妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編   作:tom200

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アイドルパロです。
次話の話を上げるにあたって先にこちらを読まないとわからないことに気付き急遽UP。

お兄様と一条君がアイドルユニットを組んでいるけれど、今回は役者のお兄様のお話。というか小ネタです。




世界の敵になろうとも

 

「ええ!?お兄様も出演なさるのですか?!」

 

食後のコーヒーを机に置いた直後、そうだ、と思い出したように口にされたお兄様からの告白にトレーを胸に抱いてお兄様に詰め寄ってしまった。

驚きすぎて距離感がくるってしまいちょっと背中を押されたら触れ合ってしまうほどの距離だというのに、お兄様は慌てることも無くにこ、と微笑まれて。

 

「俺は始め悪役サイドだがな」

 

お兄様が、悪役!

興奮のあまり、トレーそのままにお兄様の横に腰を下ろして更に身を寄せる。

今度リリース予定の新曲のタイアップの特撮番組に将輝君が主役として出演が決定していたのだが、そのドラマになんとお兄様も出演されるのだという衝撃の情報をいち早く解禁してくれたのだ。

あ、フライングではないよ。時計を見て、解禁の時間ぴったりに教えてくれたみたい。

そういうところはきっちりしてくれる。お兄様的にはフライングを気にしないのだけど、私がね。ファンとして応援したいから、と情報制限のあるものはできるだけ隠してもらっている。相談があるものは別だけど。

それにしても、お兄様が特撮ドラマに出演!

将輝君が主演で主題歌も、ってだけでも楽しみだったのに、その敵役にお兄様も出演されるなんて!これで大興奮しないファンはいるだろうか?いや、いない!!

少なくともここに大興奮しているファンがいます!

しかもお兄様に悪役だなんて!しかも『始めは』とお兄様はおっしゃった。

つまり味方になるわけですよね?!

最高では!?!?

円盤の予約はまだですか?!番組がまだ始まってもいない?そこを何とか!

 

「喜んでくれるか」

「もちろんです!今からすでに楽しみすぎて」

 

きっとキッズたちだけではなく大きなお友達も毎週楽しみにテレビの前で待機するのだろう。

私自身当日はペンライトを握りしめて正座して待つ姿が目に浮かびます。

 

「悪役だぞ?」

「特撮ドラマの悪役は人気なのですよ。それにお兄様の悪役!きっとカッコいいのでしょうね」

 

今のお言葉からもわかるようにお兄様はあまり特撮などに興味はないからご存じないのだろうけれど、特撮の低音響くスタイリッシュなカッコいい悪役は人気がある。キャラ自体にも深みがあるしね。

ただのやられ役のモブではない。きっと配役は幹部キャラだろうから強いだろう。お兄様はスタントなしでアクション余裕だから戦闘シーンも顔有りで見られるのでしょう?演出上使わないはずないものね!今から楽しみで仕方がない。

あまりの興奮振りに、しかしお兄様は引くことも無く微笑まし気に見下ろして頭を撫でる。

 

「お前の期待は裏切らない」

「お兄様…」

 

何時だって期待以上の成果を出されるお兄様だというのに、わざわざ誓うように告げられて、妹の心はもう打ちぬかれっぱなしです。胸の前のトレーなんて何の防御も為さない。

これ以上は過剰攻撃。今になって距離が近すぎることに気付いて離れようとしたのだけれど、何時の間にトレーの壁は無くなり腰に腕が回っていたのでしょう。ついさっきまで握りしめていたはずなのに。分解・再生されたのではと思うほどの早業。

仰け反って避けようとすると自然と背中に移動して逃れられないようになってました。

至近距離、吐息がかかるほどの距離で問いかけられる。

 

「俺が敵役でも嫌わないでいてくれるか?」

 

あら、まあ。

少し心配そうなのはそう言うところでしたか。

でもご安心ください。私はお兄様の妹なのですから。

 

「世界中が敵に回ろうとも、私がお兄様の敵に回ることなどございませんとも!私は、どんなことがあろうとも絶対にお兄様の味方です」

 

そこだけは世界が違えど絶対に変わらない、私の信条だ。私が私であるための、軸そのもの。

 

(たとえ現実がそうなろうとも、私だけは絶対にお兄様の味方であり続ける)

 

なんて、たかがドラマの役どころで大げさな話だけれど。

小さなお子様には怖がられてしまうかもしれないけれど、ママさんファンのハートはがっちり掴みそうだよねお兄様。

あああ、楽しみすぎる。

キラキラした眼差しをお兄様に向けると、お兄様は更に目を細められて笑みを深くされた。

外で見ることのない、アイドルでも役者でもない。お兄様の、私にだけ浮かべられる表情に鼓動が早まる。

 

「お前が味方で居てくれるなら、俺は何だってできそうだ」

 

蕩けるような微笑みに、熱に浮かされたようにただ水気を帯び始めた瞳で見つめ返すしかできなかった。

顔だけではなく、体の体温さえも上がってしまい、笑みだけで腰が砕けてしまったように力が抜けていく。

それをしっかりと抱き支えられながら、このままだと意識を失ってしまいそうで何とか意識を逸らそうと特撮ドラマあるあるを考える。

人気の特撮ドラマならグッズ展開も幅広い。おもちゃだったりゲームだったり、クリスマス時期になるとたくさんグッズは出るけれど、基本悪役は少ない。ただし、お兄様は途中からヒーローになるご様子。つまり後半畳みかけるようにグッズ化されるということだ。

何としてもグッズは絶対手に入れたい。でも悲しいかな。家から一歩も出られない身としては恐らく出るであろうガチャを回しに行くことは叶わない。どうやって手に入れよう?あれに関しては通販はないだろうし、他人を介して購入なんてできるわけもない。

自身の考えに沈んでいつの間にか俯いてしまっていたようだ。お兄様の手が頬に添えられ視線が合う。

 

「一体、何を憂いているんだ?」

「…その、まだ確定でもございませんので」

「構わないよ」

 

言ってごらん、というお兄様に促されるまま心配事を告げると、お兄様は一瞬虚を突かれたような顔をしてから噴き出した。

 

「ふっ、随分先のことを心配しているんだな」

「お兄様のグッズですよ?欲しいに決まっているじゃありませんか」

 

最低でも1セットはコンプリートしたい!!

「俺が貰ってくるのでは駄目か?」

「それでは売り上げに貢献できませんもの!」

「…お前はファンの鏡だね」

 

複雑そうに、言葉を返したお兄様は、何かを閃かれたのか、一つ頷いて。

 

「とりあえずそのガチャガチャの件は俺に任せてくれないか」

「本体ごと買うようなことは…」

「それも考えたが、それでは深雪は喜ばないだろう?お前を喜ばせる方法でちゃんと持ち帰って来るから」

 

お兄様ならガチャガチャごと買ってきてしまうのでは、と心配になったけれど、別の案も考えてくれたようだ。想像がつかないけど一体なんだろう。

 

「まあ、楽しみにしておいで」

「はい!」

 

優しく頭を撫でられながら、久しぶりのゆっくりした時間を過ごした。

 

「興奮して寝られないようなら、今夜は一緒に眠ろうか」

「…お兄様、私は小さな子供ではないのですよ」

「わかっているさ。世界一美しく可愛い、俺の最愛の妹だろう」

 

一緒に寝ようだなんて、そんなことをしたら私は心臓発作でも起こして永眠しちゃいますよ。

やんわり断ったのだけど、最愛の妹だって!…殺し文句に息の根が止まりそう。危険だ。

 

「もう、お兄様ったら」

 

冷めたコーヒーに口を付けて距離を開け、心臓に休息を。

お兄様も揶揄っただけのようで口角を上げられてからコーヒーに口を付けた。

お兄様の特撮!楽しみだな。

待ちきれない、と頬を緩ませては、お兄様に頭を撫でられ落ち着くように諭されるのだった。

 

 

 

 

半年後、ドラマはアイドルファンのみならず特撮ファンやママさんファンが付いて大ヒット。

異例のグッズ展開となり、市場は大変賑わっていた。

予期した通りガチャガチャも販売になり、悪役のお兄様はシークレットで、ヒーローver.もレアという有様。滅多に手に入らないらしい。

補充してもすぐになくなるらしく、買うつもりはないけれど転売サイトをチェックしたらとんでもない値が付いていた。

これは手に入らなそうだな、と泣く泣くあきらめかけていたのだが――。

 

公開ラジオ企画で、二人が『運を持っているのはどっちだ!自分のキャラを何回で引けるかチャレンジ』とタイトルコールを。

この公開ラジオは有料にはなるがオンラインでも視聴ができ、彼らが真剣にガチャを回す様子が映っていた。

 

「どちらが先に引けるか勝負だ!」

「俺には期待して待ってくれている女性(ひと)がいるからな。必ず引いてみせる」

「え!?か、彼女が?!彼女のことだろう!?俺のは?欲しいと言ってなかったか!?」

「この企画のことは話していないから言われてはないな」

「…そ、そうか…」

「だが、毎週楽しみに見ているからあれば喜ぶだろうな」

「!そうか!なら絶対に引かないとな!」

 

コーナーの趣旨が変わっていることにファンの掲示板やSNSは突っ込みの嵐が巻き起こったが、本人たちは至って真剣にガチャを回しまくった。

結果、全コンプリートして持ち帰ってきたところを満面の笑みで迎えられ、彼女の方から抱きつかれたことにご満悦の兄は、その後しばらく撮影現場で機嫌のいい姿が見られたそうな。

 

 

 





光るパジャマは子供サイズしかなくて嘆く妹がいたとかいないとか。
結果、リメイクして上はワンピース風、下はハーフパンツ風にしたが、スリット入りでちょっぴりセクシーになった。お兄様に見つかったら大変。普段家にいないから油断してると大変なことに。
本編の方ではラブハプニングの呪いを注意していたはずなのに、こっちでは気が緩みがち。お兄様が美味しい思いばかりする。

ちょっと、特撮界隈で騒ぎがあったので便乗小ネタ(当時主題歌が好きなアーティストが担当された衝撃で気付いていたらネタに消化してました(^^;)

お兄様にはぜひヒールをやってもらいたいものです。

お粗末様でした。
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