魔法少女リリカルなのは~性転換吸血鬼~《瞬間凍結》   作:ビレッジイ

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いつもよりちょい長めです。


第8話私はリニスといいます

忍side

 

高町さんの治療した後、今にも消えて無くなってしまいそうな不思議な猫を見つけ、俺はその猫を吸血鬼化させることで助けた。

その後その猫を連れて帰った俺は丁度起きていたメメと鉢合わせになった。

まあ深夜に出かけることは別段珍しいことではないので特に何を言われることもなかった。

とりあえず猫は、さんぽをしていた時に見つけ衰弱していたので連れて帰ってきた、と言っておいた。

メメも特に問題もないのですんなりと猫を迎え入れた。

俺は眠いから寝ると言ってメメと別れた。

 

メメと別れた後、俺は寝室に使っている教室へと向かった。

ちなみに俺が寝室に使っているのは3階の日当たりのいい教室だ。

教室についた俺は、念のために猫を一日中日差しの当たらない場所に眠らせる。

朝になったら灰になっていたなんてシャレにならない。

 

猫を眠らせた俺は机を並べて作っただけのベッドに横になる。

最初の2,3日はあまりの硬さと寝心地の悪さでまともに寝ることが出来なかった。

しかし今ではほとんど不便に感じなくなっている。

 

「名前は、明日決めればいいな・・・・・ふぁぁあぁぁ・・・」

 

横になった途端に強烈な眠気が襲ってきた。

どうやら自分が思っていたよりも俺は疲れていたようだ。

高町さんのことと猫のこと。

特に高町さんの時の緊張はかなり大きかった。

緊張やストレスなどといった精神的疲労は、吸血鬼の再生能力ではどうにもならないのぜ一番厄介だ。

俺は心の中で猫におやすみを言い、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

        ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございます。よく眠れましたか?」

「お、おう?」

 

俺が目を覚ますとそこには、猫耳を付けた綺麗なお姉さんが俺を見下ろしていた。

何このシチュエーション!?

というかお姉さん誰ですか!?

とりあえず起き上がる。

 

「あ、あのいいですか?」

「はい。なんでしょう?」

「その猫耳は本物ですか!?」

「・・・・・・最初の質問がそれですか?」

 

猫耳お姉さん苦笑い。

 

はっ、しまった!

つい見事な猫耳に我を忘れてしはった!?

でも仕方がないじゃないか!

あの、ちょっと付けて見ました的なものではなく

あたかもそこにあるのが当然と言わんばかりの存在感!

やばい、めっちゃ触りたい。

 

「あの、そんなに凝視されたら恥ずかしいです」

 

そう言って両手で猫耳を隠すお姉さん。

ほんのりと頬を桜色に染めて。

更にとどめの上目遣い。

 

ぐはっ!

クリティカル!

これが、萌えというやつか!?

 

ありがとう女神様。

おりゃぁもう死んでも本望だぁ

 

「死なないで下さい」

 

ごもっともで。

 

「えっとすいません。興奮しちゃって。それで、お姉さんは誰ですか?」

「やっと本題ですね。ごほん、私は昨晩あなたに助けられた猫です」

 

それどこの鶴の恩返し(あ、猫か)ですか?

昨晩助けたってあの猫のことか?

確かによく見れば髪の色とかまんまだし。

耳の形も確かあんな感じだったような。

え、もしかしてマジな話なの!?

猫耳お姉さんの小粋なギャグとかじゃなくて?

 

「・・・・・・・マジですか?」

「マジですよ」

 

マジのようだ。

だが俺は実のところは分かっていた。

最初は寝起きで寝ぼけていたので気がつかなかったが、今でははっきりと分かっている。

この女性があの猫であることを。

彼女から俺と同じ血液の匂いを感じることができた。

今の彼女の血液の3分の1は俺の血液であるからすぐに分かった。

こと血液に関しての嗅覚は犬にも匹敵する。

自分の血液であるならばなおさら分かりやすい。

分かったからこそ慌てる。そして自分のやったことに青ざめる。

 

「すいませんでした!!」

 

俺はベッドから飛び降り、その勢いのまま彼女に対して土下座をする。

 

「ど、どうしたんですか!?私はなぜいきなりあなたに土下座をされているんですか!?」

 

彼女は俺のいきなりの行動に目を丸くして半歩後ずさる。

 

「とりあえず頭を上げてください。そして説明をください」

 

俺は彼女に言われた通りに頭を上げる。しかし正座の姿勢は崩さない。

 

「それで、今の謝罪はどういうことでしょうか?」

「えっと。いま自分の体に違和感は感じはすか?」

「違和感ですか?そうですねぇ、言われてみれば確かにあります。なんだか体がかるいですし、逆に魔力が全部なくなっている?」

 

魔力というものが何か分からなかったが、彼女は自分の体の変化に気がついたようだ。

 

「その違和感は俺が原因なんです。今のお姉さんの体はーーーーーーー

 

そして俺は話した。今彼女がどのような存在になってしまったのかを。

元に戻る方法が一つしかないことを。

 

「そうでしたか。ちなみに元に戻る方法とは?」

「それは・・・・・・・」

 

俺はここで本当のことを話すかどうか一瞬迷ったが、正直に本当のことを話すことにした。

 

「・・・・それは、お姉さんの手で俺を殺すこと。これが唯一元に戻れる方法です」

 

そして俺はもう一度すいませんと頭を下げ言葉を繋げる。

 

「でも俺には死ぬ気も、殺される勇気もありません」

 

頭を下げたまま彼女に告げる。

俺には死ぬ気も殺される気もないと。つまりあなたを元に戻すことは出来ないと。

 

「・・・・・そうですか」

 

俺は彼女からの罵倒を待った。そして俺はそれを甘んじて受けるつもりだ。

問答無用で襲いかかってくるならば、主としての権限を使い彼女の自由を奪うつもりだ。何度でも言うが俺は黙って殺されてやるつもりはさらさらない。

しかしそれ以外なら俺は抵抗せずにそれを受ける。それが俺がしてしまったことへの責めてもの償いだ。

 

しかし甘んじて受けると言ったものの内心ではビクビクしていた。

前世の俺はいたって普通の人生を送ってきた。二次小説のオリ主によくあるような、特別な環境で育ったり、辛い体験があったりなどはしなかった。17年生きて、不良に絡まれたことすら一度もない。

故に怖かった。

今まで知らなかった怒りや憎悪、悪意といった感情が自分に向けられることを。

 

「・・・頭を上げてください」

 

しかし、かかってきたのは覚悟をしていたような負の感情がこもった声ではなく、慈愛のこもったような優しい声だった。

俺は予想外のことに戸惑いながらも、言われた通りに頭を上げる。

 

ぽふっ

 

頭を上げた途端、ふわっと柔らかいものが俺の体を包む。

 

「・・・・・・・・・・・・・え?」

 

気づいたらお姉さんは俺のことを抱きしめていた。

突然のことに俺は先ほどまでの恐怖も忘れ、ただ俺を抱きしめている彼女のことを呆然と見ることしか出来なかった。

 

「えっと、あの・・・・?」

「あなたが私に対して負い目を感じることなんてありませんよ」

「でも、俺はお姉さんを・・・・・」

「そうしていなければ私は消えていたのでしょう?ならちょっと存在そのものが変わったことくらい対した問題じゃありません」

「・・・・いいんですか? 元に戻れないんですよ? 今のお姉さんは周りからすれば化け物と変わらない存在なんですよ?」

「かまいません。私はもともとこの世界の者ではありませんし。それにあなたは私のことをそんな風には見ないのでしょう?」

「・・・・じゃあ、許してくれるんですか?俺がお姉さんにしてしまったことを・・・・・」

「許すも何も、私は始めからあなたのことを恨んだりなんかしてませんよ。だから、私に対して負い目を感じないで下さい。むしろ誇ってください、私という一つの命を救ったことを」

「ありがどう・・・・・・ありがどうございまず」

 

限界だった。俺は彼女の体にしがみついて泣いた。

この世界に転生して初めての涙だ。

 

彼女は黙って俺の背中をさすりながら俺が泣き止むのを待ってくれた。

 

「すいません。あと、ありがとうございます・・・・・」

 

俺は泣き終えると急に恥ずかしくなり彼女の顔を見ることができなくなった。

 

「ふふっ、どういたしまして」

 

彼女はそんな俺を微笑ましそうに見ている。

その場の空気に耐えられなくなった俺は新しい話題を探していたところ、まだお互い相手の名前を知らないことに気がついた。

 

「そういえばまだ自己紹介してませんでした」

「そうでしたね。私はリニスといいます」

「俺の名前は忍野忍。忍って呼んでくれ。それでリニスさん」

「リニスでいいですよ」

「それじゃあエリス。リニスはなんであんなところで消えかかっていたんだ?」

「そうですね。ちょっと長い話になってしまいますがいいですか?」

「構わない」

「分かりました。それではまず私が生まれた時のことから」

 

そしてリニスは語り出す。

自分が猫を媒介に魔法の契約の元造られた使い魔であったこと。

主であったプレシアのこと。

プレシアの娘で、リニスの元教え子であるフェイトのこと。

そして昨日、契約が終わり消滅する運命だったこと。

そんな時に現れたのが俺だったこと、ということを最後にリニスの話が終わる。

 

「これが私が生まれてから今日に至るまでの話です」

「魔法に使い魔か・・・・・・・」

 

おそらくこの世界は魔法を題材にしたアニメに酷似した世界なのだろう。魔法などというインパクトのあるものがストーリーと関係なく存在するはずがない。この説はほぼ確定だと思って間違いないだろう。

 

「リニスってもう魔法が使えないんだっけ?」

「はい。どうやら私の中のリンカーコアがなくなっているようです」

「リンカーコア?なんだそれ?」

「リンカーコアとは魔法を使う全ての生物が持つ器官です。これは空気中に存在する魔力を蓄え、それを使役するために必須の器官です」

「つまりそのリンカーコアがないと魔法が使えないってことか?で、今リニスの中からそれがなくなっていると?」

「そのようです。おそらく私が吸血鬼化したことが原因のようです」

「ふうむ。まあ考えてみれば当然のことことか?」

 

魔力を糧に生きている使い魔から血液を糧に生きている吸血鬼に生まれ変わったのだ。使い魔として備わっていた器官がなくなっていても不思議ではない。

 

「魔法が使えないのは少々不便ではありますが問題ないでしょう。それにこの世界は魔法文化がないようですし」

「そう言ってくれると助かるけど。リニスはいいのか? たしか、プレシアとフェイトだっけ? 魔法がないとそいつらのところに行けないんだろう?」

「そうですね。確かに心残りがないといえば嘘になります。けれど私は消えるはずだった身です。こうして使い魔から吸血鬼に生まれ変わったことですし、これを第二の人生だと思って楽しみますよ」

「・・・・・そうか」

 

リニスはうまく割り切ろうとしているようだが、その内心ではまだあたら側の世界に対しての思いがあることは俺でも分かる。かく言う俺も前世の世界に対しての未練があるからだ。

まあ遠からずこの世界の地球に魔法が関わってくるだろうから、その時その思いに決着をつければいいだろう。

 

「まあそのためにもリニスの今後について話さなくちゃな」

「はい。でもその前に」

「?」

「そこで私たちの話を聞いている方。出てきたらどうですか?」

 

リニスは突然俺とは別方向を向いてそう言う。

 

「えっ!?」

 

俺は驚いてリニスが向いている方を見る。

 

「いやぁ驚いた。まさか気づかれているとはねぇ。その猫耳、伊達じゃないね」

 

そこから現れたのは俺の同居人兼仮保護者。

 

「・・・・メメ」

 

忍野メメだった。

 

「ははっ、どうしたんだい忍ちゃん?どうしたんだい、そんな驚いた顔をして。何か良いことでもあったのかい?」

 

 

 

 

 

 

          ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

リニスとの話を聞かれた俺はメメにある程度のことを話した。ある程度というのは『転生』や『アニメに酷似した世界』など以外についてだ。

その他の吸血鬼のことや俺の精神が男であることなどを話した。魔法についてはリニスが説明した。

中身が男だと話したらリニスも驚いた。そしてそのあと頬を赤く染めた。おそらく先ほどまで俺を抱きしめた時のことを思い出したのだろう。意外とリニスも初心だな。

 

俺とリニスの話を聴き終えたメメの反応は「まさに、現実は小説より奇なりってやつだねぇ」だった。

とりあえずメメには、ここで聞いたことを漏らさないようにと釘を刺し、メメはそれに二つ返事で了承した。

リニスは行く当てがないので俺と一緒にこの廃墟で暮らすことになった。リニスは元が猫なだけに廃墟でも問題ないようだ。

こうして、人間と吸血鬼、元使い魔の奇妙な共同生活が始まったのである。

 




いつもより長いので誤字脱字も多かったかもしれません。
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