妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編 作:tom200
妹視点にすると話がかなり変わりますね。
書いてたら十個も出てきてびっくりした。あの日だけでそんなに色々やってたんですね。
こっちにするとRなんてほとんど匂ってこない。とっても平和ならぶらぶカップルに見えなくもない。
やってることはお兄様視点と同じなのに。不思議ですね(←
オタクの頭の中にはあらゆる記念日が記憶されている。
それは自分たちの推しを愛でるチャンス。素敵な絵師さま含めた様々な創作の神々によって素晴らしい作品が生み出される日なのだ。
今世、深雪ちゃんとして生を受けてしまった現在、オタク活動はほとんどできていない。唯一はぬいくらいなモノで、そもそもこの世界の一次創作を知る機会が無かった。
深雪ちゃんスペックを鍛えることに精いっぱい突っ走った結果なので仕方のないことなのだけど、それでも充実した生活を送れているのでそこまで欲していない。
(というよりリアル推しがすぐ身近にいるのだから他に目が行く必要も無いんだよね)
前世でも最推しだった「お兄様を幸せに」と奔走した結果、まさかお兄様から妹としてだけでなく愛されて、婚約者という立場だけでなく恋人の座にも収まってしまったというのだから、人生何が起こるかわからない。
そう、あのお兄様と恋人関係…。未だに信じがたい時があるけれど、ちゃんと現実なのだとお兄様から触れられるたびに実感する。
だけど、いつも受け身ばかりというのも恋人らしくない。
(私の『好き』が伝わっていない、足りていない気がして)
だからこそ、この恋人の日にちょっと頑張ってみようかな、とイベントに託けてアクションを起こしてみようと思い立つ。
バレンタインだってそうじゃないか。女の子から告白をするチャンスのイベント。その日に掛ける情熱が控えめな日本女性たちを行動的にさせる。
少しだけ積極的に、それでいてお兄様にもこのドキドキを共有したい。
お兄様は妹にだけは感情を開放していると言っていても時折ひどく鈍かったり、まだ未知なる感情がお兄様の中には眠っている。知識だけでは補えない体験で学ぶことを、できるだけ教えてあげたい。
それはきっと深雪ちゃんにしかできないことだ。
(でも、一体何をしよう?お兄様をドキドキさせつつ、私もお兄様に好き好きアピールができる方法なんて――あ)
そんな方法あるかな、と考えたところで一つの案が閃いた。
前世読みまくった少女漫画やTL漫画の定番、『内緒の恋人』だ。
周囲に知られずにひっそりと愛を深めていく関係は二人の愛を燃え上がらせていた。
例えばロミジュリが最も有名だろうか。愛し合ってはいけない二人が惹かれ合い愛し合う。どうにか合間を縫ったりこっそり連絡を取り合ったりして愛を育むのだ。
周囲に『隠れて』『こっそり』というのがポイントだ。そのハラハラドキドキが良い燃料となり、ほんの少しの触れ合いでも劇的な愛の演出となる。
…これならば、大胆に誘うことのできない私でも出来そうだ。
ちょっと触れたり、人目を避けて密会したり、人前でも二人だけが分かる暗号を使って愛を囁いたり、なんて。
きゃー!と内心勝手に盛り上がった私は自分の妄想の結果が大変な事態を引き起こすことになるなど予想だにしなかった。
①言葉ではなく態度で好きだと示してみましょう。
朝、特製ドリンクを作って用意しているところに、出かける準備を済ませたお兄様が下りてきた。
挨拶をして、優しく唇を重ねられて、いつもならこのドキドキが恥ずかしくててすぐに離れるのだけれど、頬に添えられた手を取って指を絡ませ恋人繋ぎにすると、その手に頬をこすりつける。
この、ごつごつした、温かくて大きな手が大好きだと、愛おしむように。
それを甘えと取られてしまい、珍しいね、と見張る仕草を見せる。
甘えは甘えでもあるが、これは恋人としての甘えなのだと伝えるように恥ずかしいけれど想いを乗せて見つめ、今日が何の日かを告げればお兄様の瞳にも熱が篭り再び顔が近づいてくる、のだけれど――このまま触れ合ってはいつもの流されるままになるのが目に見えている。
今日はそれでは駄目なのだ。
まずは本日の趣旨を伝えなければ、とストップをかけると拗ねた表情を向けられきゅん、と胸が高鳴ったが、ここでお兄様の希望通りに手を下げては何も変わらない。
というより、このまま流されてしまってはお兄様の守られてきたルーティーンが崩れてしまう。それはお兄様第一主義の妹には許しがたい行為だ。お兄様の邪魔をしたいわけだからね。それはだめだ、と気を引き締めて。
このまま今にも部屋に向かいそうになるお兄様を何とか送り出す流れに戻し、この恋人の日にしたいことを述べさせてもらった。
――秘密の恋人ごっこがしたい。なんて、お兄様には理解しがたいことだったのだろう。
瞳に宿っていた熱がさっぱりと消え失せて頭に疑問符が浮いていた。
もう時間だから、と追い立てるようにして鍛錬に向かってもらってから、混乱させてしまったお詫びにキスの一つでもしないといけないよね、と理由付けをして自分からアクションを起こす予定を立てる。
一つ一つの行動に理由を付けないと動けない自分に情けなさを覚えつつも、わくわくする気持ちもあった。
(お兄様はどんな反応を示されるかな)
今日という非日常を面白おかしく彩ってみようじゃないか。
気分はどっきり仕掛け人。
私も朝のルーティーンを済ませて水波ちゃんとも挨拶をかわし、着替えのために部屋へ戻ると机の中からメッセージカード用の紙を取り出した。
お菓子を送る際に添えるために用意していたものであり、これまでお兄様に渡したことはない。
お兄様には直接お皿に盛ってお渡しすることが多いからだ。
そのメッセージカードに何を書こうかと悩む。
②ストレートに想いを綴ってみましょう。
かといって単純に好き、と書くのも面白みがないだろうか、と考えてくるんとペンを回してから愛を籠めて、とだけ記した。
そして大きく残った空白に、机から化粧台に移動して少し赤みの強い口紅を差してからカードにスタンプを押す様に口付けた。
綺麗なキスマークに満足して、乾くのを待つ間に着替える。
(これをどこに仕込もうかな)
前世であれば今日使う科目の教科書に挟んだり筆記用具に紛れさせたり方法はいくらでもあるけれど、現代ではすべて端末上で済んでしまうのでそれはできない。
便利なようで不便な世の中だ、と心の中でため息を漏らしながらさて、どうしようと考え、結局胸ポケットに仕込むしか無さそうだ、とお風呂場に着替えを用意しつつ忍ばせた。
ここでバレたらバレたでドッキリレベルは下がってしまうけれど、せっかく作ったのだから無駄にしたくないと前世から引きずる貧乏性により覚悟を決めた。
そして戻られたお兄様に、お詫びの奇襲をかけることに集中する。
どっきり仕掛け人は大変だ。やることが多い。
…勝手に自分がやっていることだけど、と脳内でセルフ突っ込みを入れながら、玄関へと向かった。
③相手の隙を突いて驚かせてみましょう
朝から戸惑わせてしまったことにお詫びの奇襲ならぬお詫びのキスを送りつつ、もう秘密の恋人ごっこがスタートしているのでこれ以上の触れ合いはストップとけん制する。
これはあくまでも秘密の恋人ごっこであり、堂々とした恋人の触れ合いはしないルール。
お兄様はまだ趣旨を理解していないようだけど付き合ってはくれるらしい。大人しく引き下がってシャワーへ向かう――のだけど、
「一緒にどうだ」
なんて耳打ちしてくるものだから、思わず声を荒げそうになってしまったけれど、ここは秘めた関係。いつものように羞恥を誤魔化すような断り方はできない。
俯いて小さく首を振るだけで精いっぱいで、逃げるようにその場を後にした。
どっきり仕掛け人がどっきり仕掛けられ返されてどうする!?
お兄様の順応力の高さに慄きつつ、次の手を考える。
今度はこんな直接的ではないものにしよう。
④こっそり内緒話をしましょう
やっぱりこっそりお付き合いをする恋人の定番といえば、隠れてコミュニケーションだろう。
水波ちゃんを目の前にして、というのはかなり恥ずかしいけれど、これくらいの顔芸ができなくて四葉家の当主はできない、と表情に力を込めて勉強を教わるふりをして端末に専用ペンでメモを書き留めるふりをして、今思っていることを綴ってみる。
お兄様はわずかに驚いたとばかりに目を見開いたものの、すぐに理解されて、ペンを借りるぞ、とするっと抜き取られると「可愛いことをする」「俺も愛しているよ」とすらすらと書いてみせた。
…これ、思っていたよりすごく恥ずかしいね。顔を維持するので精一杯。困った。これは明日顔が筋肉痛になるかもしれない。
会話を続けているとあっという間に時間は過ぎた。
キャビネットの中では今日の学校の予定を確認し合う。
お兄様はお昼の前に実習があるのね。着替える時間もあるから美月ちゃんたちは遅れてくるかもしれない。
そんなことを考えつつ、水波ちゃんが自分の予定を思い出す様に視線を下に向けた瞬間、二人してこっそりと視線を合わせる。
⑤こっそり視線を絡めて微笑み合ってみましょう
いつも目を合わせて微笑むのとは違い、こっそりと視線を合わせるだけで何かイケナイことをしているような気分になる。
ただ微笑むだけなのに、特別なことをしているような。
二人だけの秘密、共有をすることがこれほどまでドキドキするものなのか。流石少女のバイブルだ。甘酸っぱいドキドキが詰まっている。
紙面だけでもキュンキュンしたけどリアルはもっとキュンキュンするのだと知った。
(お兄様はどうなのかな)
私と同じようにドキドキしてくれているだろうか。
それはわからないけれど、楽しそうな心は伝わってくる。もう戸惑いは見られない。
自分だけが楽しんでいるのでは申し訳ない。イベントとは一緒に楽しむものだから、と思っていたので楽しんでもらえていることに安堵しつつ、もっと楽しませたいとやる気が出てきた。
さて、次は何をしよう。
頭の中で前世のバイブルをひっくり返しながら思いつく限りの秘密の恋人のすることを選出していく。
⑥友人たちの前で隠れて触れ合ってみましょう
難易度はそれなりに高い。
何故なら目端の利くエリカちゃんがいるからだ。彼女の視線をいかにずらし、皆の視線を自分から外すか。それが勝負だった。
だが、この日天は私に味方した。
エリカちゃんの髪形が珍しく乱れているのだ。
そのことを指摘すると当然皆の視線が集中する。それこそエリカちゃんは学校でもいろんな意味で有名な美少女だ。私に集中していた視線はこぞってそちらに向いた。
ちょん、と触れる手がお兄様のモノであることは間違いない。会話に加わりながらも視線を向けずに指を絡めては離したりとの秘密の触れ合いは心をときめかせた。
その上、お兄様からもぎゅっと掴まれては離されて、と触れ合いが徐々に大胆になっていくことにドキドキ高鳴っていった。
…普通に触れ合うだけでもドキドキするのに、こっそりするだけで、トータルでほとんど触れあっていなくともこれほどまで高揚するのか。
(恐るべし少女漫画マジック)
⑦授業中手紙を回してみましょう
授業といえばこっそりお手紙、だけれど当然クラスも違うのでそれはできないし、そもそも手紙を渡すなどしたらこっそりどころではない。
紙など滅多に使わない教室でそれがあれば目立つだろう。それこそ、掌で隠せるほどの大きさでなければ。
ということで、朝バレなかったメッセージカードのお披露目だ。
生徒会の仕事のふりをしてメールを送信。
縦読みはもしかしたら美月ちゃんにのぞき込まれたりしたら大変だ、と工夫をして斜めに。…結構大変だった。お兄様、気付いてくれるかな。
適当に詳しくは胸ポケットにメモを入れておいたから、と伝えたので今頃手に取っている頃だろうか。
…キスマーク、だなんて随分大胆なことをしたものだ。でも直接よりも幾分いい。
というより直接はまだできそうにない。自分の目にも入らないこれくらいの距離ならできなくはない、と発見できただけでも収穫だ。そう思おう。
⑧こっそり抜け出してみましょう
お昼だ。食堂でいつものメンバーで集まっての昼食。今日の授業でこんなことがあった、とかそろそろこういうことがある、とか雑談をしながらご飯を食べる。
机の下でこっそりちょっかいを掛けることも考えたのだけれど、机の下に手を置くタイミングが無い。明らかに何かしているとバレてしまう。
なかなかこっそりするのも大変だ。
大したアクションも起こせなかったので、次の計画に移す。――密会だ。
少女漫画の定番では授業を抜け出し、とか放課後二人きりで、とかあるがお兄様に授業を抜け出させることはできないし、そもそも私は生徒の模範となるべき生徒会長。仕事でも頼まれない限り勝手に授業を抜け出すのは立場上したくない。
放課後は生徒会の仕事があるから無理だとなれば、お昼休みくらいだろう。
いつもより早く食べ終えた私は生徒会の仕事を思い出したから、とその場を後にする。
お兄様が付いていこうか、と視線を向けてくれたけれど、ここで二人抜ければほのかちゃんが付いてくることは目に見えてわかった。
彼女はお兄様を諦めるつもりであることを私たちに宣言した。だが、それには時間がかかる、と。
私はそのことをよく知っていた。原作の彼女も吹っ切るのにかなり時間を要していたから。だから無理に断るよりも時間の解決に任せることにした。お兄様は何か言いたげだったけれど、私も複雑じゃないわけではないが、これが一番揉めずに解決する方法だと黙認することにしたのだ。
今はまだ、吹っ切るどころか心の整理に戸惑っているようで、時折お兄様の腕に己の腕を絡めたそうに見つめているのを見かける。
…本当に、エレメンツとは大変だ。想いと本能が重なってしまった時の衝動は如何ばかりか。
あれだけ真面目で純情な少女が大胆な行動に出るくらいなのだから、相当なモノなのだろう。
生徒会室につくと、中にはピクシーが一人。
「こんにちは、ピクシー」
「こんにちは、深雪様」
すい、と頭を下げてにっこりするピクシーは大分人間らしい動きを身に着けた。どうも水波ちゃんからメイドの心得を指導されてからというもの、いろいろと自分で勉強しているらしかった。
ご主人様の為に自主的に学習し始めるロボット美少女、ヤバすぎない⁇
健気でかわいいなんて最強では?愛でるしかない。
「今日も可愛いわね」
思わず撫でてから、目的を思い出してピクシーにお願いを。
「お昼の時間、ここを自由に使いたいの。その間、ピクシーには耳と目を閉じてもらいたいのだけれど」
お兄様とのいちゃつきをいくら可愛いロボットメイド(ガワ)であろうとも、ピクシーに見られてしまうのは恥ずかしい。だからお願いをするとOKをもらった。もともとこの時間は人が来ないためサスペンドモードでいることがほとんどなのだとか。
了承をもらえたことに安堵しつつ、お兄様に呼び出しメールを。
待つ間、生徒会長の机を整理する。と言ってもちょっと中央を開けるくらいなのだけど。
……いえ、別に何か期待しているわけじゃないのよ。
ほら、二人きりでね、密会って言うとTL漫画でよくある展開――会議室でチョメチョメがあるじゃないですか。
べ、別にね!?そんなことあるかなんて思わないけど何事も想定してこその秘密の恋人だからね!
心の中で必死に言い訳しながら端末を端に寄せたり、汚してはまずいものは机の中にしまったりして不測の事態に備える。
期待していない、と言っている時点で考えていると言っているようなものなのだとわかっている。
だって、誤魔化しがきかないくらいには心臓がバクバクと激しく動いているから。
困ったね。二人きりの密室なんて初めてじゃない。それでも緊張が高まるのは――
「ピクシー、厳重にロックをかけて声を掛けるまでサスペンドモードに」
そう指示するお兄様からは、いつもの余裕は見られない。音もたてずに大股で歩きながらネクタイを緩める姿に、もう期待していないなどと嘘は吐けなかった。
惹き寄せられるように距離を詰め、もう待てないとばかりに互いに唇を重ね合った。
考えてみたらドキドキするだけしておいて、熱だけ燻ぶらせて、焦らしに焦らした状態だ。
密室に二人きりとなればこうなるのがむしろ自然だった。
上着を脱いだお兄様はそれを生徒会長席の机の開けたスペースに広げ掬い上げるように持ち上げた私をそこへ下ろして横たえた。
覆いかぶさるお兄様の顔に一切の余裕はなく、押し付けられた硬くて熱いモノに否応なく震えあがる。
恐怖ではなく、歓喜の震えだと伝えたくて首に腕を絡ませて口付けをねだる。
二人の間に会話は無く、ただただ貪るように互いの熱を求めた。
…定番は、需要があるから定番なのだ。
恥ずかしくも短時間で燃え上がり、乱れてしまったことに反省しつつ、乱れた服を整えていく。
お昼休み終了のチャイムだ。後五分で授業の準備をしなければならない。急いで教室に戻る間、無言で一定の距離を保って歩く。
先ほどまでのギラつきが嘘のように凪いだ目をしているけれど、その奥にまだ激情を隠していることを私は気付いていた。そして、私自身も。
もしこのまま引き返そうと言われたら誘いに乗ってしまいそうなくらいグラグラと理性が揺らいでいた。
秘密の恋人とは、これほどまでに刺激的なのか。なんて恐ろしい…。
⑨あえて何も動かないようにしましょう
午後の授業では何もアクションを起こさないようにした。
ずっと仕掛けっぱなしでは驚きも薄まってしまう。緩急をつけた方が良い。…というより、私の心臓を休ませてあげないと、そろそろ過労死してしまう。
ずっとドキドキしっぱなしでしたからね。
さっきなんてもう壊れるかと思ったほど狂ったように跳ねまわっていた。…明るいところでお兄様の純度の高い想いをぶつけられて正気でいられるわけが無かった。
落ち着く時間が必要だった。
これは放置じゃない。緩急だ。いつ来るか、という期待心もドキドキするよね!
⑩二人しかわからない合図でコミュニケーションをとりましょう
何度もお世話になっているモールス信号で、普段言葉にできない愛の言葉を伝えてご機嫌で鼻歌を。これは手でリズムを取っているだけですよー、という振りなので、恥ずかしいけれど我慢、我慢。
水波ちゃんが騙されてくれて助かってます。
でもご機嫌な理由は内緒です。言えるわけがない。…お兄様とこっそりイチャイチャして恥ずかしいけど嬉しいだなんて。きっと水波ちゃんに呆れられてしまう。
帰るまでが秘密の恋人ごっこです。
終了が近いことをお兄様に伝えると、お兄様は穏やかに微笑まれた。
お兄様もこの非日常を楽しんでくれたかな。
残念だが、帰ったらお兄様にはお仕事というか、研究が待っている。お邪魔はできない。
お兄様は一日くらい開けても、と言ってくれるけれど、最優先はお兄様の予定だ。
邪魔はしたくないのだ、と伝えれば、お兄様はしぶしぶ引き下がった。
けれど、それが本当に残念そうで、せめて就寝前の一時間ならどうだろうと提案したらもう一声、と競りのように声を掛けられた。それなら30分、と刻めばお兄様も納得して引き下がる。
お兄様の貴重な90分もの時間を私がもらってもいいのだろうかと思うけど、お兄様がとても嬉しそうに喜ばれるからきっとこれでいいのだろう。
まさかこの時さんざん煽られたと責められ、強引に押し進めたお昼のリベンジにゆっくりじっくり責めたてられて追い詰められ、啼かされることになるなんて、浮かれていた私は気づかなかった。
妹はただ純粋に恋人の日を楽しみたかっただけ。
秘密の恋人ごっこヤバいね、ドキドキするね!とワクワクハラハラドキドキと楽しんでいた。ら、まさかの煽られ続けてお預けを食らった状態でもあったと、ドッキリ返しに遭う。
妹からの怒涛の攻めは楽しくもあったけれどその先に進めないもどかしさがお兄様を煽る形に。
甘い恋人の時間を過ごした。
以上、妹サイドでした。