妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編 作:tom200
芸能パロではないのですがこの次にUPする話の前に書いたのがこちらなので、間に差し込むことにしました。
以下、当時のキャプションになります。
今日は仕事納めの日、ということでしたので小ネタを。一年生の冬の謎時空です。
今年はもしかしたらこれでおしまいかもしれないのでこちらでご挨拶を。
今年もお読みいただきありがとうございました。
コメント、評価、ブックマーク等反応をいただけて嬉しかったです。
来年は映画も楽しみですね。
インフルエンザが流行っているようで、皆様もお気を付け下さいませ。
皆様にとって来年がいい年になりますように!
仕事納めの日。
学生に冬休みがあるように社会人にだって休みはある。
業種にもよるが、大抵会社勤めの人間は今日がその日らしい。
朝のニュースを聞きながらお味噌汁を飲んでいたらそんな話が耳に入ってきたのだが。
「お兄様は冬休みからがお仕事ですね」
すでに学校は冬休みに入ったが、お兄様はその日から夏休みほどではないが軍とFLT、そして四葉へ新年の挨拶に向かうガーディアンの仕事がある。
最後の仕事に関しては24時間365日あるのだけど、この数日は終始使用人としていなければならないのでずっと気を張っていなければならない。
「すまないな、傍にいられなくて」
「それはいいのです。ですがお兄様のお体が心配です」
社会人になるまでお兄様には仕事納めなんて縁の無いものなのだろう。
あったとしても家に仕事を持ち帰っていそうだけどね。勝手なイメージだけど。
(そして恋人や奥様に呆れられてしまいそう…)
あれだ、仕事と私、どっちが大事なの?!と迫られちゃうヤツ。
ワーカーホリックというか、常に何か考えてしまうから家庭のことが蔑ろになりそうな――
「心配してくれるのは嬉しいが、寂しいと思うのは俺だけかい?」
「え…」
王道のカップルの喧嘩を妄想していたらなにやら前方から危険なオーラが。
…朝から色気を垂れ流すのはよろしくないと思います…。
寂しさを滲ませながら切なそうな表情は胸にきます。苦しい。クリティカルヒットです。
「そ、んなことは」
「深雪は聞き分けが良いからいつも不安になってしまうよ」
もっと我侭になってくれていいんだよ、と言うけれどお兄様の邪魔はしたくない。
でも、その遠慮がお兄様を不安にさせてしまうなんて本末転倒だ。
(すれ違って心に距離を空けてしまう…これも王道展開)
カップルじゃなくてもね、友人同士でも家族でもこういう展開はこじれると大変なことになる。
「こんなに忙しくても、私との時間をこうして取っていただけるだけで嬉しいのです」
今夜も夜遅くに帰宅予定と聞いている。
先に寝ているように、とも。
それだけ忙しいのにこうして共に朝食を取る時間を取って構ってもらえるだけ十分優遇してもらっていることはわかるから。
そう微笑みかけるのだけど、お兄様はそれもご不満のよう。
「…俺だけが深雪不足になりそうだ」
あら、まあ。
お兄様が拗ねられてしまった。…どうしよう、とても可愛い。ぎゅう、と胸を締め付けられる。
表面は余裕そうに微笑んでいるけれど心の中では大騒ぎ。とりあえず救急車は呼んだけど、事故渋滞で駆けつけられないって。出血多量なのだけど助かるかしら?心の中では血液不足です。
どこから血が出ているかって?乙女に聞かないでいただきたい。
「深雪?」
「……もう、お兄様ったら。朝からあまり刺激の強いお話をなさらないでくださいませ」
とりあえずお兄様の言動で困っていると伝えれば、少しだけ気分は浮上したらしい。
「刺激だなんて。俺はただ本心を述べただけだぞ?」
「なら、お兄様はきっとスパイスでできているのですね」
女の子も砂糖とスパイスと素敵な何かでできている、と言うけれどお兄様はスパイス多めでできていると思う。大変刺激物。甘いお言葉や行動でコーティングされていても口に含んだらとっても辛い、みたいな。全身に火のつく辛さがある。危険です。
「そういう深雪は齧ったらどこもかしこも甘そうだな」
「妹を齧ろうとなさらないでくださいませ」
…何故齧る発想に?ご飯足りてませんでした?今日も綺麗に完食されてますね。
舐めるもアウトだけど齧るもかなり危険なワード…というか身の危険を感じるよね。無いとわかっていても。
「だめか?」
「だめです。…そういうのは恋人に言うセリフなのではないですか?」
「食べちゃいたいくらい可愛い、という言葉は何も恋人にだけ向けられるわけではなかったと思うが」
あ~、確かに。オタク、よく言う。
オタクに限らず孫を溺愛するおじいちゃんおばあちゃんもよく言う言葉ですよね。今世になって聞いた覚えはないですが。
しかし、お兄様がそんな言葉を知っていたとは思わなかった。
「深雪を褒める言葉を探していたら見つけた」
……さようですか。
もう一口しか残っていなかったお椀で顔を隠す。
一体どんな書物を読んだんでしょうね?
「ごちそうさま」
「お粗末様でした」
食べ終わるのを待ってくれていたお兄様からのごちそうさまに応えて一緒にシンクへ食器を運ぶ。
忙しいのだから任せてほしいのに、少しでも一緒にいたい、と言われては引き下がるしかなかった。
「…私も寂しくないわけではないのです」
隣から視線を感じたけれど、視線は下に向けたまま続きを口にする。
「この家に一人は広すぎます」
キッチンに下りても、リビングの前を通ってもお兄様が過る。
ひょっこり顔を出してくれるのではないか、座っているのではないか。
そんなことないとわかっていても探してしまう。
だからできるだけ気にしないように部屋に籠って集中しようとするのだ。気を紛らわせるために。
「でも、ここにいればお兄様は必ず帰ってきて下さるでしょう?だから、待っていられるのです」
ここはお兄様の帰る場所だから。
そこを整えてあげられることが、私にできること。
「深雪…」
「少しは足りました?」
顔を上げて視線を合わせれば、お兄様は足りないよ、と抱き寄せた。
「あっ…」
「もっと欲しいが、このままだと離せなくなりそうだからな」
力強く抱きしめられたが、すぐに解放される。が、こつん、と額同士が触れ合う。
「明日は少し時間が作れると思うから」
「無理はしてはなりませんよ?」
「お前を心配させることはしないよ」
そして二人目を閉じて離れる。
瞼の裏にしっかりお互いの目を焼き付けながら。
行くことを少し渋りながらも出かけて行ったお兄様の背を見送り、急ぎつつ、それでいて見苦しくない足さばきで自室に戻る。
(あっぶなかった~…お兄様、日に日に色気が増してない?)
ずるずると扉に寄りかかって座り込みながら顔を覆う。
あんな至近距離で見つめ合うなど心臓がいくつあっても足りない。ドコドコと尋常じゃない音を立てる心音が今になって響く。
よく耐えられた、と褒めたたえる。
お兄様のストレスゲージがたまり始めているらしく、ちょっとしたやり取りにもとんでもないオーラがね。襲ってくるのが恐ろしい。
少しずつガス抜きをしてもらいたいのだけど、まず顔を合わせること自体が難しい今、なかなかその機会もない。
(明日は時間が取れるそうだから…何がいいかな)
強制的に横になれる膝枕でも提供しようか。
恥ずかしいけれどお兄様には横になって休んでもらえるし、触れられることで幸せホルモンが分泌されてストレスも軽減されるはずだ、と計画を立てる。
(食べやすい棒状のクッキーかフィナンシェを用意しよう。コーヒーは眠りを妨げてしまうかもしれないからハーブティーにして)
仕事納めなんてないお兄様に、少しでも質の良い休息を取っていただこう。
徐々に火照りも収まり、通常に戻り始めた思考で明日の為にできることをリストアップしておく。
(そういえば、この時代でも仕事納めにあの曲はかかるのかな?)
冬の曲でもあるし、眠るときのBGMに良いかもしれない、と端末を操作する。
次の日、膝枕をしながら曲を流したのだけれど、途中からハミングを所望され止めることになる。