自己嫌悪が止まらない。また、美樹さんに否定されてしまった。
そりゃあそうです。繰り返しの中で得た、美樹さんの情報を利用して、美樹さんを魔法少女にしないように誘導……操ろうとしていたんです。拒絶されて当然です。
あれから、学校にもまともに行かず、咲笑さんには申し訳ないですがレコンパンスのお手伝いもしないで、ただ何もせず、手持ちの映画を眺める日々。
もう、暁美さんともまともに連絡を取っていません。暁美さんも私を気遣ってか、連絡しないでいてくれていますし。
なんて言ってたら暁美さんからメールが来ました。
内容は…………そう、ですか。鹿目さんが契約してしまったようです。やはり、魔女になる寸前の美樹さんを絶望から救うために契約したようです。
こうなってしまったのも、全て私が失敗したから。また心に自己嫌悪の塵が積もっていく。そして、それを感じないようにするため、私はまたプレーヤーにディスクを入れ、映像を眺める。無心で眺めては、終わった映画を取り替えて、また映像をただ眺める。それが終われば、また同じことを繰り返す。
「まばゆちゃーん、お友達来たわよー」
咲笑さん、私にお友達なんていませんよ。お友達になろうとした方には物の見事に拒絶されてしまったので。
「入るわよ」
「……暁美さんでしたか、お久しぶりです」
映画から目を離すことも無く、挨拶とも呼べないような挨拶を済ませます。
本来なら、もてなさなくてはいけないんでしょうけど、そんな気力もありません。こたつちゃんから失礼しますね。
「さっきメールでも伝えたけれどまどかがまた契約してしまったわ」
「はい。私のせいです。私が美樹さんに嫌われてしまったから、美樹さんの契約を阻止出来なかったから」
「あなたはできる限りを尽くした。まどかが契約してしまったのは、私のせいよ」
「そんなことありません」
はぁ……なんで責任の取り合いなんてしてるんでしょうか。不毛です。全部私が悪いんですよ。
人との距離感なんて分かりません。ぼっちでしたから。
人との関わりを避けるようになってしまったのは、きっとあの時から。お母さんに拒絶された、お母さんから愛されなくなった、あの時。
あれ以降、他の人との関わりが怖くなってしまったんです。
「なんで、上手くいかないんでしょうね……私が、愛されなかったから? 愛を知らないから?」
後半部分は声が震え、涙まで出てきてしまいました。暁美さんがこの場にいるのに、私には涙を抑えることができない。せめて顔は見られないよう、こたつに伏せておきましょう。
背中に、温もり。暁美さんの腕が、肩を通り、首を回って、一周。私を抱きしめてくれている。
「あなたが愛されていない、なんて事はありえない」
「なんで、そんな……」
「咲笑さんは?」
咲笑さん。お母さんが亡くなり、父も居なかった私を引き取ってくれた、大切な人。咲笑さんは、私を愛してくれているのでしょうか。
「あなたの事を愛していなければ、あんなに心配していないわ」
心配、そりゃあそうですよね。学校どころか、外にすら出ていませんから、そりゃあ心配します。
「私も、あなたを愛している」
暁美さん、が?
「大切な、たった一人のパートナーだもの。私もあなたが心配なのよ」
「私を、愛して……?」
「ええ、そうよ」
「なんで、私なんかを……」
「言ったでしょう。あなたは私の大切な人なの」
「私には、そんな価値なんて」
「あなたの価値を決めるのはあなたじゃない、私よ。そして、私にはあなたが必要なの」
私を抱きしめる力が、少し強くなる。そして、暁美さんの声も少し、震えている?
「心配、したのよ。返信も無いし、もし、あなたが魔女になっていたら、どうしようって……」
私の肩が少しづつ濡れていく。暁美から流れた涙によって、濡れていく。暁美が、私を思って泣いてくれている。
「ねぇ、まばゆ。私はあなたを愛しているわ。あなたは私を、愛してくれる?」
ようやく、私は伏せていた顔を上げることができた。
涙は、やっぱり止まっていなかったけど、私も、暁美さんも、くしゃくしゃになった顔を向かい合わせて、笑うことができた。そして、二人静かに、抱き合いながら一緒になって泣いたのでした。