妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編   作:tom200

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恋人未満の婚約者…のはずなんですが。
相変わらず謎時空です。


11月の記念日 11/15

 

 

11月15日

 

 

「達也様!今日という今日は――!!」

 

水波ちゃんは今日もガーディアンが務まってるよー。ありがとう!

真っ赤な顔を冷たい両手で頬を押さえ物理的に冷ましながら心の中で水波ちゃんへの感謝を伝える。

お兄様は仕方が無いか、とお説教を大人しく受けている。――というか受け流している。

お兄様も水波ちゃんの前でちょっかいを掛けなければ、と思わなくもないけれど、これはきっとお兄様なりの水波ちゃんとのコミュニケーションなのか。

彼女を孤立させないためわざと彼女の乱入できる隙を作って――だとしても、それで私が困ることも憂慮してもらえると嬉しいのだが。

ふぅ、と吐息を漏らして体の熱を逃がす。

しかし、年下に怒られているお兄様という図…これもまたいいよね。嫌いじゃない。でももう少しへこたれてあげてほしい。

水波ちゃんもこれでは暖簾に腕押しで叱りがいが無い。

それに普段大きな声を出さないからだろう、この説教が終わる頃いつも喉を押さえていた。

 

(…あ、そうだ)

 

一旦キッチンに引っ込んでミントとレモンのハニー漬けを用意して、熱湯を注いだら魔法をかけて――

 

「そもそも達也様は――」

 

あら、まだお説教が続いている。

お兄様から反省の態度が見られないと、燃料が投下されちゃった感じ?

これはよろしくない展開。ってことで作戦を実行しますか。

 

「水波ちゃん、お疲れ様。止めてくれていつもありがとう」

 

ニッコリ笑顔でカットインさせていただきました。

ぴたりと止まってくれる水波ちゃん、いい子。

 

「感謝を込めて淹れてきたの。はい、どうぞ」

「えっ、あ、ありがとうございます…」

 

頬を染めながら差し出されたコップを手に取って大事そうに飲む水波ちゃんの可愛さよ。

思わず頭を撫でちゃうよね。

一生懸命で可愛い大事な家族。ハグもして感謝を伝えたいけれど、ドリンクこぼしちゃうから撫でるだけで許してね。

その様子をじっと見つめるお兄様。

物欲しそうな視線を感じるけれど、これは水波ちゃんにだけ用意したものですので。

視線も向けずにっこり微笑みながら。

 

「お兄様にはございませんよ。これは頑張った水波ちゃんへのご褒美です」

 

そう、これは飴と鞭の飴なのです。

…喉痛めて可哀想→のど飴あげたい→飴をあげる?→飴と鞭でお兄様に教育的指導をすればいいじゃない!の発想で急遽立てた作戦だった。

と言っても本来飴と鞭は両方一人に与えられるものなのだけどね、お兄様に直接鞭を与えるなんて考えつかなかったので。

あと、お兄様の喉を労わる必要は今はない。だって聞こえたのはせいぜい「すまない」「悪かった」の4文字だもの。喉を傷めるわけがない。

 

「今日はもう休んで大丈夫よ。お兄様には私からもしっかり忠告するから」

 

今日という今日は私だって怒っている、という風に気合を見せれば水波ちゃんは大丈夫かな、と不安そうに瞳を揺らしたものの私の意見を尊重してか、「では本日はこれで下がらせてもらいます」とリビングを後にした。

二人きりになって、よりお兄様の視線がおしゃべりになるけれど口はまだ開かない。

じぃ、と向けられる視線に、ゆっくりと振り返る。

無表情のようだけれど、ご不満との意思表示がうっすら見える。下唇がわずかに主張していますよ。

それがあまりに可愛らしすぎてきゅんっときてしまったが、表情には出さない。

 

「お兄様、このところ少しおいたがすぎますよ。私ももちろんのことですが、水波ちゃんを揶揄う頻度が多すぎます」

「別に揶揄っているわけではないぞ」

「そうですか?私としてはお兄様がちょっかいを掛けて怒らせてあげることで円滑なコミュニケーションを築こうとしているのでは、と考えていたのですが」

「それは買いかぶりすぎだ。俺はただ――お前に触れたいだけだ」

 

ん゛ん゛っ。良い決め声でそんなことを言わないでいただきたい。

激しく主張する心臓を見てみぬふりをして。

 

「だとしたら二人きりの時になさってくださいませ。水波ちゃんをあまり困らせてはいけません」

「…深雪は水波に甘すぎる」

「あら、お兄様にも十分甘いと思うのですが」

 

おっと、これはちゃんと飴の効果が出ているのかな。鞭は打てないけれど飴をあげることは得意です!

というか、触れることを許している時点でかなりお兄様を甘やかしていると思うのだけど。本当なら兄妹であってもそこまでの触れ合いなんて許してはいけない範囲ですからね?!恥ずかしいのを我慢していることに気付いて!!

 

「――確かに甘いな」

「お、お兄様っ!」

 

僅かに視線を逸らした隙を突かれて腕の中に閉じ込められてしまった。すごい、早業!これが暗殺だったら防ぎようがない手際に背筋が震える。

 

「深雪はどこもかしこも甘い」

「ちょっ!?お止めくださいませお兄様!」

 

抱きしめながら首筋でくんくんしないで?!齧られてないだけマシ?それはそうかもしれないけどこれだって十分だから!精神干渉魔法!?いいえ、心にダイレクトアタックです(大混乱)。

 

「水波の代わりに深雪が叱ってくれるのだろう?」

「そ、うです。お兄様は、んっ、この頃…ひぁ!だめです、まだお説教の途中で」

「うん、聞いているよ」

「まず、このイタズラな手を止めてっ、くださ、ゃんっ」

 

もおぉ!こう言う時ばっかり子供っぽいいたずらっ子の顔を見せる。その表情に弱いことを知っているのだ。

 

「ん、甘さが強くなってきた。食べてもいいか?」

「駄目です!」

「水波ばかり飴を貰ってずるいじゃないか」

 

!!お兄様は作戦に気付かれてたのか。でも、だとしてもこれだけは言わせていただきたい。

 

「飴は飴でものど飴です!」

「…のど、飴…?」

 

ぴたり、とお兄様の手が止まった。

 

「ですから頻度を落してあげて欲しいと申しております!怒鳴るのは大変喉に負担がかかるのですよ」

 

それも普段物静かな女の子が、だ。

あんなに喉を酷使して大きな声を出せばいつか喉を傷めてポリープができてもおかしくない。

そんな思ってもよらない方向からの指摘にしばらく声を失った後、

 

「…検討する」

 

反省なさった模様。

これで一件落着かな、と項垂れた頭を撫でたところでガシッと掴まれた。

ええ、大いに油断しました。

 

「え」

「それはそれとして、今は二人きりだな」

「…ソウデスネ?」

「二人きりなら触れてもいいな?」

 

…獲物を追い詰めた肉食獣のお顔ですね。

いいな?も、もう疑問形でも何でもない。ただの確認だ。

せめてもの抵抗でリビングではだめだと言うのが精いっぱいだった。

 

 





お兄様、妹にちょっかい出し過ぎて水波ちゃんからの指導が飛ぶのを、今日も活きがいいな、と思っていたら水波だけ可愛がられてもやもや。ずるい。俺も、と思っていたら深雪からの二人でならお触りOKの言葉に便乗。予定になかった美味しいご褒美をもらう。
ということでのど飴の日でした。シャウトしすぎると喉を傷めますからね。でものど飴は常備して無さそう。彼女たちが声を荒げる場面が浮かばないし、乾燥で喉を傷める想像もできない。ってことでドリンクで代用。
飴から連想し飴と鞭の飴ちゃんをあげました。ら、こんなことに。…そんな予定書き始めた時には全く無かったのだけど、どうしてこうなった?
着物の日とか七五三とかあったのだけど、着物は以前別の番外編で封印しましたからね、しばらく出てきません。


お粗末様でした。
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