奈落2  ifストーリー もしも彼の兄が失踪したら   作:アズカバー

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続けて第四話
やっと登場エンリちゃん
ゲームだと一瞬で心折られたキモ男君。この小説内でも本編よりセリフを減らさせてもらいました。
あと、多少の駄文を含みますのて注意してください。

無口なキャラを書くのって難しい……練習していかないとね…
追加:魔神と記載された箇所があればそれは誤字です。正しくは魔人です。大変失礼いたしました。もし、このような誤字が他にもありましたらお手数ですが、報告してくださると助かります。



第四話:魔人降臨

【エンリ視点】

 

── 同時刻 ──

 

スラム街《ファベラ》

 

 

 

 

 

……何だか外が騒がしい……

 

布団から体を起こして辺りを見回す。

 

「………」

 

一年前、"奈落"から脱出し、あの殺人鬼を倒してからここに暮らすようになったが、ここにも随分と慣れてきた……

 

少し埃っぽいが、水道が通っているため、お風呂もトイレも使えるし、洗面台もある。

 

…少し雨漏れが気になることを除けば住み心地は悪くない。

 

「……」

 

壁に貼られた張り紙……引っ越してきてからずっと貼ってあるが、何となく剥がさずにいる。

 

〔訳あり物件〕

"※部屋の形、場所に問題あり"

 

と、記載されている。

 

その横に、家からの教えを書いたルーヴル家の教えを書いた紙を貼ってある。

 

"声" は魂

"意思"は鋼

"強さ"は支

 

この三つ。

 

「……」

 

我が家に伝わる大切な教えだ。

 

 

カンカンカン……ドンッ!

 

「……?」

 

サッ…….カサカサカサ……!!

 

そんな音を立てながら一匹の蜘蛛が侵入してきた。

 

「…!?」

 

急に来た…何でこんなところにこの蜘蛛が?

 

カサカサカサ…とにじり寄ってくるが、

「……」

 

この程度だったら問題ない。

 

バンッ!と大きな破裂音と共に赤黒い斧が出現し、体に赤い煙がまとわりつく。

 

「……!?」

 

蜘蛛がたじろぐ…が、逃がさない

 

「……ニヤッ」

 

斧を振りかぶり、蜘蛛が逃げる前に

 

ダンッ!!……グシャ!!!

 

斧で叩き潰し蜘蛛は跡形も無くなり、肉片と血が飛び散った。

 

「……」

 

部屋が汚れた……すごく臭いから掃除したいけど……今は外のの様子が気になる。

 

「……」(…街がとても静かだ)

 

外に出で、最初に感じた異変は…あまりにも静かすぎること…魔獣がでたというのにこの近くから人の気配をあまり感じない。

 

ちょっと高い場所にこの家はあって、たまに不便に感じるけど《高さは10メートルは超えている場所にハシゴはなく、柵と金網の上に飛び乗って移動する必要がある》もう慣れた。

 

 

「……」

 

相変わらず、街の床にはゴミが散らかってる……確認が終わったら掃除しないと……

 

「……」

 

様子を見に街のほうに行こうとすると、男が4人武装をして取り囲んできた……何のようだろう?

 

「待ってたよ〜お嬢ちゃ〜ん♪いや〜美人さんだね〜♪」

 

「噂通りだな、このスラム街に1人美人がいるって話は」

 

「悪いけど、数日前から君をマークしてたんだ♪……それに、何故か知らないけど今日は人が少ないから…助けを呼んでも誰も来ないんじゃないかな〜♪」

 

なるほど、この人たちは人攫いを生業にしてる人たちで、狙いは私……どうしてなんだろ?

 

「………?」コテン

「おい、人がいないうちにさっさとこの女を捕まえろ!それと、傷つけんなよ?価値が下がらかもしれねーからな」

 

このくらいの人数だったら魔人化しなくてもどうにかなるけど……

 

「…………?」

 

あっ何か来る……

 

「…!?」

 

蜘蛛!!それも二体も……!後ろに指を刺して確認するように促すが、

 

「…!?」

 

「ん…何だ…?」

 

「「「「ぎゃああああああ!」」」」

 

……上手く伝わらなかった。

 

「…………!?」

 

間に合わなかった……男たちを食べ尽くすと今度はこちらを見て、狙いを済ましている。

 

「……ニヤ」バンッ!

 

魔神化して、攻撃体制になると、魔獣2体は

 

カサカサカサ……!

 

「……」

 

一目散に逃げていってしまった

 

「……」(あれって逃げるんだ…大丈夫…じゃないよね…)

 

…とりあえず、人を探してなにが起きてる教えてもらおう…

 

そうして、スラム街を探索していると

 

「うぅ……足が…」

 

この先に人がいるようだ。

 

カサカサカサ

 

……蜘蛛もいる…急がないと……

 

「い…嫌だ…!死にたくない!だ…誰か!誰か!!」

 

少し距離がある。

 

(なら)

 

地面を蹴り、壁に向かって飛びつき、その壁を足場に建物の柱に飛び移る。そしてそのまま男と蜘蛛の間に着地し、魔神化を発動する。

 

「!?」

 

!?……カサカサカサカサカサカサカサ

 

(蜘蛛、3体もいたんだ)

 

三体とも、揃って逃げて行ってしまった。

「……」

 

深追いはしないほうがいい……魔神化を維持するのも結構疲れるし、長期戦には向いていない。

 

「……?」(この人は大丈夫かな?)

「…誰だか知らないが…助かった…感謝するよ…」

「……?」

 

足に指を向けて首を傾げる。

 

「……?あぁ…俺の…足か?……大丈夫だ…血は出てるがそんなに深くない…だか、足も捻っちまってな……悪いんだが、そこの扉までお願いしてもいいか…?」

 

(コクン)

 

男に肩を貸して扉の方に運ぶ

 

「お嬢ちゃん…本当に助かった…この恩は一生忘れないよ」

 

「……」

 

この人はいい人みたいだ…

 

「ああ、そうだ…お嬢ちゃん…あの蜘蛛、数時間前にスラム街の東側で数多く出現したらしいんだ…君も早く王都に避難した方がいい…もっとも王都の騎士団の連中が助けに来てくれりゃ早いんだかな…流石にスラム街には来てくれないか…」

 

「……」

 

東側……今回の騒動がそこから始まったのなら、原因を調べて何とかしないと……

 

「おっと…長話してたらまた蜘蛛に囲まれてしまうな…お嬢ちゃんも地下道を通って王都に行くのか?…行くなら一緒に行くか?この建物の中から地下に行くことができるんだが…」

 

「ふるふる」

「そうか……まぁ何だ…この西スラムには王都に繋がる地下道が多く存在している…まだ用事があるなら急いだ方がいいぞ」

 

(コクン)

 

「それじゃ、王都で…また会おうな、お嬢ちゃん」

 

バタンと扉を閉めて男は去っていった…もう少しこの辺りを調べてから、東側に行ってみよう。

 

 

 

 

 

南側に進むと、子供の鳴き声とともに、蜘蛛の足音が聞こえた。

 

「うわぁーん!こっちくるなよ!あっち行けよ!」ガチャガチャガチャ

 

「……!」

 

どうやらドアに鍵を閉められて入らなくなっているらしい。

 

「誰か…!誰か鍵開けてよ!助けてよー!!」

 

カサカサカサッ!と蜘蛛が迫る。

 

「ぁ…」

 

魔神化して、蜘蛛と少年の間に入り込み、全力の一振りを叩き込んだ

 

蜘蛛は真っ赤な肉塊となり、絶命した。

 

「……」(子供に血を見せる結果になってしまった…)

 

この子には悪いことをしてしまった……本当なら追い返せればよかったんだけど…

 

「だ…だれ……?」

 

「……」

 

少年に怪我がないか確認するが、外傷は特にないようでホッとする

 

「えっと…助けたからてありがとう…おねぇちゃん」

 

「……ニコッ」

…いい子だ…よしよし

 

「わぁっ!?……くすぐったいよ、おねぇちゃん…えへへ」

 

「……ニコッ」

「助けてくれてありがとう、おねぇちゃん!本当に、ありがとう!」

 

嬉しそうにニコニコとしながら何度もありがとうと言っている。どうやら元気になれたようだ。

 

「……!」トントン……クイ

「……ん?…どうしたの、おねぇちゃん?どいてほしって?」

(コクン)

 

ドアの前に立って、鍵の締まったドアノブを掴む。

ガチャガャガャ……ガチャン!!

 

よし、ドアノブが外れた。

 

「スッゲェ!ドアノブを素手で破壊しちゃったー!おねぇちゃんってすげー怪力なんだね!」

 

「……」(その言われ方をすると少し複雑な気分)

 

「おねぇちゃん、いろいろ助けてくれてありがとう!……あの蜘蛛、数時間前からこっちにたくさん来たらしいから….おねぇちゃんも気をつけてね!…それじゃまたね!」

 

(コクン)

 

そういうと少年は元気いっぱいに手を振って扉の奥に行き、王都に向かっていった。

 

 

 

 

そうして、町中を探索していると、蜘蛛が現れ撃退しようとしたら、男に声をかけられた。

 

「お嬢さん、こっちだ!」

 

と、手招きをされたので着いて行くことにした……一緒にいた男の人はとても嫌な人だった。

 

「……ねぇ…もしさ、僕が魔獣に襲われたら、君が先に食べられてね?それで食われながら時間を稼いでね?」

 

と…初対面で随分とひどいことを言われて、少しだけムッときた。

 

 

「……」

 

 男たちに着いていくと、地下通路にでたが、そこで二人は立ち止まっていた。

 

「妙だな…こんな状況下なら地下通路を使う連中が多いはずなんだが…足音一つ聞こえねぇ…嫌な予感がするな…」

 

「………」

 

 蜘蛛の気配がする…それと…かなり遠くに何か大きいものも…ここにいたらまずい。

 

「ねぇ…おっさん…本当に大丈夫何なの?もしも大丈夫じゃなかったら僕、おっさんのこと許さないよ?」

 

「うるせぇなクソガキが…少し黙ってろ…お前みたいなクソガキはこういう時、真っ先に死ぬんだよ…」

 

「ハァ?なに言ってんの?wwwww僕が死ぬわけないじゃんwwww頭大丈夫?」

 

「あ〜!うるせぇガキだな!!…よし、お嬢ちゃん、アンタだけでも守ってやるから……その代わり王都に着いたらわかってるよな?……お礼は、ベットの上でな……ぐへへへへ

 

うわっ……この人最低だ…着いてこなかった方良かったかな…

 

中年の男性はそういうと奥の方を確認しに行った。

 

「けっムカつくおっさんだ……とっとと死ねばいいのに」

 

……そういうあなたは彼に助けてもらったんじゃないの?……とも思ったが、向こうから嫌っているようなのだ指摘する必要もない。

 

(子供と足の男性は大丈夫かな…)

 

と考えていると、地面が一瞬揺れた。

 

「……?」

 

……大きいのが、近づいてきてる?

 

 

そして、道なりに進んでいき、目の前に蜘蛛がいた。

「クソ、嫌な予感が当たりやがった…!」

 

(食べられている人は……さっきの子供と足の人では無さそう……)

「ど、どどど…どうすんだよ〜!おい、おっさん!責任持ってなんとかしろヨォ!!」

 

「騒ぐんじゃねぇよ!見つかるだろうが!!……この際だ仕方ねぇ……この下の道を使う…これしか方法がねぇーしな……よし、お嬢さん着いてきな!」

 

そういうと男の梯子を伝って降りていった。

 

「何だよ〜!そんなところに下に行く道あったのかよ〜!ビビらせんなよ〜!……」

 

ここでこの二人とは別れていこう…身の危険を感じるし…

 

「…そういえば君さ〜名前、なんていうの?教えてよ」

 

「………(やだ)」プイー

 

諦めるまで無視をしよう……こんな嫌な人とは話したくもない…

 

「ねぇ聞こえてる?耳、大丈夫?」

 

(ぷいー)

 

口を膨らませてそっぽを向く……ってあ……

 

「へぇ〜そうなんだぁ〜そんな嫌な態度とるんだぁ〜君って本当に非常識で嫌な女だね〜君周りから絶対言われてるでしょ?可哀想なやつだって」

 

「………」ムスッ

 

なんか…こういう人…助けたくない。

 

「見た目だけ良くても中身が糞だと所詮クズの仲間なんだよ?わかる?君はクズなんだよ?……なにも言い返さないってことは少しは自覚してるってことだよね?う〜わ可哀想wwwそんな態度ばかりとってるから周りからクソビッチなんて呼ばれるんだよ?……君みたいなクズはと〜せ大人になったらさ〜.その辺のクズみたいな男に色目使うだけのど底辺の世界で生きていくゴミになっちゃうんだろうねぇ……可哀想www」

 

この人、同じ言葉何回も使ってる…それしか言葉知らないのかな……()()()()()

 

バンッ!

 

魔神化をして臨戦体制をとる……

 

「ほんと、君みたいな社会のゴミはとっとと死んだほうがいいよ…一応言っとくけど、君のために言ってるんだよ?僕って君と違って心も広いし、優しいからさぁ〜」

 

「………」スッ

 

後ろに指を向ける

 

「えっ?」

 

男が振り向くと、猛スピードで蜘蛛がこちらに向かってきている。

 

カサカサカサカサ…!…と

 

随分と大きな声で話していたせいで、こちらに向かってきていたのに気づかなかったらしい……

 

「へっ!?……ヒッ……ヒヒィ!!」

男の前にたち、蜘蛛を一撃で消し飛ばす。

 

ダンッ!!

 

と、男に大量の蜘蛛の血がかかって酷い匂いがするが早く避難しなかった向こうも悪いと思う。

 

……それに流石にクソビッチ発言には頭に来た。

 

「ひっ……くっ来るなぁー!化け物!!」

 

そういうと男は下に行き、入り口に蓋をした。

 

「………」

 

……開かないようだし、別の道から行こう……

 

ゴゴゴッ…………!!!

 

「………?」

(何か近づいてきている……急いだほうが良さそうだ)

 

振動的に蜘蛛よりも大きいもののようだ……急がなくては……少しだけ早歩きで行くと、

 

ゴゴゴゴ………!!!

 

「………?」(止まった?)

 

恐る恐る振り上げると……

「……!」

 

正面から見ると顔は人らしい形をしているが、その大きさは縦にこの地下通路を埋め尽くすほどの大きさで、長さはわからないが、おそらく顔には顔とらない長さはしている。

 

 巨大な肉塊でできており、所々に肉が蠢きあっていて見ているだけで精神力を削られるような錯覚すら覚える。何よりもその方には無数の触手が蠢いており、悍ましい。

 

「………!!」

 

一年前に訪れた“奈落“……そこにも不気味な生物は数体ほどいたが、これほどまでに巨大なものはいなかった……

 

「………」

 

バンッ!

 

魔人化をするが、今のままでは勝ち目は薄い。あの口に飲み込まれたら終わりだ……反撃できそうな場所まで逃げよう……

 

 

 

 

─ ─ D-015から逃走せよ ─ ─

 

 

 

 

 

入り組んだ地下通路を進み、立て付けの悪い鉄格子の扉を開けながら進んでいき、ひたすら奥へと進んでいく……

 

「………」

 

ガンッ…….ガンガンガン!!

 

たまに、無理やり破壊してでも進まないと開かない扉があったりと、苦労したが、奥までくると、油が溜まったドラム缶を発見した。

 

「……!」

 

これなら…

 

カンッ!カンッ!と魔人の斧で穴を開け、油を撒き、斧で地面を引っ掻いて摩擦で火花を起こす……すると油に火がつき、燃え広がる。

 

そして、近くにあったガスタンクを転がして、油のほうに転がす……あとはタイミングを測ればいい……

 

ゴゴゴゴゴ……と巨大な肉塊ミミズ(D-015)が範囲に入った

 

ブンッ!!

 

斧をガスタンクに向け投げ、ガスタンクを起爆させる……

 

ドッカーンッ!!!

 

と大爆発を起こし、あたり一面は炎の海となり、巨大な肉塊ミミズ(D-015)の頭はえぐれて消し飛んでいた。

 

「………」(…倒せた?)

 

c()o()l()o()r():()#()0()0()0()0()0()0()()()()()()()/()c()o()l()o()r()が姿を消した。c()o()l()o()r():()#()0()0()0()0()0()0()()()()()()()/()c()o()l()o()r()が復活するでは魔神化は出来なくなる……蜘蛛と戦うのは避けていこう。

 

 

 

 

 ここから、斧が復活するまで蜘蛛にバレないよう王都へと向かった。

 

 

「ヒッヒッヒッ……」

 

「………?」

 

王都へと上がるハシゴで倒れている怪しい男がいた……酷い出血で痛みで意識を失っててもおかしくないほどの怪我だ……それなのにこの男は笑っている。

 

「ヒッヒッヒッ…これは驚いた…….君、ルーヴル家の娘さんじゃありませんか?」

 

「………!」

 

びっくりした……この人、私のことを知っている?

 

「さっきの轟音は君の仕業かね?」

「……」(コクン)

「……なるほど……D-015は君が始末したのか…流石だよ…ヒッヒッヒッ…奴らの悲願だけはある…噂通り本当に赤い目をしている…」

 

「………?」(あなたは何者?)

「私が何者か知りたいようだね……君に伝わりやすくいうのなら……殺人鬼……といえば伝わるか……連中では私はS-005なんて呼ばれていたかな……今は組織を裏切って命を追われているというわけさ……何とか逃げようと足掻いたが、このザマだ……ヒッヒッヒッ」

 

「………」(組織?)

 

「ヒッヒッヒッ…これも何かの縁だ……()()()にこの事を伝えておこう……内容はシンプルさ……王都の地下に研究所にある男がいる……その男がここら全ての研究所の管理者であり、例の組織の幹部だ…」

 

「……?」(ある男?……それに行き方は?)

「場所は…少し分かりずらいが、王都の路地裏に地下へ行く道が存在する……目印はその路地裏に小さな喫茶店がある…そこに行き、道なりに進めば、あとは分かるはずだ…」

 

「……?」

「その男がなにをしようとしているかって?……ヒッヒッヒッ……それは行けばわかるが……そうだな、地下にある魔獣全てが研究所より解き放たれて、地獄を作ること……王都の人間を一人残らず殺すってことさ…」

 

「……!」

 

「……なかなか面白い地獄だか、利用されて終わるのだけは性に合わなくてね……君という、切り札(ジョーカー)に情報を渡しているのさ…」

 

「………!」

 

「ルーヴル家のお嬢さん…もし行くつもりなら気をつけなよ…奴らは底なしの悪意を持った化け物だ

 

底なしの悪意……

 

「……もし、君が行く気なら、読唇術が得意な小僧に会うかもしれない……そいつにあったら教えてやってくれ…“お前の探し物はそこにある“……と」

 

「……?」

 

「他に特徴?……ハッタリをはるのが上手いな…それぐらいだ…多少の医学の知識も持ってる……その男、あの化け物を相手にするのなら役立つはずだ」

 

容姿の特徴を言って欲しかった…

 

「大事なことを忘れるところだった……奴らの重要項目に君のことが一年前から記載されていた…もしかしたら君のことを一年前から監視していたのかもしれない…十分に気をつけることだ……」

 

「ヒッヒッヒッ……!君の完全で淀みのない赤い目…見るのは初めてだ…!」

 

「…….???」

 

「いやなに、奴らにとって君は皮肉な存在だ……奴らの悲願がこんな目の前にいて、生み出した自分たちに牙を向くなんてな……その力、どこで手に入れたかなんてどうでもいい……!……その力で奴らに目にもの見せてやれ……頑張れよ…オレは先に…地獄で見物しておくさ…」

 

ヒッヒッヒッ……と男は最後まで笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

─ ─ 王都 ─ ─

 

 

 

 

 

 

地下通路から登ってくると、王都の街中に出ることができた。

 

見覚えのある道を進んでいくと、循環中の騎士団隊員と遭遇した。

 

「コラコラ、そこのお嬢さん…ここの地域は避難警報がでているから早く避難所に行きなさい……こんなところでフラフラしていたらご両親が心配するだろ?ほら、避難所に急ぎなさい」

 

「……」(急いでるんだけどなぁ)

 

「……ん?ちょっと待て…君のその青い髪って……もしかしてあの武闘派貴族のルーヴル家か…?いや、まさかな…」

 

「………」(どうやって切り抜けよう)

 

「おい…!大変だ!黒い蜘蛛が騎士団の防衛ラインを超えてこちらに向かってきているらしい!」

 

よし、いまだ……

 

「何!?数は!?」

「幸い一匹だけだ…前線ではまだ仲間たちが戦っている!ここは俺たちで食い止めるぞ!この王都に奴らを入れさせるな!」

 

「おう…!…ということで君は直ぐにでも避難を……アレ?居ない?」

「なにしてんだ!早く来い!」

 

……なんとか撒いた……こんなに早くバレるとは思わなかった……ここは……私たちのお屋敷だ……今はまだ、帰る必要はない。

 

屋敷の道を戻り、裏道を通って通れそうな道を進んでいくと、どこかの地下室に出た。少し探索をして謎の石を確保したが、なにに使うかはわからない。

 

一応持っておこう。

 

この地下室のあるところは喫茶店のようだ…おそらく、先ほどの殺人鬼が話していた喫茶店だろう。

 

この喫茶店の路地裏を行けば黒幕のある研究施設に着くらしい。

 

「………」

 

おそらくここだろう…開けっぱなしの扉を入ると物々しい鉄の床…入り口の横には大量のガスタンクが置かれていて、反対にはそこの見えない穴がある。

 

扉とスイッチもあるが反応しないため、穴から飛び降りる道以外はない。

 

バンッ!

 

と破裂音と共に魔神の斧が復活する…この姿なら問題なく飛び降りれるだろう……

 

「……」

 

少し、助走をつけて……“奈落“のそこへと飛び込んだ

 

 

 

【エーベル視点】

 

 

 

 

 

 

 

巨大な叫ぶ化け物を撒き、どこかの広い駐車場に出る……どうやらあの怪物はここまで追ってきていないようだ。

 

「ふぅ……長い旅路だったな…でも流石にしばらくは大丈夫だろう」

「…ねぇエーベル君…出口、どこ?」

 

あっ……逃げることしか考えてなかった…

「すまん……」

「まぁ…別にいいけど本当は全然よくないけど…

 

流石に、申し訳がない…

「……まぁ…その、何だ…もう少し先へ進もう…確証はないが、どこかに出口があるはずだ……」

 

「まぁ…そうだね…」

 

「……(気まずい……)」

 

そして、奥へと進んで行った。

 

 

そして、一つの扉を見つけ、扉を押そうとスイッチを押す…が、扉は空くことはなく、代わりに右の4つの赤色のライトに光がついた。

 

「…あれ?扉が開かない…?」

「…ひょっとして、後4つボタンを押さないといけないんじゃない?ほら、横のライトも4つ光ってるし…」

 

「……なるほど…確かにその可能性は高いな…」

 

「あ〜でも…間違ってたらごめん…勘で言っただけだし…」

 

「気にすんな…間違ってたらまたその時考えればいい……さて、残りのスイッチを探そうか」

 

そして、一つ目を見つけ、ボタンを押すと赤色の光が緑色へと変わった。

 

「…正解らしいな…」

「良かった…」

 

この調子で残りも探すか

 

探索していくと押せないボタンと押せるボタンがあり、二つ目の場所は初め見た時は起動していなかったボタンだったため、これには押す順番が定められているらしい。

 

「……なるほどな……中々面倒な仕掛けにしてるな……だか、あと残り2つ……このエリアは広いがどうにでも───」

 

ゴンッ!

 

と鈍く大きな音が響き渡った。俺もエマもできる限り息を殺し、音の聞こえた方を見る……そこには、あの丈夫な鉄扉を破壊して悍ましい雄叫びを上がる化け物の姿があった。

 

アアアアアアアアっ!!!

 

「ひぃっ……!!?」

「…馬鹿な……あの鉄の扉を破壊してきたのか?……冗談だろ……ん?」

 

何だあいつのあの動き……何かを探し回っているような…キョロキョロとしている…どうでもいいが、あのビジュアルにキョロキョロなんて擬音は死ぬほど合わないな…

 

「…エマ、どうやらアイツはこちらの位置まではわかっていないらしい……今のうちにボタンを押して先に進もう……」

 

「でも…見つかったら…?」

「…そんなもん、逃げる以外に無いだろ…」

「…だよね…」

 

そうして俺たちは命懸けのかくれんぼは始まった……が、後たった2つだ……どうにでもなる……筈だ……

 

全てのボタンを押し終わるのに大した時間はかからず、扉のロックを外し、次に進むことができた。

 

「……エマ、悪いがとっとと先に行くぞ……扉の音に反応してアイツがこっちにくるかもしれん…!」

 

「もう……アイツ嫌い……」

「……エマに激しく同意」

 

きっと、俺たちの心が初めて一致した瞬間だったろう。

 

扉の先に進み、何個か目のシャッターを閉めて先に向かうと

 

カンカンカンともはや聞き慣れた音が響いてくる。

 

アアアアアアアアっ!!!

 

「「……ッ!!!」」ダッ!

 

俺とエマはもはや悲鳴すら上げずに無心で逃げていた。

 

 

そして、奥へ奥へと進み、赤いレーザーを通り過ぎると頑丈な扉が締まり、雄叫びが聞こえなくなった。

 

 

「……ハァ……ハァ……流石に撒いたか?」

「はぁ…….はぁ……もう無理……私……走れない……」

 

俺もエマも体力の限界に近い……正直、どこかで休みたいが、現実はいつだって非常だった……

 

カンカンカンと、無慈悲な金属音が響いてくる。

 

「エマ!上だ!前に避けろ!」

「!」ピョン

 

ガッシャン……!

 

アアアアアアアアっ!!!

 

 エマが咄嗟に前に飛び、スレスレで奴の落下地点から避けることができたが、どうやら奴はエマに目をつけているらしい……

 

「あ…ぁぁ…やだ…!やめて……!来ないで……!!」

 

「おい、化け物!お前のの相手は俺だ!」

「……あっ……!」

 

ガンッ!と奴の体を鉄パイプで殴りつけ、意識をこちらに促す……奴の身体中にある目を含む全てがこちらを捉える……

 

「……!?」

 

怖い……!

 

「エーベル君!」

「早く逃げろ!……後で必ず合流する!だから今は、走れ、エマ!

 

「う……うん……約束……だもんね……」

 

……よし……アイツは逃げたな……

 

「…さてと…やっちまったな……約束、守れねぇな…これ……まさか進んで囮役やる羽目になるなんてな…今になって後悔してきた…」

 

 つーかコイツ、クソ硬い…殴っても殴ったこっち側がいてぇし……弾力のある鉄の塊を殴ったみたいだ……

 

「……ええい……腹を括れよ、俺!

 

走っている最中、ボタン2つの扉を見つけ、絶望する…二人同時のボタンの部屋…エマを連れていれば……いや、腹括ったろ…俺、生き残れ!

 

 

アアアアアアアアっ!!!

 

いちいちうるせさいんだよお前は!!……走れ、はしれ……はし……れ…………………活路は…どこだ?

 

 

「はぁ…はぁ…いきどまり…………嘘だろ?……どうしよう…マジでどうしよう…救いの神様は…なにしてるんですか?…休日ですか?……これ、……どうしようもないんですけど……死ぬの……嫌なんですけど……マジで…勘弁してくれよ……………」

 

 

アアアアアアアアっ!!!

 

あぉ……もう無理だ……クソッ…せめて死ぬなら…兄貴生死を知りたかった……医者になって…家族を楽させてやりたかった…

 

「……俺、マジで……死ぬのか…」

 

アアアアアアアアっ!!!

 

赤い悪魔が俺を飲み込もうと大口を開けて向かってくる…抵抗の術は、ない……

 

あっ……終わった

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

両手を頭に置き屈む……その時だ……背後に何かが降ってきた……

 

 

ダンっ!

 

アアアアアアアアっ!!!

 

「……!!!」

 

ダンッ……ガッゴン!!!

 

と、爆発音のような音と共にあの赤い悪魔は吹き飛び、ひっくり返っていた……

 

「……!?…….!?……!?」

 

……す、救いの女神……?

 

「……!?」

 

《魔人の斧が折れた》

《魔人の斧が姿を消した》

 

「……今、なにが起こった?」

「…………グイッ」

「あの、俺の腕、捕まえて…なにする気ですか…?」

「……(ぐいぐい)」

「あっ…!逃げるつもりなんですね…了解です…行きましょう…」

 

アアアアアアアアっ!!!

 

確か、二人同時の部屋が……合った!

 

「そっちのボタンを押してください!同時でお願いします!」

 

「(こくん)」

 

「よし、せーの!」カチッ

 

よし、開いた!

「早く中に!」

 

 

扉の中に入り、鍵を閉めて奴がいなくなるのを待つ。

 

アアアアアアアアっ!!!

 

ガンガンガン

 

アアアアアアアアっ!!!

 

ガンガンガン

 

……………………

 

 

行ったか?

 

「…行った……か…?」

「………」

「えっと……危ないところを助けてもらってありがとうございます…ここの…関係者ですか?」

 

「………(フルフル)」

「そうですか……違うのか……というか、さっき…どこから現れたんですか?……俺、恥ずかしながら下向いちゃってて…」

 

「……」オロオロ

「……」

「……」ウエヲユビサシ

「……」テヲウエニアゲテシタニオロス

「……なるほど……上から、降りてきたと……」

「(コクコク)」

「あそこ…結構高かった気がするが…?それに降りるハシゴもなかったし…いや、もしかして…降りてきた…じゃなくて落ちてきたって事?」

「(コクン)」

 

「……!」ムンッ

「……なるほど……つまりぶん殴ったと」

「(コクン)」

「…マジっすか…そうだ…名前教えてもらっていいですか?」

「………」

「………?」

「………」

「……あぁすまん…俺、エーベルっていいます」

「……」

「……??(何だ…この子…ひょっとして、喋れないのか?)」

「………」

「もしかして喋る事が…出来ないとか?」

「……」

表情から察して喋れないわけじゃないらしい……

 

「何か理由が?」

「………」モジッ

「もしかして、人前で声を出したくないだけ…とか?」

 

「……!」///

 

「あっ…すまん…気に障るようなことしてしまったな…」

「…………?」

「ん…?『どうしてわかったか?』だって?」

「(コクン)」

「俺は相手の心情を読み取るのが得意なんだ…場合によっては相手の思ってる言葉もだいたい推測できる……まぁ読唇術の亜種だな。」

 

「………」

「……すまんがいくつか質問させてください」

「……(コクン)」

「ここの出口…知りませんか?」

 

「(ふるふるふる)」

微妙な否定……出入り口からは来たが、行き方は知らない……こんな感じか……

「君は、どうしてここに?」

「………」

流石にこれは会話じゃないとわからないな……

「じゃあ最後に名前を………?」

 

手を取って……手のひらに文字を……えっと

 

「え…ん…り………エンリ…さん?」

「(コクン)」

「……それじゃ、改めて……助けてくれてあいがとう、エンリさん」

「………ペコリ」

 

 こうして、とても強くて頼りになる美少女、エンリと俺は出会い…そして、生まれて初めての友達との出会いでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで第四話です。やっと書き切れた。歴代最長だぜ!というわけで作者はこれから寝ます。それではまた次回!
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