魔法少女リリカルなのは~性転換吸血鬼~《瞬間凍結》   作:ビレッジイ

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第11話ロリコンは地に沈む

忍side

 

「ニャー!」

「え?猫ちゃん?・・・・はむっ!?」

 

何やら目を血走らせたリニスが美由紀の顔面に飛びつき、その唇を奪った!・・・・・・・・ん、よく見ればリニスが舐めているのは唇ではなくその隣、精確にはそこについた生クリームを舐め取っていた。

・・・・・・・リニス、お前そこまでして食いたかったのか、でも

 

「でかしたぞリニス! そのまま美由紀の顔をベトベトにしてしまえ!」

 

思いもよらぬ反逆のチャンスに俺は此処ぞとばかりにリニスを焚きつける。

そして、リニスのおかげで緩くなった美由紀の拘束を今度こそ力尽くで脱出する。

美由紀の方は俺がいなくなったことで空いた手で自分の顔に張り付いているリニスを引っぺがしていた。

 

「ぷはっ・・・・・・び、びっくりしたー・・・・・ってしまった、忍ちゃんを逃した! カムバック忍ちゃん! 私の胸にっ」

「近寄るなロリコン。変態が移るだろ」

 

顔を唾液でベトベトにした美由紀が『ヘイカモーン!』と両手を広げて来たので、明確な拒絶を籠めた言葉をプレゼントしてやった。

俺の言葉にガーンと崩れ落ちる美由紀。あんなことをしておいて今更好かれるなどと思っていたのだろうか?・・・・・・思っていたんだろう、彼女はアホな娘だ。

美由紀への第一印象が確定したところで、買い出しに出ていた高町家長男、高町恭也がレジ袋片手に帰ってきた。

 

「ただいま・・・・・・・なに跪いてるんだ美由紀?」

「うわあああん、恭ちゃあああああああん。傷付いた私の心を慰めてええぇぇぇ、そしてそのまま可愛がって♡」

「断る」

「はうっ、バッサリ!?」

 

恭也に縋り付いた美由紀だったが一言で切り捨てられ再び崩れ落ちる。

しかし美由紀よ、ロリコンだけにとどまらずブラコンまで煩わせているとは、どこまも救い用のない奴だ。

恭也はそんな美由紀をただの障害物と言わんばかりに踏み越えこちらに向かって歩いて来た。。その際下の方から『ぐえっ』と潰れたカエルのような呻き声が聞こえてきたがスルーする。

 

「ただいま父さん。お客さんが居るみたいだけど、まずこれを母さんに届けてくるよ」

 

レジ袋を掲げてそう言う恭也。

恭也はメメと俺に小さく会釈だけして、カウンターの方へと行き桃子さんにレジ袋と財布を渡す。

やることを終えた恭也は、改めて俺たちの前にやって来た。

 

「どうも、高町恭也です。父がお世話になってます。・・・・・それと、忍ちゃんだっけ。母さんから聞いたよ、美由紀が迷惑を掛けたみたいでだね。あれの兄として謝罪するよ」

「ああ、もう済んだことだからいいよ。でもすまないと思ってるんならあれがまた馬鹿しないように矯正してくれ。ガチで」

「すまない。俺にはあれを止めることは出来ても、治すことは出来ないんだ」

「あれは既に手遅れということか・・・・・・」

 

後ろの方から『二人とも“あれ”扱いって、ヒドイッ!』なんて声が聞こえてきたが俺も恭也も無視する。なんだが恭也とは仲良くなれそうだ、美由紀と違って。

 

「しかし君も“忍”か・・・・・・・・・」

「ん、俺の名前がどうにかしたか?」

 

急に俺の名前を言ったかと思うと、なにやら複雑そうな顔をする恭也。

話を聞くと恭也には“忍”という名の親しい友人がいるそうで、俺のことを“忍ちゃん”と呼ぶのに少々抵抗というか呼び辛いところがあるとのこと。

しかし、親しい“友人”ねぇ・・・・・・・・・・・

 

「つまり彼女と同じ名前だから呼びにくいというわけですね。はいはいリア充リア充」

「なっ!? べ、別に忍は彼女とかそんなんじゃっ『ピロロロロロ〜♪』すまない電話だ・・・・・・ッ!・・・・・・・・もしもし“忍”」

「(ニヤニヤニヤニヤニヤニヤ)」

 

電話がかかってきたことで話を逸らすことができると安堵した恭也だったが、携帯の表示を見た瞬間表情が引き攣った。どうやらその電話の相手はもう一人の“忍”さんだったようだ。

からかわれるのが嫌なのか恭也は俺に背を向けて通話しようとする。

俺はニヤニヤしながら顔が見える位置まで回り込む。

背を向ける、回り込む、背を向ける、回り込む・・・・・・・・・

 

「・・・・・・・・・・・・ッ! それは本当か!?」

「うおっ!? どうしーーーーーーー」

 

突然声を荒らげた恭也に、どうしたんだ、と声を掛けーーーーようとして途中で口を噤んだ。

何故なら通話をするその表情が真剣なものになり、ただならぬ雰囲気を発していたからだ。

それから恭也は何度か相槌を打ったあと最後に『今から合流する』と言ってピッと通話を終える。

携帯を仕舞った恭也は真剣な顔そのままで士郎さんに話し掛ける。

 

「父さん、やらなきゃいけないことが出来たから行ってくるよ。ごめん、折角の退院祝いなのに」

「気にするな。何か重要なことだっていうことはお前の顔を見れば分かる。高町家の男ならやることをやり切るまで帰ってくるんじゃないぞ。ただし遅くなるようならその時は連絡をしなさい」

「分かったよ父さん。それじゃ忍ちゃん、またいつか」

 

そう言って駆け足で店を出て行った恭也。

なのはや美由紀は突然のことに首を傾げ、桃子さんは何処か心配げな眼差しを息子が走って行った方角に向けていた。

 

長男不在の中パーティーは滞りなく進行された。

リニスが念願だったシュークリームを踊り食いしたり。

ひたぎちゃんがガハラさんと被って、やっぱ本人じゃね?と疑ったり。

復活した美由紀をあしらったり。

楽しい時間というものはあっという間に過ぎて行くもので、パーティもお開きの時間となった。

桃子さんからは、いつでも遊びに来てという言葉とお土産のシュークリームを頂き、仲良くなったなのはちゃんとひたぎちゃんの幼児姉妹とは今度遊ぶ約束を交わした。

 

「忍ちゃ〜ん。美由紀お姉さんともまた今度遊ぼうね♪」

「黙れ汚物。消毒するぞ?」

「忍ちゃんが辛辣っ!? あの頃の優しかった忍ちゃんはどこへ行ってしまったんだぁ! 返して! あの優しかった忍ちゃんを返して!・・・・・・・・・お願い謝るから無視しないでぇぇぇぇぇ」

 

美由紀は何か意味のわからないことを喚き出したので無視することにした。

後から聞こえてきた声なんて知らない。

メメはまだ士郎さんとの話があるということで、帰宅は俺とリニスだけでとなった。

その際桃子さんに心配されたが、保護者であるメメのお墨付きで渋々と言った感じで引き下がった。ここいらのチンピラやロリコンくらい軽くあしらえるし問題ない。

 

 

 

 

 

          ◇◇◇◇◇◇◇帰り道◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「帰り道と言えば八九寺だよな〜」

「急に何を言っているんですか忍?」

 

俺の呟きに首を傾げるリニス(人間形態)

 

「ん、いや何となく。特に深い意味はない・・・・・しっかしこの街は、本当にロリコンが多くて堪らん。美由紀然り、さっきの奴ら然り。ま、おかげで資金には困らないんだけどね。さっきの奴らでトータル5万も稼げたぞ。まあ今回は殆どリニスの稼ぎだから、お前が好きなものに使っていいぞ」

「なら翠屋のシュークリーム一週間分を所望します!・・・・・・しかし本当にあなたのロリコン吸引力には目を見張るものがあります。流石は巷で《ロリコンホイホイ》《ロリコンキラー》と呼ばれるだけことはありますね。・・・・・それにしてもまさか『お姉さん。その幼女を置いて行けば見逃してやるよ、グヘヘへへ』などと言われるとは思っても見ませんでした。完全に私、アウト・オブ・眼中でしたよアレ。流石の私もちょっとイラっときました・・・・・・ケッ」

 

その時のことを思い出したのかやさぐれて不機嫌になるリニス(人間形態)

リニスは自分の容姿にそれなりの自信があったらしく、ロリコン共から『おばさんには興味ネェんだよ、ペッ』と言われた時の彼女の表情とその後の猫パンチ(強)は中々恐怖だった。

 

「ああ、俺もあの時は流石にドン引きって、え? 何その不名誉な二つ名!? 初めて聞いたんですけど!? て言うか普段昼間中寝てるお前が巷って、どこの巷での情報だよそれ?」

「ふふっ。猫ネットワーク、通称“ネッコワーク”は伊達じゃありません!」

「何それ気になる」

 

そんなこんなでリニスとお喋りをしながら歩くこと数十分、見慣れた廃墟に近付いたところで俺はある違和感に気がついた。俺は“それ”を指差してリニスに問いかけた。

 

「なあリニス、俺たちが出る前にはなかったよな“あれ”」

「その筈ですよ・・・・・・・・あれは・・・・“車”ですかね」

 

今や見慣れた我らが住処。

しかし今日に限って見慣れない“黒“が鎮座していた。

それは、いかにもと言った感じの黒塗りの高級車。

ひどく場違いーーーーと言う訳ではないかも知れない。前世でこういう描写をドラマなんかでよく見た覚えがある。

そう例えば

 

ーーーーーーーーーー誘拐現場




次回、ついにあの子の登場です。
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