転生したらパグって酷くないですか?   作:雪見沼

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転生したらパグって酷くないですか?

転生、それはオタクならば一度は夢見るものである。

オリジナルのファンタジー、自分が大好きなアニメや小説の世界。そんな世界に転生し悔いのあった人生をもう一度やり直すチャンス。

そんな夢、俺も持っていた。だけど、

 

前の人生よりも更に低い身長。

どう見ても人ではない耳。

そして潰れた鼻にぺったんこな顔。

 

「どう見てもパグじゃねーーーーーかーーーーー!」

 

そう犬に転生してしまったのである、しかも二足歩行。いきなり自我がはっきりとして脳内にダウンロードされた記憶で更に俺を叩き落とす。

 

名前はパグ崎太郎、アビドス生まれのもうすぐ小学生。

そうアビドスである、オタクなら一度は耳にした事があるあの先生が生徒に対し異常性癖を晒しながらも困難を乗り越えるブルーアーカイブの自治区である。しかも砂漠化が進み人口が減少してカイザーなんて言う企業の陰謀もあって治安も悪くなっているあのアビドスなのである。

いや、待て転生ならチートがあっても…

 

「まずヘイローがねーじゃねーか」

 

ブルアカでまず市民権でもあるヘイローがない、そういや生徒以外にヘイロー持ってるのはビナーとかのボスくらいか。いやまだだ、二次小説のように何か他の能力が。

 

短い手と指、どう見ても銃は握れそうにない。

犬だし走力は…二足歩行になって逆に普通の犬より遅い気も。

冴え渡る頭脳…もう微分積分も忘れてるわ。てか入学予定の小学校(ヘイローなし専用)は平凡な学校だしな。

 

他にも色々検証してみたが全くチートは備わっていなかった。鍛えようにもベースはパグなのである、様々な犬種の中でも身体能力はどうみても期待できない。つまり生徒と並んで戦うどころか先生の隣にいるのも無理なLV。夢に見た嫁生徒とイチャイチャの関係なんて0%無理っていうか獣○なんて誰が望むんだよ!

 

こうして俺の転生人生は最初から大いなる方向転換を強いられた、参加できないならこっそり近くで先生たちの活躍を見ようじゃないか。確かに危険もあるかもしれないが一度死んだ身、それにヘイローもなしキヴォトスに住んでればどこでも危険は付きまとうのだ。そうと決まればまずは情報収集だ。そう思いTVをつけると、

 

「連邦生徒会の発表によりますと…」

 

いいタイミングで始まるニュース、そしてそこに映る連邦生徒会の会長の姿は…

 

「アレ?超人どこ?」

 

先生は愚か超人すら生徒会にいない年代だったのだ。

 

 

 

アレから十数年いや、それ以上か。俺は頑張った、ちょー頑張った。アビドスの生徒がまだギリ3桁だと知った俺はまだ原作が始まっていないと希望を持って行動を開始したのだ。

前世では勉強なんて社会に出たら…なんて言っていたがその必要性は身に染みるほど理解しているから頑張った。運動は頑張ったがやはり限界値はかなり低めだったらしく見切りをつけた。その分アルバイトやボランティアに参加した、これは資金もだがコネが欲しかったのだ。コネは大事なのだ。

貯めた資金で投資を開始した、嫌だがカイザーが成長するのは原作で知ってるからそこに突っ込んでその利益の一部をアビドスへ寄付した。これは下心というよりも応援する人がいることでユメ先輩が助かる可能性を上げたかったからである。

 

その後も、資格を取ったりアビドス高の前で落ちこんでいる生徒を慰めたり、雨の中猫を抱いて立っている生徒と里親探しをしたり、スケバンの抗争に自分から参戦して怪我を負った生徒に治療しながら甘味を食べたりなど色んな出会いがあり。社会に出て会社勤めをしながら活動は辞めずそろそろ独立して自由度を高めようと思った時アレに目をつけられてしまったのだ。

 

「パグ崎太郎さんですね。私が知らない、大局ではないけれど小さくそれでいて確かな揺らぎを発生させる存在。貴方は何者なんでしょうか?」

 

あの、前世で何度も絶望に青封筒で叩き落としてくれた笑顔が俺の目の前に立っていたのだ。俺は思わず後退りをしてしまう。

 

「おや折角忙しいのにも関わらず会いにきてあげたのに、それとも貴方は私の邪魔をしちゃう人なんでしょうか?」

 

笑顔なのに目が笑ってない超人になす術もなく1つの契約を結ぶことになった。その契約が、

 

「パグ崎外部顧問、先ほどの書類はまだですか」

「は、はい〜後3分待ってください!」

 

七神リン主席行政官に言われタイピングの速度を早める俺。そう超人に全面降伏した俺は外部顧問という名ばかりの使いっ走りとして連邦生徒会に所属することになってしまったのである。その代わりと言ってはなんだがアビドスの支援を訴える機会を貰えたのだが…その場にいた主席行政官と財務室長と防衛室長の鋭い目と反対意見にチビりそうになったが、連邦生徒会としても利ではなく理を突くことで一定の理解を得る事ができた。まぁその話は置いとくとして、

 

「出来ました、付属資料と共に今送ります」

「はい、確かに。次はもう少し早くお願いします」

 

俺が最初に取り掛かったのは作業の電子化である。連邦生徒会に所属してまず驚いたのは書類の多さである、技術が発展したキヴォトスではハッキングはよくあることでそれを完全に対応するために紙媒体という理屈なのだが。社会を経験した俺から見ても頭を抱えるしかなかった、なんで100か0でしか判断しないんだ。そこで比較的重要ではない処理をクローズドネットワークの電子化し重要度に応じて電子化と紙媒体の段階的な変更を提案した。

最初は猛反対にあったが(超人は笑っていた)根気よく説得し、必要性を唱え電子化を行うことに成功したのだ。

 

「最初はどうなる事かと思いましたが、被害も今のところなく逆に徹夜がなくなったのは嬉しい誤算でしたね」

「いや、学生の身で徹夜するのが当たり前っていうのが問題じゃないのかな…」

 

室長レベルは皆徹夜が当たり前な生活を送ってるのはマジで問題だと思う。まぁそこを突いたから一定の理解も得れた訳なんだが。

 

「ええ、どこの誰かとは申しませんが。うら若き女性の肌を覗き見する趣味をお持ちの様ですし」

 

七神さんはまだあの時のことを根に持っているようでたまにこうチクチク言ってきたりもするが…

 

「そろそろお昼時間ですね…それでパグ崎が「ちょっといいかしら」…財務室長何か御用ですか?」

 

やってきたのは扇喜アオイ財務室長。この子も俺に当たりが強い子だ。

 

「ええ、少しパグ崎外部顧問をお借りしてもいいかしら。少し確認したい事があるんだけど」

 

おや提出した書類に何か不備であったかな?昼休憩に入る前だしサクッと

 

「そろそろ昼休憩なのでその後でいいでは?」

 

アレ?なんで七神さんが答えるの?

 

「主席行政官、貴方に聞いてはいないのだけど」

「業務を効率よく運用するのは行政官として必要なことですので」

 

何故か睨み合う2人の生徒。そして、

 

「「どちらが正しいと思いますか、パグ崎外部顧問!」」

 

それどちらを選んでも俺に害しかないですよね。それと超人、後ろで笑ってんじゃねーよ!

 

 

 

そんな(まだ)穏やかな時間はあっと言う間に過ぎ遂に原作が始まった。あの超人も超人(笑)?になり先生もやってきたのでお役御免だと思っていたのだが。

 

「何を言っているのですか、貴方はこれからシャーレの協力員でもあるのですよ」

 

と七神さんに言われ…えっでもある?

 

「生徒会長が所在不明なのにここまで私たちの仕事に茶々を入れた外部顧問が辞めるなんて言わないわよね?」

「大人として責任は取られますよね?」

 

とてもいい笑顔の七神主席行政官と扇喜財政室長に週の半分は連邦生徒会で働くことを約束させられ。

休日返上よろしくなシャーレで先生の補佐を頑張ってした結果。

 

「どうでもいいけど、おじさんを離して貰える。苦しそうなんだけど?」

「えーーそんなことないですよね、おじさま?」

 

いや苦しいのはこの空気というか、もう少し圧力緩めて貰えないかなカヨコくんにノノミくん。

 

「あんた達おじさんに迷惑かけ過ぎ、それにおじさんはこれから疲れを癒しにケーキ食べに行く予定あるんだけど」

「ケーキは私が作って来たから1人で行くといい。おじさんは私が癒してあげるから」

 

カズサくんにカリンくん…今とっても胃がキリキリしてケーキどころじゃないんだけど。

 

「全く、自分の意見をハッキリ言えばいいのに。私の持ち主なんだしもう少ししっかりして欲しいんだけど」

「モノを自称するなら部屋の隅っこに居たらどーすか?まぁおじさんは私がお相手するからそのまま埃被りそうっすけど」

「そうね、ついでに貴方もいつもの様に後輩の子に唾でもつけとけばいいんじゃない。その方がおじさまも喜ぶと思うけど」

 

ミサキくんにイチカくんにキキョウくん、無言で銃を構えないで!

そうだこんな時は先生、あんたの仕事だろうが。そう思い頭にある柔らかい物に押されながらも先生の方を向くと、

 

「先生、パグ崎顧問と一緒に寝てたってどういうことですか!先生はやっぱりホモなんですか、それとも獣○趣味なんですか!」

「違う、それは誤解だ。一緒に寝たのもお酒に酔っ払って…」

「酔っ払って…そんな酔った勢いで押し倒したんですか!」

 

あっやばい、ふとも…もといユウカに押し倒されて役に立ちそうにない。それに他の生徒も先生を囲み始めてるしこりゃ年貢の納め時かもしれないな。

それも一緒に寝てたというか、先生に抱き枕にされてただけだぞ。意外と酒に弱いんだよな先生。

 

「パグ崎外部顧問、ちょっとこの書類…って何しているのかしら貴方達?」

 

あっやべ扇喜財務室長まで来ちゃった。

全くチートもなく、全く才能なしで始まったパグな転生生活な俺だったが。

 

「「「「おじさん」」」」

「「「おじさま」」」

「「顧問」」

 

「「「「「「「「どういうことですか!」」」」」」」

 

 

転生したらパグってやっぱり酷くないですか?

 

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