遂に最終編突入です。
パグ崎君メモ、七囚人へのスタンスは
ワカモ、先生に丸投げ
アキラ、連邦生徒会に部署を作るから入らない?(断られました)
カイ、この子は放置できない
アケミ、顔見知り。話せばまだ分かる子…だよね?
「と、そういう訳なんだ」
連邦生徒会の一室で先生が語ったキヴォトス終焉の話、遂に最終編が始まるのか。俺は背筋から汗が流れるのを感じた。そして、一緒に聞いたリン君も。
「信じる信じないは別として、先生は連邦生徒会会長が指名した方です。その方がその予知夢を信じるなら、私は準備し、対応するのみです」
そう言って一定の理解を示した。最初の一歩は問題なく踏み出せただろう、リン君がある程度先生を信頼している証明でもある。とは言ってもこの後の事を考えると胃が痛くなる展開が目白押しなんだけどね。
「パグ崎外部顧問、先ほどの先生の件どう思われますか?」
執務室に着くなりそう質問してくるリン君、
「先生が嘘をつく必要もないし、それにこの件はトリニティの百合園君の未来視とも一致している。ただの夢と片付けるには危険が多すぎる。とはいえ、他の室長たちを納得させる物が見つかるといいんだけどね」
原作もそうだが近頃リン君への風当たりが強い、カヤ君がクーデターに備え裏で暗躍してるんだろうけど。俺も間を取り持っているけれど、払拭するまでには至っていない。
「そうですね、先ずは分かっている範囲で調べ。他にも何か起こっていないか調査するしかないでしょうね」
こうして俺が関わる最終編が始まるのだった。
そして数日後、
「各自治区の生徒会代表を緊急招集します」
キヴォトスに超高濃度のエネルギー体が発見された事を機にリン君は決断した。
それに対しアユム君やモモカ君も衝撃を受ける、それ程の決断なのだ。
そして、それは大きな反発を受けることにもなる。そう、
「いつからあなたが防衛室の権限を持つようになったのかしら?」
「アオイ」
何処まで聞いていたのか、アオイ君がリン君の立場と権限について意見をする。
「貴方は連邦生徒会会長じゃない、行政官なのよ。例え代行としてもそれは変わらない。今までの件、そして今回。いくら代行とはいえ度を超しているわ」
確かに組織を運営するには権限のあり方は重要だ、ただそれは私利私欲な独裁を防いだり、専門性により的確な問題対処を行うためだ。
「せめて私を説得できる程度の準備をしてから進めるべき。貴方もそう思わないかしらパグ崎外部顧問?」
アオイ君は厳しい眼差しのまま俺に問うってくる。
「確かに権限の逸脱、これに関しては扇喜君の言う通りだろう」
「!?」
俺の言葉にアユム君とモモカ君が反応する。
「だけど、権限とはただ守ればいいという物ではない。与えられた地位と権限、それを何故与えられたか。それを天秤にかけ、時には逸脱する必要がある時は往々にしてある」
「けれど、最近の行政官は独断が」
「独断とはその結果において責任と覚悟を持って行わなければならない、私は七神君はそれを持って行ったと思っている。そしてその決断に大きな問題はなかった、だからこそ独断という事だけが問題になっているのではないのかな?」
「それは…」
アオイ君が言ったサンクトゥムタワーの行政権の喪失に、SRTの閉鎖、そしてシャーレの認可。これも全ては連邦生徒会会長が失踪したことで起こったことだ、というか完全に予想していたはずだ。そしてそれを押し付けられたのがリン君だっただけなのだ。
「代行とはいえ、君たち連邦生徒会は七神君を上と認めた。そして上に立つ者は非難されようと決断しなければならない。それが問題と言うなら、君たちは最初から言うべきだった。新たな生徒会長を立てようと」
「…」
反論できないだろう、それが俺がリン君に生徒会長の就任を何度も訴えていた理由なのだから。
「アオイ君、君が七神君の事を心配しているのは分かる。だけど彼女を支えるつもりなら、先ずは決断する重圧、それを理解してあげて欲しいかな」
結局は連邦生徒会のメンバーはあの超人の呪縛から解き放たれていないんだろうな、新たな生徒会長を擁立する話が出ないのがその証拠。みんな七神君を認めているのに、何処かであの超人の事を思い出してしまう。だから踏み切れない、だから亀裂が生じる。
「パグ崎外部顧問の意見も確かね、ごめんなさい。少し感情的になっていたかもしれないわ。でもそういう意見が根強いのも確かなの、覚えていてちょうだい。それと少しは休みなさい、目元や肌に疲労が見えてるわよ」
なんとなくリン君に目を向けると鋭い眼光が映ったので目を逸らす。そして言いたいことは言ったとアオイ君は立ち去り、そしてそれでもリン君は。
「アユム、非常対策委員会の準備を」
歩みを止めることはない、それが彼女の覚悟なんだろうけど。ほんと君を恨むよ超人、どうして彼女に教えてあげなかったんだ。リン君なら大丈夫だって。
そして、原作通りカヤ君が外に居て委員会に先生を同席させる事を提案する。この時点でカヤ君もカイザーもエネルギー体のことは感知していたんだろう。だから準備はされている、今更止めることはできないだろう。だけど。
「カヤ君」
「なんでしょうか、パグ崎さん?」
一言だけは言っておこう。
「協力関係や契約という物は、利益があるから守られるものだ。それをちゃんと理解するといい」
「は、はぁ…」
破ってもそれ以上の利益があるなら、それを破る。大人とは会社とはそういう生き物でもある。それが現実なんだよ。
「パグ崎さんは…分かってくれてるのね…」
「私だって分かってるわよ、でもそこまで言わなくてもいいじゃない、バカ」
※※※
『…確認しました、追跡します』
「うん、お願いね。くれぐれも無理はしないようにね」
俺は通話を切りため息をつく、色々根回しをしたが結局原作通りにしか進まないようだ。あれ以降アオイ君は俺と業務以外会ってはくれないし、今回は最終編が絡んでるせいでどうしてもリン君側に立ってしまうんだよね。
そして非常対策委員会、成功させるための潤滑油である先生はカヤ君に先手を打たれている状態だ。手段を選ばなければ止めらるんだろうけど、そうするとカイザーがどんな手を使ってくるか分からない。だから怪しまれない範囲でしか動けないのがもどかしい。
そして先生不在で始まった非常対策委員会も原作通りに進んだ、トリニティやミレニアムは俺を気にして少しは手加減してくれたけど、結局は先生がいない不審の方が勝ってしまいお流れになってしまった。
そして、
「これが貴方の狙いなのかしらリン行政官?」
アオイ君がリン君への不信任決議案の命令書を持ってリン君へ詰め寄る。
「扇喜君!」
「それとパグ崎外部顧問、貴方にも関与した疑惑がありその職務と権限を停止させていただきます」
「「「!?」」」
えっ俺まで?
「アオイ、何故パグ崎外部顧問まで。彼の誠実さは貴方も」
「貴方の暴走を止めるには仕方ないじゃない、私だって彼のことは分かってる!…少し感情的になり過ぎね。詳細は明日話しましょう」
そう言ってアオイ君は、アユム君たちや他の行政官を帰らせ去っていった。
「七神君…」
「パグ崎外部顧問、すいません私のせいで」
「気にする必要はないさ、これは私が決めてやったことだからね」
「ありがとうございます、パグ崎外部顧問も今日はお休みください。私はもう少しここにいますので」
そういうリン君の目は翳りが見えた、だから。
「リン君、私は今でも君が正しい事をしていると信じている。だから…君も信じて欲しい。自分の選択を」
そう言って俺は部屋を出た後、足早に外へと向かう。ここでのんびりしていたらカイザーに拘束されてしまう。そして、玄関ホールを出ると。
「店長こっちこっち」
「君は!?」
俺を手招きする顔見知りの少女の先導で脱出するのであった。
※※※
カイザーに拘束されていた私だけど、カンナが決死の覚悟で助け出してくれ、待機していたフブキとキリノとも合流できた。
そして、シッテムの箱も戻ってきたが。
「ここで戦うのは…」
ここで戦端を開くとすぐに囲まれてジリ貧だ、どうにか奴らの注目が逸れるといいんだけど。
ドン!ガガガガ!
「襲撃だ、あっちだ!」
突然の爆発と銃撃音に身を下げるが、どうやら私たちではなく反対方向にカイザーの兵達が走っていく。
「先生何か分かりませんが、移動しましょう」
「そうだね、それと。アロナお願い!」
『分かりました、先生』
降って湧いたチャンスを活かし移動する私たち、そしてその間にアロナに何とか救援を求める通信を送ってもらう。
『すみません先生、多分1番近くにいる人になら届いたと思うのですが』
「ありがとうアロナ、十分だよ」
ここの場所が何処かはカンナに聞いた、ならあの子達に届いてるはず。今はそれを信じるしかない。そう思い進んでいたが。
「おとなしく投降しろ」
遂に囲まれてしまう、ここまでか。そう思った時、
「ドローン稼働、爆発に注意!」
「なっ!」
「どりゃーーーーーーあーーーー」
爆発と同時に飛び込んでくる人影、そう私は彼女達が来てくるのを信じていた。
「RABBIT小隊のみんな!」
飛び込んできたミヤコとサキがカイザーを牽制しなが、
「先生と要人を確保、敵の位置を確認!」
すぐに迎撃体制に移る、そしてその行動は素早く。
「全部隊、一斉…グワァ!」
狙撃により相手の指揮官が倒れ、カイザーの兵達は混乱する。
「ありがとうRABBIT小隊、来てくれて」
「勘違いするなよ、別に先生を助けに来たわけじゃない」
なんてサキが言うが、
「RABBIT小隊、先生の救援要請を受け参上しました」
ミヤコがそう言ってくれる。これなら何とかなる、そして後もう少しという所まで来たが。
「数が多いですね、先生だけなら可能ですが」
集中された戦力に進みが鈍る、どうしても後一手が足らない。
「先生私を置いて行ってください」
「そんな事できない、必ずみんなで脱出するんだ」
自分の正義を貫いてここまでしてくれた、カンナを犠牲になんてできない。どうにか、こうなったら。
ガガガガガガ!
「左方から銃撃だグワァ!」
突然カイザーに大量の銃弾が打ち込まれる。
「え、援軍?…ってあれってスケバン?」
「えっ?」
銃撃が行われた方を見ると、そこに居たのは2〜30人くらいのスケバンの子達。何故彼女達がこんな所にいるのだろうか。あれこっちに手を振ってる、とう言うことは私たちに敵対してるわけじゃない。
「ミヤコ、チャンスだ。包囲を破って突破しよう」
「確かに、私たちが突破すればその分、彼女達の危険も減るでしょうしね」
私たちはこのチャンスを物にして全員無事に公園まで退くことができた、だけど問題は山積みだった、連邦生徒会は占拠され連絡も取れず今の戦力でシャーレを奪還しないといけない。
今の戦力はRABBIT小隊にフブキとキリノだけ。カンナは重症で早く医者に見せないと行かないと。
カイザーも馬鹿じゃないだろうから戦力を集めるだろう、その中でシャーレを奪還しリンちゃんも助け出さないといけない。それでもやらないといけない、RABBIT小隊もフブキやキリノも覚悟を決めている。やるしかないんだ。
「あーよかった、間に合った」
自分を奮い立たせ前を向こうとした時、慣れ親しんだ声が聞こえた。その声は、
「太郎君、無事だったんだ!」
目に映ったのは太郎君…と大勢のスケバンの子?
「あっ、あの子たち。私たちを援護してくれた子」
えっそうなの?
「先生無事で何よりです」
「うん、何とかね。ところで太郎君、後ろの子達は?」
「あの子達は、私の漬物店の社員です。助けを求めたらみんな昔の服を持ち出してきちゃって」
太郎君が漬物店をやってるのは知ってたけど、まさか社員が皆スケバンだったなんて。
でも今はそれが凄く頼りになる。
「これからシャーレを奪還するんだ、協力お願いできるかな?」
「勿論です、そのために来たんですから」
希望が見えてきた私たちはシャーレへと向かう、その途中で連絡を受けた公安局が自主的に応援に来てくれた。その後もヴァルキューレの生徒達が集まり遂にはシャーレ前まで制圧を完了することができた。
ただ、ここからは相手も精鋭になる。それを倒しリンちゃんを救出しクラフトチェンバーを無事に確保しないといけない。
どちらも必要で、でも確実にするならどちらかを優先しないと。
「どうやら間に合ったみたいですわね」
「えっ?」
突然の聞き慣れない声に顔を向けると、そこに居たのはマッチョな生徒だった。
※※※
突然の登場に先生が唖然とする。その他の子たちも、
「お、お前は!?」
驚愕するヴァルキューレの子達。
ガチャ!
冷静に銃を構えるRABBIT小隊。
「姐さん!」
歓喜の声を上げるスケバンの我が店員達。
そう現れたのは、
「アケミ君来てくれたんだね!」
「ええ、パグ崎さんには色々とご恩がありますから」
悪名高い七囚人が1人、栗浜アケミ君なのだ。
「えっと太郎君、彼女は?」
俺が先生に答える前に、
「先生離れろ、そいつは七囚人。伝説のスケバン栗浜アケミだ!」
サキ君がそう叫び銃を構える。そしてヴァルキューレの子達も銃を構えるが。
「あらあら、そんなに殺気だってどうされました」
それを気にも止めない、まぁアケミ君にとってこの戦力は対応可能なんだろうね。
「みんな落ち着いて、アケミ君は私がもしもの時のために呼んだ助っ人なんだ。今回は味方なんだ、私が保証するから」
そう言って間に入る、
「だが、ソイツは!」
「私はパグ崎さんに数々の恩があります、そのパグ崎さんの願いでここに来たのです。頼まれたこと以外はするつもりはありませんわ」
警戒感MAXな状態でも平然としているアケミ君。これ以上混乱は避けたいんだけどな。
「えっとパグ崎君?」
「えっとアケミ君とは炊き出しのボランティアで知り合ったんです、その後も」
「この子達の仕事の斡旋や、私が収監された後も何度も面会に来て頂き。腐った連邦生徒会に所属されているのが不思議なくらいな方ですわね、パグ崎さんは」
あはは、暴れ具合と沸点の低さはアレだけど、七囚人の中ではまだ話が通じるんだよね。
「今回は戦力に限りがあります、そのために1番縛りがなく強い知り合いはアケミ君だったんです。彼女は味方なら信頼できる頼もしい子です」
そう言って先生と生徒たちに頭を下げる、今は彼女の力が必要なのだ。
「わかった、みんな色々意見はあると思うけど、私は彼女を信用しようと思う。アケミくんも太郎くんの信頼を損ねることはしないよね?」
「ええ、勿論」
先生にこう言われ生徒達は渋々納得してくれた、こうしてアケミを戦力として加えたことで。リン君の救出は俺とアケミ君&スケバンチームが、クラフトチェンバーの確保と屋上制圧はRABBIT小隊が、フブキ君とキリノ君とヴァルキューレ部隊が玄関で増援に対峙することになった。
原作より充実した戦力が集まったわけ何だけど、
「今日のエリザベスはご機嫌ですわね」
「えっと建物の被害も出来れば控えめにお願いできるかな?」
流石は七囚人、アケミ君1人でカイザーの精鋭を薙ぎ払っちゃったよ。スケバンの子達も拘束するしか仕事ないし、俺なんてアケミ君の後ろに着いていくだけだったし。
そして事前に教えられた部屋に到着すると、
「ふん!あら脆い扉ですわね」
開錠(物理)で扉を開け、
「リン君!」
「パグ崎さん!?」
「怪我はないかい?」
「ええ、でもまさかパグ崎さんが助けに来てくれるとは。…それに名前で呼んでくれるのは久しぶり(小言)」
「えっ何?」
「いえ、何でもありません」
無事にリン君を救出、ほぼ同時にクラフトチェンバーも確保。
そして最後に残ったカイザーのジェネラルも拘束、無事にシャーレを奪還しカイザーの野望も阻止することができた。
「さて要件も済みましたし、私は帰らせて頂きますね」
「今日はありがとう、アケミ君。どうせならこの子達の漬物を食べて行ってあげてくれないかな。彼女達も頑張ってくれてるからね」
「…それもいいかもしれませんね」
シャーレの奪還が成功し、帰ろうとするアケミにそう提案する。お礼でもあるが、これからのことも考えると一緒にいてくれると彼女達も少しは安全だろうしね。
「そういえば店長、頼まれていた漬物とお米です」
ポーター役の子からバッグを受け取る、この後は俺ははっきり言って戦力外だ。なんでまたおさんどんでもしようと頼んでおいたのだ。
それを受け取り、彼女達を見送って少し経った後。
空が赤く染まった、周りにいたヴァルキューレの生徒達も騒ぎ出している。
「遂に始まったか」
明確な生存をかけた戦い、この世界は原作のように勝利できるんだろうか?
「太郎君」
ビルから先生が出てくる、多分状況を知り生徒達に招集をかけたんだろう。大丈夫、あんなに頑張って乗り越えていたんだ、今回だってきっと。
『見つけた』
その時、その声が聞こえ俺は誰かに抱き抱えられていた。
『パグ崎のおじさん』
その声に聞き覚えがある、でも彼女が今ここにいるはずがない。そしてもし、その声の持ち主がここにいるとしたら。
「シロコ…君…?」
俺に目に映ったのは、彼女であって彼女ではない存在。
シロコテラー
何で君が?
俺は抵抗できぬまま、彼女に抱き止められたまま、彼女が現れた黒い空間へと吸い込まれいく。そして最後に俺が目にしたのは、
「た、太郎君!!!!」
必死な形相で俺に手を伸ばす先生の姿。
先生、この世界を。キヴォトスを守ってください。