休日。とても素晴らしい響きです。前日のうちに映画のビデオをいくつか借りておき、そのうちの数本を夜中までじっくりと堪能。そして昼頃までぐっすり。午後からは咲笑さんのお手伝いをして、終わったら夜食をつまみながら残りの映画を観る。これがいつもの休日のルーティン。最高。しかも今日はレコンパンスもお休み。咲笑さんが出かけてて、夜まで帰ってこないので超超最高の休日という訳です。好きな時に寝て好きな時に起き好きな映画を観る。これほど素晴らしい生活はありませんよにひひ。
「まばゆ、朝よ」
朝じゃないです。休みの日に朝なんて存在しません。あえて言うなら、時計の針が頂点回ったら朝になります。暖かいこたつちゃんは私を昼まで離しませんよ。
「咲笑さんの言う通り、なかなか起きないわね。まぁ、時間はいくらでもあるのだからゆっくり待ちましょうか。私もこたつに入っても良いかしら」
「ふぁ〜い……」
「そう、お邪魔するわ」
心地の良い微睡みの中、誰かと喋ったような気がしなくも無いですが、きっと夢かなんかでしょう。細かいことは未来に丸投げ、今を存分に生きましょう。
「おやすみなさい……」
「えぇ、おやすみ、まばゆ」
こたつちゃん、温かぁ……。
「んぅ……重ぉ……」
なんとなく身体が重いような……やはりこたつで寝ると身体に良くないんですね……。それにしてもよく寝ました。そろそろ昼頃ですかね。いい加減起きるとしましょう。おそようございまーす──と、起きようとした私の身体に違和感。背中が妙に暖かくて、胸元になにかが巻きついているような……手!?
「うひゃあ!?」
ひ、人!? なんで、誰!? 怖い!
か、確認しようにも怖くてできません!
「んん……あぁ、起きたのね、まばゆ」
「あ、暁美さん……?」
「おはよう」
「お、おはようございます。じゃ、じゃなくて! なんで、どうして暁美さんが私の部屋に!?」
「話せば長いのだけど、咲笑さんに許可と鍵を貰って入ったわ」
「そんなに長くない!?」
「今朝、少し早くに目が覚めてしまったから、パトロールも兼ねて散歩していたの。その時に咲笑さんに会って、あなたの世話を頼まれたのよ」
「咲笑さーん! なんてことを!」
「世話の部分は冗談よ」
「暁美さんから冗談!?」
結構珍しい……じゃなくて! わ、私、暁美さんにだらしない所を……まさか、朝のアレは夢じゃなくて……。
「あの、暁美さん。いつからこの部屋に?」
「朝からよ。こたつに入っていいかどうかはちゃんと聞いたわ。あなたは寝ぼけていたようだけれど」
「やっぱり夢じゃなかった!」
恥ずかしさのあまりこたつに潜ってしまいます。うう。
「まばゆも起きたことだし、ごはんにしましょうか」
「起きてません、目を開けたくありません……」
「咲笑さんに食材使用の許可も貰っているわ。何か食べたいものはある?」
「それはさすがに申し訳なさすぎるので私が用意します」
暁美さんの作ったごはんが食べたいか食べたくないかで言えば当然食べてみたいですが、来客にごはんを作らせるのはNGです。
さらばこたつちゃん。次会うのは映画観るときです。
「なら、私も手伝うわ。一緒に作りましょう」
「いえ、暁美さんは部屋でゆっくりしてても……」
「一緒に作りましょう」
「……いいんですか?」
「今までも一緒に生きてきたでしょう。それと同じよ」
「そこまで壮大なものじゃないですよ、これ」
「いいの」
「そうですか。では、お願いします」
暁美さんと一緒に作った朝食兼昼食は、ハムエッグとトースト。コーヒーに、咲笑さんが作り置きしてくれていたモンブラン。
食べ終わったら、二人で並んでお皿洗い。なんだか良いですね、こういうのも。
「結局私、パンをトースターにセットしてコーヒー淹れただけでしたね」
「適材適所ね。コーヒーはあなたのが良いわ」
「これくらいでしたら、いくらでも。午後はどうされますか? パトロールとか、出かけたりとかは」
「あなたに合わせるわ。あなたは普段、どう過ごしているのかしら」
「え、私ですか? 普段の休日なんて、映画を観るくらいしかしてませんけど……」
「じゃあそうしましょう」
「でも……いいんですか? 暁美さんにとっては退屈になるのでは……」
「構わないわ。さあ、どれを観るの?」
「あっ、では昨日借りてきたものを──」
いつものように過ごすはずの休日は、とても特別なものになりました。
ループ中の一幕かもしれないし、脱ループした後かもしれないし、叛逆後かもしれない。好きな世界線を代入してください。