妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編   作:tom200

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アニメ⑤話はネタが多すぎて、いくつも話を上げた思い出。
あの時は…熱狂がヤバかったです。文字通り狂ったように書いてました。


続 エンディングパニック

 

服を脱ぐ前に用意したのは着物の下に着る下着だ。

あまりラインが出るとも思えないのだけれど念のためTバックで。ブラはストラップレスの張り付けるタイプ。

和装下着はあるのだが、私がしたいのはコスプレである。ただ着付けることを目的としていない。――深雪ちゃんの、ちょっとエッチな姿が見てみたい。その欲望を叶えるためなのでね。肩まではだける着付け方をするには和装下着ではだめなのだ。

…もうこの時点で私のオタク魂は暴走していた。

多分叔母様の着ていた時の写真の一枚でもあれば落ち着けただろうに。見たいという欲望が抑えきれなかった。

下着を身に着けてからピンクと赤の長襦袢を重ね。

 

(…しっかし、黒地に曼殊沙華とは…っぽいよね~。狙ってるところがまたイイっ!!)

 

裾の長さを引きずるほどにして、帯を前に結んで見せて、引き襟にして前をしっかり重ねれば――

 

「……これは自分用だから。人に見せないから」

 

オフラインの端末を操作してパシャリ。

 

(はい!とんでもないお色気あふれる花魁風の深雪様の誕生です)

 

髪を飾るかんざしは以前お兄様にいただいた桜の描かれた物にしたのだけど、玉も金細工も無い漆のシンプルな桜のかんざしはこの着物には浮くようだが、むしろそこが良い。花魁にしては若すぎて、経験も無さそうなのに造られたわけでもなく色気あふれる姿は原石のようで、これから磨かれていくのだろうと思わせる初々しさを表現するのにこれほどぴったりな物もない。

 

(これが売られてくる前、初恋の君に贈っていただいたかんざしで――とかね!ね!!)

 

オタク、妄想力がたくましすぎた。

どんなところからも妄想できてしまう。

この場合、かんざしを贈ってくださったのはお兄様になるわけだから、初恋の君はお兄様ということに?きゃー!

思わず両頬を押さえて頭を振っていたら、ドアの外が賑やかに?

水波ちゃんとお兄様の声が。

 

(え、今何時?!)

 

まだ楽しみ始めたばかりだけれど、着物の着付けには時間がかかる。

だけどお兄様はしばらく篭られると思っていたからしばらく安心と油断していたわけだけど、と端末を見ると通知がいくつか着ていた。

発信元は――水波ちゃん。

慌てて開くと、どうやらお兄様がひと段落ついたそうで休憩に上がってきたのだそう。その際来客があったのかと訊ねられたらしく、宅急便が着て荷物は私宛だったと聞いたお兄様が訝しみ、相手が誰かを聞いて――え!?

 

(こ、ここに来ようとしてるの?!)

 

恐らくこの攻防は1階でしばらく繰り広げられていたのだろう。連絡がきたのは10分も前だった。

そして現在はドアの外、ではなくどうやらドアの前でその攻防は繰り広げられているらしい。

まずい!こんな恰好を見られるわけにはいかない!!

そして水波ちゃんありがとう!防いで――うん?防壁魔法の気配がしますね。

え、ここ家の中ですよ?敵襲です⁇

とりあえず着替えないと、と慌てて帯を解き始めるのだけれど、連絡をもらってから時間も経っていたこともあり外の攻防はもう終盤に差し掛かっていたようだ。

 

『深雪、ドアから離れていなさい』

『深雪様、お逃げ下さい!!』

 

…クライマックスですね。

水波ちゃん、逃げるってどこに逃げればいいのでしょう?

この段階で私の選択肢はいくつかあったはずだ。

何か上に羽織ってこの場をしのいだり、

CADを手に取ってドアを凍り付かせたり、

ベッドにもぐりこんで隠れたり――。

しかし悲しいかな、脱ぎかけの着物を着替えなければ、としか浮かばなくて。

着替える時間などもうとっくに無かったというのに。

しかも逃げろ、の言葉とお兄様のドアから離れろの言葉に足がもつれ、垂れた帯を踏んでしまう。

 

「きゃあ!」

 

どんがらがっしゃん、と古風な音が聞こえた。

がっしゃん、はオフラインの端末からの模様。

 

(あああ!どうか、どうか中身は無事でありますように!!)

 

…悲しいかな。自分の身よりも上手く撮れたはずの写真の心配をしてしまった。

でもオタクそういうとこある。自分の怪我より戦利品大事。

 

「深雪!」

 

ドアの鍵が消滅したと同時にお兄様が突入してきたのだけれど、お兄様は不自然に固まられると、いったんくるりと背を向けて水波ちゃんを下がらせると分解したところに再生をかけて扉を閉めた。扉を閉めた!え?カチッと鍵も閉まった音もしましたけど⁇

どんどん、とドアを叩く音が響く。

達也様!と怒鳴るような声も。しかしその呼ばれたお兄様はドアに手をついて項垂れていた。

そして私はというと、転んだままの状態で四つん這いになったままだった。

 

「…あの、お兄様…?」

「とりあえず深雪はその着物を正すかしなさい」

 

あ、はい。

しかし、盛大にこけてしまったのか、意図せず肩が開けてしまっていた。一瞬見えた鎖骨と黒のお着物のコントラストがとてもヤバかったこと、その先にうっすら覗く素敵な双丘の谷も大変暴力的な色気があったことをお知らせします。とってもえっちでございました。

四つん這いからぺたんと床に座って襟を直す間、お兄様はさらに項垂れるように頭を下げられていた。

 

『深雪様!』

 

水波ちゃんを忘れてた!ちょっとテンパりすぎてる。

しかし水波ちゃんの声に応えたのはお兄様だった。

 

「大丈夫だ。深雪に怪我はない」

 

流石お兄様。あの一瞬でそこまで確認されてたのですね。

 

『達也様がそこにいらっしゃることが問題なのです!』

 

水波ちゃん!ガーディアンしてる!務まって――、は無いのか。追い出されちゃってるもんね。

でもね、一応お兄様もガーディアンで…婚約者で……もしや項垂れているのは、

 

「お兄様、修行中でいらっしゃいます?」

「…察してくれたか」

 

お兄様、深雪ちゃんのセクシーな姿に頑張って耐えておられました。

すごいね、私なんて耐えられなくて次は肩を開けさせてみようかー!というエロカメラマンの気持ちでしたのに。

とりあえず水波ちゃんを落ち着かせないと、と着物の襟と開けた裾を直して帯は簡単に結んでから端末を操作する。

 

(お兄様は今、耐えておられるから大丈夫だと思う――と)

 

するとすぐさま返信が。

 

(これからも耐えられるとは限りません。良いですか、男は狼なのです!)

 

年下に注意されるとはこれ如何に?

 

(大丈夫、いざと言う時はお兄様を凍らせて(とめて)でも逃げ出すから)

 

ここまで打てば安心するかな、と送れば水波ちゃんはしぶしぶ納得してくれたよう。下で待機してくれるそうです。

ありがとうね。今度何かプレゼントしないと。

 

「それで深雪」

 

おっと、お兄様復活しました?でも相変わらず項垂れたままだけど。

 

「その着物はやはり」

「ええ、叔母様からです」

「あの人は…っ」

 

あら、お兄様おこですね。…まあセクシー下着に続いてセクシーなお着物ですからね。お兄様にとっては挑発とも取れてしまうのか。

でも、

 

「これはお兄様への贈り物ではなく、私が着たところを見てみたい、ということでしたよ」

 

正確にはこの着物を着たお人形さんが、なのだけど。ちょっと特殊な発注でした。

生地も送られてきているのでこちらで用意するものはない。

ただどういうデザインにするべきか、よね。オーソドックスなさっきのタイプか、お色気たっぷり開けたタイプか…いっそ二着いっちゃう⁇

 

「何故それで深雪はその服を躊躇いも無く着るんだ…」

 

…それは、そこに美少女とコスプレ衣装があるからですかね。とは言えない。でもそういうことです。深雪ちゃんが着ているところを見てみたいと思ったらつい。

前世の業です。可愛い子にはエロカワな服を着せよ。

 

「今回はお着物でしたので」

 

下着だったら流石に叔母様に一報入れてますよ。前回お兄様がそれでブチ切れたわけですからね。

着物は着方次第ではそこまでセクシーには…でもこの柄ならセクシーに着せたくなるよね。

何時までも座っているのもおかしいので立ち上がり、姿見ではなく鏡台の方で軽くチェックすれば、うん。大分お色気成分は抑えられたと思う。

帯もくるんと後ろに回す。

 

「お待たせいたしました、お兄様」

「…色気に中てられておかしくなるところだったよ」

「…申し訳ございません」

 

本当に。

ちょっとしたオタク心がまたお兄様にエロハプニングとして襲い掛かる。

まさか叔母様はここまで狙って――ということは流石に無いだろう。どうやって狙ってお兄様のエロトラップを発動できるというのか。まず私が着ないことには始まらない。

そしてお兄様は非常時以外私の部屋を無断で入ることはない。

この条件が揃うことなど、いくら叔母様でも予測できるはずがない。

ゆっくりと振り返ったお兄様は、今度はまじまじと見つめられて。

 

「そのままでも十分に美しいな。…先ほどのも美しかったが、あれは目のやり場に困った。理性が無くなるかと思ったよ」

 

うう…申し訳ない。

顔に熱が集中する。

流石にいつものリップサービスとは思わなかった。お兄様本気で葛藤されているのが伝わってきていたので疑いようも無かった。

 

(…そうだよね、もし好きな人と二人きりで、その相手がお色気満載な恰好をしていたら居心地も悪くなるよね)

 

近づいてくるお兄様の表情は情けない、と書かれているような眉の下がったお顔だった。

 

「叔母上からの贈り物と聞いてまたか、と自制が利かなくなった。あの夜の二の舞はごめんだと思っているんだがな。どうにもあの人には神経を逆なでられてしまうというか」

 

お兄様にとって叔母様は天敵ということなのかな。叔母様お兄様の事大好きなのにね。

猫好きが猫を構いすぎて警戒されちゃってる感じかな。

 

「それ、使ってくれているんだな」

 

視線の先は頭に向けられていて、それが指しているものがかんざしのことなのだと気付いた。

 

「ちょっと髪をまとめるのに便利なんですよ」

 

勉強をする時に使っていますと言えば、喜んでくれた。

贈ったものが使われていると嬉しいよね。

手を伸ばせば触れられる距離に近づいて、両サイドに少量垂らした髪の一束を指に絡められた。

 

「深雪に毒花が似合うとはな」

「あら。女性は皆棘や毒を持っているものですよ」

「お前の毒になら中てられてみたいものだ」

 

…お兄様調子が戻ってまいりましたね。色男モードが発動しましたか。

色気が漂ってきます。危険。

 

「もう、お兄様ったら」

 

恥じらって視線だけを斜め下に向ける。髪を弄られているから顔ごと背けられないことがつらい。お兄様の、雰囲気がね、だんだん妖しさを帯びてきましてですね…。

 

「先ほどまでの妖艶なのもいいが、今はまだこうして恥じらってくれていた方が助かるよ。愛おしいことには変わりないが、まだ自制が利く」

 

自制が利く、と言った口で米神に口付けられるのは利いているのでしょうか?

頭にふと疑問が浮かんだけれど、イマジナリーお母様が警報を発令。その質問はしない方が良いそうです。

 

「何か気になってるようだが?」

 

…もしやお兄様からの罠だったのだろうか。

くるんと絡めた髪に口付けられて挑発的に見られている。というより、これは期待されている、ということかな。

ごめんなさい、お母様。

お兄様に期待されてしまうと応えてしまうのが妹なのです。

 

「…お兄様はどちらがお好みですか?」

 

セクシーなの?キュートなの?と訊ねれば、お兄様は口元を歪ませて。

 

「お前であるならばどちらも美味しいだろうよ」

 

続けて顔を近づけられると耳元に直接吹き込むように――

 

「味見だけさせてもらえるか」

 

耳から顔へと熱が伝播して、耐え切れずに瞳を閉じた。

 

「いただきます」

 

 

 

(水波ちゃん、狼は礼儀正しく挨拶のできる狼でした…)

 

注意をしてくれた水波ちゃんに、お兄様は間違いなく狼でしたと心の中で報告をした。

 

「お兄様!お味見は一口までです!!」

「美味しすぎるとそのまま食べてしまいそうになるな」

 

狼さんのジョークはレベルが高すぎて、私には難しすぎた。

お兄様がもう何もしないよ、と慰めるように頭を撫で、色気を引っ込ませてくれたおかげで落ち着くことができたけど、原因はお兄様ですからね。

そう文句を言うのだけれど。

 

「何を言う。叔母上の服を身に着けた深雪の方が先だろう」

 

…ぐぅ。

ぐうの音って簡単に出ちゃうね。

何も言い返せない。

 

「だが、その着物は気に入ったんだろう」

「!は、はい」

「ならまた着せて見せてくれ。そうだな――その時には深雪が恋に落ちていてくれると良いんだが」

 

――楽しみにしているよ。

 

そう言って抱きしめて、お兄様は部屋を出て行った。

最後に頬に口づけを落されたところを抑えながら、へなへなと体から力が抜けて座り込んでしまう。

 

(…次にこの着物を着る時は気を付けよう…)

 

不用意に着てはいけない着物をどこにしまうか、クローゼットと洋箪笥しかない部屋でしばし頭を抱えた。

 

 

 

 




途中狩人さーん!(水波ちゃん)助けてー!!という叫びをあげていたとかなんとか。

改めてエンディングの破壊力よ…。真夜様に全部持ってかれた感がすごい。何度でも見ちゃう。

作中に出てくる簪は妹の誕生日プレゼントで貰ったものです。
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