妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編   作:tom200

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ナンバリングされていますが前作の続きではありません。
24年は本編も完結し、アニメ3期も始まっていたのでテンションが上がりすぎて三本誕生日ネタを書かせていただきました。

謎時空で、達也パパと深雪ママと光宣くんとメイドの水波ちゃんのお話。
クレヨンで画用紙いっぱいに描かれているほのぼのイメージで書きました。



お兄様誕生日小話2024②

肩たたき券はまだ早い

 

 

「達也様、小包が届いております」

 

二重三重のチェックを終え水波ちゃんが持ってきたのは、まだ梱包された状態の小包だった。

普通なら差出人を言うはずだけれど、水波ちゃんはなんだか言いづらそう?

お兄様宛で言いづらい人なんて…誰だろう。

 

「誰からだ?」

 

お兄様も不思議に思ったのだろう。手に取るよりも先に聞き返していた。

水波ちゃんはそれでも口を開くのにためらって、ついに小包の宛名書きをそのまま見せた。

私には見えないのだけれど、お兄様はなるほど、と納得のお顔。

そんなに言いづらい名前の人なんていたかしら、と首をかしげているとお兄様が手招きを。

すすす、と近づいて見せてもらうと、あら可愛い。

 

「愛する息子より、ですか」

「光宣も案外可愛いことをする」

 

お兄様ったら本当に父親の顔になってますよ。この年頃の息子のいる父親の顔ではなく、片手くらいの年齢の子供の父親のようだけど。

 

「今日届いたということは、誕生日プレゼントでしょうか」

「まあ緊急性はない普通郵便のようだが」

 

とりあえず開けてみるか、とお兄様私たちの前で開封するのです?

 

「お兄様、先に一人でご覧になってからの方がよろしいのではないですか?見せて大丈夫なものでしたら私たちにも見せていただけますと嬉しいです」

 

何が入っているかわからないのでまずはお兄様が先に見たらどうだろうかと提案したのだが、お兄様は苦笑されて。

 

「…光宣のことだから俺にだけ、という物は贈らないと思うが」

 

もしそうなら、わざわざこんな名前で荷物を送ることなどないだろう、と。

確かにその通りではあるのだけれど、うーん、配慮のしすぎかな。

お兄様が良いというのならいいか。

水波ちゃんも気になっているようだし、これで私が見ないと言おうものなら水波ちゃんだって見られないわけで。

ということでこの場で開けることに。

中身を取り出してみると、手のひらサイズの綺麗なサテン生地の布にくるまれたものが出てきた。

それをいったんそのまま机の上に置き、小包を覗くと一通の封筒も同封されていたようだ。

メッセージカードではなくお手紙なのね。日記を書くようになって文章が得意になってきた光宣君は最初の方のたどたどしさが嘘のように、今では伝記かな?と思うほど日常が面白おかしく書かれるようになった。とりあえずたまに行く学校でクラス委員長を困らせて遊ぶのはほどほどにね。

お兄様は封筒も開けられて中身を確認。

速読で二、三秒かかったかくらい。早い。

口元には笑みが浮かんだので良いことが書かれていたようだ。

一体何が書いてあったんだろう。

封筒に手紙を戻してもう一度布に包まれたものに手を伸ばして、丁寧にめくると――

 

「写真立て、ですか?」

 

裏返しにされた写真立てが。

デジタルで何でも済むこの時代。木製フレームの一枚しか入らないよう爪で止めるタイプの古き良き写真立ては、母の写真立て以来だ。

アンティークとしては人気があるけれど、一枚しか見られない写真立てより、数秒でいろんな絵を見せてくれるデジタルフォトフレームの方が主流。

そこにはいったいどんな写真が収められているのか、気になって水波ちゃんと一緒にお兄様に期待の視線を向けると、くすりと笑って期待通り写真立てをひっくり返して見せてくれたのだけど――え?

 

「…これは、写真ではなく」

「光宣が描いたらしい」

「「ええ!?」」

 

初めはびっくりして声が出なかったのだけど、描かれた内容と、光宣君が描いたと言われては驚かないわけがない。

だって、そこには――

 

「何故私の絵を…?」

 

これは色鉛筆だろうか。なんとも繊細な絵だ。

一瞬写真かと見紛うほどの出来栄えだった。…光宣君、何ができないの?体調がすぐに悪くなっちゃう以外の欠点と呼べるものが無いのだけど。

そう言えば美術が得意って日記に書いてたっけ。だとしても、これは上手すぎる。光の加減といい、色使いがすごい。

 

「光宣の手紙には、息子として初めての誕生日だから定番のお父さんの絵を描いて贈ろうとしたのだが、途中で俺を描いても喜ばれる気がしないと思い直して、どうせだったらお父さんの大好きなお母さんの絵にしよう、となったらしいな」

「……」

「…納得です」

 

うん、水波ちゃんもそう思うよね。私も、お兄様がお兄様の絵を見つめる図ってあまり喜びそうには見えない。

 

「俺もこれなら嬉しいプレゼントだ。深雪の身に着けている服はお祝いということでそれらしいモノを選んだとのことだ」

「お祝いだからパーティードレス風だったのですね」

 

二人がまじまじとその写真を見つめながらお話しているけど、私は若干慄いている。

絵の中で纏っている服は、原作でお兄様のお祝いをするときに身に付けていたドレスにそっくりだった。

とはいってもバストショット迄しか描かれていないから全体図は見えないのだけど、恐らく一緒。

あのロケットに収められている写真とそっくりだ。

…恐ろしい強制力。

プレゼントしていないのにお兄様にあのバストショットは贈られてしまうのか。

だけど原作と違い、贈られたお兄様に困惑は見えない。

 

「俺は良い息子を持ったな」

 

むしろとても喜ばれている。

 

「せっかくだ。どのドレスか突き止めて深雪に着てもらって光宣に見せて驚かせようか」

「!?お、お兄様!そんなことの為にドレスを買おうとなさらないでくださいませ」

「そんなこと、じゃないさ。サプライズだ」

 

たった一度のサプライズの為にドレスを買おうとしないでほしい。

すでに以前見つけて値段を調べたらかなりのお値段でびっくりした覚えがあるドレスだ。

買うつもりはなかったよ?でもね、買わずともファンとして調べちゃうし、好奇心で金額は見ちゃうよね。何度でも言う。だってファンですもの。

深雪ちゃんが纏うものですもの、全てにおいて一級品でした。

…深雪ちゃんのお買い物ってお財布は父親でいいのかな。お兄様相手に買っていただくにはちょっと金額が、ね。まあ、父の場合ならお兄様のおかげで稼いでいる部分もあるのだからいいのか。心が全く痛まないお財布です。

じゃなかった!

考え事をしている間にお兄様が端末をいじられている!

 

「ふむ、今なら即日配達可能だそうだ」

 

それサービス代かかる速達配送ですよね?!

今日のお礼の電話をするときに着せるおつもりですか!?

水波ちゃん!

と、常識人の水波ちゃんなら止めてくれるはず!と振りかえるのだけど、彼女は何故か拳を握っていた。その顔には闘志が宿っている。

 

「み、水波ちゃん…?」

「深雪様、お任せください。光宣様の絵にあるよう、髪形もきっちりセットいたします!」

 

…わぁ、メイド魂がうずいちゃったの…。

主を着飾るのがメイドさんの使命らしい。

これは逃げ場がない。

お兄様の誕生日ですのに私がドレスを買ってもらうの?おかしくない⁇

 

「誕生日とは最高だな。わがままを言ってもすぐに通してくれる」

 

多分、世の誕生日の楽しみ方とはだいぶ異なってますよ。

でも、お兄様が楽しんでいらっしゃるからいいのか。

 

「着飾った深雪が見られるなんて、最高のプレゼントだ。光宣は孝行息子だな」

 

……まさか、お手紙に何か計画のようなものでも書かれていた…?

訝しんでお兄様を見つめれば、お兄様は口元で指を立てて。

 

「息子との秘密だ」

 

だそうです。

仲が良いようで何よりだね、うん。

ウィンクまでつけていただいて私は瀕死の重傷です。お兄様、私がどんな仕草に弱いか把握してるよね。今にも息が止まりそう。

水波ちゃんが道具を揃えてまいります、とメイク道具を取りに行っている間、お兄様にソファにエスコートされて、肩を抱き寄せられてもう一度写真立てに納められている絵を見る。

 

「上手に描けているな」

「私たちの息子は本当に才能に溢れていると同時に努力家さんですね」

 

これだけの絵を、何の練習も無しに描けるとは思えない。きっと今までたくさん描いたものがあるのだろう。家を出られない分、見つけた趣味の一つなのかもしれない。そう思うと、この絵もとても愛おしく思える。

 

「良い顔をしているな」

「光宣君にはこう見えているのかと思うとちょっと恥ずかしい気もしますが」

「よく見比べさせてくれるか?」

 

顔に手を当てられてお兄様に向けられる。

 

「うん、確かに似ているが、こちらには動きがある分いつまでも眺めていたい。ほら、頬が赤くなった」

「…もう、お兄様ったら」

「瞳が潤むと輝きが増すな」

 

近いですお兄様!それ以上はお控えください。心臓が苦しい。

誕生日だからって妹の息の根を止めて良いわけじゃないですからね?!

 

「ふ、揶揄いすぎたな」

 

お兄様が引いてくれたけど、熱はまだ引かない。

でも、こんなに楽しそうなお兄様を誕生日に見ることができるなんて。

 

「なんだ?」

「いえ、お兄様が楽しそうで嬉しくなりました」

 

まだ火照ったままの頬をお兄様の肩に乗せる。

 

「…そうか」

 

たった一言だけれど、お兄様が少し照れたのが伝わってきた。

ドレスの到着を知らせるチャイムの音が聞こえるまで、目を瞑って寄り添い続けた。

 

 

 

 

 

 





最速便で届いたドレス。配送でもお金がかかっております。
水波ちゃんは、届く前に準備を整えたのだけど中に入れなかった。誕生日ですからね。でも妹を困らせればその限りではない。それをお兄様もわかっているから穏やかに過ごしているのでしょう。
この後ドレスを着て光宣君に映像電話をしてお礼を言うけど、美しいお母さんを見られて、横に喜んでいるお父さんの姿もあって息子もハッピー。
本当早く家族一緒に暮らせると良いね。
お兄様お誕生日おめでとう家族バージョンでした。

こんなに長くなるはずじゃなかったのに、気付いたらお兄様がドレス買ってた。びっくり。ただ光宣君が絵を描いてプレゼントするお話だったのに。どうしてこうなった?アニメのドレス姿見ちゃったからかな?

お粗末様でした。
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