妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編   作:tom200

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北極星(お兄様)がいるから、迷わず進んでいける。


ブレない理由

 

 

私が彼女のことを考えていた時、お兄様も彼女を思っていた。

 

「入れ替わり、か。深雪は大丈夫だろうか」

 

お兄様心配ですよね。大好きな深雪ちゃんが同じお兄様とはいえ自分ではないお兄様の元に行っているのだから。

だけどね、こうしてお兄様の元に来て思うのですよ。

 

「大丈夫ですよ、きっと。だってお兄様がいらっしゃいますもの」

 

安心してもらうように微笑む。

 

「私もそうです。お兄様がいて下さるから、怖くないのです」

 

不安が全くないと言ったら嘘になる。でも怖いか、と聞かれると――お兄様がいる。

 

「お兄様がいて下さるなら何も怖くはありません」

「…そう、か」

 

口を綻ばせたお兄様と視線が絡む。

とてもやさしい瞳に、心臓が早く脈打つ。

 

(……原作のお兄様のスマイル、威力半端ないっ…かっこいい!)

 

画面越しで見ていたものを目の前で見られた興奮で、胸が苦しい。心の中がお祭り状態だ。

え、静かじゃないかって?

キャーキャー騒いでいるマインドルームは防音ばっちりなので漏らしはしないよ。煩いもの。

出せる部分だけでお送りしてます。

お兄様カッコいい(うっとり)、までなら深雪ちゃん的に表に出して許されると思ってる。

煩さを抑えられているのは淑女教育の賜物です。厳しくしつけをしてくださった母に日々感謝。

 

「深雪がそう言うなら、安心かな」

 

そう言いながらも複雑そうなのは、私の言葉を疑っているのではなく自分の深雪ちゃんが心配だからだよね。

だけどその心配がさらに私を喜ばせる。心配してくださっているというだけで、心が傍にある様な、そんな気持ち。

きっと、私のお兄様も同じなのだと、そう思えるから。

それからお兄様は私に学校生活の様子を教えてほしいとお尋ねになった。

どうにも一科生と二科生が不仲でないことが信じがたいらしく、気になっていたらしい。

まあそうだよね。あれだけ凝り固まったものがどうして、と思うのは不思議なじゃない。…不思議じゃないんだけど、説明するとなるとあの恥ずかしい事件を語らなければならないわけで。

…ぼや~、とぼやかして伝えてみた、のだけど。

 

「――つまり深雪を泣かせたのか、他の生徒の前で」

 

おっと、お兄様のお怒りスイッチがお兄様に向いてしまった!

違うんです!誤解なんです!!すべて私の計画だったんです。

 

「お兄様はただ、私の作戦にのってくださったのです。ですが、お兄様にも言われました。わかっていても私に泣かれると自分を抑えられなくなる、と。あの時は申し訳なかったと今でも反省しています」

 

私の作戦だったと伝えると、怒りは静まったみたいだけど納得のいっていない不満顔。…あの時のお兄様も似たような顔してたなぁ。場違いにもちょっとほっこりしてしまう。

 

「その後七草会長が良い具合にまとめ上げて下さいまして、一科生と二科生の蟠りは徐々に解けていったのです」

 

そこには演劇部部長考案の舞台が一役買っていた話もあるのだけどここでは割愛。ナイトとして語り継がれているなんて話したらお兄様ショック受けると思うから。

 

「こちらの会長よりも優秀そうだな」

 

ずばっとお兄様が失礼なことを言うけれど、七草会長の能力は変わりないと思いますよ。どちらも頼りになる先輩ですとも。否定はちゃんとさせていただきました。

 

「それで、ほのか達との関係も変化があったのか」

「そう、ですね。彼女たちには一方的にお兄様との間を引きはがそうとしたことを謝罪されました。そこから仲良くなったのです。特に九校戦からは雫と仲良くなりまして、よく手を繋いだり、横でおしゃべりする仲でした」

 

ほのかちゃんがお兄様にアタックしている時、雫ちゃんがよく相手をしてくれました。

その後お兄様が近すぎる、とか理由をつけて私たちと絡み、ほのかちゃんから話題を反らすようなことをよくやってましたね。

お兄様と雫ちゃんがライバル関係だったと言うと、お兄様はなぜ?と疑問符を浮かべていた。珍しい表情。けど残念、私も詳しい回答を持っていないのでお答えできなかった。申し訳ない。

あの雫ちゃんとお兄様の仲は私の知らないところで面白おかしくなってしまっているのです。

 

「エリカとも、夏の別荘でブラコン同盟を結びましたし、美月はお兄様とのお話を聞かれますね。私も自慢のお兄様の話を聞いてもらえるのでよくお話ししています」

 

美月ちゃんのはたぶんあれ、ネタにされてるんだろうな。オタク知ってる。推しの日常はウマい。生きる糧である。

 

「…つまり、相当仲が良いんだな」

「そうですね。大好きなお友達です」

 

彼女たちを思い出すだけでにこにこ笑顔になっちゃいますね。

だけどお兄様の憂い顔(妹eye's)を見るに、ここではそこまで仲が深まっていない模様。

まあ、そうだね。深雪ちゃんお兄様しか見えてないから。

でもね、大丈夫ですよ。

 

「彼女たちが優しくていい子なのには変わりありませんから」

 

大好きな子たちには変わりないので。

そう言うと、お兄様はわずかに目を見開いて――ふわりと微笑まれた。

 

「…寂しくなったらいつでも俺の傍においで」

 

ぐぅっ…。

なんて綺麗な笑みに、破壊力のあるお言葉。心臓を握りつぶされそうになってます。苦しい。でも好き。

表向きは微笑んでお礼を言いながら、震える手でクッキーを齧る。

顔は赤くなっていないだろうか。目は泳いでない⁇

もうね。お兄様はすぐに私をこうして翻弄するから私はいつも困ってしまうんですよ。どこの世界でも変わらない、妹すら恋の沼に落とすお兄様のたらし能力。おそるべし!

お兄様の慈愛に満ちた視線が強まる。…照れていることがバレていますね。でも手を伸ばされてないだけ安心できます。あっちのお兄様じゃすぐにこの距離詰めてきますからね。危険。

 

(…深雪ちゃん、無事だろうか。うちのお兄様、こっちのお兄様と違って危険物なところあるから)

 

距離感の違いに翻弄されてないといいのだけど。

それからしばらくお話をして、そろそろいい時間になった頃。

 

「お開きにするか」

「そうですね」

 

コーヒーも無くなり、そろそろ自室に戻る頃合い。

この後はお風呂に入って勉強をして寝るだけだ。

 

「お兄様、もしかしたら眠れば元に戻るかもしれません。予感があるわけではないですが、眠った時に入れ替わったのは事実なので、それがトリガーになっている可能性がございます。ですので」

 

立ち上がり、感謝の念を込めて一礼する。

 

「お兄様、今日はありがとうございました。改めて私は、ーー深雪はお兄様の妹でいられてよかったと、心から感謝しております。幸せな時間を、いつもありがとうございます」

 

するとお兄様も立ち上がって、近寄ると両肩に手を置いて。

 

「それはこちらのセリフだよ。深雪が俺の妹でいてくれる幸運に、いつも感謝している。――ありがとう」

 

心のこもった言葉に、目が潤んでしまう。

それに気づいたお兄様が、深雪は変わらず感激屋さんだね、とそっと抱きしめてくれた。

お兄様も自分の妹と同じ接点を見つけられて安堵しているのか、とく、とくとお兄様の心音が聞こえた。

 

 

 

このあと少し早いけれどおやすみの挨拶をして互いの部屋に戻った。

今日はいろんなことがあり過ぎて、勉強もあまり身に入らない。こういう時は今やるより明日の朝にした方が良い。

私は少し早い就寝準備をし、ベッドに潜る。

瞼を閉じれば、最後にお兄様に向けていただいた優しい笑みが浮かんだ。

安心させるような優しい笑みに、心が温かくなる。

お兄様の包容力は世界一。どの世界でも頂点だ。

この世界で目覚めた教室ではこの先一体どうなるかと思ったけれど、お兄様がいてくれるのなら、やっぱり怖くない。これはこれで楽しめる。そう思った。

だってここは原作世界。大好きなお兄様と大好きなキャラクターたちが織り成す物語の世界。

 

(聖地巡礼の気分!大好きだった世界を体験できるなんて!)

 

オタクにとってはコンセプトカフェの気分です。もしくは没入型アトラクション。

これを無料で体験できるんですか?お願いだから払わせてほしい!!お金持ち合わせてないけど。

 

(いくらお兄様たちに優しくない世界でも、それを勝手に崩していいわけじゃないからね)

 

その辺は弁えているつもりですとも!

勝手に改変はよくない!だってここは深雪ちゃんの世界。私の世界ではないのだから。

とはいえ、このまま眠れば元の世界に戻ってしまう可能性もあるのだけれど。

あのお兄様を体験できただけでも満足なのでいつ帰っても悔いはない。

私ひとりお気楽なトリップだね。あっちの深雪ちゃんが心配ではあるけれど、できればあちらの世界を楽しんでもらえたらいい。

深雪ちゃんボディがパーフェクトのいいところの一つ、横になって温かくなるとすぐに眠れる。

というわけでおやすみなさい。すやぁ。

 

 

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