妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編 作:tom200
修学旅行のようなノリでわちゃわちゃしてもらいました。
閉会式も祝勝会も終わっても、お祭りモードは終わらない。
時刻は21時を回ったけれど、本日ばかりは無礼講であり、規則も緩めなのかパーティー会場は片付けられたものの、小ホールなどのドリンクサーバーや乾き物の菓子類は自由にしていいとのことだった。
恐らく狭い魔法師の世界。交流を持たせて、――あけすけなく言えば、一種のお見合い会場にしたいのかな。
出会いの限られた世界だからね。青春の場でもあるのだろう。
一年生の時は特に何も思わず先輩たちと祝勝会を楽しんで、気付いたら一年生で固まって、いい時間になったらそのまま部屋に戻っていたけれど、今年はなかなか部屋に戻ろうという雰囲気にならなかった。
恐らく、今年の大会が大人たちの思惑が絡んでいたことを察し、この漠然とした不安を共有したいという空気がなかなか部屋に戻る気にさせないのかもしれない。
でも、そんな無粋な話を誰もすることなくただだらだらとこの空気を楽しんでいる。
大会が終わったことでもう緊張する必要が無いから気も緩んでいるのだろう。
私も雫ちゃんとほのかちゃん、ほかの二年生グループと固まってこの大会の話から今後の夏の予定を話したりしながらジュースをちびちび飲んでいたのだけれど――
「あら?」
「どうしたの深雪」
「いつの間にかこの部屋は女子だけになっていたのね」
「…ほんとだ」
「え!達也さんもいないね」
いつの間に、と騒いでいるとスバル君たちも集まってきた。
「どうした」
「達也さん、だけじゃなくて男子が見当たらないねって」
「あ~、それね!鋼くんも連れてかれちゃった」
「連れてかれた?」
というかエイミィちゃん十三束くんのこと下の名前で呼んでたのね。そういえば千秋ちゃんと対抗して――と、そんな話が原作であったような。
それにしても連れていかれた、とは穏やかじゃない。
一体誰が?と思ったら彼女たちはやれやれ、と肩を竦めて。
「男子たちだけで大事なお話があるんだって」
「呼びに来た先輩らの表情から言うと、男同士のお話合いでもあるんだろうね」
…それってつまり女子禁制の、修学旅行の定番的なアレです?
え、アレにお兄様がご参加を⁇様子がとっても気になるのだけど!
いや、それよりもお兄様も混ぜてもらえてよかった!てっきりハーレム作ってるお前なんか呼んでやらん!とかハブにされるのかと思ったけど、連れてってもらえたんだ。
ほのかちゃんも気になってるのかきょろきょろしているけれど、行っちゃだめだよ。女人禁制なんだから。
「深雪は気にならないの!?」
「気にはなるけれど、こればっかりは。ほのかは女子だけの会話を兄さんに聞かれたらどう思う?」
「ええ!?…それは無理、かも」
男子が聞かれたくないことがあるように女子にだって聞かれたらまずいことはある。
そういうことです、と言えばほのかちゃんはしぶしぶ納得していたけれど、気になるよね。
お兄様、ちゃんと参加できてるのか心配。そっち方面話に加わるのかな。中学の時もそつなく男子グループとそれなりに付き合ってたようだし、問題はないと思うのだけど。
「達也さんがそういうの話すのって想像できない」
「そうね。私もそう思うけど、兄さんだって男の子なんだからそういうお話くらいしていてもおかしくないんじゃないかしら」
「男の子って…なんだか司波君に似合わないな」
「確かに!」
「スバル、エイミィ?どういう意味かしら」
いや、二人の言いたいことはわかるけれどね。お兄様制服着ていても若さ弾けないから。
入学した時点で先輩だと勘違いされるくらいにはフレッシュさが無かったのも事実。十文字先輩とはまた違った大人びた生徒だよね。先輩は貫禄。お兄様は物腰の落ち着き方が。
冷や汗をかいて目を逸らす二人を追い詰めていると、ぽん、と肩を叩かれた。
「なぁにやってんの深雪」
「エリカ!――あら、一色さん?」
「ちょっとそこで見かけてね」
一旦ホテルに戻っていたエリカちゃんと美月ちゃんが合流したと思ったらその背後には一色さんを含めた三高の女子の方々が。
なんだか表情が複雑そう、というか気まずそう?一色さんの親友で、優等生のアニメではほのかちゃんにエッチなちょっかいを掛けてたイメージの四十九院さんも苦笑気味なことから何かはあった模様。
「何かあったのですか?」
「あった、と言いますか」
「いやー、この部屋の二つ隣の部屋の前通ったんだけど、そこが楽しそうに男子会やっててさ。バッカみたいに盛り上がってて、扉が開いたことにも気づかず討論してたのよ」
「「「「討論?」」」」
「胸派か尻派か――白熱してたわよー」
……おおう、それは激論にもなりますね。永遠のテーマだから。
彼女たちも聞き耳を立てたつもりはないのだろう。偶然通りかかって聞いちゃったらしい。
美月ちゃんは必死に止めてたらしいんだけど、そんな面白そうな場面、エリカちゃんが見逃すはずないものね。
だけどそういう話は厳重にドアを閉めるべきなのに何故――と思ったけれど、エリカちゃんがにんまりしてる。もしや。
「エリカ、貴女」
「私は別に聞こうとしたわけじゃないわよ。ただ、会場を間違えて開けたら聞こえて、ね」
うっかりしていたとはいえ、バリバリ聞いちゃってるじゃない。
しかも悪びれてない。
「いやぁ、初めは馬鹿らしい、と思ってさっさと閉じようと思ったんだけど、まさか達也くんと一条君が参戦してくるなんて思わないじゃない」
「え!達也さん話に加わったの!?ど、どっちって言ってた?!」
「ほのか、ちょっと落ち着きなさい。その話は確かに気になるけれど、――そこには一高だけでなく三高の生徒もいたの?」
「みたいね」
「ええ。確かに三高の生徒が混じっていたようだったわ」
愛梨ちゃんがため息交じりで答えた。
どうやらエリカちゃんがのぞき込んでいたのを通りがかりに見かけて、近寄ったところで白熱した議論を聞いてしまったそうだ。
エリカちゃんも一人でなら最後まで聞いていられたけれど(美月ちゃんは途中からハラハラしつつも一緒に聞いちゃっていたらしいから二人だね)、顔を真っ赤にして体を震わせていた彼女を放って聞き耳を立てているわけにもいかなかったらしい。
エリカちゃん、面倒見良いから。
そしてドアから離れたところで愛梨ちゃんのご友人や先輩たちと合流し、落ち着かない彼女を気晴らしにこっちに連れてきたとのこと。
「一色さんはジュースにする?それともアイスティーやホットのハーブティーもあるわ」
彼女の敬語が抜けたことから、私も自然に敬語を抜いて話しかけると愛梨ちゃんはホッと肩の力を抜いてアイスティーを所望したのでグラスに注いで渡した。
「ありがとう」
「いいえ、もとはと言えば、エリカが原因のようだから」
「えー?私のせい?」
「部屋を間違えたならすぐに出ればよかったのよ」
「だって気になるじゃない。達也くんがどんな話するのか」
まあね、とっっっても気になるけども。
「ちなみにどちら派かは聞けたの?」
「深雪も気になるんだ」
「気にならないと言ったらうそになるわ。兄さんがそういう話をしているところなんて見る機会はないもの。でもちょっと安心してるの。そういう男子の話に兄さんも加われてるんだと思うと」
「あ~、確かにね」
「達也さん、そういった話に興味無さそうですもんね」
「それで、達也さんはどっち派なの?!」
…だめだ。ほのかちゃんが暴走してる。
それをにまにま見つめるエリカちゃん。尖った尻尾と羽が見える様。
気が付けば大半の女子が注目していた。
一高の生徒は関心が高い。数人が端末を操作して指を止めていることから演劇部への連絡を入れる予定だね。
…それ台本や小説に影響する?ナイトが胸派か尻派で事件が起きるの?随分俗物なお話になりそうだね。
「達也くんの答えは――残念だけど聞こえたのは一部だけ。『何故その二つの選択肢しかないんだ?』だって。そこに一条君が『なら問おう、お前は何派だというんだ!』って。そこから達也くんが話し始めたところで一色さんに見つかっちゃった」
あら、一番いい所。
でもお兄様明言を避けたってところかな。問題すり替え。
お兄様がお尻も胸もどちらを答えても角が立つ。ただでさえ、お兄様の周りにはどちらも当てはまる個性豊かな女の子たちがいるからね。
「…まったく、本当にくだらないわ」
「男なんてそんなものじゃよ愛理」
その言葉を皮切りに、男子たちへの不満が噴出した。
思春期ボーイたちの視線が気になるお年頃だものね。しかもミラージバットとか衣装がきわどくて気にしない、という方が難しい。
男って、から始まり、自身の彼や婚約者の愚痴を話し始めたりと不満合戦になってきた。
おおっと、これはお別れ前に話すにしてはすっきりするかもしれないけれど楽しくはないお話だ。
なら少し方向転換しましょうかね。どうせなら思春期の女の子らしいガールズトークでも。
「男子がそういう話で盛り上がるならば、女子でも話してみましょうか。男子は胸とお尻の二択みたいだけれど、皆は男性のどこに惹かれる?」
ぴたり、と会話が止まった。
まさか私がそんな話をぶっこむなんて思わなかったんだろうね。
でも良いじゃない。男子がそういうお話をするなら女子だって盛り上がっても。
にっこりと微笑んで、トップバッターを飾ることに。というより、言い出しっぺだからね。
「私は、そうね。背中も好きだけれど、手が一番素敵だと思うわ」
思い浮かべるのは当然お兄様だ。
お兄様のまっすぐで広い背中は頼りがいがあって寄りかかりたくなる、縋りつきたくなる吸引力があるけれど、目を惹かれるのは大きくて男らしい骨ばった手なのに繊細かつ正確無比にキーボード上を滑る指捌きや、固く分厚さもあるのに包み込まれると安心感のある温かな、手。
思い浮かべてうっとりしていると、周囲からほぅ、とため息が。
んん?思っていた反応じゃないのは――
「深雪、表情がヤバい」
雫ちゃんからの注意が。気を緩めすぎたようです。皆深雪ちゃんの美貌に見惚れてしまったらしい。申し訳ない。
「あとは仕草も好きだわ。腕まくりの時なんて思わず目が奪われてしまったり」
頬を抑えつつ頬の筋肉をこっそり揉んで元に戻す。緩みっぱなしは良くない。修正修正。
「仕草も有りなの?範囲広いわね」
「兄さんも言ってたけど二択しか選べないなんて狭すぎるもの」
「まあ、男の胸かお尻かなんて二択は女子にとって面白くないけどさ」
スバル君が言うとちょっと意味合いが変わりそうだけど、ここはちゃんと女の子の意見として捉えるとして。
「そんなことないんじゃないかしら。薄い胸板か厚い胸板か、筋肉質か程よくか、お尻だって薄いか引き締まってるかで好みは分かれると思うけど」
男子の胸にもお尻にも需要はありますよ、と訂正はしておく。
「し、司波さんもそういう話をするのね」
驚愕されたように言われたけれど、周囲も同意見のよう。
確かに本来の深雪ちゃんであれば好みのタイプはお兄様一択だからそういう話は興味ないのだろうけども。
「私だって普通の女の子よ。好みのタイプくらいあるわ」
にっこり微笑んでいえば、皆複雑そうなお顔だけど押し黙った。何か言いたげだね?でもきゅっと結ばれた口からは何も漏れなかった。
「ほらほら、皆はどうなの?エリカ、発端は貴女なんだから次はエリカよ」
「えー?まあ、いいけど。そうねぇ、深雪のさっきの背中と被るけど、背筋には目が向くかも。じゃあ次、花音先輩は?」
「私?私は啓の指かしら。刻印を刻んでいる時とか、CADを調整している時とか見るのは好きね」
わあ、花音先輩は完全に惚気だ。ごちそうさまです。
とまあこんな感じで女子たちも水を向ければ出るわ出るわ。異性の好きなところを話していたのだけど。
「なあ、男も良いが、女子相手でも良いじゃろ。――胸派じゃ」
四十九院さんはそう言ってほのかちゃんと美月ちゃんのお胸をロックオンしていた。すかさず雫ちゃんとエリカちゃんが庇いに入るけど、本人はにやにや笑っていた。
揶揄うのが相当お好きのようだね。
「女子が良いなら、私も――深雪に撫でられるのは好き」
雫ちゃんがとてて、とやってきて頭を少し下げた。
これで撫でない人なんていないでしょう!きゅんとした胸を押さえつつ空いた手で撫でさせてもらう。私の親友が可愛い。
最終的にハグをして暴露大会から楽しい女子会にチェンジした。
「ほのかは司波君のどこが好きなんだ?」
「ええ!?」
上手く逃れたと思っていたほのかちゃんにスバル君が逃さない、と捕まえた。
ちなみにスバル君は女の子はみんな可愛くて好き、と言って女の子を侍らせていました。二年になってたらし能力が上がったらしい。
「昨年の秋、良い手本を見つけたからね」と言っていたけれど、私に対して苦笑していたということはまさかお兄様を参考にされました?
昨年の秋って、あの学校崩壊を起こしかけたお兄様のストレス事件のことだよね。
…アレを参考にするとハーレム作れちゃうんだ。
「え、えっと…ぜ、全部?」
「「「「おお~」」」」
この答えに皆感心の声が上がった。
流石恋する乙女だね。っていうかお兄様の全部が好き、とは。好感度カンストしてるね。
うむうむ。青春してる。
キャッキャしているのをしばし眺めてから少し離れて愛梨ちゃんの所へ。
「うるさかったかしら」
「…いいえ。おかげで気が紛れたわ」
くすり、と笑う彼女からは良い感じに肩の力が抜けているように見えた。
「一色さんみたいに美しい方はあまり良くない視線に晒されることもあるでしょうから、不愉快に思ってもしょうがないと思うわ」
「それは、貴女もでしょう」
彼女の容姿はとても派手で、スタイルも抜群に良い。好奇の視線に晒されることは多かったことだろう。
私ももちろん深雪ちゃんのパーフェクトボディをさらに磨き上げた身だ。欲の絡んだ視線を向けられないわけがない。
だけど、
「私には守ってくれる兄がいてくれるから」
それがすべてだ。
お兄様が守ってくれるから怖くない。
「お兄さんと仲がいいのね」
「ええ!」
とっても仲良しですとも!と微笑むと、愛梨ちゃんはちょっと目を見開いてから。
「貴女はもう少し危機感を持つべきだわ」
「危機感?」
「さっきも注意されていたでしょう」
…ああ、雫ちゃんからありましたね。
まさか愛梨ちゃんにも注意されてしまうとは。
「気を付けるわ」
肩を落とすと、くすっと笑う愛梨ちゃん。あら、可愛い。
しばらく歓談をして仲を深め、別れ際には互いの健闘を称え合い、来年もいい勝負をしようと正に青春の一ページのような挨拶をした。
「青春ねぇ」
「ほんと、真っ只中!て感じ」
笑いながら私たちも各々部屋に戻っていった。
途中、男子生徒に鉢合わせて挨拶をされたりしたけれど、これは深雪ちゃんと記念に一言でも話したいというだけで何かをしようってわけではなさそう。
一高生として恥ずかしくない程度に挨拶をして躱していきながら――
「深雪」
「兄さん」
足早に私の下へ駆けつけてくれたお兄様のおかげでもう男子生徒に話しかけられることはなくなった。ありがとうございます、お兄様。
部屋に入ると、ぎゅむっとハグが。
「お兄様?」
「深雪も疲れただろう。あれだけ踊ったのだから」
「お兄様もお疲れ様でございました」
私は範囲内だけれど、お兄様は激しい戦闘を繰り広げたわけだからかなり疲労されているはずだ。
いくら体は修復されようとも、痛みが無かったことにはならない。制限された中でタイムアタック的に戦闘をしたのだ。
「大したことはない、と言いたいところだが、ピクシーや文弥、それに水波にも助けられたな。ありがとう。水波は深雪が頼んでくれたんだろう」
「私は何もしておりませんが、帰ったら水波ちゃんを労ってあげませんと」
きっと頑張っただろう水波ちゃんにも家に帰ったらゆっくり休んでもらいたい。
もちろん、お兄様にも。
ハグを終えて、今夜はささっとシャワーを浴びて、行火をばっちり用意して。
…最後までお兄様のシャワーの音には慣れなかった。
心頭滅却?できるわけがない。想像力と妄想力が豊かなもので。無理やり何かに集中しないことにはもうね。
ってことでお風呂上りに飲むハーブティーを用意して飲み頃にまで温度を調節して――
「良い香りだ」
「っ!もう、また気配を消されてましたね」
…なんて。実は近づかれたことには気づいたのですがね。石鹸の香りがほのかに漂ってきましたので。
湯上りお兄様、すでに髪も乾いているけれど、火照った感じが色っぽいですね。…妹はお兄様の色気に陥落しそうです。恐ろしい。流石魔性のお兄様。
「よろしければどうぞ」
「いただこう」
トレーを運ぼうとしたら自然とお兄様の手に。よく揺らさずに運べますね。
「ありがとうございます」
「これくらいなんてことないさ」
そう言って運ばれたのはベッドサイド。お兄様側に座るように指示されて隣に座る。
…トレーはここへ誘導するための人質でもありましたか。
「ん、美味い」
「お口に合ってよかったです」
ほう、と二人して息を吐いたタイミングが一緒だったのでくすりと笑い合う。
そして互いに祝勝会の後何をしていたかの話に。
私たちは三高女子を交えて女子会をしていたと言えば、そっちもか、とお兄様には隠す様子もない。
なら聞いてもいいのかな、とエリカちゃんが覗いていたことを伝えると、お兄様は気づいていたらしい。
…確かに。お兄様なら気付いてもおかしくなかった。
「それで、お兄様はどちらを選ばれたのです?」
気になったので訊ねてみるとお兄様はちょっと小首を傾げて。
「気になるか」
「はい」
素直に答えてワクワクしていると――あらぁ。お兄様からお色気がにじみ出てきましたね。大変だ、いつの間にかカップもトレーに戻されて腰を引き寄せられた。
早業過ぎない⁇何が起きたの?
「あの場では答えなかったがな――どちらも選ばないが答えだ。どちらもお前の魅力を代表するものでもないからな」
…?
「深雪の魅力が体の一部分だけのわけがないだろう」
「……あの、お兄様?聞かれたのは究極の二択でしょう?」
胸派か尻派かであって妹のいい所を述べる場ではなかったのでは?
「好みのタイプの話だろう。俺にはお前しか目に入らないのだから答えは一つにとどまるはずがない」
「…好みのタイプで妹の話をするのはどうかと思いますよ」
「――そうか?」
お兄様はにやりと笑うと――
「俺たちは似たもの兄妹らしいな。――俺の手が好きなんだろう?」
「どうし――誰からです!?」
なんてことだ。女子会の秘密をお兄様にリークした人間がいるらしい。
だが、そのことには一切触れることなく。
「好みのタイプで兄の話をしてくれた深雪も大概だ。全く――可愛い妹だよ、お前は」
最後の一言だけ低音を響かせて耳元に囁かれた。
ぞくぞくと背中が震える。
「俺の手でよければいくらでも貸してやる。だから今日は一緒に寝るか」
「~~~お兄様お疲れですね?!」
考えてたら今日はどう考えてもハードスケジュールだった!
疲労でおかしくなってる。
せっかく元に戻ったと思ったのに!
「お兄様、もう寝ましょう」
「そうだな。このまま寝ようか」
「今夜は行火を用意してます」
「行火を抱えたままでも構わないぞ」
「お兄様!」
この攻防はしばらく続き、早く寝られると思っていたけれど残念ながらいつもと変わらない時間に就寝となった。
スティープルチェース編書いている頃、支部の広告に尻か胸か、みたいなのがあって、お兄様どっち派だろう?と考えて書こうと思っていました。
魔法科高校の優等生はアニメしか見ていないのでキャラがイマイチつかめていないのですが、どうしても愛梨ちゃんを出したかった。
一条君は一体なんて返したんだろうね。魔法科高校の男子たちってこういう会話しているんだろうか。していてほしい。
きっと十文字先輩がいる時にはできなかった。別に振られたら話しそうだけどね。意外とノリは良いと信じてる。