奈落2 ifストーリー もしも彼の兄が失踪したら 作:アズカバー
エーベルとエマのやりとりを増やしたら文字数が8000超えてしまったので、反省しています。
── 一年前 ──
とある町外れの廃墟、そこは"奈落"という巨人の住む場所とされている。そこに四人の男女が来ていた。
「エンリー!ねぇちょっとッ!」
「……!」
「なにボーッと突っ立ってるのよ……あんたさぁ〜鈍臭いんだからみんなの前歩いてよ…邪魔くさい…」
本当は全然邪魔じゃなかった。
「コクン」
とエンリちゃんは頷いて先頭になった。
「…ここが例の噂の場所か…思ってた以上に雰囲気あるじゃん…!で、どうするよ?」
とルーカスくんが楽しそうに(エマ視点)建物を見つめていた。心なしか顔色が悪いように見えたが真偽はわからない。
「ルーカス君…私、怖ーい」
この時の私はただ、ルーカス君に怖いアピールをしてだけで、内心はそんなに怖くなかったと思う。
「大丈夫だって、皆んないるんだから」
「ルーカス君、何か出たら私のこと…守ってね」
「あ…ああ…任せとけよ……ハハ」
そう言ってくれた彼はすごく頼もしかった。
「で…だ…どうする?全員で中に入るか?」
そう提案したのはオリバー君だった。
「全員で入るのはやめた方がいいんじゃない?」
「何でだ?」
「たってホラー小説でもよくあるじゃん…入ったら全員中に閉じ込められるってパターンとか……」
「ああ!確かに…!それはよく聞くな〜エマ偉いな!」
「えへへ〜」
この話題を出した理由はほんのちょっと彼女を驚かそう思ったから。
「じゃ…どうする?」
「先にさ〜一人だけ確認させに行こうよ」
「えっマジで?」
と、オリバーくんは引き気味で言っていたと思う。自分でも振り返るとこの時の行為は最低だったと思う。
「そ…そうだな…安全確認は…重要だもんな?」
「と言っても、一人って…」
「お…俺は!後ろの安全確認をするから俺以外で…だな!」
「私も…怖いから…」
ルーカス君に便乗して私も後ろに行くことにした。
「この流れは、俺かよ…」
「オリバーくんも行かなくていいじゃん」
「は…?」
「適任なのが一人いるじゃん?」
エンリちゃんを呼んだのはこのためだったから。でも、あんな事になるなんて思いもしなかった!だってただの無人の廃墟だと思ってたから!
「エマ…!お前…!」
オリバー君の静止を無視してエンリちゃんに命令をしに言った。この時の私にとってエンリちゃんは二人を狙うのに邪魔だったから……
「中、確認しに行ってきて」
「……」
「は?なに?文句あんの?」
威圧して、
「フルフル」
「じゃぁお願い〜」
中に向かわせた。
「エンリちゃん、快く開けてくれたよ!」
「おっマジか!」
「……」
エンリちゃんは立ち止まって、怯えていた。
それを私がさらに急かして……
オリバー君と何か話したあとに建物の中に入っていった。
そうしたら後ろから……金属音がすると同時に何か出てきて…そして…最初にルーカス君が殺された。
ザシュッ!
「え?」
「何だ?……!?ルーカス!」
「ガハッ…!?」
フフフハハハッ
とくぐもった声で笑う巨人。
それが包丁を突きつけ、狙いを定めている。
「エマ!」
「ッ!」
ドンっ!
巨人の突進を紙一重で避け……そこから…そこから…私は…
「いや…いや…嫌あああ!!!」
街の方へと走った……あの場にいたオリバー君とエンリちゃんを残して…。
【エマ視点】
「!?……今の…夢?」
金属音が重なる音で目を覚ました。どうやら少しの間意識を失ってらしい。先ほど助けてくれた彼が近くにあった鉄の箱で入ってきたドアを封鎖していた。
(ひどい目覚めは最悪だった。一年前の廃墟で私は、目の前で…ルーカス君が殺されて…オリバーくんも、エンリちゃんも……私が殺した。)
私のせいで3人も死んだ。
忘れようとしても、悪夢が忘れさせてくれない。目を閉じると思い出すあの巨人の顔とルーカスくんの虚な瞳……そして、私は逃げ出して…!
「目、覚めたな…うなされていたようだが大丈夫か?」
ビクッと体が跳ねる。そういえば蜘蛛から誰かが助けてくれたような…その後、穴に落ちて、そこで意識を失ったんだった。
「……っ!ザッ!…思い出した…さっきは助けてくれてありがとう…」
「おう…警戒しながら言わなければ100点の礼だったな…安心しろ…何もしてねぇから…」
警戒するに決まってる。ついさっき男二人に襲われそうになったのだから。
「えっと…君は確か……同じクラスのエーベルくんだよね?」
「他の誰に見えるんだよ」
「うあ、最悪…わたし、いつも一人でいる可哀想な奴に助けられたんだ…」
「可哀想で悪かったな……そんなことより、お前は大丈夫なのか?」
「なにが…あっ……」
そうだ…さっき…巨大な蜘蛛が人を……
「…大丈夫なわけ…ないでしょ…!」
「そうか……それもそうだよな。目の前で知り合いが死んだんだ…無理もない。」
私、呪われているのかな……一年前といい、今日といい…何でいつも私ばっかりこんな目に…本当、サイアク。
「……無理はするなよ」
「うっさい!少し、黙っててて……!どうしていつも私ばっかりこんな目に……あの時も…今日も…!もう、いやぁ……うう…グスン…」
泣いたら少し落ち着いた。まずは、ここからどうやって出るか考えないと……そうだ…目の前のこいつに出口を見つけてもらおう。まずは泣き落としから……
「うう…グスン…」
「……」
「うう…グスン…」
「……」
「うう…グスン…」
「……」
はっ?なにこいつ。なんで無反応なわけ?
「ねぇアンタさ、普通女の子が泣いてたら励ましたり慰めたりするもんでしょ?何で黙ってんのよ?馬鹿なの?」
「悪いな…俺人間観察が得意だからお前の心情読めてたわ…」
「はぁ──!?なにそれ?」
「さて、その様子からして切り替えはできてるみたいだな…」
「な……」
何なの、こいつ?
「ここがどこだかわからん以上一刻も早く脱出する必要がある。悪いが協力してもらうぞ」
……ムカついた。
「はぁ──!?絶っ対嫌……!あんたのようなオタクでぼっちでキモくて陰湿なキモい奴なんかに、何で私が協力しないといけないのよ!!冗談じゃないわ!」
「……」
一度ここでボコボコにして、
「しかもなに?私と2人きりだからワンチャン狙ってるんでしょ?どうせさっきのアホ2人と同様にスケベなこと考えてるんでしょ?どいつもこいつも…男っていっつもそう!本当に気持ち悪い!あんたもその連中と同じ考えなんでしょ?」
「………(そういえばこいつ足怪我してんだっけ?)」チラッ
何でこいつ無反応なの?あっ図星だからか。
「ほら黙った!やっぱり図星だったんだ!エーベルってマジキモチ!!この変態!」
「………(よく見たら若干足が腫れてるな……それなりに高いところから落ちたし、挫いたか…なら救急箱でもついでに探しに行くか)」
また無反応だ…なに考えてんのコイツ?
「……フン!……まぁ…でも…さっきは…助けてくれたし一応、感謝はしてあげる…だから…その…」
「……(そろそろか?)」
「今回だけは…特別に協力はしてあげてもいいわよ!」
でも、この作戦なら並の男はイチコロなんだから!
「……(…まだ続くのか…)」
「か…勘違いしないでよね!?これは、その…お礼何だから!」
決まった…!下げてから上がる私の秘技!これで堕ちない男は絶対に……
「……」
「……」
絶対に……
「……」
「…ちょっと…黙ってないで、なんか喋ってよ…」
「…やっと演技終わったか…長ぇよ」
「えっ…!?どういうこと?」
「行ったはずだ…俺は人間観察が得意なんだよ…今の演技で男をコントロールしようって魂胆が見え見えだ……何なら今の手法、解説つけて話してやろうか?」
「…い、いい…」
なにこいつ怖っ。
「あと、嘘も俺には通用しない。はなっから俺に丸投げする気だろ?お前。」
「うげぇ……」
キッショ、何で分かんのよ。
「いい表情だ…まさに図星って顔だな」
(うわぁ…何コイツ…最悪…私の魅力が効かないなんて…)
今まで、コントロールできなかった男なんていなかったのに……
「さっきの男2人はコントロールできてなかったろ?」
「なにナチュラルに人の心病んでるのよ!この変態!だいたいさっきの2人はバカだからノーカンよ!ノーカン! 」
「ひでぇ言い草…まぁいいや…さっさと本題に入るが」
「協力の件でしょ?…悪いけどパス…」
「…足、痛むのか?」
「!…それも、あるけど……あんたと一緒に居たくない…キモい」
「そうですか…わかった…なら出口探しにいくから見つけたら報告に戻る…それでいいな?」
「…ええ…とっとと行って来て」
「…わかった…」
と、彼は歩いて行った。
が、彼はすぐに戻ってきた。
「…エマ」
「何?ひょっとして出口あった?」
「いや、それはまだだ」
「あんたなにしに戻ってきたのよ?バカなのアホなの?エーベルマジでキモい!」
「…足の方はどうだ?まだ痛むか?」
…何よ…急に優しくして…
「はぁ…!?…見てわかるでしょ?」
「そうだな……足見せてくれ」
「え?顔よりも足が好きなの?」
何だやっぱり変態か
「ちげーよ…人を勝手にマニアックな趣味の人間にすんな!手当てしてやるから黙ってろ!そのままだとずっと痛いままだぞ!」
なんだ、そうだったんだ。
「…運良く部屋の隅っこで救急セットがあったからな…」
そうして彼は慣れた手つきで手当てを始めた。
「なんか、慣れてるね…以外かも」
「…これでも医者志望だからな…それに諸事情あって怪我の手当は得意でな」(騎士団の人とかゲガ人多かったからな……兄貴の友達に騎士団の医療班の人が居て、その人に無理言って助手として連れてって貰ったんだよな…おかげで、情報を集めつつ実践的な経験も積むことができた……本当に頭が上がらんな…まあ兄貴の子供の頃の写真を渡すことになったけど、安いモンか)
…同じ姿勢でいるの暇…そうだ、エーベルがどれくらいまで心情を読めるか試してみようっと。
「…エーベル君って優しいんだね」
「どうも…(何だ急に…あぁ、俺を試してるのか…)」
「エーベル君って普段ぼっちでキモいけど…なんか…見直した…」
「……(本心だな…)」
「そういうところは、好き…かも」
「そういうところはのところから嘘だな…顔に嘘って書いてあんぞ」
「チッ…!」
バレたか…本心を混ぜて話せばわからないと思ったのに…
「何度も言うが、俺には嘘も演技も通用しねーぞ」
「あ〜もうッ!…調子狂う…あんたって何なのよ!?もうッ腹立…痛ッた!この下手くそッ!」
「急に動くからだ…しばらくじっとしとけ…それとそんな感じで本心から話してくれるとこちらも気を使わないで助かる。」
「あ〜!!もうッ!うるさい!あんた本当に男なの!?ちょっと脱ぎなさいよ!」
「大貴族の令嬢が男にセクハラすんな!訴えるぞ!?ったく…ほら、手当終わり…!俺は行くからな、大人しく」
「あっ…」
立ち去ろうとする彼に思わず手を伸ばしてしまう。
「エマ?」
「…ごめん…もう少しだけ…そばにいて欲しい…ちょっと一人だと心細くて…」
「…わかった」
彼はそれだけ行って私から少しだけ離れた場所に腰を下ろした。よし、これでしばらく暇を潰せる…彼を揶揄って遊ぼう♪
…そう、ただの暇つぶしなんだから…でも、彼が残ってくれたのが少しだけ意外だな……こっちの足のことチラチラ見てくるし…
彼が行ったのはハンカチをペットボトルの水で濡らして冷やした布と包帯で足の下に鞄を敷いて患部を少し高くして固定する応急処置だ。
「…いいの…?ハンカチ…新しい奴みたいだけど…」
「いいよ…買い直せばいいだけだからな…あっいや待った…出来れば洗って返して欲しい…それ貰いもんだわ…」
「そうなんだ…ありがとうね…ちなみに誰から貰ったの?」
「家族からの誕プレ」
「…!?そうなんだ……明日にでも返すよ…」
「助かる…」
「……」「……」
会話終了……何か気まずい……というか何であんなに酷いこと言った私に迷わず手当てにつかっちゃうかなぁ…そんな大切なもの…ちょっとだけ申し訳なくなるじゃん。
話題変えよ。
「ねぇ!エーベル君」
「なんだ?」
「エーベル君って好きな子いる?」
「何だ急に…そうだな……髪が長くて美人でスタイルが良くて真面目で優しく腹黒ではない女性がタイプだな」
「は…?それ…私のこと言ってんの…?」
「お前…張り倒すぞ…」
何だ、私のこと好きなんじゃん…へぇ〜
「…エーベルのエッチ…」
「…意味わからん…というかその様子なら心配ないな…そろそろ行くわ…」
「えっ…あっ…」
「どした?」
「…エーベル君…私のこと…見捨てないでね?…出口を見つけたら必ず戻ってきてね?」
「あざとい……だか、見捨てたりなんてしないから安心しろ…….必要ならゆびきりげんまんでもするか?」
と、冗談まじりに彼は微笑んだ…かすかにだか、彼の手が震えているのが見えて、彼も怖いのは同じなんだと気づいた。
「…うん…はい…」
彼に小指を突きつける。
「え゛……マジでやんの?」
「自分から言い出しといてなに言ってるのよ…ほら」
小指同士を結び、彼にお礼を兼ねた約束を取り付ける。
「…ここから、無事に出たら…デートしてあげてもいいよ?……だから必ず生きて帰ろうね」
ニコッと…今の私に出せる最高の笑顔を向けた……きっと不自然で不恰好な笑みだか、初めて他人に心から笑いかけた気がする。初めての相手がこの男というのがなんとも不思議な気分だ。
「……」
「……」
「……」
「……?」
あれ?返事は?
「うぁ……マジかよ……本心かよ…」
「もうっ……!何でわかるのよッ!?」
そしてそんな嫌そうにしなくたっていいじゃない……!
「…勘違いしないでよ…!?デートと言っても……その一回だけだからね?本当に…エーベルの癖に調子に乗らないでよね!」
本当にただのお礼デートってだけなんだから!……でも、意地でも連れて行くんだから…
「何も言ってねぇ…つか…勝手に決めんな!(この女、なに考えてやがる…?まさか本当に……例のアレについて聞いて見るか…)」
「…お前さ…ロベリアって知ってるか?」
「?…えっと…たしか花の名前……急にどうしたのエーベル君…様子が辺だけど…」
何でこの前国語の授業でやった話を?それになにか急に焦り出したような……怯えてるような……
まさか私がデートに誘ったせいで喜びのあまりに欲情「いや、それだけは無いそれに対しての感情は恐怖だけで今の状態とは無関係だ気にするな」…何コイツ…早口で…足さえ動けば殴ってたのに…
「…人の心読んでんじゃないわよ…」
「お前は特別分かりやすいな……変なこと聞いて悪がった…ちょっとどんな意味か知りたくてな…忘れてくれ」
少し意外……エーベル記憶力はいい方だと思ってたのに
「……エーベル君、学年何位?」
「2位」
「えっすごっ…!」
「アマリアさんには微塵も及ばないけどな」
「次元が違うもんね」
「ほっとけ……で、なにしてんのお前?」
「…最終確認」
せっかくだからもう少しだけテストしてみよう……仕草と表情を変えて違うことを考えたら流石にわからないんじゃない?
「……モジモジ」(エーベルってまじキモイ)
「…エーベルってマジキモい…だろ?」
「……うふふ(エーベルの変態!死ねばいいのに…!)」
「エーベルの変態、死ねばいいのに……だな」
「あんたのこと、頼りにしてるから」ギロッ!
「…表情は合ってないが、それは本心だな…というか凄いなお前、百面相かよ。」
「……何で全部わかるの?」(エーベルって怖)
「エーベルって怖……だな」
「…エスパーって本当にいたんだ…」
「流石に無機物とか、魔獣は無理だからな?」
「できたら本当に化け物だよ…でも、やっとわかった」
やっとわかった……そうだったんだね、エーベル君…だからいつもひとりぼっちなんだね。
「…人の本心がわかるからこそ、友達がいないんだね…」
「ウグッ…その哀れみの目を止めろ!」
「私でよければ友達になろっか?」
「うぐぐぐ……お願いします」
「やだ☆」
「ですよね……知ってたよ」
「もうっ!少しは悔しがりなさいよ!」
「あ〜くそ〜くやしぃ〜なぁ〜」
「うわっなにその返し!友達無くすよ?」
「最初からいないからノーダメージ何だよなぁ」
「あっ…ごめん」
私は初めて彼に心からの謝罪をした
「そんな顔で俺を見るな!……俺はもう行く……ちくしょう…」
いじけた様子で部屋を出ていく彼は先ほどまでの腹が立つほど余裕な姿を崩し、年相応の青年に見えて…どこか微笑ましく見えた。
【エーベル視点】
さっきのやりとり、なんてアホくさいんだ…こういうのが青春っていうのかな…?
「…俺はこんな施設に来てまで何を考えてるんだ?……アホか?…まあいいか…とりあえず探索開始だ」
この建物は見たところ、どこかの施設、いや工場の内部のか?やたらと鉄パイプや鉄の壁が物々しい。
「そもそもここは何の建物なんだ?」
道なりに進むとすぐに鉄の扉があり、その横に点滅している機械が見えた。
「ボタンか?」
押したらさっきみたいに蜘蛛が『こんにちは!』は勘弁して頂きたいが……押す以外に選択肢はないようだ。
ポチッ
ガシャン!と扉が開く。思わず見紛えるがなにもくる様子はない。
「何だよ、ビビらせやがって…」
そうして直線の通路を歩き正面のドアを開ける。
「…この施設、予想よりも広いみたいだな…」
正面にハシゴ、左に一つ、右には別々の道と予想よりも広い。
とりあえず右側から回っていくことにしよう。
一番右の部屋には一つのボタンと三つの扉があり、どう見ても何かある風貌をしている。
「……」ポチッ
ガシャン!ガシャン!ガシャン!
と3つの扉が全て同時に開くが、特に何か出てくる様子はなさそうだ。一番左には下に降りるハシゴがあり、そこを降りていくとボタンのある部屋にたどり着いた。
押すとどこかの部屋が空いた音が聞こえてきたので、これで正解のようだ。
真ん中は……
プォォォ
「あ゛ぁぁぁ……涼しい…」
いくつもの換気扇があるだけだった
……本当に、なにもなかった。
右の部屋に行くと、怪しげな緑の鍵が落ちていた。
【緑の鍵を手に入れた】
「どこの部屋の鍵だ?つーか何でこんなとこに落ちてんだよ…警備ザルかよ……」
と、まぁ、思うことはいくつかあるが収穫はあったので、最初の分かれ道のある部屋に戻った。
次に近い部屋に入るとそこには巨体なガラスがあった。どうやら強化ガラスのようで鉄パイプで叩いてもびくともしなさそうである。
「…本当にここは何の建物なんだ?…まぁ考えるのは後にしよう……あのハシゴから下にいけそうだな」
下に降りると緑の鍵がハマりそうな扉があり、鍵があと一つ必要なことがわかった。
道中、謎の石を拾ったが、本当に謎である。
そして、初めの分かれ道に戻ってきて一番左の部屋にいき、ハシゴを降っていくと、緑の鍵を発見したが、
「…鍵置いたやつ、絶対馬鹿だろ…場所考えろよ…!」
そこの見えない大穴に心許ない金網の橋が架けられた先の床に鍵は置いてあった。
金網に片足だけ乗せてみるが、どうやら問題はなさそうだ。幅も1メートルくらいはあるだろうし、渡ればする。
「…手抜き工事しやがって…落ちたら祟るからな…」
まぁ誰をという話だが……
そうして様々な危機を乗り越えて、鍵を開けて先に進むと昇降機を発見した。
「マジか…初めて見たな…つーか、これ下りかよ…」
下の階まで降りてし待ったようだ。
「それにしても、このレベルの技術力……一体誰が…いや、どこの組織が……まさか…!」
もしかして、
「…ま、まて…落ち着け俺…流石にこじつけがすぎる……それに今はエマがいるんだ……私情は後回しにすべきだろ…先に出口を見つけてからまた改めて探せばいいさ…」
それにまだ確証が得られていないし、この施設の規模もわからない。まだだ、まだ早まるには早過ぎる……
「…しかしこの壁の
つまり、魔獣騒ぎはこの施設が発端ってことじゃないか……やっぱここで確定だろ……。
そうしてこのどこに蜘蛛がいるかもわからないフロアの探索が始まった。
昇降機をおりてすぐの部屋では妙な5色の床とpasswordと表示された青いパネルがあったが、近未来的すぎてよくわからずスルーした。
次の部屋には、この施設の異常さが分かる光景が広がっていた。
「何だこの匂い!?」
まず最初にとんでもない悪臭がした。恐る恐る扉の開場ボタンを押すと、一面に赤黒い世界が広がっていた。
「ヴッ…!?な…何だこれは…!?…これ…血…なのか…?」
……この施設は一体何なんだ……一体なにがどうなってる…?
「…もし…ここが"ロベリア"に関係した場所だとしたら……兄貴は……!?」
嫌なものを見ると嫌なことを想像してしまう……だか、まずは脱出を最優先にしよう……考えるのは二の次でいい…
「……この施設は……まるで地獄だな…」
血溜まりの奥に進み、血で書かれた数字を見つけた……おそらく何かのヒントなのだろうし、覚えておこう。
しばらくして、扉のヒントを見つけるために探索していると三つの扉を見つけた。
いつもの如く、ボタン式の扉で左にはひと一人が通れるくらいの鉄パイプが置かれていた。中を覗くとどこかに通じているのがわかった。
「……危険なニオイがするな……この先の部屋を扉の方から見てからにしよう……」
そして、真ん中の部屋にて緑の鍵を発見したのである…ただ、問題は…
「……黒い蜘蛛がいる……強化ガラス越しとはいえこいつと目があうのスゲェこえぇ……ッ!?コイツ急に動きやがった!?……やべぇガラスなかったら今ので死んでたな……おっ…?」
一番右の奴、動かないな…それにあの横にある穴……隣の部屋の……まさか!?
「…いやいや…無理だろ…」
だか、あの鍵をとるにはあそこを通るしかない…怖い…できることなら誰かに変わって欲しい…が、この場には俺しか来ない…現実は非情である…。
「あっ…この紙…なんかのメモだな…貰ってくか」
なんか血が付着している気がするが、気のせいだな…うん!
そしてパスワードを解き、緑の鍵を手に入れ鍵のかかった部屋を開けて昇降機を見つけたのでとりあえず乗ってみると…また、下に降りていったのである。
「…また、下に降りたのか…ひょっとして一番下に行けば地上行きの昇降機か階段があるのか…?」
そんな都合のいいことあるか?…不安だ…まさか地上に上がるための道は、俺たちが落ちたあそこしか無いなんてこと無いよな?
ガシャン…と扉が開くと…今までのエリアと違う淀んだ空気に脂汗が出てくる。
「…なんだこの淀んだ空気は…雰囲気が…明らかに違う…」
今まで以上に慎重に進まなくては…
この階は巨大な駐車場が広がっており、進んでいくと謎の赤い石が落ちているくらいで、他に何か変わったものはなかった。
「…このマークは非常口か?なら、地上に出れるかもしれないな…」
今までなら、レバーで起動していたが今回はどうやらボタン式のようだ……左右に一つずつボタンがあり、扉を挟んで設置されている。
一つを押しても反応しないことからどうやら同時に明日必要があるみたいだ……
「…エマにもここまで着いてきてもらうか…流石に断りはしないだろうしな……」
わざとらしく昇降機の横に置かれた金の鍵も念の為拾い、エマの元へと向かった。
…少し、放置しすぎたしな…
中途半端になってしまいましたが、今回はここまでです。それと謎解き要素なのですが、答えなどは伏せさせてもらう方向で行きます。もし、読んでくれた人の中で、奈落に興味を持ってくれた人が入れば嬉しく思います。
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