。

 

出身、経歴、血縁関係全てが不明。

そばに置いているのは監視という理由でもある。

何か不用意に行動すれば首をちょんぎってやる、という心意気だ。

 

つまり。

腕の信用はすれど、信頼はしていない。

そういう歪な関係性であった。

 

 

 


 

 

 

「ナギサ様、お持ち致しました。」

「ありがとうございます。調査の程は如何ですか?」

「壁の弾痕はトリニティで良く売られているものですね。裏社会でも良く取引されているもので、足取りは難しいものかと。」

 

壁の弾痕は、トリニティ、裏社会、そしてーーーアリウス。ここらでよく見るものであった。

 

「ゲヘナのものではないと?」

「ゲヘナではあまり使われないタイプのものですね。」

 

ナギサは紅茶を飲むと、憂いを帯びたため息をつく。

ならば、やはりトリニティ内の人物の犯行。

 

「……そうですね。分かりました。トリニティ内で、何かめぼしい人物はいますか?」

「めぼしい人物、ですか……」

 

リエは手を顎に当てて考えだす。

 

「……何人か。」

「どなたでしょうか?」

「まず、白州アズサ氏。キヴォトスでの転校、さらにクラスメイトとも距離を置いている。」

「次に考えられるのは、阿慈谷ヒフミ氏。ブラックマーケットにいる、という噂があります。」

「そして、浦和ハナコ氏。最近になっていきなり馬鹿になりました。彼女なりの事情があると思います。」

 

そこで一呼吸おいて。

 

「あとは…ナギサ様、信じられないかも知れませんが、パテル派は反ゲヘナ勢力、可能性は十分に「有り得ません」……そうですか」

「リエ、そもそも貴方はヒフミさんと浦和ハナコとは仲が良いではないですか。どうして話したのですか?」

「彼女らがこのようなことを行うのは有り得ないですし、私が話せば言わなかったときの疑いよりも減ります、どうせナギサ様も調べているでしょうし、言った方が都合がよいと考えました。」

「そうですか。ありがとうございます。連邦生徒会の方は?」

「分かりませんね、とにかくただの噂です。たかが噂、されど噂。慎重に行うべきかと。」

「分かりました、リエ、今から連邦生徒会に行って調査をしなさい。正義実現委員会と自警団から1人ずつ出します、共に調査を。」

「承知致しました、行ってまいります。」

 

そうしてリエが出ていった後、ナギサは一人で考え事をしていた。

 

やはり、エデン条約を邪魔する「裏切り者」がいることはほぼほぼ確定。ならば強行突破をするしか無いのだろうか。

 

「仕方ないですね……」

 

ゴミはまとめて、ゴミ箱に。

 

 

 


 

 

 

関係性

 

(現在)部活無し

・ヒフミ

仲が良いクラスメイト。ブラックマーケットでよく会う。

 

・ハナコ

仲が良い。ティーパーティーに入ってから他の目線が面倒になり、こっそりと密会で会っている。

 

正義実現委員会

・ツルギ

仕事上面識あり。

 

・ハスミ

仕事上面識あり。

 

・イチカ

裏の姿をたまたま見てしまった。仲は良い。

 

自警団

・スズミ

仕事上面識あり。

 

ティーパーティー

・ナギサ

上司と部下。

 

・ミカ

よく振り回されている。

 

・セイア

神秘の使い方を教えてくれた。

*1
顔色をうかがうのが上手い

*2
出自

*3
マダムのときの名残

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