妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします! 番外編   作:tom200

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まだまだ一年生の秋。
二人きりの生活を書きました。
…そこはかとなくヤバいお兄様がおりますが番外編ということで。


11月の記念日 11/3

 

11月3日

 

今日は文化の日。祝日だ。

学校はお休み。クラブ活動がある子は登校していたりするけれど、生徒会は特に何もない。でも――

 

「では、行ってくる」

「お気をつけていってらっしゃいませ、お兄様」

 

お兄様はおひとり、FLTにお仕事へ。

軍の方は今まさにバタバタしているところなのでお兄様はむしろ近寄れない。関係者と思われてはいけないからね。秘匿秘匿。

ただ、あれだけのことがあったのでお兄様的に私を一人にするのは、と不安に思われているのか表情が心配そうで、眉が下がり、抱きしめる腕もいつもより強い力で抱きしめられている。

私は私で、来る叔母様との面談に向けて手土産を用意しなければならないのでちょっと時間がない。

せっかくお誘いいただいたのに一緒に行けないのは心苦しいが、納期はね、守らないと。

今朝焼き立てのお菓子詰め合わせは是非第三ラボの皆さんと召し上がってください。お兄様を今後ともよろしくお願いします。

名残惜しむように離れていく手に苦笑しつつ、再度お帰りをお待ちしています、と見送りの言葉を。

 

「ん。できるだけ早く帰るから」

「ふふ、あまり早すぎては捕まってしまいますよ?」

「その時は実力行使だな」

 

あらお兄様ったら冗談がお上手。…冗談だよね?お目目がジョークの色をしていないけども。

 

「安全第一でお願いしますね」

「もちろんだ」

 

ようやくお兄様は玄関を出ていかれ、バイクでFLTに向かわれるのを見送った。

しっかりと施錠をして紅茶を淹れて自室へ向かう。

今日は気合を入れてぬいのお洋服を作らねば!

タイムリミットは夕方まで。集中!

 

 

 

時間泥棒ってなんで捕まらないのかな。あっという間に時刻は夕暮れ。

何とか予定通りに進み、呼び出された日までには完成できそうなところまできた。

 

「んー!」

 

ずっと座ったままだったから体を思い切り伸ばす。うーん、この解放感はたまらない。

お兄様が帰宅するまであと一時間はあるはず。

今日の夕食は、なんでも調味料の日らしいのでタレを楽しめるものを、とチヂミをメインに前世で言うところの韓国料理を。

つけダレは10種類用意。やりすぎかな、とも思うんだけど、記念日だからね。うん。ちょっと前世で色々試してみたい味があったんだよね。

ご飯は石焼ビビンバだけど流石にあの器は無いのでそこは魔法でカバー。…私の料理って本当魔法ありきだなぁ。悪用はしていないので許して欲しい。

基本、生活魔法しか使ってません!ってそんな言葉この世界にはないけどね。

服を綺麗にしたり温度を適温にしたり、料理に使ったり。

魔法が兵器という文化の世界でこんな平和な魔法の使い方をしているのは私くらいなものだろう。

でも、それもあと数年でお兄様が世界をひっくり返す。

平和利用の魔法を世に知らしめるのだ。

 

(兵器ではない、人の生活に役立つ魔法を――)

 

と、それはまた別のお話。今はまず今日の夕飯を完成させねば。

本物の石焼ではないけれど、いい焦げ目を作ることができて満足していると、深雪ちゃんのお兄様アンテナがビビッと反応。

想定より早いご帰宅だ。…法定速度はちゃんと守られていただろうか?反則切符斬られてない?つい心配になるけれど、お出迎えの為火を落して。

 

「おかえりなさいませ、お兄様。お勤めご苦労様です」

「ただいま深雪。今日はいつにもまして美味しそうな匂いを纏わせているね」

 

香ばしくていい香りだ、と抱きしめられて首元に顔を埋められくんくん匂いを嗅がれている!

 

「お、お兄様!」

「今すぐ食べたい」

 

低いお声と共に首筋にかかる吐息がくすぐったくて体が震えた。

 

(というかお兄様!疲労もあるんだろうけどちょっと色気がね!駄々洩れっていうか!!)

 

困りますお客様!離れてください。心臓がね、破裂しそうなほど跳ねてます。大混乱。

色気あふれる状態で「今すぐ食べたい」をお兄様の素敵ヴォイスで言われてごらんなさい。どうあってもそっち方面しか考えられなくなるから!私がおかしいんじゃない。まだ高校一年生なのにくたびれた社会人の空気を纏うお兄様がおかしいの!大人の空気を醸さないでくださいませ。

 

「すぐご用意できますので、先に手洗いうがいをなさってくださいませ。その間にご用意しておきますから」

「ん、わかった」

 

…よかった。すぐに離れてくれました。

それにしてもお兄様、今日はかなりお疲れです?「ん、わかった」の言い方がとても可愛らしくひらがな表記で聞こえた。

先ほどまでお色気魔人だったのに、急に可愛らしくなるなんてギャップを狙ってます?

そんなことをしなくてもすでに私のお兄様への好感度はMAXです。これ以上攻めないでほしい。

これだから無自覚たらしは、と洗面所に向かったお兄様を見送ってから項垂れて首を振り玄関を後にした。

 

 

 

「なんというか、カラフルだな」

「本日は調味料の日とのことだったのでたくさん作ってみました」

 

我が家にはたくさんの調味料がありますからね。さっぱりからこってりまで、作れるものは作ってみました。

チヂミも三種類あります。定番の海鮮に秋らしくかぼちゃのチヂミ、お野菜たっぷりチヂミ。お好きなものをお好きなたれでどうぞ。

 

「このご飯か。深雪から香った香ばしい匂いは」

「石焼風にしたくておこげを作りましたので」

 

一口が大きい。気に入っていただけて何よりです。

私も一口。うん、いい出来だ。

 

「食欲の秋、と言うが困ったな。つい食べ過ぎてしまう」

「お兄様の場合、たくさん食べたところで脂肪などつかないのでは?」

 

というかお兄様が太る想像がつかない。

何せ運動量が運動量だから。食べてもすぐ消費されていそう。

運動だけでなく頭脳もずっと働いてるからカロリーなんていくらとっても足りないんじゃないかな。

…お兄様エネルギー足りてる?こまめにチャージできるよう差し入れを多くした方が良い様な気がしてきた。

 

「気になるなら触ってみるか?」

 

机で影になって見えないけれどお腹のあたりを触って誘うお兄様だけど、触りませんよ!?

くつくつと笑うお兄様は揶揄って満足したのか食事を再開する。

全くお兄様は。どうしてそんなに妹を翻弄するのか。翻弄しないといけないルールでもあるの?そんなルールは早く撤廃してください。

その後、私の食べきれなかった分もお兄様がぺろりと食べてくださった。…本当に細身のお兄様のどこに入ったのでしょうね。

お腹を触ることはできないけれど気にはなってくる。

食器を片付けてくれるお兄様をじっと見つめてしまったことに気付かれて笑われてしまった。

 

「やっぱり触ってみるか?」

「…あまり誘惑なさらないでください」

 

そんなはしたない真似はできません、というつもりがうっかりつるりと別のことを口にしていた。

すると少し驚いたように目を見開いてからふっ、と表情を緩ませるのだけど、同時にその、とんでもない色気がですね、ぶわりと広がって――危険アラートが脳内で鳴り響いてます。危険です。命の危機を察知!

 

「俺に誘惑されてくれるのかい?」

 

深雪は本当に変わっているね、と言いますけどもお兄様はご自身の魅力をわかっておられない。

普通いませんよ、こんな自分の魅せ方を理解している高校生は。…お兄様このまま夜のお店に行ったらきっとお姉さま方にちやほやされそう。というか私ならする!たくさん貢いじゃう!!

そんな妄想の世界に現実逃避して熱を冷まそうとしているところに、食器を置いてするりと頬を撫でられ体は硬直。熱は治まるどころか急上昇し心臓は今にも体から飛び出していきそうなほどの暴れっぷり。

 

「ほら、手を離しなさい。食器を落してしまうよ」

「あっ…」

 

危ない!と思った時にはすでにお兄様の手がするっと抜け落ちた皿をキャッチしていた。すごい。流石お兄様。

 

「すみません!」

「俺のせいなんだろう?」

 

なら責任を取るのは当然だ、と笑うお兄様。うん、これはアレだね。

 

「…もう、悪いお兄様」

「悪い兄貴は嫌いかい?」

「ご存じですか?女の子は悪い男の人に惹かれやすいものなんですよ」

 

漫画あるあるだけど、何でだろうね。危険な男性って魅力的に見えちゃうっていう。

 

「それは危険だね。他に目移りしないように閉じ込めておかないと」

 

言いながら腕の中に閉じ込められたけれど、お兄様以外に目が向く深雪ちゃんではない。

 

「そのような必要はございませんよ、お兄様。私の目はいつだってお兄様しか映していないのですから」

 

心配ご無用、と伝えるのだけど、どうしてそんな本当かな?と疑われているのか。

 

「母さん」

 

?お母様がどうしました?

急に何を、と思ったら続けてまた人名が。

 

「雫」

 

ん?雫ちゃん…?

 

「藤林さんや市原先輩にも深雪は目を輝かせていたね」

 

………あらぁ。疑う理由を並べられていたのですね。そして心当たりがなくもない。

 

「皆さま女性ですよ?」

 

とりあえず女の子はセーフ、または別枠にはなりませんかね?

 

「深雪、俺はまだ答えを貰ってないよ」

 

はて、答えとは――あ。そう言えばちょっと横道に逸れてましたか。

 

「悪いお兄様でもお兄様ですもの。もちろん愛します。これまでも、これからも」

「満点の回答だ」

 

お兄様から花丸満点をいただきました。ヤッタネ!…アブナイ気配が下がっていきました。

どうしてお兄様からヤンデレのかほりがするんですかねぇ?

ところで、私はまだ回答をいただいてないのですが、女の子はセーフですよね?ね⁇

 

 

 

ちなみに今夜のコーヒータイムにはもっちり温かみたらし団子を。

串には刺さずの一口サイズ。コーヒーとはどうかな?と思ったけど案外マッチしていてお兄様もにっこり。

 

「この餅の柔らかさと、深雪の頬はどちらの方が柔らかいかな」

 

食べ比べてみたいものだね、とのお言葉は妹相手に使う言葉ではないとプチ説教をいたしましたことをご報告します。

 

 

 






文化の日で調味料の日で漫画の日でみたらし団子の日だそうなので。
食べ物ばっかりですね。深雪ちゃんは常々気を付けていそうだけれどお兄様は何も意識しなくてもいくら食べても太れなそう。食べた端からエネルギーに変換されちゃってそう。あと再生すると元の体形に戻りそう。脂肪分解とかできちゃったりして。…ま、そもそも太らないでしょうけどね。
甘さが足りないかな、と思って甘さをプラスしたら監禁バッドエンドお兄様が顔を出してしまった。お帰り下さい。

お粗末様でした。
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