転生したらパグって酷くないですか?   作:雪見沼

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最終編の続きになります。攫われたパグ崎きんは何をしてるのか、そして助けに向かう生徒達は何を思うのか?

今日のパグ崎君メモはお休みです。


○月&日 キヴォトス上空、快晴されど湿度は地上より上昇中

先生と生徒達が一部湿度上昇があれど奮闘している中、我らがパグ崎君は?

 

〜時は少し戻り〜

 

「わっ…ってええええーーー」

 

シロコ(テラー)君に抱き上げられたと思ったら、いきなり目に写るのは機械的な広い部屋。原作で瞬間転移は知ってるけど、生で味わうとやっぱり驚く。

そして、そんな広い部屋に1人佇んでいる。

 

「せ…プレナパテス…」

 

色彩の嚮導者にして、別の世界の先生のナレの果て。彼がどんな思惑で俺をここへ連れてきたのかは分からない。プレ先生は身体がボロボロみたいだし、話すこともかなり辛いと思える。ただジッと見つめているだけだが、そこに悪意など感じない。だから、

 

「えっと、一応初めましてでいいのかな?私をここに連れてきた理由を知りたいんだけど、その前に…貴方の世界の私は最後まで生き残れましたか?」

「「!?」」

 

俺の言葉にシロコ君とプレ先生が大きく反応する、やはりあちらの世界にも俺は居たんだな。そして、

 

「おじさん…なんで。でも、おじさんはあの時…」

 

シロコ君の言葉で少し察した、シロコ君は俺の最後に立ち会ったんだろう。そして、そこは多分。あの砂漠なんだろう。

 

「ごめんね、シロコ君辛いことを思い出させて」

 

俺はシロコ君に近づき手を握る。多分、あっちの俺は救うことが出来なかったんだろう。でも…今度は最後まで立ち向かえたんだな。

 

「大丈夫、あっちの私は恨んでなんかいない。あるとしたら、君たちを救えなかったことを。傷を残してしまったこと悔やんでるだけだよ」

「そんな…分かるはずない。だって、おじさんは一杯苦しんで。最後だって…それを貴方に!」

 

無機質だった表情に感情が灯る、それだけシロコ君の傷になってしまっているんだろう。だけどね、

 

「分かるさ、世界は違えど同じ私なんだから。そして、そんな私に違和感を感じたから…私をここに連れて来たんですよね。先生?」

「え…なんで…」

 

感情が溢れ過ぎたのか、膝をつくシロコ君の頭を撫でながらプレ先生に顔を向ける。

 

「先生の察する通り、私は普通のキヴォトスの人間とちょっと違うところがあります。でもそれは凄く些細なもので、連邦生徒会長にも大きな流れは変えられない、そう評されましたしね。そうだな、百合園君に似た様なものですかね」

 

全ては話せない、今のプレ先生の背後にはあの白服ダンサーズがいるだろうし。

 

「それって未来視?」

「いや、そこまで便利なものじゃないさ。色んなシーンが浮かぶけど、それが起こらない事もよくあるし。それに細かいこととか分からないことが多いからね」

 

PVでバッドエンドの公開とか性格の悪さが滲み出る原作だからね、別の世界線に俺が居るということは確定だから、違う俺はどれかの地獄を味わってると思うと背筋が凍るよ。

 

「だから貴方の事も少しは分かります、先生」

 

俺はプレ先生に歩み寄る、先生が何を思い何のためにこの世界線へとやってきたのか。

やり方はいつもながらツッコミ所満載だけど、全ては愛する生徒のため。

そんな先生だから、その思いを…後悔せずに全うさせてあげたい。

だから、

 

「まずはご飯でも食べましょう。えっと…お鍋とかあります?」

「えっ…」

「…」

 

俺の言葉に固まる2人。うん、まず出来ることからやらないとね。

 

※※※

 

あれから何とか鍋と水を調達し、プレ先生とシロコ君におかゆとおにぎりを食べさせることができた。最初は2人とも戸惑っていたけれど、まともに食事をとっていなかった為かシロコ君のお腹がなり、なし崩しで食べて貰えた。

プレ先生の食事は…あえて言わないでおこう。

 

もしこんな風景を別世界の先生達が見たら、何してんだ犬畜生なんて言われるだろうけど、一応考えはあるんだ。人にとって食事は栄養を補給するための行為だけど、それ以外に人は食べることで幸せを感じることが出来るんだ。幸せとは心の余裕、少しでも2人に余裕を持ってもらい話がしたかったのだ。

そして、

 

「んっ…ちょっと行ってくる」

 

何度目かの食事をとっていると、シロコがそう言っておにぎりを食べ切り黒い空間で移動した。多分先生達が作戦を成功させたのかもしれないな、そして今が絶好のチャンスなのかもしれない。

 

「先生、少し話があるんですが」

 

俺がそう言うと、先生は茶碗と箸を置き俺へと顔を向ける。

 

「返答がある場合は無理に話さず、シッテムの箱で空間表示して貰って構いませんので」

 

薄らとシッテムの箱の画面に光が灯る。さて、ここから本番だ。

 

「もう少ししたら、こちらの世界の先生が来るでしょう…先生の希望通りに」

 

プレ先生は何も反応しない、間違ってはなさそうだ。原作というご都合主義があるとはいえ、最終編での色彩側の攻撃は微妙な物があった。守護者なんかもペロロジラ以外は先生側にデータがあり、妨害行動もしてこなかった。こちら側の先生と生徒達の実力を計るような感じ。

こんな身体になって、それでも生徒の…シロコ君のために先生がすることは…。

 

「こちらの先生なら生徒と力を合わせて貴方の前へと辿り着くでしょう、そしてわた…いや俺は貴方に何もすることが出来ない」

 

今の俺はプレ先生を救うことは出来ない、俺はただ役割を与えられたモブでしかないんだから。

 

『そんなことはない、太郎君はいつも助けてくれていた』

 

空間ディスプレイに文字が写る、でもね先生。それじゃ足りないんですよ。

 

「もし…もし先生の目的が叶ったのなら、一度だけでいいんです。俺に…試させて欲しいです」

 

俺の言葉にプレ先生の手が大きく震える。

 

『あれは…使うべき物じゃない。それに君には』

「ダメならそれは諦めますよ、でもね先生。俺は俺で少し変わったシャーレ所属の大人なんですよ、大人の責任を…誰か1人に押し付けるなんて。格好悪いじゃないですか」

 

俺は苦笑する、よく先生が大人の責任と口にするが。それを先生に1人に押し付けてるのは問題なのだ。子供も助けるのは、大人いや社会の役目だ。そして、歪んだこのキヴォトスでそれをやろうしてるのは先生しかいなくて。それを眺めているだけでいいんだろうか?

 

良いわけがない!どういう理由かは分からないけど、キヴォトスに転生して。チートもない体で頑張った、そして少し上手くいったからと有頂天になって大きな失敗をした。だから小さく纏まった、失敗しないように原作を大きく変えないように。少しでも救われるように、そうやってきた。

だけど、だけどそれじゃ救えないんだ。救えなかったのが別の世界線の俺でも俺なんだ、救いたい。シロコ君を、そして先生を。

 

「だからお願いします、一度チャンスをください」

 

少しの沈黙、そして。

 

『…分かった、その時が来たら太郎君に託そう。ただ…太郎君、君は自分の責任はしっかりと果たしているよ』

 

先生の言葉に思わず鼻の奥がツンとする。

 

「ありがとうございます、あっお粥冷めちゃいましたね。温め直しますか?」

 

嬉しさの余り忘れていた、原作通りサンクトゥム攻略戦が完了していたとしたら。

 

「あっ!」

「えっ?」

 

突然現れた黒い空間から出てきた、シロコと一緒に顔を出す先生の顔。そしてその先生と目が合う、お粥を温めようとする俺。

気まずい沈黙、そして原作通り元のシャーレへと戻される先生。どうしよう、これ絶対後で何か言われる案件だ。

あああ、どうしようーーーー

 

※※※

 

〜先生側〜

 

「はっ!?」

「先生、大丈夫ですか!」

 

色んなことが頭を駆け巡り、膝をついた私にリンちゃんが駆け寄ってくる。だけど私の口から出たのは、

 

「太郎君が…」

「パグ崎さんを見たのですか!?」

 

そう色彩の、色んな映像を見た後。今回の首謀者であるプレナパテスと共にいる太郎君、そう太郎君が。

 

「首謀者に…お粥を振る舞ってた…」

「……はぁ?」

 

リンちゃんが真剣な表情が崩れ、お前何言ってんだって顔になる。いや、その気持ちは分かるよ、でもそれを生で見せられた私はもっと混乱してるだよ!

でも、分かった事もある。

 

「太郎君は無事で、理由は分からないけどシロコ達と共に居るってことだ」

「えっと…最初の言葉のせいで理解に苦しむところはありますが…首謀者もそうですが、パグ崎外部顧問は一体何を考えてるのか…」

 

リンちゃんが額に手をやり頭が痛そうな仕草をする、何か目的があるから太郎君は攫われたはずなのに、攫われた本人が攫った相手のおさんどんをしている。全く意味が分からない。

 

「はぁ〜パグ崎外部顧問の奇行は置いておくとして、無事が判明したことは良い情報ですね」

 

確かに、だけど未だに謎が多く残る。シロコは何故こんな騒動を起こしたのか?プレナパテスとは一体何者なのか。

…こういう時に何時も背中を押してくれた太郎君がどれほど頼もしい存在だったかを実感する、だが今は私が1人で進まなければならない。私は大人で先生なのだから。

だけどね、太郎君。

 

「先生、空気の読めないおさんどんな犬畜生は置くとして。次の行動に…」

 

君のことになると過敏に反応するリンちゃんの対処は…私には重すぎるから自分で解決してね。

 

※※※

 

あの後、新たな高エネルギー帯の発生やその解析によって相手の本拠地が判明した。

私ちは黒服から情報を得て、ウトナピシュティムの本船を使って相手の本拠地であるアトラ・ハシースの箱舟へ向かうことになった。

しかし、それは大変危険な作戦で参加する生徒は各々色んな思いを抱え作戦前日を過ごしていた。

 

〜アビドス〜

 

対策委員会は全員がウトナピシュティムに乗り込むことを決めていた、それはシロコを取り戻すためであり、

 

「ふふふ、おじさまを私から奪う悪い人はお仕置きが必要ですよね〜」

 

愛銃を磨きながらとても綺麗な笑顔なノノミ、先生よりパグ崎が無事でありアトラ・ハシースにいることが高いと知ってからヤル気満々なのである。

けれど、不安は拭いきれず重い空気が流れていたが。

 

「何暗い顔をしてるのよ!」

 

そこに現れたのは便利屋68の面々、彼女達はカヨコを除き地上に残り防衛することになっている、託す者として激励にやってきたのだ。そして、

 

「失敗した時の話なんて今考えることじゃないでしょ。こういう時は、「無事に帰って来てみんなでラーメンでも食べに行こう!」くらいな気持ちでいいのよ!」

 

アルの言葉に全員が呆気に取られるが、やれる準備はしたのだ。そして自分たちには先生もついている、だから色んな学園が協力し合い明日空へと向かうのだ。

 

「そうだね、どうせならパグ崎のおじさんの奢りで盛大に柴関でお疲れ様会しないとね」

 

重かった空気が軽くなる、今まで色んな苦労を乗り越えて来た。だから今回も乗り越えられる、そう信じて進むのだ。

 

「シロコちゃんとおじさまの捕獲作戦です!」

 

全員が明るい表情へと変わる、彼女たちに心配はないだろう。あるとしたら、

 

「帰って来たらおじさまにう〜〜んとお願い聞いて貰いますよ〜」

「攫われるくらいなんだから、これからはちゃんと見ておかないとね…」

 

パグ崎君の枷が増えるくらいだろうが…今は問題はない…のか?

 

〜トリニティ 補習授業部〜

 

ハナコは補習授業部に作戦に参加することを伝えた、伝えられたメンバーは心配するがそれと同時に先生への信頼から成功すると信じることができた。

そして、その光景にハナコは思う。

 

「あの時、補習授業部に先生とパグ崎さんがいらっしゃらなかったら…私たちはどうなっていたのだろうと」

 

誰も信じることが出来ず、自棄になっていた自分。そんな自分を否定せずにありのままを受け入れてくれた補習授業部のメンバーに先生とパグ崎。

だからこそあの難題も乗り越えられることが出来た。今回の作戦に参加するのは先生と自分だけだが、

 

「気をつけるんだぞ、ハナコ。私たちは学園を守り抜いて見せるから」

「そうよ、こっちのことは心配しないで。ちゃっちゃと片付けてきてよね」

 

自分を信じてくれるメンバーの言葉に勇気が湧いてくる。だからこそ頑張れる、帰れる場所が待っていてくれる友達がいるのだから。

 

「それにしても物語の様な展開だな、攫われたパグ崎さんをハナコが助けに向かう…確かこの前コハルから借りた本には、最後は…」

「それは漫画の話で現実ではありません!」

 

アズサの言葉に皆が笑い笑顔になる。

 

「…でもちょっと期待はしてもいいですよね」

 

それは…どんな期待ですかね?

 

〜ゲヘナ 風紀委員会〜

 

「アコ、お願いね」

 

ヒナは今回の最終決戦をアコに託す、本当は自分も乗り込みパグ崎を助けに行きたい。けれど、

 

「私が残るのは仕方がないこと、何が起こるか分からないし」

 

キヴォトス有数の戦力であるヒナ、彼女が残りキヴォトスを守ることでアトラ・ハシースへと向かう先生達も安心できるのだ。

 

「はい、必ず吉報をお持ちいたします」

 

アコはそう答え、明日に備え休む。

そして1人部屋に残ったヒナは鞄からある物取り出し抱きしめる。

 

「おじさん、私頑張るから…頑張るから」

 

パグ崎人形を抱きしめそう呟くヒナ、伝わる熱の物足りなさに何かに耐えるヒナ。

色々限界を迎えそうになるヒナ、だがそれは他にも結構いたりするんだよね…

 

〜アリウス〜

 

「敵の痕跡なし、静かなものだね」

 

見回りから帰ってきたミサキが報告する、そこにはスクワッドメンバーが待機しており以前の変化を大きく感じる。

 

「…」

 

サオリは何も語らないが、今回のトリニティの共闘だけでなく自分たちの有り様は大きく変わった。

 

「明日を考える様になった、前は今しかなかったからね」

 

アツコの言う通り前は今しか考えるので精一杯だった、今は色々考えることができる。例えば…

 

「あっおにぎり…」

 

最初に浮かんだのは癪だが、あのお節介な奴のおにぎりだった。アイツが勝手に攫われるから食べれるはずだったおにぎりが食べらないのだ。

一応食料はあるけれど、食べれる予定だった物が無くなるのはなんか嫌だ。

 

「ふふふ、残念だったねミサキ」

「…なんのこと?」

「…おにぎり?何かの暗号か?」

 

そんな私を見て姫が笑う、そして姉さんは…うんそのままでいいか。

あー早くこれを終わらせて、アイツに報酬を請求しに行こう。労働には対価が絶対、ならこれは正当な権利なのだ。

ところでヒヨリ、あんたさっきから何してんの?

 

「ふえ?犬のおじさんから貰った、実験品の長期保存用のおにぎりを…あっ」

 

ふーんそうなんだ、まぁ敵はまだ居ないみたいだし。

殺してでも奪い取る!

 

〜シャーレ〜

 

リンはメガネを外しベッドに身を投げる、アオイからの連絡。あれでもしもの時のために託すこともできた。後は作戦を成功させるだけ、それだけなのに。

 

「会長…私は…」

 

あの人がいればもっと上手くやっていただろう、私が至らぬから連邦生徒会が纏まらずカイザーの襲撃を招いてしまった。

何度も逃げ出したいと思った、けれど逃げたら貴方が本当に戻ってこなくなりそうで。それが怖くて必死に頑張ってきた。けれど…

 

「あっ…そう言えば、淹れていたのを忘れてましたね」

 

アオイに連絡を入れる前に淹れたハーブティーの香りに今を取り戻す。パグ崎さんがブレンドしてくれたハーブティ、全くあの人には何度困らせられたことか。突然会長が連れてきて、能力は連邦生徒会として足りない物が多いのに。何故か私たちの助けになってくれていた、いつの間にかそこにいる事を頼もしく思えていた。だから、貴方がいないと押さえていた不安が溢れそうになる。

 

「渋いですね」

 

抽出が長すぎて苦味が出てしまったハーブティ、貴方がいれば笑いながら淹れ直してくれたでしょうね。

 

「パグ崎さん…」

 

絶対に取り戻す、貴方との日々を。

私はハーブティを飲みきり、ベッドに寝転ぶ。夢の中なら会長と貴方がいる…

 

※※※

 

「さぁ行こうか!」

 

オペレーター服を身に纏った生徒達を前に宣言する。

必ず勝たなければならない戦い、不安もあるし分からないことも多い。

けれど私は信じている、生徒達と一緒なら乗り越えられると。

 

「シロコ…太郎君。今行くよ!」

 

※アリスちゃんの大活躍は都合によりカットとなります、まぁ原作通りなんで気にしないでね

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