解釈違いが怖くて今更中身が美少女とか言えない   作:バトルファイティングガール

4 / 5
第三話

 この世界にはたくさんの能力者がいる。

 一般人に比べればそれこそ少ないかもだけど、それは全体を見ればの話であり能力者自体は決して「いない」訳ではないのだ。

 炎や光を生み出す能力から変身系に始まり、中には料理が上手くなる能力なんてものもある。

 そう言えばテレビで最近紹介されてた店もあったかな?

 

 何にしても能力者の能力には結構個性があり、そして個性があるからこそ法則性とかは分かっていない。

 そもそも生まれた時から備わっている事自体は分かるので、社会的には能力を隠すのはほぼ不可能に近い。

 それは私もまた同じである。

 

「……」

 

 今日は定期検診の日。

 隣には霧切トウヤもいて退屈そうにしている。

 

「そういえば」

 

 と、唐突に話しかけてきたので驚き、とは言えここは病院なので大声は出さずに「な、なんだよ……」と小声で尋ね返した。

 

「アユミは、あまり能力を使わないよな」

「私的にはむしろ率先して使う方がおかしいと思うよ」

「そうかぁ? まあ、誰彼構わずあちらこちらに乱発するのはただの犯罪者になるし、だから使い方と使う場所によると俺は思うけど」

「でもトウヤはそれでバトルしてるじゃん」

「バトルは熱くなれるからいーの」

 

 よく分からない理屈だった。

 女になったからとかではなく、前世男だったころもわからなかったと思う。

 格闘技とか、あまり好きじゃなかったし。

 

「受付番号122番の方ー」

 

 と、そこで私の番がやってきたのでトウヤに「行ってくる」と伝えてから立ち上がり、部屋に入った。

 そこには私が赤ちゃんの頃からの付き合いであるおじさん先生、長谷川さんがいた。

 

「やあ、アユミちゃん。こんにちは」

「こんにちは、先生」

 

 それからいろいろ最近あった事や不自由に感じた事を聞かれるが、私は「特に」と答えた。

 そして診断はつつがなく終わりそうだったが、最後に先生が「そういえば」と思い出したかのように尋ねてくる。

 

「アユミちゃん、『また』やってるんだね」

「……はあ」

「いろいろと危ないから、あまりやらないように。とは言いたいんだけどね僕も」

 

 先生は、私が『悪龍化』を有している事を知っていて、そして隠してくれている。

 その理由は、ちょっと分からない。

 ただ、いろいろあったらしい事は感じている。

 先生は、私の『悪龍化』について思うことがあるらしいのだ。

 

「能力名、『()()()()()()()』。その力は人の悪感情を糧に成長を続ける龍への変化というもの」

 

 私も元々は青白い炎を呼び出すだけの能力で、だから『そのように』なっている。

 

「先生はどうして私の力をそれなりに詳しく知っているのですか? 能力ってそれこそ個性的だし、そもそも見ただけでは分かりませんよね?」

「能力とはかつて天才の象徴とされていた。持っているだけで特別視され、そしてそれで勘違いをした奴がいた事を僕は知っているだけさ」

 

 彼は肩をすくめる。

 

「君も、勘違いしてはいけないよ? 君は確かに人より『特別』かもだが、それでも一人の女の子である事には変わりないんだ」

「……はい」

「あと」

 

 と、少し笑いながら彼はいう。

 

「トウヤ君の事は、どうだい?」

「どう、とは?」

 

 はて、と首を傾げていると彼は「やれやれ」と首を横に振った。

 

「これではまだ先は長そうだな」

「?」

 

 相変わらず先生の言う事は難しく、私もまだまだだなと思うしかなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。