今日は魔女も使い魔も現れない日。そして学校も休日な日。一周の中で数日しかない日です。
普段だったら、家でのーんびりと一人で映画を観たり、咲笑さんの手伝いをしたりなのですが、珍しく暁美さんと一緒にお出かけをしています。
前日に今日の予定を聞かれ、『特に決めてないです』と答えたらお出かけに誘われました。
先を歩く暁美さんの少し後ろを歩いていますけど、一体どこに向かっているんでしょうか。ショッピングモールからは離れていますし、行きたい場所とかあるんですかね。
「まばゆ」
「あ、はい。なんですか?」
暁美さんが手を出してきました。何か必要になったんですかね? グリーフシードとか……今日持ってないですし、何かないかポケットを……。
「何しているの?」
「へ? 暁美さんに何か渡すものを探してます」
「欲しいものはないわ」
「え、じゃあこの手は……」
「あなたと繋ぐために出したのだけど」
ああ、そういう……。
「なぜぇ!?」
「私がそうしたかったから」
「な、なんで私と……」
「何となく、あなたと一緒に散歩をしたくなったの」
「散歩、ですか? 一緒に歩くだけなら、普段の魔女退治の際にずっと……」
「魔女退治は別よ」
そりゃあそうです。魔女退治、使い魔退治のパトロールでは、こんな穏やかな空気流れないですもん。もう少し緊張で張り詰めてます。
「それに、前の周の今日には、あなたはもう居なかったから……」
「あっ」
そういえばそうでした。前の周では、私は佐倉さんに……。
「だから、またあなたとこの日を迎えられて、少しほっとしているのよ」
「それは……ありがとうございます」
「今周の始めの朝に、あなたがいない未来は寝覚めが悪いと言ったけれど……少し違うわね。あなたがいないと寂しいし、悲しいから、勝手にどこかに行かないで欲しいと思っているわ」
「勝手にどこかって……言うこと聞かないペットですか、私」
「似たようなものじゃない」
「本当にペット扱いされていた!?」
「今日の散歩も、出不精なあなたを連れ出すための口実かもしれないわね」
「運動不足のペットだった!」
「でも、あなたがいないと寂しくて、悲しくて、不安だったのは確かよ」
「暁美さん……」
「だから、もうどこにも行かないで」
「……大丈夫です。鹿目さんを救うまで、私は暁美さんと頑張りますから」
「ええ、頑張りましょう」
「はい、任せてください」
暁美さんの手を取り、固く握り合う。決心の握手と言うやつです。
「さぁ、散歩を続けましょう」
「あ、今日は本当に一日散歩の日なんですね」
「そうよ、それ以外の予定は無いわ」
そう言って、歩いていく暁美さんの、後ろではなく、隣に並んで歩いてみる。同じペースで、明確な目的もなく、ゆっくりと。
ふと、暁美さんの手が私の手に触れる。少し手の位置をずらしたら、暁美さんに手を掴まれてしまいました。
「あ、あの……手を……」
「さっきも繋いだじゃない」
「さっきのは誓いの握手みたいな感じのやつじゃないですか!」
「変わらないわ、さぁ、行きましょう」
「わわ、暁美さん、歩くの早いです!」
さっきよりも少し歩くペースの早くなった暁美さんに引っ張られながら、なんでもない休日を堪能したまばゆちゃんでした。