妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編   作:tom200

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原作始まる前にマッハで終わってた。までがタイトル。
書いた当時のトレンドに姉の呼び方が入っていて、妄想したらこんなことになった。
ふわふわ時空。水波ちゃんが来る前。お兄様の思考がちょっとぶっ飛んでる?
SNSのトレンドがある世界観。



もしも兄が弟だったなら

 

 

ニュースをチェックすると、その日の話題のニュースをピックアップする記事がずらりと並ぶ。

その内の一つがオタクeyeの目を引いた。

 

(姉の呼び方、か)

 

弟から姉を呼ぶのって兄ほどバリエーションは少なく感じる。こういうのは男の方が羞恥心を感じやすいだろうからね。

クスリ、と笑うとお兄様の気を引いてしまったようで、声を掛けられる。

 

「何か面白い記事でもあったかい?」

 

ソファで二人並んでコーヒーを飲みながら、お兄様は本を、私は端末を触って過ごしていた。

会話のない、だけどまったり二人で過ごす静かな時間だった。

 

「邪魔してしまって申し訳ありません」

「邪魔なものか。それよりも一体深雪は何に興味を惹かれたのかな」

 

そう言って本を横に置いて肩に腕を回して端末を覗き込む。

見せて困るものでもないし、私も差し出したからの行動。お兄様が勝手にのぞき込むなんて真似、しないからね。

 

「姉の呼び方?」

「ええ。呼び方は兄同様色々ありますけれど、弟から姉を呼ぶ際はほぼ一択のようですね」

「ああ、まあそうなるか。基本的には姉さんで落ち着くんだろうな」

 

黒羽家という身近な例もあるので、お兄様にも想像しやすかったのだろう。

 

「ふふ、一年早ければお兄様から姉と呼ばれることもあったのでしょうか、と思ったらちょっとおかしく思えてしまって」

 

原作ありきの世界なのだから、そんな逆転絶対にないのだけど。まあ妄想は自由なので。

お兄様が弟だったなら――、あら、困った。

絶対可愛い→甘やかす→思春期になったら嫌がられる→反抗期になる→冷たくあしらわれる

 

「…お兄様はお兄様であってよかったです。でなければ私はお兄様に煙たがられてしまうところでした」

「…いったい何がどうしてそうなった?俺が深雪を煙たがることなんてあるわけないだろう」

 

そうはおっしゃいますけれど、私お兄様を多分全力で可愛がってしまいますからねぇ。多分、抑えなんて利かない。自信ある。

悲壮な顔の私に対し、お兄様はちょっぴりあきれ顔。

 

(ああ!反抗期の片鱗を今見た気がする!)

 

「姉さん、か」

 

んん?

 

「深雪姉さん」

 

お兄様が無表情で私の顔を覗きこんでそう言った。

たったそれだけなのに、きゅん、と胸が高鳴る。

 

「お姉様、は流石にこの年では呼び辛いか。深雪姉様、ならギリギリかもしれないが」

「お、お兄様、」

「今は弟なんだから、深雪は兄呼び禁止だな」

 

おっと。知らぬ間にゲームは始まっていた模様。

っていうかお兄様のその企みの笑みが堪らないのですけれど、見上げながらすると魅力割り増しですね。計算ずくですか?そうでしょうね。お兄様ですものね。

 

「ほら、呼んで」

 

いつもなら呼んでご覧?と言うところを言い換えてくるあたりお兄様も芸が細かい。

 

「た、達也さん」

「姉貴は弟にさん付けなのか?」

 

くすくすと笑いながらいろんな呼び方を試してくるお兄様に、胸の高鳴りが止まりません。

お兄様は一体妹をどうしたいのか?あ、今は姉か?もう訳が分からなくなってきた。

 

「そこはご容赦くださいませ…」

「全く、姉さんはしょうがないね」

 

許してあげるよ、というちょっと傲慢な口ぶりに、ついに私は口元を抑えて俯いてしまう。

抑えないと変な声が漏れそうだったから。

 

(お兄様が、オタクを殺しにかかってきてるっ!!)

 

とんでもないお兄様である。まさかお兄様にこんな可能性が秘められていたとは。

 

「真っ赤になって。何を考えてるのか。そんなに無防備だと心配だな。姉さんにはやっぱり俺が付いていないと」

 

しょうがないから俺がついててやるよ、なんて。…弟が姉を誘惑してくるぅ。

どうしよう。この弟とんでもないたらしである。

お兄様の時よりも攻撃力高い。なんだろう?何が違うの?わからないけれど内側にもぐりこんでくるのが上手い。

…お兄様、以前からそうだったけど年上キラーだよね。

 

「もう、あまり揶揄わないで、達也さん…」

 

するとお兄様は肩を抱いたまま正面に覆いかぶさるように身を乗り出してきた。

心のみならず体ごと距離を縮められてこちらは息の根が止まりそうです。離れて、切実に離れてほしい!

 

「姉さんは押しに弱すぎる」

「う、ごめんなさい」

「だから、俺が守ってやるから、離れようとしたらダメだからな」

「う、うん」

「これからも、ずっと一緒だよ、――お姉ちゃん」

 

(っ!!最後!耳!!)

 

偶然だろうけど、お兄様の唇が耳を掠めた。

呟く距離を見誤るなんて、お兄様にしては珍しいミスだ。

というか、最後に幼少期にしていたであろう呼び方で締めてくるとは、お兄様オタクに対して理解が深すぎない?私の好み把握しすぎじゃない⁇

恐ろしい。恐ろしいよお兄様。

 

「姉、という言葉も使いようだな」

 

…この恐ろしい検証は済んだようだけれど、お兄様にその使い道は今後無いはずだと思いますよ。

もしや誰か誘惑する予定でもおありでした?だとしたらその手段は大変有効だと思います。私はすでに陥落、実証済みです。

 

「…改めてお兄様がお兄様でよかったと実感しております」

「まあ、そうだな。俺が深雪の弟だったなら、きっと気が気でなかっただろうから」

 

それはお兄様相手だからだと思いますよ。

普段だったらいつも通り過ごせたはずですから。

 

「兄だから守れることもある」

 

お兄様的に、私が姉では頼りないらしい。

私に姉成分が無かったのか。残念だ。姉らしさがあったならお兄様を存分に甘やかしてやれただろうに。

…ところでお兄様。いつこのくっついた状態は解除されるのでしょう?

見上げたお兄様は、ん?と不思議そうなお顔されてますけど口角が上がってますからね。

指摘すると、

 

「深雪は弟にこの距離は許せても、兄には許してくれないのかい?」

 

いえいえ、弟なお兄様にも許したつもりはないのですけどね。気づいた時にはそうなっていたんですよ。

 

「…たまには弟の振りをしてお前に甘えるのもいいかもね」

「それは…きっと今までとそんなに変わりありませんよ?」

 

一応抵抗を試みる。

だけどお兄様は私の弱点を見逃さない。

 

「深雪姉さん」

 

そう言ってお兄様が「あ」と私に向けて口を開く。

綺麗な歯並び。健康的なお口ですね。

 

「あ」

 

…なんて、なんて抗いがたいのだろう。

ちょうどその口はクッキーが入るお口ですね。

言葉にしなくても仕草だけで強請って来るなんて高等技術をお兄様はいつの間に身につけられたのです?

クッキーを一枚、その口に差し出して、お兄様はこちらをじっと見つめながら齧りついた。

……待っていただきたい。ここでそれは反則ではないだろうか。

 

(なぜこのタイミングで色男モードを発動しましたお兄様?!)

 

噛み砕く姿がとってもワイルド。色気を滲ませてますね。

サクサクのクッキーはぽろぽろと崩れやすく、お兄様の口の間から私の胸元に小さなかけらがパラパラと。

それを視線で追うお兄様に、緊張が高まった。

私とお兄様の動きが止まる。

だがそれも一瞬のこと。お兄様はすぐさま動きを再開させる。

私の指が摘まんでいる半欠けのクッキーを口で抜き取って離れてから指も使わずに口の中に消えていった。わ、わいるど。

 

「あまり気を許しすぎるなよ。兄だろうが弟だろうが、男はすべからくオオカミなのだから」

「……はい」

 

ぽんぽん頭を撫でるお兄様は通常運転の優しいお兄様に戻ったのだけれど、私にその切り替えは無理!

お兄様早すぎる。情緒が追いつかない!!

すまし顔でコーヒーを飲むお兄様を少しだけ恨めしく思いつつも、憎むどころか、更に好きになってしまった、と落ち込む。

 

(まったく、これ以上魅力を増やさないでほしい)

 

お兄様の沼は底なし沼だと改めて認識し、話題選びも気をつけないとな、と思い知らされた夜だった。

 

 

 

 

達也視点

 

 

改めて気づかされてしまった。

もしも俺が弟で、深雪が姉だったなら。恐らく俺は――とっくに兄弟の枠を飛び越えていただろう。

兄としても甘やかされたあの三年間。それだけで深雪に魅了されてきたというのに、もしこれが兄でなく弟であったのなら、俺はきっと相当な暴君になったに違いない。

深雪から与えられる愛を無条件に享受し、当たり前のように受けたのち、姉は自分のモノであると錯覚する。

もし他に関心を寄せようものなら容赦なく相手を傷つけるか、深雪によそ見をしないように『お願い』するか。

今でも俺のお願いに弱い深雪だ。弟相手となったら何でも与えてしまうだろう。

――深雪は俺限定で押しに弱いから。

きっと高校に上がる前に、他所に目を向く前に全てを手に入れたいと思うはずだ。

心だけでなく、身体も、全て。

己のものにしなければ気がすまなかったはずだ。

きっと深雪にだけわがままで困らせて、それでも深雪はそれを許してしまう。

たとえ愚かな行動を取ったところで深雪が俺を見捨てるはずがない、そう思うからこそタガの外れた俺は何らためらいもなく『姉』を押し倒してその体を貪るのだろう。

その様が簡単に想像できてしまい、我ながら酷いなと自嘲するのを、コーヒーを飲んでごまかした。

 

「お兄様?」

 

だが、俺の感情に敏感な妹はそぶりを見せなくても察してしまう。

 

(――この想いが察せられてないのが奇跡だな)

 

それともそちら方面に深雪が鈍感なだけか。

だとしても気づかれていてないことはありがたい。

 

「何でもないよ。ただちょっとおかしかっただけだ」

 

そう、何でもない。イフなんて考えたところで、今現状が全てなのだから。

 

「俺が弟でなくてよかったな」

「私もそう思います」

 

深雪は俺が姉を煙たがると思っているようだが、もしそうだとしても表面上だけのこと。きっとその裏側はぐちゃぐちゃドロドロとした感情が渦巻いていることだろう。最愛の姉への感情を持て余して。

 

「俺もお前の兄でよかったと思うよ」

 

兄だからこそ耐えられた。

兄だからこそ、妹を守ろうと、傷つけまいと出来る。

 

「だが深雪に素直に甘えられるというのはいいものだな」

「ふふ、お兄様の弟のふりには驚かされましたが、あのように甘えられてしまうと私は何でも許してしまいそうで恐ろしかったです」

 

深雪にもその危機感はあったようだ。完全に無防備状態だったものな。

 

「このごっこ遊びは癖になりそうだ」

「…お兄様のオモチャですか、私は」

「おもちゃだなんてとんでもない。俺の一番大切な宝物だよ」

 

深雪の発言は時折危険なものになる。無自覚でこれとは本当に恐ろしい。俺がいないところでもこうなのではないかと冷や冷やするが、彼女は外ではきちんとしているので問題ないことはわかっている。分かっているのだが、勘違いを生みそうでやはりずっと傍にいないと心配になる。

 

「なあ、姉さん。俺を甘やかしてくれるか?」

 

この言葉に、深雪は視線を揺らしながらも小さく頷いてしょうがないわね、と笑った。

 

 

――ああ、本当に弟でなくてよかった。

舌なめずりをしている自分が想像できてしまい、改めて兄であることに感謝する。

 

(深雪を怯えさせたくはない)

 

幸せにしてやりたいとの誓いを破らずに済んでいる状況に感謝しながら、妹に抱きしめられる。

この幸せを守りたい。

 

だから――これでいい。

 

 





お兄様が弟になんてなったら絶対抑え効かなくなるよね。
だって絶対甘やかされて絆されて独占欲の塊になってお姉ちゃんは自分のモノ!ってなるもんね。
と思ったらこんなのができてた。
お兄様がお兄様で本当によかったねと言いたくなるお兄様になってしまった…。
弟になったら雄みが強くなりそう…。
高校上がる前にまず喰ってると思う。…倫理観なんて欲の前には無力だよね…。
また別パターン考えたいけど、多分結末似たモノになるんだろうなぁ…。

風邪引いてるとろくなことを考えないあとで消したくなるような典型ネタでした!
番外編ってことで許していただけると助かります。

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