奈落2 ifストーリー もしも彼の兄が失踪したら 作:アズカバー
言い訳するとリアルが課題に課題の締め切りが重なったり、かなり遠出する必要のある研修があったりとマジでこの二ヶ月?くらい大変でした!ちょくちょく皆様のコメントは読ませてもらってましたし返信もしてましたが、本当にごめんなさい。
謝罪と言えば今回から奈落Xに出てくるキャラや設定も濁さず使っていきます…ネタバレが嫌な方は申し訳ありませんが、読み飛ばすか、そっと閉じてください。
すでにクリア済みか、ネタバレなんてなんも気にしないぜ!という方は楽しんでくださることを祈っています。
それと、前回の後半を少しだけ書き換えましたので、気になった方は見に行ってみてください。
《エーベル視点》
ノインを仲間に加え、俺たちは次の階層へと移動した。
「このエリア、なんだか他のエリアと様子が違うな」
一面真っ白な部屋に不気味なほど赤い試験管が並べられいる…おそらくここも研究室なのだろう…だが、電気は消えているし全体的に薄暗い…おそらくここは既に廃棄されているのだろう。
「うん……私の記憶によると、元々は重要な研究施設だったみたいなんだけど…今はもう役目を終えて放置されてる…魔人化に必要な武器の作成は最初ここでやってたみたいだよ」
魔人化の研究施設か……通りで薄気味悪いと思った。
「魔人化…気になったんだけど、魔人化の条件って何なの?……エーベル君やエンリちゃん、ノインちゃんとDたちって具体的にどう違うのかな?」
「……言われてみれば、そうだな」
オリバーは何度か『完璧な魔人』と言っていたが…どう言う基準で判断しているのだろうか
「……う〜ん…ごめん、わかんない…記憶を探ってみてもどんな判断基準で決めているのかわからないや」
「そ、そうなんだ……ノインちゃんでも…それだけ厳重にしないと行けない秘密……ってことかな」
「……おそらくな」
数万以上の記憶を持つノインにも分からないのか…ロベリアの幹部クラスなら何か知っていたりするのか?
いや、下手なリスクを犯すよりあのおしゃべり緑を口車に乗せた方が手っ取り早いか。
「あっそうだ……エーベル、これあげる」
〈肉塊をノインから貰った〉
「……あの、ノインさん?これ何?」
「私からプレゼント♪」
「なんか、すげぇ蠢いているんだけど…なんか心臓みたいな感じで脈動してるし…柔らかくて……手のひらにまとわりついてくるんですけど」
「私だと思って大切にしてね////」
息のいい ナマコを素手で触るような感触…エグい……だが、ノインが渡すものだしきっと何かの役に立つはずだ……何処にしまうか……ポッケは嫌だなぁ…しばらくは手に持ってよう
「私だと思って大切にして……ね///」
「なぜ照れる……まぁ、努力するよ」
「うん!…大切にしてね?…それじゃ目的地はあの扉の先にあるからにあるからみんなついてきて」
「ああ」
ノインの指示のもとついていくと細長い穴が複数ついた機械がある部屋に案内された。
「なぁノイン、この部屋って──」
案内された部屋の扉が突然閉まり、部屋一面から暖かい液体…いやお湯が浴びせられた。
「!?ッくりしたぁ……シャワー?にしては熱いが」
「そう?丁度いいと思うけど…血もどんどん流れていって綺麗になるし……あっ!?エーベル、こっち絶対見ないでよね…見たら殺すから」
「はぁ?なんで──あっ…すまん!」
…エマの服…白いもんな…うん…シャワーなんて浴びたら…まぁ…当然透けるよなぁ……よし、これ以上は考えないでおこう。
「ふぅ…終わっ──風強っ!?」
今度は熱風!?服と顔と目がすごい勢いで乾く…!
「ちょっ、スカートが!?」
「(オロオロ)」(エマ大丈夫!?)
何が起きてるか分からないが振り向かない方がいいな…振り向いたら目をつぶされる気がする、
「……?」(……押さえておくね?)
「あ、ありがとエンリちゃん……エンリちゃんって改めてスタイルいいよね…」
「……?」(そう?)
「うん……体のラインも綺麗だし……イイナァ」
「?」(エマも十分スタイルいいよ?スレンダーで羨ましいくらい)
「…嫌味…じゃないんだよね…エンリちゃん…そういうこと、私以外に言っちゃダメだよ?…本当に怒られるから」
顔が見れないからなんの話をしているのかさっぱりわからん。ただ、エマの声から哀愁と静かな怒りを感じる……お湯を浴びてるのに凍える様に寒い。
「大丈夫だよ、エマもこれから成長すると思うから…たぶん。」
「ノインちゃ〜ん、私は何も言ってないけど、今何処見ていったのかな〜?」
……3人とも、本当に仲良くなったな……でも、そういうセンシティブな話題は俺が居ないところでやってくれませんかね?
すっごい気まずいというか…つか、この子達に羞恥心はないのか!?嫁入り前の女の子達が男の前でそんな話題しちゃいけません!
……俺は、どの立場で話してるんだ?
「あ〜……ノイン、この部屋って」
「あっ、そうだった…ここは除菌室?かな…汚物が通ると自動的に洗浄してくれる場所みたいだよ」
なるほど…そういえばノインの治療のせいで全身ベタベタだったな…血液と唾液まみれは確かに洗浄するよな。
「なるほどな…次から早めに言ってくれ……閉じ込められたかと思ってびっくりするから…」
「ごめん、次からはちゃんと言う」
「そうしてくれ……あと、さっきみたいな話題は男の子がいる前じゃしないようにな……聞いてる側が気まずい思いをする」
「わかった〜」
「意外…エーベル君ってデリカシーも遠慮も容赦もないから気にしないものかと思ってた」
「(困り顔)」(それってエマにだけじゃない?)
「俺は聖人君主ってわけじゃないからな…人によって対応は当然変わる……そんなことより、これから何処に向かうんだ?」
「この先にシステム制御室?っていうところがあるからそこで監視カメラの映像を偽装、あるいは機能停止させるためにハッキングをする。その間エーベルたちには扉を開けるのに使うカードキーと昇降機の捜索をお願い」
かんしかめら……はっきんぐ……何を言ってるかさっぱりだがノインの口ぶりからして機械類に何かすると言うことか…
「そうさせてもらう。そこらへんのオーバーテクノロジーはさっぱりだからな」
捜査や探索は得意だ。兄貴の捜索やロベリアについて調べてる時に身についたものなんだが、今のところかなり役に立っている。
「任せて〜……ああ、それと…昇降機だけど、こっちで使えるようにしておくから見つけ次第上に行ってて…ただ、非常口のある昇降機には乗らないようにね…下行きだから」
「おう……ん?…非常口が罠…?」
「うん…ここを知らない侵入者は、非常口を頼りに昇降機に乗って下に行く…そうして蜘蛛やD、S-001なんかの被害に遭う」
「マジかよ…俺たち、その出来事コンプリートしてるわ」
「ほんと?よく生きてたね」
本当に……悪運だけはいいらしい。
ノインの案内され目的地を目指すと、幾つもの機械にモニターが設置されいる部屋についた。
ここがどうやら制御管理室らしい。
「それじゃ、やるよ〜…」
ノインが複数のスイッチがついた機械に近づくと両手と触手を使って操作を始めた。
(触手と両手がすごい速さで動いている…何してるかさっぱり分からないな……今度機会があったらやり方聞いてみるか?)
「カードキー探しに行ってくるが…見つけたら声かければいいか?」
「ううん、気にしないで昇降機のところ行っておいて…それにすぐ合流できるから」
「そうなの?迎えには」
「いいよ、この私は本体じゃないし」
………なんて?
「……?」(ぶ、分散できるの?)
「うん…ダミーモンスターの話したでしょ?これがそれ…だから迎えはいいよ…監視カメラを改ざんしたらその肉を通じて知らせるから」
「えっと…そのエーベル君が持ってるお肉が?どうやって」
『こうだよ〜』
「「「!?」」」
に、肉からノインの声が!?
「ね?」
「わ、分かった…ノインは本当に頼りになるな」
この子いればオリバーにもほんとに勝てそうだな……
ふと、一つの機会に目が止まった。
「なぁノイン…これって、使えるか?」
S-001から逃げたあたりで拾った小さな板をノインに渡した。
「…これUSBだね…中に監視カメラの映像が残ってるかも……良かったら見てく?わざわざダビングしてるくらいだし貴重な情報が手に入るかも」
「なら、見ていかない?オリバーを倒すヒントとかになるかも」
「(コクン)」(私も賛成)
「…そうだな…ノイン、頼んだ」
ノインが機械を操作すると、一つの画面に映像が映る。
「………これって」
「あ…あぁ……」
映し出された廃墟には見覚えがあった。
俺はたった一度施設に近づいて入り口付近に入っただけだが、
「……"奈落"」
エンリが上着を置き、施設の大穴を覗きかんでいると、見覚えのある緑が彼女に何か話しかけると、背中を押した。
そしてその後に現れた大男が、紫の服を着た男を引き摺り、手にした斧を振り上げ──そこでノインが映像を消した。
「……この大男、S-003だね…データによれば殺害数19700人…そして丁度一年前に何者かに殺害されてる」
「る…るーかすくん……」
「なぜあんな場所に置かれていたのか……ようやく分かった……嫌がらせ…いやなぜ自分が生きていたかの答え合わせのつもりなんだろうな……あの野郎は」
嫌なもんを見せやがる……別にルーカスに思い入れはないが、それでも気分が悪い…
「……」(遺体の原型がなくなるまでぐちゃぐちゃにして、鉈を持たせて落とした……流石に鈍い私でもアイツの真意は見抜ける……鉈を私に拾わせたのも抵抗して逃げ惑う姿を楽しむため)
「…嫌なもん見たな」
「……S-003を、あの巨人を殺したのってエンリちゃんなんだよね」
「(コクン)」
「……ありがとう…ごめんね」
「(フルフル)」(謝らないで……私、みんな殺されたって思ってたから…エマが生きてて良かった…)
「ごめんね…本当に……たくさん酷いことして……ごめん…….逃げてごめん」
啜り泣くエマの背中をエンリは優しく撫でている。
エマが泣き止むのを待っている間、ノインとこれからについて話し合っていた……まずオリバーについては、奴が油断している限りどうにかなるとのこと……なら問題は
「……蜘蛛をどうするかだが、どうしたもんかなぁ」
「それもどうにかなるよー」
え、マジ?
「大マジ……毒ガスを使うと一気に駆除できるよ……ちなみに私が作るから蜘蛛のエリアに行けばすぐやれる」
無敵かこの子は?
「私たちが1番警戒するべきは他のD達だよ」
「正直今の俺たちで倒せるDってどれぐらいだ?」
そう聞くとノインは少し考えた後、右手の指を広げていった。
「相打ち含めて5〜6体くらい!」
「…………この施設にDってどれくらいいる?」
「…攻撃的なのは10くらい」
「その中にD-033を凌ぐやつっている?」
「それはいない…それより少し弱いって奴は何体か……あっ、でもD-024とかやばいかも…有機物、無機物関係なしに融合するからキツイかも」
何それ怖い。
「…あっそうだ…これあげる」
【赤い宝石を手に入れた】
「おお、ありがとう……なぁ、ノイン」
「どうかした?」
「この赤い宝石ってなんなんだ?」
今までは何となく拾っていたが、ここから先には何があるかわからないし少しでも身軽にしておきたいんだが……妙に捨てにくいというか…捨てたらいけないような…一体なんなんだこの石は。
「ごめん、私も詳しくは知らない…でも魔人の一部なのは間違いないよ…それも私が持ってた奴だし」
「そうなのか…つまりこれが拾えるエリアには魔人…何かしらのDがあるってわけか」
思えば手に入れたエリア全てにDがいた…これを見つけることができれば危険を察知できるかもしれん……見つからなければ安全…と考えられるか?……いや流石にそれは早計か。
「この施設でDの居ないフロアの方が珍しいけどね…よく脱走してるみたいだし……D-033とか…」
「アイツの事話すの禁止で…名前出したら出てきそう……」
ロベリアもイカれてるよ…制御できない化け物を放し飼いにしてるなんて……いや、制御できないから放し飼いなのか?
そんなもん作るくらいならこの辺の電子機器でも商品化した方が効率いいと思うんだがなぁ…
「……ごめん、待たせた」
「いや、ちょうどこれからについて話し合ってたところだ…….二人にも話すぞ」
これからについて二人に共有し、次の目的を明確にした。
1:奈落の浮上を止める(ノインが色々やれるらしいので)
2:蜘蛛の駆除(毒殺)
3:オリバーの討伐(暗殺でも可)
4:みんなで生きて地上に帰ること(最重要)
「と、なるな」
「毒ガスが外に漏れる心配は?」
「それは実行する直前に話すね…今はオリバーにバレる前に奈落の浮上の阻止を優先するから」
「……それもそうだな…」.
アイツも決して馬鹿じゃない…気づかれる前にやれるだけのことはしておこう。
〈エマ視点〉
私たちは次の階層に着き、探索をしていった。
ノインちゃん(正確に言うとダミーモンスター?だっけ)は「やることたくさんあるから先行って」と言って別れてしまった。
何かあればエーベル君の手にある肉から意思疎通が取れるらしいが……いったいどんな仕組みをしているんだろう?
「うわっ…なんだこの部屋」
「ここは処刑場だね…水槽に詰められてる死体はここで──「補足はしなくていい!…とっとと次だ」
……血を見たり、肉がしゃべったりしても驚かなくなってきた自分に嫌になる……こんなことに慣れたくなかったなぁ。
血まみれの処刑場や、また死体で満たされた部屋、ノインちゃんと初めて逢った血溜まりに直通できる場所などあったが、どれもロクなものじゃなかった……もう汚れるのは沢山。
「……この先で合ってるのか?」
「うん…安心して進んでいいよ」
巨大ノインちゃんの中を通っていくのにはいまだに拒否感があるなぁ…などと思いつつ進んでいくと、あの時の部屋にたどり着いた。
「……ここは…戻ってきたんだな」
「うん」
カタカタカタと機械音のする方を見るとノインちゃんがオリバーの言っていた装置に何かしていた。
「ノイン、なんとかできそうか?」
「……」
「……?集中していて聞こえてないのか?」
「それ、私のダミーモンスターだよ」
「……え?…….え!?」
目の前にノインちゃんが3人並んでいた。
「…ど、どれがホンモノ?」
「全部同じに見える…」
「正面真ん中がさっきの私だよ…他はダミー。」
「そ、そうか……奈落の浮上はどうにかなるか?アイツはボタン一つで止まるとか言っていたが」
「もちろんそれも嘘…もう少し待っててあと数分でやれる……君の隣のダミーが頑張ってる。でもそろそろバレるかも…ここら一体の監視カメラも止めてきたし…」
「そうか……ノイン、言うのが遅れてしまったが、いろいろ助けてくれてありがとう…本当に助かってるよ」
「気にしないで…私は貴方達と外に出るって約束したから…──え?」
「……?どうかした──「ダミーモンスターのうち1体が何者かに殺された、それも反応する前に一撃で」
「……ひょっとしてオリバーにバレた?」
「ううん、それはまだのはず」
「……?」(こっちに向かってきてる?)」
「ううん…ただ、
ノインですら……ってヤバいじゃん!
「離れるのには賛成だが、どこに行けば」
「そこのダクトから上に上がれる…そうすれば監視カメラをスルーできる…そこからは私も一緒に行くから万が一襲われても私が守る」
このダクト、S-001が通ってきたところ…そういえばオリバーもアイツの接近には気づけてなかったっけ…
「私についてきて」
「うん」「(こくん)」「あ、ああ」
複雑なダクトを通っていくと、ノインちゃんを発見した。
「……あれ?こっちきちゃった?」
「…貴方もダミー?」
「うん……まぁ喋ってるのは本体の私なんだけどね」
「悪い、よくわからん」
「気にしなくていいよ〜……それよりここから先には言っちゃダメ…D-013が隔離されてるから」
へぇ、この先に…
「うんっ!引き換えそう」
「いや待て待て早い早い……そのD-013ってどんな奴?もし出てきたときのための算段を考えておきたい。」
「なんでも食べる巨大なボールみたいなD…大きさはこのダクトの天井に頭がピッタリくっ付くくらい……隔離はされてるけどDは何をするか分からないから…念の為」
「そうか…Dって怖いな」
「……………私も怖い?」
「いや、ノインは大丈夫だな…ギリギリセーフだ」
「「エーベルのえっち//////」」
「意味わからん……あと、ハモるな!」
「だって、ノインにギリギリなんて言うし…」
「えぇ……今の俺の発言に何か問題あったか?」
「(苦笑い)」(エーベル、ドンマイ)
こんなたわいのないやり取りをしながら先に進んだ。
そうしてダクトをつたって移動していき、巨大なパイプのあるエリアに出た…そして、ノインちゃんがまた機械を操作していらところに出会った。
「よし、ハッキング終わり…!奈落の浮上はこれで止めれたよ」
「本当か!凄いな……なんだか俺たちここにきてからあんまり役に立ってないな」
「(コクン)」(ノインに助けてもらいっぱなしだね)
「…私なんて足引っ張ってばかりだし…」
「落ち込まないで、エマ…私のも謝りたいことが出来たから……
「……流石のオリバーも奈落の浮上が止まれば流石に気づくか…あっちにいたノイン達はどうなった?」
「ダメ、完全に破壊されてる…それにヤバいのがこっちに向かってる…….これから先は私じゃもう掌握しきれない…だからお願い、3人の力を私に貸して…」
「……!!」(もちろん!沢山助けてもらったから、今度は私たちの番!)
「私も全力で手伝う…… って言っても私には何もできないけど」
「それは俺もだよ…だが、やれることがあれば何でもやる…なんならノインは休んでて良いぞ…エマか俺が担いで走るからな」
「…ふふ…ありがとうみんな…」
ノインがそう言うと同時にほんの一瞬、建物が揺れた気がした。
「急ごう…まだ、間に合うから」
駆け足気味で先に進むとノインちゃんは足を止めて一つの部屋を指差した。
「あの部屋の中にあるレバーを引いてきて…そしたらあとは空調管理室に行くだけだから…」
「そこから毒ガスを流すんだな…わかった…」
「急いで…魔人を見張ってたダミーもやられた……オリバーか、もしくは別の何かがシステムコントロールを駆使していろんなロックを解除してる…」
「そうなると、どうなるんだ?」
「隔離されているDか自由になる…そのうちの2体がこっちに向かってきてる…!」
「わかった!」
急いで言われた部屋に行くと、2本のレバーがあった。
「……エマ、エンリ、レバー頼む!俺は外でノインと一緒に見張っておく!………槍が戻ってきた」
赤い帯を纏った彼は、数刻前に見たあの姿になっていた…ただ少し変わったところは槍の形状が少し歪んでいる……と言う部分だろうか
「エンリちゃん!多分これは同時じゃ無いと引けない!せーのでやるぞ!」
「(コクン)」
がしゃんと音が鳴り部屋を後にした。
「.二人とも早く!ヤバイよ!来てるよ!来てる!!」
部屋を出ると乱雑に立てられた鉄のパイプのバリケードが出来ている……が、それをなんてこともないように噛み砕きながらこちらに向かってくる巨大な丸型の怪物が見えた。
その口の中には、ノインちゃんと同じ白い綺麗な肌をした腕も見えてしまった……たとえダミーだとしても、胸がざわついた。
「なに……あれ?」
「あれが、D-013…人を好んで食す魔人…私たち3人でやっても勝ち目はない!!走って!ここは私が!」
「何をするの!?」
「時間稼ぎするから先にいって!」
「勝つ見込みはあるのか!?」
「絶対無理…だけど心配しないで、この身体もダミーだから!わずかでも時間を──きゃっ!?」
「なら、それは無しだ!ノインがどう思ってるか知らないが、目の前で
冷や汗をかきながら彼はまたニヤリと笑い、槍を口に咥えた。
エーベル君は赤いオーラを纏いながらノインちゃんを抱き抱える。
「……」(ならエマは私が)
「へ」
エンリちゃんも同じ様に魔人の姿になり、私を米俵を担ぐ様にして抱っこした。
「…ふぁしるぞ!!!(走るぞ!!!)」
「エンリちゃん、持ち方もう少しどうに──きゃあああ!!!??」
「……!?」(あいつ、思ってるより速い!?)
「エーベル、このまま真っ直ぐ走って!アイツ、なんでも噛み砕く咬合力と歯が危険だから!止まったらそのままバラバラになるからね!私がいいって言うまで走って!」
「ふぉお!!(おう!!)」
障害物となるはずだった鉄パイプの壁やパイプは彼が走りながら、道をかき分けて逃げていき、エンリちゃんが道を壊して進まなくする。
…だけど、それでも大した効果はなく、徐々に奴は距離を詰めてくる。
(ちくしょう、化け物が!…ノイン、二人をしっかり支えてくれ……もっと早く走──なんだあれ?正面になんかある!罠か!?)
「気にせず走って!大丈夫、私たちにはなんの影響もないから!」
「それってどう言う──!?」
ビッビッビ…….と音が鳴ると同時に眩い光と高熱、それと燃え盛る炎の音がゴウゴウと鳴った。
「きゃっ!?……ほ、炎?」
「……!」(凄い熱…!)
「よし、うまく作動してくれた!」
流石にこれで……死ぬ…よね…
「なんて、火だ……ハァ、ハァ…余熱でこっちまで燃えちまう…」
「早く、移動しよっ!危険はまだあるから」
火焔放射から距離をとってノインちゃんの話に耳を傾けた。
「あの火炎放射器は元々脱走したDを始末するために用意された装置なんだ…」
「脱走した魔人を処理するための…なるほどな…あれ?じゃあなんでノインは平気なんだ?」
「ふふん、奈落の浮上を止めるついでにいじっておいたんだ…元々デーモニック・ハザードを阻止するためのもの…そして私たちがいるこのパイプの通路だってそう…全てのDが通りやすいよう構造されてるんだ」
「……なるほど…脱走しても処理しやすいよう誘導するため、あえて通りやすくしていると……割と考えて設計してるんだな」
Dに好き勝手やられてるイメージがあったけどしっかり設備として機能してるんだ……ここ…ちょっと驚いた
「まぁなんだ……なんとかなったな….これで一安心」
「──エーベル!危ない!!見ちゃダメ!!!」
「……え?」
ノインちゃんが悲鳴のように声を荒げ、そこには黒い怪物がいたような気がした…私は運良く視界に入れなかったが、彼は……エーベルは違った。
しっかりと目を合わせてしまった……この出来事をきっかけに、この悪意と陰謀の渦巻いた物語は狂い始めた。
「……は?なんだコイ──」
最後まで発する前に、彼は地面に倒し、私もまた意識が朦朧としていく。
酷い眠けに襲われながら、夢の中での死闘が始まった
〈オリバー視点〉
──全く持って不愉快だ…
ことの発端は製造部からの伝達から始まった。
エーベル君のデータを取り、D-029の元に向かわせるまでは計画通りだった。
しかし、そのあとが問題だ…製造部管理長自身から連絡が来ることは珍しかったため、嫌な予感はしていたが……第一声が
『Dに逃げられた』
とは流石に予想もできなかった。
それからだ…いくつかのフロアの監視カメラが映さなくなり、先ほどまでプレス機に囚われていたD-033は解放されて、隔離していたD-013が脱走…おかげでオレの予定が大きく狂いつつある……!
「……この責任をどうとるつもりだ?……なんとか言ってみたらどうだ製造部……貴様らのその怠慢でこちらにどれだけ被害が出ると思っている?……奈落の浮上計画を進めているというのに……D-007の脱走を許し、こちらの支部に甚大な被害を出している……」
羅列してみるととんでもない事態だ…頭痛がしてくる…
製造部…Dや魔物の製造を行っている支部であり、ろくでなしの外道どもが殆どであるが、仕事はでから奴らが多かったはずだ……いったい向こうで何があった?
「──事情は後で聞かせてもらうぞ…今は脱走したDの捕縛を進める…いや脱走したDが多すぎるか……仕方ない駆除に変更だな──文句は無いな?飲めば今回の事態、本部には黙っててやる…その代わり、駆除したDはオレの方で全て回収する……こちらもかなりのリスクを負うわけだからな……あのお方に知られるよりはいいだろう?──よし、なら後は俺に任せてもらう…ではな」
乱暴に端末を切ると、思わず深いため息を吐いてしまう…
「……っと言ったもののどうするかな…」
管理室にて映し出される砂嵐だらけのモニター…ここにきたDの手によって破壊されているのか……それとも……
「……彼女にも手伝ってもらうとするか」
別の端末を取り出し、1番上の名前に連絡をかける。
「……アマリアか?オレだ……オリバー・G・ロベリアだ…君たちにありあって頼みがあってね…例の計画に予想外のアクシデントが起きて困ってい…………ウィル君は口が硬いと思ったんだかなぁ……──安心しろ、彼らは無事だ…」
おそらくは。
端末越しに理詰めをしながらも静かに怒るする彼女を諌めつつ、事情を話す……D-007は彼女にとっても無関係とはいかないだろう…
「…なぁアマリア…これはチャンスだとは思わないか?念願の彼を君のそばに置く──『余計なことは言わなくて結構です……今すぐ殺しますよ管理長』
──しまったな…怒らせるつもりはなかったんだが……
「では本題を……彼は今エンリとエマを連れて姿をくらましていてね…彼らの捜索はオレの方でしておこう…君はD-007含む脱走したDを早急に始末してくれたまえ……あとD-029に遭遇することがあったら殺さず話しかけてみてくれ」
『は?……D-029も脱走しているのですか?』
「可能性は高い……元々サブプランだったエンリとの邂逅にて与える刺激によってD-029の成長させるものだったのだが、少々嬉しい誤差が起きてね……今の彼女は完璧の魔人に最も近いDになり得る。」
エーベルならおそらく監視カメラが破損していることに気づき次第、大胆に動くはずだ…その時、D-029も彼の性格上必ず連れてくる…エンリもあることだしな
『-………管理長、D-029にエーベル君を食べさせたんですか?』
「………あっ」
しまった、余計なことを話して…
──プチッ
「……切られたか…」
どうやらオレも焦っているのか余計なことを言ってしまう…彼女をまた怒らせてしまったようだ…一幹部の座を授けるだけでは賄えなくなってきたな。
「……今は、後にするか……ん?」
とある階に目が止まる…Dの管理エリアの1番奥にある部屋…そこには危険すぎて隔離せざる終えなくなったDがあるはずだった。
「……なんてものを解き放ってくれたんだ…あの暗君は」
あのDはオレ以外には対処ができない…生きている人間ではまずどうしようもできない……そんな化け物が隔離されていた。
空っぽの隔離部屋には砕かれた強化ガラスのみが残っており、不気味なほどに静まり返った部屋だけがカメラに通されていた。
「……D-004が、脱走していたとは……ッ!」
算出されたデータによるとこのDのスペックは対人特化ではあるもののその一点において、全てのDを凌駕している…
すべてのモニターが赤くなり、一枚の怪物を映し出す。
人を眠らせ脳を侵食して殺す怪奇の魔人。
「ァァァッァァァッ……!」
まるでこちらを嘲笑うかのように
「魔人災害《デーモニック・ハザード》が、始まってしまったか」
挿絵のアイディアたくさん浮かんだけど画力不足で描けない!しかもタッチペンが折れやがった!!コンチクショー!
というわけで誰かノインを抱えて走るエーベルを絵にしてくれ
もしくはエマを米俵にして走るエンリちゃんを描いてくれ。