妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編 作:tom200
古都内乱編のイラストの深雪ちゃんがあまりに綺麗だったのでネタにしました。
ミキミヅも可愛くてキュンキュンしますね。お兄様も二人の様子にほっこりされてましたし。癒し枠。
妹はお兄様を書記長なんて目立つ役職は作らなかったけれどちょっと興味はあった。
しかし裏でお兄様は団長と呼ばれているのでわざわざ作る必要は無い。
何故団長か?本の中の役職が騎士団長に昇格したからですね。
『護衛騎士から異例の抜擢。本人は姫から離れてご不満だけど姫のお相手が護衛騎士では到底釣り合いも取れないし、実績も無ければ、と箔付けに。という理由で引き剥がされたが――?様々な思惑がナイトに降りかかる。そのことにプリンセスは内部の改革が必要とある計画を立てる――』
プリンセスとナイト新刊の帯の内容。…どんな話なんだろうね。
・・・これ、どこか本編に入れないといけない話かな。一条君が来た時に一般生徒に団長と呼ばれていて疑問に思ってほしい。そして雑に誤魔化されて欲しい。
夏が終わり、秋に入ったことで鮮やかな色から落ち着いたトーンへと衣替えをした。
どんな服でも似合う深雪ちゃんボディではあるけれど、基本清楚コーデでまとめているのでたいして変わり映えはしない。だが、季節の変わり目だけは大分印象が変わって見えるもので。
「深雪を見ると、季節の変化を感じられるよ。もう秋なんだな」
「お兄様ったら。庭の花もすでに秋の花に変わっておりますよ」
「俺にとって深雪という美しい花が傍にあるからな。全ての花が霞んでよく見えないんだ」
「まあ」
うふふ、と笑って自然を装ってますけれど仮面の下では顔が大変なことになっていると思う。というか赤みは隠せていないような気配。でもおすましで乗り切りますとも。
「それにしても――」
気合を入れて淑女を保とうとしたところで、横に座るお兄様がのぞき込むようにこちらをじっと見つめてきた。
え、何か顔についてるかな。さっき食べたクッキーが付いてるとか⁇芋けんぴ頭につけるドジはしてませんよ。
内心ドキドキしながら見つめ返すと、眉を下げて困ったような笑みを浮かべられた。
何か困らせるようなことをしただろうか。
不安になったのが顔に出たのか、ますます困ったとばかりの表情に。
「あの、お兄様?」
「――綺麗になった、と思ってな」
「…え?」
「少し前まで美しくも可愛い妹だったのに、女の子の成長は早いと言うが、本当だな。今のお前なら大学に通っていてもおかしくないように見える。もう、そういう年頃なんだな」
しみじみと言ったお兄様だけれど、自然に誉め言葉を織り交ぜるのは心臓への負担がかかるのでやめてほしい。
これが実の妹でなければ口説き文句だと勘違いされますからね!?
震えそうになる手をこっそり重ねて抑えつつ、表情筋に力を込めているのをばれないようにしながら笑って見せる。
「お兄様ったら。私たちは同い年なのですから、年頃、なんて。それを言いましたらお兄様だって、背も伸びて体格もよくなって、スーツ姿ですと成人して見えます」
「俺の場合は以前からだろう」
お兄様、私と並ぶと年が離れて見られることが多かったですからね。ちょっと拗ねられてる。…可愛い。
「お兄様の場合、子供らしい表情を見ることが無かったからでしょうね。友人たちといる時は年相応の表情をされていますので、ちゃんと高校生に見えますよ」
私には今のように表情を豊かにしてくれるお兄様だけれど、基本的に外にいる時は表情を見せないから子供らしくは見えない。それこそ小学生の頃には強い衝動を除かれてしまったことと、愛情を与えられず訓練漬けにされていれば子供らしさなどに当たらなくても仕方ないのかもしれない。
その当時のことを思うと胸が痛むが、そのお兄様が今青春を送れていると思うと胸と目が熱くなる。
冗談めかしたところでいきなり涙目になるなんて、情緒をお兄様に心配されてしまうかも、と思ったのだけれどスッとお兄様の手が頬に伸び、添えられて目元を指でなぞられた。
向けられた表情は、どこか切なげな笑みに見える。なぜ、を考えるより先にきゅ、と胸が締め付けられた。
「なら、俺たちは同じくらいに見えるわけだ」
「お兄様の年齢に追いつきましたか」
「互いに差を詰めたんだろうよ」
俺は未成年に見えないと言われることが多かったから、とさりげなく言うけれど、実際結構気にされていたのかな。原作でもそんな描写があったような。
でも、ふと気づく。
「…私はそんなに子供っぽかったでしょうか」
互いに差を詰めたということは、年上に見られていたお兄様に対し、私が年下だったということ。
精神的には私の方がお姉さん(…)のはずなのに、と思ったけれど、逆にそれが若さを見せようとして幼くなりすぎたのか、と過ったのだが。
「それは違うよ。恐らく俺の願望だ」
「願望、ですか?」
お兄様が一体何を願い望むというのか。…もしや年下妹萌えでした?とか考える前世の思考はお帰り下さい。お兄様をそんな俗物と一緒にしないで。
変なことを考える頭を切り替えて見つめる。お兄様の顔には子供っぽい所など見当たらない。中学を卒業する頃には子供特有の丸みは見られなくなった。シャープな輪郭に、鋭い目つき、長めの前髪がそれを緩和させるようにかかっている。
表情が無ければ成人男性に見える完成された顔だ。
青年と思われるかどうかは表情や態度に現れる。
(つまり、そういうことなんだろうか)
私の表情や態度が子供に見せているのか、と振り返ってみれば、確かにお兄様の前では可愛い妹でいようとしていたかもしれない。よく甘やかされていたのは幼く見えていたからか。居たたまれなくなって身を縮こまらせそうになったところで抱き寄せられた。
「お前はまだ子供だから、と過保護にする理由にしたかったんだと思う」
「お兄様…」
過保護な自覚はあったのですね。
ちょっとおかしいなと思うことは多々あったのですよ。でも、そのたびにダメか?との顔をされて流されてましたけども。
「子供扱いなどしない、と言った口で何を言っているのかと思うかもしれないが――実際子供扱いなどしていないのだが、わかっていても割り切れない。こればかりは理屈じゃないらしい」
何時だったか、お兄様は子供扱いではなく妹として可愛がることの許可を求められた。正直兄妹離れをすべきだと思っていた私には驚愕の申し出だったのだが、その後のストレス騒動によってうやむやに。下手に離れると忙しい時期のお兄様の負担になる可能性に目を瞑ったのだけど。
「子供でいてほしいですか」
「それは、時が許してくれないだろう」
どうあっても人の上に時間は流れていく。それは止められない。
「深雪が綺麗になっていくことに不満はないんだ。むしろ誇らしく思うよ。俺の妹は世界一美しい女性なんだと。だが同時に不安になる。こんなに美しくなってしまったら、お前が生きづらくなってしまうのでは、と」
…うん、先ほどの切なげな表情を浮かべられていた時から思うのですがね、色気がね、徐々に漂ってきてるなぁ、と。抱き寄せられて至近距離で浴びせられているこの危険な状況。表情ももう取り繕えてるか心配だけど心音はきっと聞かれているのではないだろうか。バクバクと大きな音が自分でも聞こえている。
で、何故お兄様はそのようにすらすらと恥ずかし気も無くそのようなセリフを口に出くるのか。
本心だから、なんて回答は求めていない。本心を述べるにしたって羞恥は覚えるものだ。客観的であればそこまでではないかもしれないけど本人に向けてよく言えるよね。お兄様の分、私が恥ずかしがっているのではないかと思えてきた。
「そのために処世術を学ぶのです。大分躱すことも、寄せ付けないようにすることも身に付けました。それに、いずれ四葉の名を背負うことになれば、その肩書は立派にけん制の盾となるでしょう」
来年には四葉次期当主として公表されるだろうからね。そうなれば誘拐や命を狙われることもあるだろうが、今までのように有象無象が近寄るようなことは無くなる。それだけ四葉の名は警戒対象だから。
「四葉ともなればおいそれと手を出さない、と。それはそうかもしれないな」
この時のお兄様はそれは一つの可能性であって、四葉を抜け出すこと考えているのだろう。あまり解決法として有効打ではないようだ。
「それに、今はお兄様がいて下さるのです。警戒を怠るつもりはありませんが、何も恐れることなどありませんでしょう」
ちょっと傲慢にも取れる言葉だけれど、これはお兄様には響いた模様。ぶわり、とただならぬオーラが噴き出すと同時に笑みが深くなった。…ちょっと、抑えてもらえませんかね!?ものすごく、その…直視ができないと言いますか。
「そうだね、俺がお前を守るよ」
そして魅惑の低音響く良いお声が鼓膜を震わせる。
今一番私を脅かす存在がお兄様なのですが、とは口が裂けても言えないけれど心の中で叫ぶことはお許しいただきたい。
(お兄様が危険物だから!!私を一番瀕死に追いやってるから!)
離れたいけれど、抱きしめる腕はしっかりと回され外れそうにない。
せめて休憩をはさんでほしい。心臓が最高速度を維持したままフル稼働で疲労困憊中。急停止してもおかしくない。
その願いが通じたのか、腕は離れはしないけれどお兄様が少しだけ上体を起こして距離が開く。
互いの表情がより見やすくなった。先ほどまでも曇りは一切見られない。でも代わりに――
「深雪はますます綺麗になっていくだろう。だが、それでも俺の可愛い妹には変わりない。それは子供扱いではなく、お前が甘えられる存在でありたい兄貴のわがままだ。――そんな俺でもいいか?」
聞いている割にYES以外の選択肢を選ばせる気などさらさらないって顔ですね。お兄様にしては珍しい自信のある表情をされていた。
「お兄様のわがままを叶えられない妹だとお思いですか?」
そのまま流されるままに肯定しないよう、負けじと意味ありげな表情で対抗するのだけれど、クスリと笑われて。
「お前は俺に甘いからな」
「…それは、お兄様が私に甘いからでしょう」
甘い笑みに甘い声。ドロドロに甘やかされた状態で、あしらえる?…私には無理だ。叔母様辺りは一蹴しそうだけれどね。弄んでからポイッ!がよく似合います。
「深雪」
視線が一瞬鋭くなる。お兄様は本当、ほかの人のことを考えているのをすぐに見破ってくる。心を読まれているなと思う今日この頃。
「お兄様が望むのであれば、お兄様の前でだけ、ですよ」
「ありがとう」
うーん、結局いつものようにお兄様に転がされているけれど、お兄様はとても幸せそうだ。これを見てしまうと取り消す気にはなれない。きっと、これがお兄様にとっていい結果なのだろう。
根本的に何も解決していない上、何の変化もないということで兄妹離れはできないと再確認しただけになったような?
(でも、それも今年だけ。来年になればきっと――)
抱きしめられた流れで肩に顔を押し付けて見られないようにする。
この計画はまだ、ばれてはいけないから。
羞恥心が隠せていなくても、これだけは隠さなければいけない。
(私が、お兄様を私から離そうとしている計画だけは)
だから気付けなかった。
お兄様の瞳が閉じられる寸前、暗く翳っていたことに。
お兄様、妹が日に日に大人になっていくことに焦燥感を抱き始める。
忙しくて妹の変化に気付いていても深く考える余裕が無かった。
スティープルチェース編が終わって一息ついて、妹の美しさを改めて認識、心が落ち着かなくなった。
子供扱いなんてしているつもりはない。本人は至って『普通』に妹を可愛がっているだけ。(普通ではない、絶対に)
だけど無意識にまだ子供だからと考えていたことに気付いて認識を改めた。ら、一層不安になった。
ただでさえ美少女だったのにこれ以上美しくなってしまったら世間が放っておくわけがない。
永遠に二人子供でいられるはずが無く、自分はとっくに大人のつもりになっていたが、妹は子供のままであれと思っていた。高校生はそこまで子供じゃない。
隣に座る妹の大人びた姿に心音が乱れたなど絶対に悟られてはいけない。美しさのあまり触れる事さえ躊躇い、そのくせ無意識に手を伸ばしそうになるのを押さえつけていたけれど、相手は妹、可愛い妹だと言い聞かせて落ち着かせる。
妹が『今は』や『兄妹』を強調するたび心が不安定になることに気付いたが、それが何を意味するのかは明確にわかっていない。ただ、別れを示唆しているような気がして落ち着かない。できるだけその話になると話題を逸らすかそれ以上を言わせないようにする。
お兄様にとって妹は幼いのではなく、愛でる存在なので分厚いフィルターがあった模様。でも綺麗になった妹の姿にフィルターが剥がされていった。もうこんなに大人になったのだな、と感慨深くもなった。ちゃんと兄の部分も生きてる。
一応本人にも過保護だった自覚はあった。
ただし、多少過保護、程度だと思っている。多少じゃない。過剰ですよお兄様。
古都内乱編の深雪ちゃんの表情だったり体形だったりが大人っぽくなっていて、これはお兄様も不安を覚える事だろう、と。
そうしたら、お兄様がどうやって妹を自分の手元に置こうか画策している風になってしまった…。これで無自覚?嘘でしょう⁇(←
本編絡みあり、としておりますが、前書きの部分が少し、という程度です。
お読みいただきありがとうございました!