妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編   作:tom200

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アニメ三期の二話目ネタです。
アニメ軸ではなく、婚約後のお話になります。


コールの声は高らかに

 

 

「深雪、なんだそれは?」

 

夜、お兄様の部屋にノックをして開けてもらった。

そして抱えるものに視線をやってから、お兄様はすでにどのような用途のために持ってきたか理解しているだろうにわざわざ質問をされていた。

だから私もにっこりと微笑んで。

 

「座布団代わりになるクッションを持ってきました」

 

これでベッドに座る必要性はございませんね、と言えば、お兄様は肩を落とされて部屋へ通してくれた。

まるで、そのことに気付いてしまったか、と言わんばかりの反応に、やっぱりお兄様も気付いていて黙っていたことを知る。

 

「…やっぱり、私が困るとわかっていてベッドに座らせていたのですね?」

「それは違う。俺はただ、深雪を床に座らせたくなかっただけだ」

 

いつもいつも、椅子に座ろうとしてもつい先ほど自分が使っていたものに座らせるのは、とやんわり断られ、ならば自分の部屋から持ってくると言えばそんな手間はかけさせられないと首を振られた。

だから毎回仕方なく、仕方がなくお兄様のベッドに腰掛けることになっていたのだけれど、ハタと気づいた。

カーペットがあれば床に座るのはおかしくないことで、たとえ何も無くとも座布団があれば床に座れるではないかと閃いたのだ。

 

(いつまでもお兄様のベッドの上だなんて、心臓によろしくないもの)

 

そう、夜にお兄様のベッドの上で語らうなど、それだけでいけないことをしているような焦燥感にかられる。

その上、婚約者という関係になってしまったことでより一層この場所が落ち着かない場所になってしまった。

お兄様から恋をしてほしいと猛アタックを受けながらベッドでキスをされることを考えるだけで気が遠くなりそうだ。…遠のいたら最後、介抱されてしまうだろうからそんなこともできないのだけど。

お兄様からは怯えさせたいわけではないからゆっくりじっくり攻めていくから安心してほしい、と猛アタックは控えられているそうなのだけれど、それはもちろんお兄様基準であって、私にはどんな些細なことも心臓に燃料を投下されている状況だ。いつ爆発してもおかしくない。

ゆっくりじっくりでも攻めるのですね、と返せた余裕あるあの頃が懐かしい。

あの日に戻れるならゆっくりでもじっくりでも攻めるのはやめて欲しいと言えたのに。何故了承してしまったのか。

でも!いつまでもやられっぱなしではいけない。

そう思って今日は距離を保ってお話しようと座布団に代わるクッションを用意したのだ。

これで不意に距離を縮められることも、そのまま倒されることも、覆いかぶさられることもない!

 

「…性急すぎたか」

 

お兄様がどうしてこうなったかの分析をされていた。そうですね、このところ身の危険を大いに感じておりましたので。

…恋をするまで待ってくれるお約束でしたでしょう?

 

「お兄様は私の体だけが目的ですか?」

「!そんなわけないだろう」

 

あら、ちょっぴりおこが入ってますね。むすっとした表情が年相応に見えて溜飲が下がった。

わかっていますよ、とくすっと笑うと今度こそお兄様はがっくりと肩膝ついて気を落とされた。

その前にクッションを置いて腰を下ろしてお兄様を見上げる。

うん、反省なさったようですね。

 

「…悪かった。構いすぎたな」

「お話したいのに、何度も途切れて最後まで話せないのは鬱憤がたまります」

「、すまない」

「私のお話がつまらなかったのでしたらそうおっしゃってください」

「違うんだ。深雪の話が聞きたくないわけではなくて…その、つい。隣にいてくれるだけで舞い上がってもっと近づきたくなってしまうんだ。それで近づけばいい香りに引き寄せられて何も考えられなくなって…触れたくなって」

 

……片手で顔を覆うけれど、お耳が赤いのが見えてしまい、胸がキュンキュンと苦しくなる。

大変、可愛らしく思えて許したくなってしまう。

困ったね、お兄様、自覚してからの自制がとても難しそう。

水波ちゃんが戻るまでにって一回は戻ったはずなのに、こうして二人きりになってキスをするごとに徐々に封印が解かれるようにお兄様の甘さがお色気と混ざって襲い掛かってきていた。

身が持たないよ。もういつ食われるかと冷や冷やした。

それでも一応一線は越えなかったのだからお兄様の忍耐は相当すごいと思うのだけど、このままいけばまた、あのマッチポンプのような罠にかけられるのでは、と危機感を覚えたのは事実。

 

「全く触れるな、とは申しません。それは、その…私もお兄様に触れられないのは…もう、考えられませんから」

 

その告白はとても、とっても恥ずかしいのだけれど、ここで誤魔化せばお兄様への不義理になる。

ここまで我慢をしてくれたお兄様に応えたい。そう思って勇気を振り絞ってみたのだけれど、ガバっと余裕なく上げられたお兄様の顔には驚きが浮かんでいた。

ぱちぱちと、お兄様の瞳が開閉されている。

羞恥で潤む瞳と、驚きの滲む瞳が交差した。

一体どれくらい視線が絡み合っていたのだろう。

 

「…その、そんなに見つめられてしまうと…」

「あ、す、すまないっ」

 

二人して顔を背ける。

…なんだろう、いつもより空気が甘酸っぱいような…。

私一人が恥じらうことはよくあるのだけれど、お兄様も照れているような恥ずかしがっているような空気が、この空間を青春色に変えた。

 

(なんていうか、順番があべこべだよね…)

 

婚約者となって、告白されて、混乱している間に体を先に繋げてしまって、それから恋をすることを目標に頑張っているのに、朝晩キスをして、なんて。

あけすけなく言ってしまえばやることやってるのに、こんな初心な反応を見せている。

 

「ふふ」

「深雪…?」

「なんだか、おかしくて」

 

もしかしたら、私は恋愛ビンゴをしているのかもしれない。

一つ一つ順番に段階を踏んでいくのではなく、番号が揃っていく方式。一つ一つ穴をあけて、いきなり恋が成立するような。もう、いくつも穴が開いて、そろそろリーチがかかりそう。

 

「お兄様もお座りください。今日はゆっくりお話ししましょう。きっとくっついていてはお話しできないことを、今ならお話しできるかもしれません」

「そう、だな。今日はいつもと違う話が聞けそうだ」

 

そのまま足を崩して胡坐をかいたお兄様は、まだ落ち着かない様子。

久しぶりに見る珍しい姿に、程よいドキドキと温かい気持ちに包まれるよう。

 

「…今日は格好悪いところばかり見せているな」

「好きな方の姿はどのような姿でも素敵に見えるものですよ」

 

赤みがかったままだろうが、にっこり笑うと、お兄様はくしゃりと髪をかき上げて。

 

「深雪には敵わないな」

 

(…敗北宣言に、その色気はいるのかしら…)

 

距離が開いていてよかった。でなければきっと、いつものように追い詰められていたことだろう。

もう少し、ゆっくりと距離を縮めていきたいから。

 

「では、勝利のご褒美を後でいただけますか?」

「何が欲しいんだ」

「今夜はいい夢が見られそうな…甘いキスを」

「………善処しよう」

 

そうしたらきっと、リーチがかかるから。

 

 

 







でもね、リーチにはダブルリーチとトリプルリーチなどもあってなかなかビンゴしなかったりもするんだけどね。
確かビンゴってリーチの時声を上げないといけないルールだったよね?話は書けてもタイトルで悩みすぎて結局適当になる…。
ちょっと小悪魔妹ちゃんになってしまった。お兄様翻弄されてますね。

ただ単に、アニメ二話で七草姉妹がおしゃべりしてるのを見て「ベッドでおしゃべりしなくていいんだ!」と気付いて書いたお話なのに、なぜかお兄様がお預けを食らったかと思ったらおいしいデザートが待っていた、みたいなお話に。
恋人になる秒読みだそうです。お兄様頑張って。
十文字先輩の大学の恰好が素敵でプライベートな十文字先輩とお茶するお話書きたいと思ったけれどそんなシチュエーションないな?あの人とプライベートで鉢合うなんてないだろうし、と断念。いつかひねり出したい。
しかし、七草姉妹の私服といい、お兄様の私服も種類が増えてとてもいい回でした。もっと見せて欲しい。

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