妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編   作:tom200

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エンディングパニックはすべてここから始まった!
これが書きたくて書いたのにどうしてこんなに回り道をしてしまったのか…。
続続続の続きです。ちょっとまたにおわせ程度にえっちです。全部お兄様が悪い(←

言いたいことはすべてあとがきに書きました。それが書きたかっただけだったんです。長々と失礼しました。



終 エンディングパニック

 

 

目が覚めたら、夜でした。

何故分かったかって?目を覚ましてお兄様からのキスの雨を受けながら時刻を教えてもらったからですね。

 

「おはよう。と言っても夜の九時だが。大分無理をさせてしまったが体は大丈夫か?」

 

うーん、はっきり言ってだいじょばないです。腰の重みが尋常じゃない。多分だけど自力で歩ける気がしない。

困っていると、お兄様が気軽に一発いっとくか、と左手でピストルを形どってくれるけれど、とても魅力的だけどそれは甘えだとも思うので。

 

「…この度は、私が原因ですので戒めのためにもどうか、このままで」

 

ええ…明らかにお兄様を煽りすぎました。反省しております。

それに対し、お兄様も苦笑で返した。

 

「戒めって、もう今後こういうことはしてもらえないということか?」

「…同じことがあったとして、手加減はしていただけますでしょうか?」

「難しいだろうな」

 

ノータイムで言い切られました。

そうですか。お兄様をもってしても抑えが利かないというのであれば、やっぱり私が気を付けねば。

初心者にはハードすぎました。

だけど、あれだけ乱れたお兄様を見られたのは嬉しかったので。

 

「…もう少し低いハードルから試していきたいと思います」

 

目を瞬かせたお兄様はふ、と笑って抱きしめると、

 

「俺も手加減できるよう頑張るから、互いに少しずつ進んでいこう」

「…はい」

 

お兄様はスラックスとシャツを身につけられているようだが、私だけ赤い長襦袢という恰好で、なんだか気恥ずかしい。

 

「夕食はどうする?食べられそうか?何ならここに持ってくるが」

 

だというのにお兄様はごく普通の態度に戻られて――いるように見えるけれど、もしかしてこれも抑えている状態なのかもしれない。時折視線が私から外されている。

何事も無いように装っているのに声を掛けるのも無粋かと素知らぬふりをして会話を続けた。

 

「もしやご用意していただいたのですか?」

「HAR任せだがな」

 

どうやらお兄様だけしっかりと服を着ていたのはそうした作業をしていたから、みたい。

お兄様、手厚い。

身体も清められてるし、(赤襦袢ではあるけど)服まで着替えさせてもらって…。

 

「…このままではお兄様に甘やかされすぎてダメにされてしまいます」

「俺としては嬉しい限りだな。ずっと世話をしていたいくらいだ」

 

お兄様ったらいい笑顔でとんでもないことを言う。それ多分ですけど軟禁エンドってやつでは?と前世のゲーム脳が囁く。不穏で危険だ。この空気を払拭しなくては。

 

「では、いただいてもよろしいですか?ですが、ここで食べるのは少々、その、抵抗があるので…お手数ですがソファまで運んでいただけませんか?」

「もちろん構わないよ」

 

お兄様に横抱きにされて移動する。

驚くほど振動も無いおかげで力の入らない体に負担が一切かからなかった。

ほのかに香る石鹸の香りにちょっぴりどきりとしつつ、頭を肩に預ける。

あっという間にリビングに到着し、これまた丁寧にソファに下ろされた。

 

「じゃあ、ここで待っていて。すぐに持ってくる」

 

さらっと頭を撫でて額にキスをしていくお兄様は、スパダリを極めすぎではないだろうか。

え?兄モードとそんなに変わりがないんじゃないかって?…確かに。

ちょっと愛情をオープンにしすぎているところ以外にやってることはそこまで変わりはない。

 

「ん?なんだ」

 

良い香りと共に現れたお兄様をじっと見つめていたら、何かあったかと訊ねられたけど、どう返すのが正解?

 

「お兄様はお兄様としても素晴らしかったですけれど、その、恋人としても素敵なのだと改めて実感したところです」

「……それはどうだろうな」

 

とりあえず思ったことをそのまま伝えると、お兄様は微妙な表情。というか少しばつが悪そう。

…私の知らないところで何かしました?

トレイの上には一人分にしては多めのリゾットに、温かそうなスープと、木のスプーンが一つずつ。

こんなに食べきれませんよ、と隣に腰掛けたお兄様を見つめると、クスリと笑って。

 

「余った分は俺のだからこれでいい」

 

そう言ってスープカップを持ち上げてふぅ、と冷ましてから私の口元へ。

 

「…お兄様」

「してみたかったんだ」

 

……そうですか。

とっっっても恥ずかしいけれど、好きな人に期待に満ちた目を向けられて断れるほど、白状にもなり切れず。

 

「いただきます」

 

お兄様からのあーん、にひたすらに応える。

途中お兄様も食べるから間接キスになったことに照れているとキスをされて、

 

「これなら間接なんて気にならないだろ」

 

という謎理論を繰り出され、ぼぅ、としたままいつの間にかに食べ終わっていた。

途中、何の理由もなくキスされてましたけど?

お兄様案外キス魔。

 

「ごちそうさまでした」

「お粗末様」

「…お兄様、足りなかったのではないですか?」

 

半分は無理だけど三分の一近くは食べた気がする。

お兄様には一人前どころか半人前にも届いていないのではないだろうか。

だけど、お兄様は微笑まれて。

 

「その分深雪をいただいたからね」

 

……理由のないキスではなかった模様。

というか、私食べられすぎでは⁇帰ってきてずっとベッドの上でしたよね?

って、そうじゃない。そうだけどそういうことじゃなくて。

 

「もう、お兄様…」

「お腹は空いてないよ。十分足りてる」

 

初めからそう答えてくださればいいのに。ちょっと意地悪が過ぎる。

 

「ああ、そうだ。深雪、すまないが、ゲストルームに先ほど着用していた着物を畳んでおいたんだが、あのままだと皺になってしまうから後で直しておいてくれるか」

「!わかりました」

 

いつの間にか見えなくなっていたけれど、どうやらお兄様が片付けてくださっていたらしい。…というか、たぶんだけど汚れたはず、なのだけど…///。帯を解かれた後もしばらく下に敷いていたから皴が付くのも当たり前だ。

恥ずかしくなって俯いてしまうのだけど肩を抱き寄せられて、こめかみに口付けられてからぎゅっと抱きしめられた。

 

「お、お兄様?!」

「思い出してしまう深雪が可愛らしすぎる」

「ん、ちょ、お兄様っ」

「これ以上しないから可愛がることぐらいは許してくれ」

 

これ以上、とはどこなのだろう?とりあえず今してる手をすりすりされたり顔中にキスされるのはお兄様的にセーフラインです?アウト感満載なのですが。

 

「さ、今日はもう何もしないで休もうか」

 

時刻はまだ10時を回るところだった。

…食事にずいぶん時間を掛けましたからね、しょうがないね。

さっき起きたばかりだけど、疲労は取れていない。体もだるい。そのうえご飯も食べてお腹が満たされてしまうと眠気が襲ってくるのは必然で。

 

「眠いなら眠ってもいいんだぞ」

「いいえ、まだ大丈夫です…」

 

大丈夫と言いながら重い瞼に負けそうになるのをくつくつと笑うお兄様は、今度はそのまま腕に座らせる形で抱き上げた。

 

「あ、お兄様。先にお着物を」

「ああ、取りに行こうか」

 

ということで一旦ゲストルームに着物を取りに行くことに。

この一時間の間にHARが掃除に入ったようで換気もされていてベッドの乱れも整えられていた。でも、何もなかったわけではないことを物語る証拠はいくつか残されているわけで。そのことに赤面しつつベッドに座らされてから、お兄様が畳まれた着物を手に取った。

そこでふと思ったことが口からポロリと零れ落ちる。

 

「お兄様でも衣装一つで変わられることがあるのですね」

「…それはそうだろう。俺だって普通の男だぞ」

 

普段と違う服装で燃え上がることがあるのか、と指摘すると、何を当たり前な、と返されたのだけど。

お兄様が普通…それは、ちょっとどうだろう?

そんな気持ちが表に出ていたのか、お兄様がちょっぴり不満顔に。

 

「あまりがっついて深雪に格好悪い所を見せたくないからこれでも抑えているつもりなんだ」

 

今日は抑えが利かなかったが、とばつが悪そうに背けられるけど、ごめんなさい。私のせいでした。

でも、そうなんだ。表に出さないだけでお兄様は――って、そうだよね。原作でもあれだけ、美しくも可憐な深雪ちゃんに対して妹に抱くことではないって自制を利かせていたのだから何も感じていないわけではなかった。

 

「安心しました」

「何がだ?」

「お兄様を動揺させられたことが、です。…不安だったのです。いつも見惚れているのは私ばかりかと思いましたので」

「…俺にはそちらの方が不思議だよ。どうしてこんな平凡な男にお前が見惚れてくれるというのか」

「あら、お兄様が平凡とは聞き捨てなりませんね。先ほどの普通もそうですけれど、お兄様はちっとも平凡でも普通でもございませんからね。むしろ唯一無二です」

 

お兄様みたいな人がいっぱいいたら困ってしまう。天然たらしのチートキャラがありふれていたら、たぶん世の中大変なことになる。それでどこでもラブハプニングが起こるのでしょう?女性は気軽に街も歩けなくなってしまいますよ――とは、さすがに冗談だけど、お兄様みたいな人が普通で平凡なんてありえない。

そう訴えるのだけど、お兄様には響かない模様。

容姿に自信が無い、とか?確かに周囲の反応はさほど高くないと聞いてはいるし、外で二人並んで歩くと不釣り合いだ、みたいな声も聞こえることはあるけれど、お兄様どう考えてもかっこいいから。イケメンだから。でないと主役張れないってのもあるけど、華やかなタイプではないから目立たないだけで十分整っている顔立ちなのに。

前世から私にはドストライクな好みのタイプなんだけどね。黒髪も、目力の強い所も。何より最愛の相手に向ける甘いお顔もとても素敵で。

 

「…なんだかな」

 

ベッドの上に持っていた着物を軽く同じベッドの上に放って隣に座るとそっと抱き寄せる。

私の体を気遣ってくれているのだ、と思うとそれだけできゅんと胸が高鳴った。

その上耳元で囁かれる。

 

「どうにもお前は好き者らしいな」

「お兄様の魅力は一見するだけでは見抜きづらいのかもしれませんが、付き合いを重ねるとのめり込んでしまう、中毒性がある、とでも言うのでしょうか」

 

ほのかちゃん然り、七草先輩然り。

ちょっとの付き合いで壬生先輩だって恋に落としてましたしね。千秋ちゃんだって憧れていたわけだし。多分把握してない所でも結構お兄様に憧れている隠れ女子も多数いると思う。

 

「そういう意味では、ずっと傍に居る私はお兄様中毒、ということでしょうか」

 

それともお兄様依存?どっちにしろ字面ヤバいね。

あんまりいい言葉じゃないはずなのにお兄様はなぜか上機嫌になって。

 

「それはいいな。俺を手放せないでいる深雪、か」

「言っておいてなんですが、あまりいい発想とは言えませんよ」

「そうか?深雪が俺に依存してくれるというだけで十分嬉しいが」

「せめて夢中と言ってくださいませ」

 

原因私ですけど依存関係というのは外聞が悪いので。…してないとは言わないよ。お兄様の執着が普通じゃないことは原作でもよく知っていましたのでね。そして深雪ちゃんもね。私は深雪ちゃんほどではないけれど、たぶん無意識にお兄様から離れられない。

 

「中毒や依存の方が安心できるんだがな」

「何故そんな物騒なお言葉で安心ができると?」

「夢中というのは興味が薄れたら離れていくが、中毒や依存は物理的に離れられないからな」

「…もう離れられそうにありませんけれど」

 

こんなにしっかり抱きしめられて、どう離れられると思うのでしょうね、お兄様は。

もうがっちりと心も掴まれているというのに不安だと瞳を揺らすお兄様に、私はどう安心を与えられるのだろう。

どれだけ夢中か伝える?

 

(言葉じゃお兄様はきっと納得なさらないわよね)

 

だとしたら私がどれだけお兄様にぞっこんか実際に見せるのが早いと思うのだけど…うーん。

 

「そうだと嬉しいね」

 

本音を伝えても、こんな寂しい声を出されてしまうと胸が締め付けられるくらい苦しくなってしまう。

すぐにでも伝えたいのだけれど、と何か良い案が無いかと視線を下げた時だった。

その赤が目に飛び込んだのは。

 

「あ」

「ん?どうした?」

 

浮かんだアイディアに、しかしこれはちょっとお兄様に引かれるかもしれない、と思い直して視線を背けたのだけれど、お兄様は流してはくださらないようだ。

頬に手を当てられ視線を合わせられると、教えてくれないか、とまっすぐ問われた。

…お兄様、こうやって聞けば私が簡単に口を開くって思ってるよね。その通りなのだけど。

 

「お兄様も、一緒に横になって下さるのですよね」

 

何もしないで一緒に休もう、とはこの後一緒に眠るってことだよねと確認すれば、ああ、と返ってきた。

大抵その、所謂抱き合った夜は、何もなければお兄様の部屋で休むのが流れだった。

 

「お前より優先する用事は何もないからね」

 

いつも何かしら仕事や考え事を見つけては作業をしてしまうワーカーホリックなお兄様だけれど、仕事よりも選んでもらえることに喜んでしまうのは、お兄様に失礼だろうか。

お兄様が私を最優先にしてくださっていることはわかっている。

だからといってずっと独占できるわけではない。お兄様は立場上することがたくさんあるし、研究はお兄様の夢でもある。もちろん応援するし、陰ながらお手伝いもしたい。

お兄様がなさりたいことが優先第一位で良いのだ。

だけどこうして他の物を放ってまで私を構ってくださると、目に見えてお兄様を独占させてもらえてるのだと優越感を抱けて、嬉しくなってしまう。

 

(きっと、こんなことを知られたら呆れられてしまうだろう)

 

独占欲なんて、持たないと思っていた。特に、お兄様には抱いてはならないと思っていたのに。

恋とは、なんと恐ろしいのだろうか。

そんなことを考えているなんて知られたくなくて、言い淀んでいたことをするっと口にしてしまった。

 

「でしたら、お願いがあります」

 

 

私のお願いに、お兄様が初めて顔を顰められたが、最終的に折れてくれた。

 

 

 

 

「………素敵」

 

お兄様のベッドの上、腰かけて着替え終わったお兄様の姿にうっとりと見惚れる。

相変わらず赤の長襦袢を着ている私は、お兄様にささやかなお願いをしてみた。

そもそもこの恰好をさせたのはお兄様だ。寝ている間、私にパジャマを着せることもできたはずなのにわざわざこれを着せたということは、この姿を見たかったということだと判断した。

事実、お兄様からは時折いつもと違う視線を感じていた。

だからお兄様も今夜は着物で寝てほしい、とお願いしたのだ。

そしてどうせ皴を伸ばすのなら、このお着物を、と曼殊沙華の描かれた、女物の着物を着てもらいたい、と。

お兄様は自身が女装をさせられるのかと思ったのか顔を顰めたけれど、それも無理はない。

でも違うんです。粋な男は女物の着物さえ着こなしてしまうものなのですよ。

長身のお兄様は、骨格はしっかり男性らしいが、筋肉は実用的なものばかりが鍛えられ、鋼のように絞られた筋肉をしている。

鍛えていても筋骨隆々にはならない、肉厚ではない体つきなので着やせして見えるタイプなのだ。

だからこそ原作で、あれほど初見で舐められた態度を取られるのだろうね。

…眼光鋭いんだから威圧とかで喧嘩吹っ掛けられそうにないんだけど、態度が大きくて生意気にしか映らないってどんなマジック⁇お兄様が意識的に強者のオーラを押さえてたから?劣等生のレッテルだけでそう思える効力が発揮されるとか?不思議現象は大抵神の思し召しということで解決するわけだけど。

とまあ、話が反れたけど、つまり何が言いたかったかというと、お兄様がたとえ女物の着物を羽織ろうとも女装にはならず、見苦しく見えることなどないということ。

見たい!という気持ちを目に宿しながら思いの丈を伝えると、その情熱に折れたお兄様が着替えてくださった。

嬉しいのだけど、だからって堂々と目の前で着替えられると困ってしまう。

お兄様としてはわざとそうして留飲を下げているのかもしれないけれど、ただ想像するだけでも胸が高鳴るのに、その前の生着替えにドキドキさせられてしまうとこの後どうなってしまうのか――!?と慄いていたのだけれど、いざ目の前にすると心臓って高まりすぎると止まるよねっていう。

何とか声は絞り出したけど、見惚れてしまって体が硬直。いつものように呼吸も止まった。

色気あふれるお兄様がさらに上掛けで色気を纏ったらどうなる?妹は死にます。

お兄様がいる限り死ぬことは無いんだけどね、お兄様が一番私を殺しに来るっていうね。

そのお着物は妹を殺すお着物です?童貞殺すセーターより殺意高い気がする。

多分自分の目にはハートマークが浮かんでいることだろう。口もだらしなく開いていると思う。でもそこから息を吸うことはできない。

やっぱりお兄様の和装は破壊力が半端ない。その上着ることなどない柄物の着物だ。

私が着た時は裾をするほど長かったが、調節されたのか足首が見えるほどの長さになっていた。

お兄様の素足なんてこんな明るいところで見る機会も無いから、じっくり見たいのだけど、見るところが多い。

合わされた襟から覗く肌も、さすがに肩幅は合わなくて袖が短めになって覗く手首も、何よりそのじっと見つめられて困ったような、戸惑ったような、照れくさく、けれどそこにうっすらと嬉しさも滲んでいるような、複雑な表情も――どれもこれも魅力的過ぎて脳の処理が追い付かない。そこに加えて酸素も行き渡らないのだから失神しそうにのも無理はないと思うわけで。

 

(あ、やばいかも)

 

本日二度目で意識が遠のきかけたその時、お兄様が目の前に迫り、唇に柔らかい感触。そして送り込まれる空気。

膨らんだ胸が、わずかにお兄様に触れると、前かがみになっているお兄様がそのまま前に倒れるようにベッドに手をつき、圧し掛かりつつ腰を引き寄せられ密着しながら人工呼吸が数度繰り返された。

意識が戻ってくると、今度は舌を絡ませて深い口付けに変わる。

 

「ふっ…んん、ぅ」

「…困ったものだな、深雪のコレは」

「も、申し訳ありません…」

 

解放されて息も絶え絶えに言葉を返すと、ぐったりと力の抜けた体は一旦抱き上げられベッドの上にゆっくり下ろされる。今度は座るためではなく横になるため真ん中寄りに。

 

「着る時は複雑だったが、悪い気はしないな」

 

そのままお兄様もベッドに乗りあがるのだけど、その時に開けた足がですね!一瞬太ももまでちらりと覘いて、また息の根が止まりかける。

 

(お兄様えっちが過ぎるッ!!)

 

連続で人工呼吸されるわけにはいかない!と急いで顔を覆ったのだけれど、網膜に衝撃映像が焼き付いているため、覆ったところで顔を隠すだけの効力しか無く、視界を塞いだことで次のお兄様の行動が読めなくなった時点でマイナス行動と言えた。

 

「わっ…――っ!!」

 

何も見えない状況で抱きすくめられ、驚くとともに大げさに震えたことで今まで鈍かった痛みがぐっと痛みを増した。…そういえば体痛めてたんでした///。

けれどそんな痛みも一瞬で忘れることになる。

 

「いやらしいことでも考えたか?深雪もえっちだな」

「!!」

 

耳元で囁かれた言葉に二重の意味でヤラレた。

いつもより艶の乗せられた低音の声に、『えっち』なんて普段絶対お兄様が言わない言葉を口にされたことで必殺のコンボが決まった。

瀕死の状態でお兄様の腕の中に倒れ込む。

口から洩れるのは熱い吐息のみ。

散々お兄様からの愛を受けた体が再び熱を持ち始め、きゅうぅ、とお腹のあたりが切なくなる。

くすくすと笑う振動がわずかに弱い刺激に感じるくらいに感度も高かった。

 

「お前が俺を好きだということはよくわかったよ」

 

頭を撫でられ、気持ちが良いのにそこだけじゃ物足りなくて。

着物をぎゅっと握り皴を作る。

それだけで私の想いは通じたように、お兄様は再度耳に息を吹き込んで。

 

「何もしないと言ったが、撤回していいか?」

 

頷く以外の選択肢が浮かばなかった。

 

 

 

 

次の日の朝、全く動けないことにショックを受け、どれだけ貪り合ったのかと羞恥に見舞われ泣き出した私に焦ったお兄様が再生を使い、激しい筋肉痛に見舞われ体が硬直。やりすぎたと反省し深く頭を下げた。

受け入れた私も悪かったと反省し、いくら時間があったって、いくら盛り上がりすぎたからってやりすぎは良くない、という馬鹿馬鹿しくも当たり前すぎる教訓を心に刻み、一日がかりで兄妹の距離感を取り戻す作業に取り掛かった。

次の日はエリカちゃんと遊びに行くのだ。いつまでも恋人モードのままでは迷惑がかかるからね。

だから、

 

「…お兄様、お着物はしばらく封印の方向で」

「…そうだな」

 

しばらく着物を着る機会なんてないだろう。きちんと綺麗にしてから厳重にしまい込む。

 

 

 

「(だが、何時か長期で休みが取れたなら、あの乱れた深雪をもう一度――)」

「(でも、あのお色気魔人のお兄様を今度はじっくり見てみたい――)」

 

 

 

封印の解除のチャンスは案外近いかもしれない。

 

 

 





あのエンディングを見て一番に思ったことは、あの着物ならお兄様も似合うんじゃない?でした。
つまりこのパニックで書きたかったのはこのお話だったということになります。
ええ。男性が女物の着物を着るのっていいよね…!!


女物の着物を着るならあの格好をトレスしたお兄様が見たい!と滾ってしまい、書き始めたお話でした。
わかる人いらっしゃるかしら?もう7年も前になりますが。
実写版〇魂の高杉剛ショック(名称不明)をご存じでしょうか?
放映前は色々と言われておりましたが、いざ当日映画を観終われば、隣の男子高校生三人組からは「あし」「足ヤバかった」「足エロい」の感想が。批判の言葉など一切溶けてなくなっていました。
もちろん私も足の魅力に取りつかれた一人でしたが、男子高校生すらその感想なのかと衝撃を受けて帰ったのを覚えています。が、そんなの序の口だった。SNSの書き込みも「足ヤバい」「おみ足が」と、「高杉剛 足」がトレンド入りするほどの熱狂ぶり。なかなか狂った世界でした(笑)多分性癖狂わされた人もいたと思う。それくらい衝撃な映像だったのです。ゴロンと横に倒れ、着物の裾から覘くあの魅惑のおみ足が。
きっとお兄様もごつごつしたタイプじゃないから多分セクシーなおみ足なんじゃないかな、とトレスした姿が見たいなーと思って書いたのですが、寝転がるシーン入りませんでした。はだけさせるだけで精いっぱい。
でもその一瞬で成主妹はいっぱいいっぱいでしたからね。
寝転がってちょっと足元開けてくれればきっと妹は昇天する。えっちが過ぎる。
お兄様の、セクシーなショットが見たかった。ただそれだけのお話でした。


ちなみに拙宅のお兄様の再生は、怪我は治るけど怪我をした記憶は残るように快感を受けた感覚は無かったことにはならないので、ちょっとした衝撃でも敏感になってます。ので、次の日皆と遊びに行っても雫ちゃんと普段通りに絡むとこっそりビクッとする妹が見られます。…敏感になった体は一日もあれば落ち着くはずなのになんででしょうねーお兄様?


これにてエンディングパニックは終了です。読了ありがとうございました!

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