アリウス生まれ、トリニティ育ち。   作:ぱんだひーろー

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あいむそーりー、でもストックがないんだ☆


Chapter.Ⅳ 天国への道
ワクワクドキドキ補習授業〔111〕


「補習授業部……ですか」

「えぇ。エデン条約も近づいてきましたし、先生の評判や人格も耳に入ります。そろそろでしょう」

「ヒフミにはアビドスの件がありますが……?」

「仕方ありません。これもエデン条約の為なのです」

 

 夜も更け、人によっては深夜というほどの時間帯。いつも通りのティーパーティーテラス席で、2人で密会が行われていた。*1

 

「リエ、あなたは補習授業部の副顧問、という名目で対象の監視をお願いします。できますか?」

「……承知いたしました」

 

 やるべきことリスト

 ・勉強

 ・戦闘訓練

 ・「古書館の魔女」に本を解読してもらう

 ・「裏切者」の容疑者絞り New!

 ・ナギサ様を闇から救いだす

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「『シャーレ』の顧問先生、本日は炎天下の中、遠路はるばるトリニティまでお越しくださりありがとうございます」

「“うん……リエ、いきなりどうしたの?”」

 

 先生は困惑していた。だが当然である。

 前回アビドスで話し合ったときはタメ口に近い口調だったのにいきなりこんな恭しく美しい品のあるお辞儀をされたら誰もが反応に困るだろう?

 

「ここからは専用の車がありますから、お乗りください」

「“は、はぁ……”」

 

 この状況に困惑すると同時に、先生は安堵も感じていた。いくら電車でシャーレからトリニティ自治区まで来たとはいえ、ここはびっくりするほどの広さを誇るマンモス高校である。もしもここでまた歩くことになっていたらアビドスの二の舞だっただろう。

 明らかに高いであろう車の運転席にリエ、その隣助手席に先生が乗り、リエの銃や先生の鞄が後部座席に乗っけられた。ドアを閉め、エンジンをかけるとクーラーから冷たい風が吹き始める。

 

「ふぅ。じゃあ先生、行こうか」

「“あの口調はなんだったの?”」

「トリニティは政治色がかなり強いから。波を立てずにトリニティで生きる術」

「“トリニティはそんなに政治色が強いの?”」

「……調べてないの?」

「“……ごめんなさい”」

 

 バツが悪そうに謝る先生に対しリエは小さくため息をついて説明を始めた。

 

「いい、先生。まずトリニティには経典に対する解釈の違いなどで様々な派閥がある。そしてそのうちの三大派閥であるフィリウス、パテル、サンクトゥスの首長が運営するのがトリニティの生徒会組織、ティーパーティー。そしてどの派閥もいつかティーパーティーになろうと望む。他者より先へ、他者より上へ。誰もが望むことがかなり強く出てるんだよ。だからどんな小さな波も許されないのさ」

「“結構すごいね”」

「本当にね。ゲヘナがトリカス呼ばわりするのもどこか理解してしまう気がするな」

「“えっ、どういうことなの?”」

「トリニティとゲヘナはかなり仲が悪いんだよ。もちろんそうでない人もいるけど」

「“どれぐらい?”」

「街道であったら銃が撃たれるぐらい」

「“お、おぉ……”」

 

 先生も反応には困る。

 だが、考えてほしい。

 トリニティの生徒たちは種族が天使、ゲヘナの生徒たちは種族が悪魔なのだ。だから血の単位で双方を嫌うのは生まれつきの性ともいえよう。

 だから仕方ない。うん。

 

「“リエ、リエ”」

「なんですか、先生」

 

 先生が焦ったような口調でリエに話しかけている。リエはなんだろう、気に留めることでもあったのかな、と思いつつも返事をする。

 

「“あの、ちょっと、ちょっと待って、スピード出しすぎ、待って、怖い、死んじゃうから、止まって、止まって、リエ、運転荒くなってる、リエ、お願いだから止まって────────────!”」

 

 予定時刻の20分早く2人は学校の駐車場に着いたのだった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「先生、体調が優れないようでしたらおっしゃってくださいね?」

「“うん、大丈夫だよ、続けて……”」

「そ、そうですか。では……」

 

 リエのカーチェイス並のドリフトで少しやられてしまった。生徒に心配をかけないようにしなくては……!

 

「生徒には成績のすぐれない方々がいます。お分かりですね?」

「えー、ナギちゃんいきなり本題にはいるのー?とりあえずアイスブレイクとかどうなの?」

「そこで、先生に「ちょっと、無視するの?」は彼女らの成績を上げていただきたいのです」

「それ専用の部活も「そ、そんな……うぐ、ひっぐ……」ああもううるさいですね!?

 

「先生に話をしているというのに無駄な話を横から何度も何度も……」

 

「そんなにうるさくするのであれば……」

 

「その小さな小さなお口に……」

 

「ロールケーキをぶちこみますよッ!?!?!」

 

 私とリエは苦笑いをする以外無かった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ということで先生、私も補習授業部の手伝いをするよ」

「“うんうん、それなら安心だね!”」

「ところで先生、ゲヘナの風紀委員の足舐めたって本当?」

「“その話はあとでね”」

「……///」

 

 リエの顔が赤くなったのは気のせいではないだろう。あとでもう一回話して写真にしておくか。

 

「せ、先生、あそこに」

 

 リエの指さす先にはヒフミがいた。

 ヒフミにはアビドスの件でだいぶお世話になった。ブラックマーケットの案内もしてくれたし、ナギサからトリニティの増援を受け取ってくれたのはかなりありがたかった。勿論、その後ろでヒフミを手助けしてくれていたリエにも感謝している。

 

「おーい、ヒフミ」

「あっ……リエちゃん……まずいですね……」

「何がまずい?言ってみて」

「え、えーと、その、やむを得ない事情がありまして」

「ペロロ?」

「ぺ、ペロロ様です!それのゲリラライブがありまして……」

「つまり学校よりもペロロ様とやらの方が大事なんだね?」

「当り前じゃないですか!!!」

 

 うーん、この。

 

 ・阿慈谷ヒフミ

 ・トリニティ総合学園2年生。

 ・本人曰く普通の女の子。今回ペロロのゲリラライブに参加したことでテストをサボり、補習授業部となった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 ところ変わって、正義実現委員会部室棟。

 やはり正義実現委員会は大きい部活である。部員の総数もさることながら、治安の維持を行うティーパーティー直属の部活ということで専用の部活棟すら用意されている。ロビーに受付もある。

 

「さて、ここに生徒がいると聞いたんだけど……」

「“ごめん、会いたい人がいるんだけど”」

「人探し!?正実は暇じゃないんだけど!?」

「“いや、そういうことじゃなくて”」

「じゃあなんなの!?はっきり言って!」

 

 ロビー受付にいる生徒がなにやら大声でまくしたてる。どうやらかなり警戒されているようで、部室棟の奥には行かせてもらえなさそうだ。と思っていたら、見慣れたフォルム*2の生徒が奥の方から姿を現す。

 

「先生、それにリエさん。どうかいたしましたか?」

「“あ、ハスミ*3こんにちは、今会いたい生徒がここにいるって聞いてね”」

「お呼びですか~?」

 

 ハスミのさらに後ろからピンク髪の生徒が顔を出す。誰に対しても優しそうでニコニコと笑っている、いたって普通の生徒であった。

 

「う、浦和ハナコ!?なっ、なんで水着を着てるの!?!?!?エッチなのはダメなんだから!!!」

 

 そう、水着でなければ。

 

 ・浦和ハナコ

 ・トリニティ総合学園2年生

 ・前までは優秀な成績の生徒であったが、最近になって学力が低下。度重なる成績不振により補習授業部入りとなった。

 

「というよりなんでここにいるんだ?部屋にはかぎが掛かていたはずなんだけど……?」

「あら?拘束部屋の鍵なら開いていましたよ?」

「だからって出てきていいわけがないでしょ!」

「“えっと……仲良く、ね……?”」

 

 そんなこんなでがやがやとしていると外から実働部隊が帰ってきた。

 

「あ、イチカ。*4久しぶり」

「リエちゃんじゃないっすか。もしかしてわざわざ私に会いに来たんすか?」

「それもあるね」

「冗談っすよー。それで何の用事っすか?」

「後で話そうか。今誰を捕まえてきたの?」

「この子っす」

 

 そういってイチカが奥の方から先生たちに見えるように生徒を前に持って来る。

 白い髪に白い制服と翼をもったトリニティらしい生徒だった。

 

「(しゅこー、しゅこー……)」

「!!!???」

「“えっと……なんでガスマスク?”」

「捕まってしまったが訓練は受けてる、簡単に情報は出さない(しゅこー、しゅこー)」

「拘束=拷問じゃないっす」

「“ちなみに名前は?”」

「白洲アズサさんっす」

「“あっ……”」

 

 ・白洲アズサ

 ・トリニティ総合学園2年生。

 ・多くの問題行動、成績不振により補習授業部入りとなった。

 

「ふ、ふーん。被害はどれ位?」

「2時間武器庫に立てこもってトラップをたくさん使われ、正実の生徒だけじゃなくって周りにもなかなかの被害が出てるっす」

 

 戦闘のプロである正実が手こずるぐらいなのだから戦闘においてはかなりのものなのだろう。最も、トリニティはそういった戦闘行為は面積にしては少ないのだが。

 

「で、用事ってなんなんすか?」

「ティーパーティーで決まったことなんだけど、成績の悪い生徒を集めて補習をさせよう、って話になってね。そこの2人もらってもいいかな?」

「あら、結婚のお誘いですか?」

「こいつらは悪人なのよ!?ダメに決まってるでしょ!」

「構いません」

「は、ハスミ先輩?」

 

 デッドヒートする後輩に対し、ハスミが諭す。

 

「こちらの方はシャーレの先生です。あまり問題はないでしょう」

「せ、先輩が言うのなら……でも!」

「補習ってことは相当頭悪いんでしょうね!こんなやつらと一緒とか、嫌になっちゃうわ!」

「ありゃ……」

「“これは……”」

 

 リエが前に出て話をする。

 ああ、なんということだろう。

 

「『正義実現委員会1年、下江コハル』」

「私……?何の用?忙しいんだから早くして!」

「『度重なる成績不振は目に余るものがあります。よって正義実現委員会を一時的に脱退していただき、補習授業部にて勉学に励み、トリニティ総合学園の生徒として模範的な能力を身に着けていただきます。ティーパーティーホスト代理、桐藤ナギサ』……ってなわけなんだけど、ハスミ先輩、コハルは一時的にもらうね?」

 

 ・下江コハル

 ・トリニティ総合学園1年生

 ・正義実現委員会所属だが、成績不振がひどく、今回強制的に補習授業部入りとなった。残念でした。

*1
もう一人のティーパーティーであるはずの聖園ミカは、あろうことかリエに仕事をぶん投げて帰った。他派閥だがいいのだろうか?

*2
デッッッッッッッッッッッッッッッッ

*3
羽川ハスミ。正義実現員会副委員長。でかい

*4
仲正イチカ。正義実現委員会の2年生。リエとは仲が良い

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