妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編   作:tom200

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8/2ネタ。
高校一年の夏のお話。この頃は九校戦のはずですが、ふんわり時空ということで。

二年前の作品がいくつか上がっていなかったようなのでしばらく投稿が続きます。


とろっと甘い

 

 

本日の夕食はハニーマスタードがピリリと効いたポークソテーをメインにした洋食を並べた。

デザートにはチーズケーキにレモンハニーソースを添える。

イメージはちょっとお高めのファミリーレストラン風だ。

 

「今日は何の記念日かな?」

「はい、今日は8月2日ですのでハニーの語呂合わせではちみつの日です」

 

お兄様もイベントに慣れてきましたね。

すぐに気づかれるとは。

 

「美味しそうだ」

 

でも何でだろう、ちょっとホッとした感じに見えるのは。気のせいかな。

 

「もしや私がなんにでもはちみつを掛けるのでは、などと心配されましたか?」

「いや、そんな心配はしていないよ。それに、もしそうなったとしてもきっと深雪の料理は美味しいものに決まっている」

「あら、それはどうでしょう」

 

それなりにいたずらをしてきたけれど、食べ物に関してはしてこなかったからか、お兄様は食に関しては油断されている模様。

でも、お兄様に変なものを食べさせるのは抵抗があったので。

食べ物と睡眠の邪魔は良くないから。成長の妨げになります。

 

「たとえ白米にはちみつを掛けられても、深雪の手ずからなら喜んでいただくよ」

「それは…」

 

多分まずくはないだろうけど、そのままだとあまり食べたいとは思わない組み合わせ。

いくら私が用意したとしても拒否って欲しい。

もちろん今日用意したご飯にそんなものはかかっていない。オニオンスープにだって潜ませてない。

安心して召し上がってください。

 

 

 

「しかし、ハニーの日、か」

 

コーヒーを淹れてお兄様の待つソファに向かうと、お兄様が端末を操作していた。

 

「何か面白いものがありましたか?」

「ハニーには、はちみつの意味もあるが、恋人や愛しい人を呼ぶのもハニーに含まれるそうだぞ」

「確かに、そう言う海外の文化がありましたね」

 

ジャパンではネタでしか流行りませんが。

ええ、ネタでダーリンハニーと呼び合うカップルはいますけどリアルでは見たことが――

 

「こちらにおいで、マイハニー」

「……お兄様、それは妹へ向ける言葉ではないのでは?」

 

とりあえず震えそうになるのを堪えて机にコーヒーを並べてこちら、と呼ばれたところから少し離れて座る。

ポンポン、と叩かれるけど今そちらに行くのは危険と判断しました。

ふるふる、と首を振る。

 

「つれないね、俺のハニーは」

「ですから、お戯れはよしてくださいませ」

 

そういうのは未来の恋人に取っておくべきですよお兄様!

そう注意したいのに、お兄様はにやり、と口角を上げられた。

やだ、カッコいい。ちょい悪なお顔のお兄様素敵すぎる。

でもお色気の空気はしまってくださいませ。中てられてしまいます。

 

「マイハニーは恋人や友人よりも特別な存在に向けられるものだから間違っていないんじゃないか」

「そうなのですか?」

 

てっきり恋人に向けられている言葉なのだと思ってた。

 

「互いに深い愛情と信頼を持ち合い、お互いを支えあいながら、一緒に成長し、幸せを分かち合う関係を築く存在だそうだ」

「それなら、確かに私たちにも有効のように思いますね」

 

というより今の暮らしぶりからしてぴったりではないだろうか。

二人兄妹支え合い、共に幸せを分かち合う。深い愛情と信頼は言わずもがなだ。

 

「もちろん恋人同士でも使うみたいだが、まるで俺たちの在り方をそのまま表現したみたいだろう?」

「ええ」

 

もう一度ポンポン、と隣を叩かれる。

…仕方ないですね。

ちょっとずつ近づくと、お兄様の腕が腰を引き寄せくっつくほどの距離に縮まった。

 

「お兄様!」

「マイハニーとの関係性を深めるにはオープンで率直なコミュニケーションが大事なんだそうだよ」

「こ、これのどこがオープンで率直なのです?!」

「深雪と仲良くしたいという俺の素直な気持ちだな」

 

おおう、そういうオープンです?

 

「ふっ、顔が赤くなったな」

「…お兄様に羞恥心は無いのですか?」

「恥ずかしがって何も言えないまま思いが伝わらなければ意味がないからね」

 

それは、確かにそうかもしれませんが、と口をもごもごさせていると、お兄様は優しい目を向けられて。

 

「お前が教えてくれたんだ」

「え?」

「口で言わなければ伝わらないことがある。――母さんの考えは、きっと聞かなければ俺は一生知ることも無かった」

「!!」

 

その言葉に胸が熱くなる。

 

「お前が俺を好きだと言葉と態度で示してくれたから、夢ではないのだと信じられた」

 

すり、と頬を撫でられて、腰を抱き寄せられたまま抱きしめられる。

 

「黙っていてもこうして伝えられることもあるけれど」

 

トクトクと、早い鼓動が互いの感情を伝えてくる。

喜びと、緊張、そして交じり合う熱が幸せだと訴える様。

 

「あえて言葉にして伝えたい。傍に居てくれて、ありがとう」

「~~~っ、わ、私も同じ気持ちです。傍に居てくださって、ありがとうございます!」

 

こうしてお兄様と暮らすようになっての三年間が走馬灯のように頭の中に流れていく。

この三年、お兄様の成長はすさまじかった。

よそよそしかった兄妹は、今やこうして抱き合ってお互いの大切さを認識するほど仲良し兄妹に――んん?あれ?それは普通の兄妹ではないのでは??

 

「お、お兄様、そろそろ…」

「暑いなら冷房の温度を下げようか」

 

夏だからな、とリモコンを操作しようとするけれど、

 

「離れれば解決するお話です!」

「離れたくないから下げるんだろう?」

「お兄様!」

 

お兄様はくすくす笑いながらようやく放してくれた。

 

「…暑さで溶けるかと思いました」

「きっと深雪を舐めたら甘いんだろうね」

 

……お兄様、溶ける、からはちみつを連想しました?それともマイハニーから?

どちらにしても人間は舐めても甘くありません。しかも緊張して汗も掻いたので多分しょっぱい。

でも確認されるようなことになったら大変なのでお口チャック。

 

「悪かった。だからそんなに離れて座らなくても」

「向かい合って座っているのですからそんなに離れておりませんし、顔もよく見られるでしょう?」

 

お話するには十分です。とそ知らぬ顔でコーヒーを飲む。

今夜は飲み終わるまでこの距離が縮まることは無かった。

 

 

 

 






お兄様ちょっと調子に乗りましたね。
トレンドにバニーの日とあってびっくり。確認したら丁度10年前の8/21がバニィの日で別ジャンルでそんなネタを書いていたのに、8/2もバニーの日だったのですね…。というか10年…ナンデモアリマセン。
ちなみに本作でお兄様がホッとしたのは8/2はパンツの日だと知ってしまったから。
これが婚約者後になるとプレゼントするくらいの強心臓を得る。お兄様無敵かな。
マイハニーって恋人だけの言葉じゃないってことが今回一番の驚きでした。
とりあえず妹を舐めたら甘いのでは、と考えるのが異常ということにお兄様は気づくべき。せめて思っていても口に出してはいけませんよ。(←

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