妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編   作:tom200

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アニメ6話ネタです。
…お兄様お疲れすぎでは…?あれは心配になる。
今回はIF、もしも妹が九校戦に行く前にお兄様の疲労に気付いていたら、です。
あの状態では思考のねじが一本二本は抜け落ちてますよね。恐らく、互いに。


↓以下、小話にならない小ネタ程度なので前書き投稿。

生徒会室作業中、サンドイッチを召し上がったお兄様がまさかのおべんとを付けたままという美味しいシーンに何も書かずにはいられなかったので。
お兄様ちゃんとラノベ主人公のステップ踏んでる!だったらラブコメしないと!と二コマ、四コマネタ。





この日の生徒会室はさながら戦場のよう。
大会一か月前に種目変更の通達を受け、限られた時間の中山のような作業を生徒会役員6名という少数で裁かねばならなかった。
休憩をはさむ暇などなく、お昼も片手間で済まさなければならないほど時間に追い詰められていた。

(中条会長、ついに手を使わずに…可愛い。本当に小動物みたい)

サンドイッチをはむっと咥えてもごもご食べる姿にきゅんとしながらも手は止めない。
余所見をしながらでも正確に打ち込める、深雪ちゃんボディの優秀さにはいつも助けられてます。流石お兄様の妹、これも『さすおに』に含まれます、とか考えている私も疲れているのだろう。でもここを早く乗り越えねば、と私もサンドイッチを口に運ぶ。集中力が切れているなら栄養補給が大事。急いで、だけど優雅に見える様食しながら、必死に口に詰め込んだ。どんな時であろうとも深雪ちゃん像は崩してはならない。
紅茶で口の中をすっきりさせて一息つきながら、周囲を見渡す。皆余裕なくモニターと向かい合いながらも食事をちゃんと取っているようで、ちょっと安心しながらもう一度最後に(真っ先にお兄様をチェックするのは妹として当たり前だからね)見ると、お兄様も周囲の行動につられるようにサンドイッチを口にしていた。

(…よかった。きっとお兄様だけだったら食べていなかっただろうけど、皆が食べてるのに自分だけ食べてないのはおかしい、と判断されて食べた、と言ったところかな。お兄様全力で集中しちゃうと寝食忘れるから)

ここが学校で、皆で作業していることを意識しながら作業をされている、学校生活に溶け込んでチームとして働くお兄様に感動していたのだけれど、食べ終わったお兄様のお口元が!

(お兄様!口の端に、ちょこっとついてます!か、かわいいっ)

しかもそのことに気付かれていないご様子。できる事なら今すぐに拭いに行って差し上げたい!けれどそんなことをする時間などあるはずも無く。
こんな時こそ便利なモールス。ということで机をツートン叩くとお兄様の視線は私とかち合う。
他の人の視線はない。
唇のすぐ横に、とんとんと指を当ててにっこりと微笑むと、お兄様は――

パターン1

目を一度開閉させて己の口端に親指を当てピンポイントでぬぐい取った。鏡も無いのに正確ですね、お兄様。
綺麗に取れましたよ、と頷くと感謝の笑みを浮かべられた。

(ふふ、お兄様に微笑んでもらったわ)

嬉しい、と喜んでいるとお兄様はその指を拭う前にぺろり、と舐められた。――私の方をじっと見つめながら。
その仕草にぼっと顔が熱くなる。
普段見せないお行儀の悪い仕草にときめく私に、お兄様はふっと笑われて作業を再開させた。
どうやら妹をからかったことで一種の気分転換を図られたらしい。…うう、こんなに離れているのに心臓を撃ち抜かれるなんて、お兄様は伝説のヒットマンです?
でもいつまでも死んでる場合ではないですね。私もお兄様からのサービスショットに鬱屈していた気分を払拭され、止まっていた手を再開させるのだった。


パターン2

唇のすぐ横に、とんとんと指を当ててにっこりと微笑むと、お兄様は――
口角を上げられ挑発的に笑みを浮かべられると、示した口の端に舌を這わせてペロッと舐め取った。舐め取った!

(やだ!お兄様ったらワイルド!!というかえっちです。浮かべられている笑みと相まってとってもえっち)

顔を覆いたいくらい顔に熱が集まっているのがわかるのだけど、みんな集中しているとはいえ、顔を覆って頭を振ったりしたらきっと気付かれてしまう。俯いて隠すしかなかった。
視界をシャットアウトすると目には見えない、お兄様の感情に意識が向いてしまって、上機嫌になられたことが伝わってきた。

(…悪いお兄様。妹をからかって楽しまれるなんて)

でも、お兄様の息抜きになったのなら妹としては本望です。
生徒会副会長としていつまでも仕事を休んでばかりもいられない。私もがんばらねば、と再び指を動かすのだった。


パターン3

口のすぐ横に、とんとんと指を当ててにっこりと微笑むと、お兄様は――
唐突に立ち上がって私の席にまっすぐと向かってきた。
当然皆お兄様が立ち上がられたことで何事、と視線が集中するがお兄様は気にされることなく歩みを止めずに私の横に立った。

「兄さん?」

どうしたのか、と声を掛けるとお兄様は私の頬に手を当てて身を屈ませると、そのまま止まることなく頬に口付けた。…口付けた!?

「お、お、に、兄さん?!」
「た、達也さん!?!?一体何を!」
「司波先輩!深雪先輩から離れてください!!」
「わ、泉美さんCADは下ろしてください!」

周囲も大混乱しているのに、お兄様だけが通常運転。騒がれていることなど全く気にも留めていない。
いや、違うか。いつもだったら一瞥くらいはするのに一切それをしていない。相当疲労しているのか、はたまた最優先事項を優先しただけなのか――優先事項?

「深雪が合図をしただろう」

…うん?

「こうして」

と口元をとんとん、と指を当てて――
どうやらそれがお兄様にはキスをして、と捉えたらしい。
……。

「ち、違うわ!そんな破廉恥な合図など送ってなんて!」

まさかアレがキスを強請ってると思われたとは。
誤解を解くため、私は大胆にもお兄様の口の端に指を滑らせついていたソースをぬぐい取る。

「これが付いていた、と伝えたつもりだったの」

ほら、と指についたソースを見せると、お兄様はそれをじっと見つめ――ぱくり。

「…え」
「ん、すまんな。勘違いした」

人差し指に湿った生暖かいモノがソースを舐め取り離れていく。
そしてお兄様も何事も無かったように席に戻られ作業を再開するのだけれど、お兄様以外、誰もが硬直し動けずにいた。
そんな中、一番に復活したのはまさかの中条会長で。

「深雪さん!緊急事態です!!司波君を連れて帰宅してストレスを解消してきてください!これはあの日の再来、学校の危機です!!」

生贄再び。
私たち兄妹はこの忙しい中、戦力外通告を受けて生徒会室を追い出されたのだった。




クマさんと遭遇した時の対処法

 

 

九校戦の準備に追われている最中に知らされた、大人たちの陰謀に巻き込まれた私たちは更に忙殺された。

とは言っても、私は裏で指示するだけでそちらのお手伝いができるわけでもない。せめて、とお兄様の負担を少しでも減らすため根回しと分担をして仕事を分散させているつもりなのだけど、お兄様は私の知らないところで仕事を拾ってきてしまうようで、疲労を重ねているようだった。

食事も終わり、水波ちゃんにコーヒーを淹れてもらい、二人並んで飲んでいる時も、頭を撫でるお兄様の顔にはくっきりと疲労の色が見て取れた。

これは、休んでもらわないといけないとわかる顔なのに、私の為にこうして時間を取ろうとしてくださる。

 

「…お兄様、一緒にいられることは嬉しいですが、少しお休みになられてはいかがですか?」

 

本当は少しどころかがっつり休んでいただきたい。

けれどお兄様は同時進行で研究も行っているのでその時間も確保したいと思われているのだろう。それほどまでに新しい魔法は複雑でお兄様をもってしても完成にもう数か月かかるのだ。

だからお兄様としては休む暇などない、というのが現状だ。

だけどこれは流石に妹ストップを掛けさせていただきたい。

 

「俺としては休んでいるつもりだが」

「確かにこれも休憩でしょうが、もっとしっかり横になって休まれるべきかと」

 

心配です、と目元をなぞる。

疲労の色が濃く出てしまっていてクマさんがくっきり出ています。

お兄様のお顔にクマさん。これは由々しき事態。

疲れているお兄様も素敵だけれど、…こんな時だというのに胸がキュンキュンしてしまうけど、よくない状態です。休んでほしい。

 

「俺はお前といるだけで十分に癒されるんだが」

「でしたら、私も傍におります。…お兄様、お願いです。一時間でも、いえ三十分だけでもいいのです。部屋で横になってお休みください」

 

身を寄せて懇願すると、お兄様は困った顔をされながら腕を回して抱き寄せた。

 

「そんなに疲れているつもりはないんだが」

「お兄様はご自身のことに鈍感ですもの」

 

恋愛のみならず、自身の不調にも鈍感だなんて、お兄様は本当に自分への関心が薄すぎる。私に向ける十分の一でいいから気を遣ってあげて欲しい。

 

「でしたら、わがままを申し上げます。お兄様がベッドに横になっているのを横で眺めさせてもらいたいです」

「…とんだわがままだね。兄だからいいけれど、そんなことを軽々しく男に言うものではないよ」

 

すり、と頬を撫でられて心臓が大きく跳ねるのだけれど、これもお兄様を休ませるため!

だから水波ちゃん、そんな射殺すような目でお兄様を見ないであげて。お兄様疲れてちょっとおかしくなってるだけだから。

ということでお兄様の部屋に移動です。

その間抱き上げて運ぼうとするお兄様との攻防があったのだけど割愛。

疲れているのにさらに肉体的に疲れようとしないでください。私の心臓が死んでしまいます。

妥協案で手を繋いでいるけどね。しかもなぜか恋人繋ぎ。絶対逃がさないという意図が込められてます⁇

到着してベッドに横になるお兄様の近くに椅子を持ってこようとしたのだけれど、ぱし、とまた手を掴まれる。

 

「このままベッドに腰掛ければいい。むしろ一緒に横にならないか?」

 

…お兄様、本当におかしくなってますね。お色気モードが漏れ出ている状態でお誘いを受けてこちらは今大変テンパっております。顔には出さないよう引き締めながら。

 

「…お戯れを。それとも抱き枕が無いと眠れないのですか?」

「深雪が抱き枕に…?そんなことになっては逆に眠れない気がするが」

 

…そうですね。想像してみましたけど、眠れる気がしませんでした。というよりそんなことになったら私の場合永眠では?心臓が過労死してしまう。

 

「しかし、急に眠れと言われても特に眠気は無いんだが」

「疲労が蓄積しすぎると逆に眠りが浅くなるとも言われてますし――お兄様、うつ伏せになってくださいませんか?」

 

お願いすると素直にひっくり返ってくれるお兄様。うーん、妹に甘すぎません?悪い妹だったならどうするつもりなんでしょう。悪いことなんてしませんけどね。

 

「失礼します」

 

断りを入れてからお兄様の大きな背に触れる。

余分な肉の無い、けれどしなやかな筋肉のついている身体は、私の手よりも温かく、少し力を入れるとなかなかの弾力が返ってくる。

 

「ふふ、お客さん、凝ってますね」

「…指圧師ごっこか」

 

凝っているか、なんて正直分からない。お兄様の肩はそこまで硬くないし、背中も凝りと思われるほど固いと思われるところはない。日ごろから柔軟をしっかりしているからだろう。

だけどマッサージというのはコリを取ることだけが目的ではない。こうして手で触れることで血行がよくなったりストレスが減少するのは有名な話だ。

雰囲気作りで声を掛ければ、お兄様は脱力気味に応えてくれた。

でも、マッサージ屋さんでも良いのに指圧師とは。

漢字になるだけで印象って変わるよね。

 

「眠くなったらいつでも寝てくださいね。そうしたら手を止めますから」

「知らなかったよ、深雪はマッサージも上手いんだな」

「筋肉をほぐすのは得意かもしれません」

 

とは言っても自分のがメインだが、深雪ちゃんの体を磨き上げるには柔軟も体操も必要不可欠。自然と人体に詳しくなった。

肩を揉み、背筋を指圧して腰まで下りて。

お兄様の体が弛緩していい感じにリラックスしていただけている様子にこちらも嬉しくなってくる。

なんとやりがいのある背中だろう。

徐々に熱が入って、もう少し強めに、と体重を駆けながら圧していく。

時折、力を籠めるせいで声が出てしまったけれど、できるだけ最小限に抑えたつもりだ。

どれくらい、そうしていたのだろう。お兄様の口からすー、すー、と寝息が聞こえるようになり、マッサージがしやすいよう馬乗りになっていたのを静かに下りて椅子に座りなおす。

 

(…お兄様ったら、眠っている間も眉間に皴を寄せられて)

 

くすり、と笑ってお兄様の額にそっと指を伸ばして眉間をさする。すぐに皴は伸びた。

安らかな寝顔にほっとして、少しだけ、と机に凭れ掛かる。

今日もいろんな選手たちと意見を交わし、改善点を見つけては指導していた。

お兄様と何度かすれ違ったけれど、お兄様も同じように動き回っていたのだろう。いや、お兄様の場合それプラス技術者としての活動もあっただろうから更に忙しかったと思われた。

 

「…お兄様、お疲れ様です…」

 

小声でねぎらって、少しだけ目を閉じる。

ほんの少しだけのつもりが、10分も寝てしまったのは不覚だ。

 

「…そのままの姿勢では体を痛めてしまうよ」

 

しかも、お兄様に揺り起こされるだなんて。

 

「も、申し訳ございません!」

「いや、俺も深雪のおかげですっきりしたよ。ありがとう。部屋まで送っていこうか?」

「いいえ!私も今すっきりと目が覚めましたので。まだ、眠るまで時間がありますから」

「勉強熱心なのもいいが、お前もしっかり休むんだぞ」

「はい」

 

お兄様に見送られ、部屋を辞した。

お顔のクマは流石に居座ったままだったけれど、血行が良くなったのか顔色は多少良くなっていたように思う。

指摘したからには恐らく明日にはクマさんはお帰りになっていることだろう。お兄様はいつまでも妹を心配させるような真似はしないから。

 

(これから更にまた忙しくなる。気合を入れて乗り切らねば!)

 

気持ち新たに九校戦に向けて気合を入れなおすのだった。

 

 

 





…お兄様、妹にマッサージ施術されるのは途中までは大丈夫だったけど、身を乗り出していつの間にかに上に乗られていて「っん…、ふっ…」と声が漏れてきたらもう駄目だった。妹は集中すると周りが見えなくなる。馬乗り(非接触の膝たち状態)もマッサージってこういうものだよね、と自然にやっていた。
兄の苦悩になんて気付くわけがない。お兄様は全力の寝る演技を披露した。
顔色がよくなったのは単純に血が巡ったから。
お客さん~、の下りでマッサージ屋と言うと、いかがわしい気がして口にしないようにしていた。でも結局いかがわしい気分になったことに深く後悔と罪悪感が。いつもなら部屋に送るのにそれもできない状態だった。
この後頭を切り替えて研究に手を付けるも一時間程度で終わらせて今日は早く就寝する。
妹にこれ以上心配をかけさせられない。
けれど、いつもならすぐに寝付けるが、今日ばかりはこのベッドで行われたことがよぎって寝付けず意識を落して無理やり寝る。
…お兄ちゃん、頑張れ。
このお兄様なら応援できる(←
妹よ、そのクマさん撃退法は恐らくクマさんを強くするだけだと思われますよ。


アニメであれだけ疲労の色が濃いと、心配にもなるよねと言うお話でした。

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