もしも、あなたとの出会いをやり直すことができたら。
私は少しばかりの勇気を振り絞って、前より早くあなたの元を訪れるでしょう。
時間が止まる現象を追いかけていく中であなたに辿り着いたら、きっとその時に声をかけてみせます。
あなたにとっての二週目の時か、三周目の時になるかは、わからないけれど。あなたとの出会いをやり直せるなら、もっと早くから、あなたの力になりたい。
巴さんや美樹さんに全てを話すのが怖かったあなたの代わりに、私が全てをさらけ出して話します。土下座でも土下寝でもなんでもしてやります。
魔女を倒す手段がないなら……私のハサミでチョッキンと! できるといいですけど、きっとこっちはまた、おんぶにだっこになってしまいそうですね。
そして、あなたがまた同じ道を進むなら、それを隣で支えたい。
でも、そんなもしもに意味は無い。
「今までありがとうございました。あとは、よろしくです」
あなたと私の思い出を振り返りながら、あなたの思い出にハサミを入れる。
今までの、あなたとの日々が蘇り、流れて、消える。
思い出を無くしたあなたは、もう私を思い出すことも無い。
あなたがいる病院から家に帰るまでの道中。私はまた、もしあなたとの出会いをやり直せることができたら、なんて考えて。
帰ってきた部屋の、布団の中。あなたと作った思い出を辿る。
とっても素敵で、大切な
この
斬り捨て御免! なんて、時代劇じゃないですけど。切り取って、捨てます。
切り取った記憶がどこに行くのかは分かりませんが、きっと自力で思い出すのは不可能でしょう。
強がって、誰も聞いてない冗句や言い訳を言ってみるけれど、涙は我慢できなくて。
やっぱり、ひとりぼっちになるのは、さみしかった。
それでも、泣いてお別れはしたくなかったから、笑顔で託したかったから。
大粒の涙を零しながら、精一杯の笑顔で。
「とっても、ステキな
チョキン、と。ハサミが何かを切る音とともに、私の意識は闇に落ちた。
もしもあなたとの出会いをやり直すことができたら。
なんて、
それでも、あなたとの出会いをやり直せたら。
…………。
考えるだけ、無駄かもしれないわね。
あなたはまどかと違って、私と同じ時間を共有しているから、私が繰り返せば、それにつられて、一緒に時間を繰り返す。
出会い直す。これが達成される事はない。
こんな事を考えても、意味が無い。
だから、今までの思い出を振り返るように語るあなたの姿を、少しでも脳裏に焼き付ける。
あなたの事を、忘れたくない。
私は、あなたが居てくれたから、ここまで来ることができた。
わたしは、あなたがいないと──
「できますよ」
あなたは、あなたと共に過ごした記憶を無くせば、私は正しい結末にたどり着くと言う。
あなたは、そんな未来を視たと言う。
なら、きっと、それが最善なのでしょう。
今までも、そうだったから。
「ほむらさん」
あなたが、私の名前を呼んだ。
はじめて、わたしのなまえを。
「今までありがとうございました。あとは、よろしくです」
もしもあなたとの出会いをやり直すことができたら。
それでも、あなたとの出会いをやり直せたら。
…………。
やっぱり、考えるだけ、無駄かもしれないわね。
出会い直す。これが達成される事はない。
私は、もう、あなたの事を忘れてしまうのだから。
あなたがハサミを取り出し、私の
もし、あなたの事を忘れてしまったら。
私のこの想いは、何処へ行ってしまうのかしら。
チョキン、と。
ゆっくりと、ゆっくりと、刃が進んで。
長い一瞬が過ぎていく。
その刹那で、その合間に。やっぱり少し考えてしまう。
それでも、奇跡か何かが起きて、またあなたと出会い直せたら。
きっと二度と、手放さない。