妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編   作:tom200

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芸能パロのお話。
芸能活動したての頃の兄妹です。

タイトルはいつも通り適当です。


伝説のはじまり(芸能パロ)

 

自宅警備員として暮らしているので一日がただあっという間に過ぎる――ということは無く、メディアで活躍をし始めたお兄様を追いかけ始めたことで日々が充実していた。

今日も一通り家事を済ませて雑誌の切り抜きをどうスクラップするかと模索しているところでピロンとメールの着信音が。

相手はほぼ決まっているのですぐに見れば案の定お兄様から。

アドレス帳にはお兄様と将輝君、マネージャーの吉祥寺君しか入っていない。本家は暗記で覚えておりますのでいざと言う時は直で。

外に出ることが無いので落とす心配はないのだけど、ハッキングの可能性を考えると念のため記録しないことを選んだ。

お兄様たちも名前は変えている。…何にしているかは秘密で。

今はお兄様からのメールである。

本日のお兄様の予定は午前中が雑誌の撮影、午後は事務所でレッスンと聞いているので、時間的にレッスン中かと思うのだけど、だとしても途中で連絡するなど珍しいと思いながら開くと、不思議な質問が。

 

(…吉祥寺君が私にお詫びしたいから都合の良い時間を教えてほしい…?自宅警備員ですのでこちらはいつでもいいですけれど)

 

しかしお詫びされる心当たりが全くない。

お兄様からの文面では何も詳しいことはわからないが、とりあえずそちらの都合に合わせますと返す。

すると即返答が。…早い。とっても。

今夜くるって。ご飯も食べていくか聞いたらそれは無いって返ってきたけど…お兄様聞いてくれたのかな?と心配になるほどの食い気味の返信スピード。もしかしたら気を使わせてしまうことを気遣ってのことなのかもしれない。

人の家でご飯食べるのって相手に気を使っちゃうよね。手土産とか。

お詫びもかねてだから余計に食事には参加しづらいか。

お茶菓子くらいは用意しよう、としょっぱいモノと甘いモノ二種類。

お兄様ファイルを作る手を止めてキッチンに向かう…のだけど、

 

(一体何を詫びることがあるというの…?)

 

直接対話すること自体がほとんどなく、せいぜいいつもお世話になってます、やお兄様をよろしくお願いしますね、と伝えることくらい。

一体何があったのだろうか?とは思うものの、考えても答えは出ない。切り替えて作業に没頭した。

 

 

 

チャイムが鳴る。来客がある時はこうして知らせてくれているのだ。

玄関でのお出迎えは禁止なのでリビングのドアの前で待つ。

影が映り、先にお兄様が入ってくる。

 

「おかえりなさいませ、お兄様」

「ただいま深雪」

 

お疲れ様です、と鞄とコートを預かる後ろで身を縮ませて頭を下げる吉祥寺君の姿が。とっても申し訳なさそうなオーラがね、伝わってくる。

 

「吉祥寺さんもいらっしゃいませ。お仕事お疲れ様です」

 

とりあえずニッコリ笑顔を向けるのだけど…うん、眉がさらに下がりましたね。

一体何があったというの…?

 

「申し訳ありませんでしたっ!!」

 

本当に!何があったの!?

 

 

 

 

と、話を聞いてみたのだけれど…うん、吉祥寺君は何も悪くなかった。

彼はマネージャーとしてお兄様のフォローをしただけである。

切り抜きする前の雑誌をしまっているラックに視線を向ければ無表情にキメているお兄様が。

 

「…笑顔を引き出すために、君を使ってしまったんだ」

 

顛末はこうだ。

お兄様が写真撮影をしていたのだけれど、カメラマンの思う画が撮れない、とかなり時間を押して撮影をしたらしい。

このカメラマンは実力ある方らしくその世界では一目を置かれ、とてもこだわりのあることでも有名なカメラマン。

彼の機嫌が悪くなればいくら撮影が決まった相手でも降ろしてしまうことができるくらいにはかなり権限のある方だった。

そして素材としてお兄様にはかなり期待していたらしく、何パターンか試してみたのだが、上手くいかない。

アイドルを売りにしているのだから笑顔はできるだろう、ということでスマイルを貰っても作り物過ぎる、ともっと自然に求めても、営業用ばかり。

やる気がないのかと思えばそうではなく、この雑誌で今までこのカメラマンの撮影した写真の数々のポーズがどういったものがあるお兄様は持ち前の記憶力で再現してみせたそう。

だからこそカメラマンも熱意を受け取り、撮影を続けたのだが…表情が硬い。

数々の笑顔を引き出してきたカメラマンも次第に自信を失いつつ有り、場の空気が滞り始めた頃、このままではまずいと動いたのが吉祥寺マネージャーだった。

 

――アドバイスとして、カメラの向こうに妹がいたらどんな顔をするのか、と。

 

その変化は劇的だった。

先ほどまで他人行儀の薄かった笑みに、温かみが宿る。

部屋の季節が変わったかのように、柔らかく、甘い香りさえ漂いそうな、愛おしさの溢れる笑みに誰もが呼吸を忘れ、大勢のスタッフがいる中、シャッターの切る音だけが響いた。

 

「――いい、…すごくいいじゃないか!」

 

そこからは嘘のように早かった。

 

「じゃあ次!妹さんが遠くにいるのを見つけた時」

「妹さんを後ろから見守る時」

「いいね!そしたら次は妹さんが笑顔で駆け寄ってきた時――すごい!君は最高だ!!…きっと妹さんも褒めてくれるよ」

 

カメラマンが褒めると表情がすん、と戻ってしまうのだが、コツを掴んだカメラマンはすぐに笑顔にさせる魔法の言葉を使う。

 

「妹さんが」

「妹さんの」

「妹さんから」

 

これだけでお兄様はそれぞれ違う笑みが浮かべられたそうな。

 

(…あー、うん。そっかぁ)

 

だから吉祥寺がこんなに申し訳なさそうなのか、と納得した。

ちなみにカメラマンには気に入られ、雑誌にコーナーを設けよう、とまで話がいったらしい。まだただの口約束だろうが、彼にはそれだけ権限があるようで、恐らく正式契約を結ぶことになるだろう。

 

「吉祥寺さんはお仕事を全うされたのです。むしろこちらが感謝を述べるところです」

 

お兄様はまだまだ駆け出し。アイドルのアの字も知らず業界に飛び込んだのだ。

決めたからには仕事に一切妥協をしないお兄様だから努力をされていることは知っている。

だが、お兄様の中に他人に愛されたい、注目されたいという欲は無く、皆を愛する、というマインドも、まあ無い。

そうだよね。お兄様この仕事がしたくて選択したのではなく、私が芸能活動をする代わりに将輝君が立候補し、それに引きずられる形でその道に入ったという経緯がある。

…私には一体何がどうなってそうなった⁇と未だに不思議なのだけど、それが理由で私が自宅警備員(とは自認しているだけなんだけど)となった。

ヒキニート生活のはじまりである。インドア好きなので好き勝手出来るおかげでストレスフリー。いつも楽しい。充実しているので不満はない。

無いけど今でもこのままでいいのかなぁ、とは思う。

前世で徳を積みまくりました⁇お仕事しないで好きな人と暮らしていられるって、この後隕石とか理不尽が降りかかってくるんじゃないかな。そうしないと釣り合いが取れない。

話が反れたね。

吉祥寺君のお話でした。

 

「お兄様は写真を撮られることが苦手でしたが、吉祥寺さんのおかげで撮影がスムーズになったのです。感謝こそすれ非難することなどございません。ありがとうございます」

 

彼は彼の仕事を全うし、お兄様の仕事に穴を開けることなく、さらに次の仕事へと繋ぎを作った。

謝罪など一切必要ない。むしろ称賛される仕事ぶりだ。

 

「お兄様も、いいお仕事ができましたか?」

「俺にはよくわからないが、クライアントにはいい画が撮れたようだ」

「それはよろしゅうございました」

 

お兄様も満更ではないご様子。

だったらいいじゃないか。

私の存在がお兄様の役に立てたということでもあるのだから。

あ、だけど。

吉祥寺君の耳元に背伸びしてこそこそと。

 

「…カメラマンの方は私に興味を持ったりは」

「しないようにすぐに釘は刺した。彼の表情を険しくしたくなければ妹の詮索不要って」

 

流石吉祥寺君。お兄様のことをよくわかっている。

 

「深雪?」

 

おっと、お兄様の声が低いですね。

外でのお兄様のフォローが吉祥寺君なら、家でのフォローは私の役目。

 

「ふふ。お兄様がどれだけ頑張ったのか教えていただきました。今日はとっておきのデザートをお出ししますね」

「それは深雪が食べたいだけなんじゃないか?」

「それをお兄様といただきたいのです」

「ふっ、楽しみだ」

 

頭を撫でる手と、向けられる笑みは優しくて甘い。

頬が赤く染まる前にさっと翻して、お茶を用意しに。

頑張ってくれた吉祥寺君に労いの一杯を飲んで行って頂かねば。

 

 

 

その後、まだ新人アイドルのお兄様が異例の見開きページでコーナーを持ち、これがのちにとんでもないプレミア価格が付くようになることを私たちはまだ知らない。

 

 




以下、別サイトにてUPした際の後書きです。なんとなくこの勢いを消すのがもったいなく…
本文とは関係のない日常の乱文です。ちょっとした日記として残そうかと。
年末にUPした作品です。




…仕事納めしたはずなんですけどね、昨日のライブが良すぎて…。
ネタがポコポコと。
シルクハット風のお帽子のつばについっ、と指滑らせるとか超カッコいい!好き!!そして相方に向ける笑顔が客に向けるものより輝いて見えるのはファンの欲目じゃないと思う。いえ、ファンたちに向けられた笑みも素敵でしたけどね!

一条くんのもとに深雪ちゃんがいて、お兄様が深雪ちゃんを攫うお話。…書けるかな?
二曲目聞いた瞬間シーンが浮かんだんだけど、場面が難しい。どうやって一条君の傍に?見つけたら速攻で攫って行きそう。
もう一つ同じ曲で浮かんだネタが、お兄様の孤立が避けられず、ディオーネー計画に便乗してお兄様が妹を連れて宇宙へ逃避行。その後こっそり妹に気付かれないよう、地球を破滅させる。真夜様からの許可は得ている。妹を悲しませた世界をそのままにするわけがない。二人きりの世界。
これはメリバエンドになる、のか?

ライブはこれだから行くのをやめられない。生きる糧。一年の締め括りを最高で彩れました。おかげで全身筋肉痛ですが幸せです。
今度こそ、締め!

お読みいただきありがとうございました。

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