転生したらパグって酷くないですか?   作:雪見沼

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思いの外読んでくださる方がいたので続きを書いてみました。
評価、感想ありがとうございます。

パグ崎くんメモ、趣味はハーブティーと将棋。




○月×日 DU地区晴れ、処により湿度高し

超人が行方をくらました、それにより連邦生徒会はサンクトゥムタワーの制御権を失い大混乱となった。まぁそうなることは分かっていたから出来る範囲の提案はしていたのだけど。

 

「それにしてもまさかパグ崎外部顧問が提案した限りなく無駄と思えた危機管理マニュアルが必要になるとは、これ以上混乱を広がる前に早く生徒会長を見つけないといけないわね」

「いや、限りなく無駄って…」

 

問題が発生し過ぎて業務が津波の様に押し寄せる状況に扇喜財務室長もいつも以上に不機嫌で俺の当たりがいつも以上にキツイ。

 

連邦生徒会にも一応危機管理対応マニュアルは用意されていた、だがゲームの最初を見るにあまり上手く機能してない様に思えた俺はそれを確認してみたのだが。シロートの俺がみても粗が目立っていた。何より最悪の想定であるはずのサンクトゥムタワーの制御権消失は想定すらされていなかったのだ。そのために他にも修正も兼ねて新たな危機管理マニュアルの作成を提案したのだが、

 

「既に存在する物を何故もう一度作らないといけないのかしら?そんな時間と予算の無駄はないのだけれど」

 

そう最初に噛みついてきたのが今俺の隣にいる扇喜財務室長だ。そして大半の幹部が俺の意見に反対で、それ以外は様子見。ついでに超人はお任せしまーすと会議にすら参加しやがらねー始末。

確かに反対する気持ちも分かる、キヴォトスという広大な学園都市を制御するサンクトゥムタワーが制御不能になるなんて普通は考えない、だけど問題の起こらない物なんてこの世にはないのだ。今まで大丈夫だったのだからこれからも大丈夫、そんな考えで社会に出たら必ず痛い目に遭うのだ。前世もそして今世だってそうだったのだ、そして超人が行方をくらませることを知ってる俺は意見を翻すことは悪手だと分かっている。だから粘り強く説得し、根回しした結果なんとかマニュアルの作成に漕ぎつけたのだ。

 

「今大至急で承認を迂回できないか探してるし、必ず解決策が見つかるはずさ。まぁそれまでこれでも飲んで頑張ろう」

 

そう言ってお手製のハーブティーを扇喜財務室長の前におく。これを渡すと少し機嫌が良くなるんだよね、趣味がこんなところで役立つとは分からないものだね。

 

 

 

私の前に置かれたハーブティーの香にささくれていた心が少し落ち着く。コーヒーの様に香が強いわけでもなく、紅茶の様に香を楽しむためのものでもない。心をリラックスさせ癒してくれる様な香。いつの間にか職務中はこのハーブティーが欠かせないものになってしまっていた。

このハーブティーを淹れてくれたパグ崎太郎外部顧問、最初はまた会長のお遊びが発動してしまったかと頭を抱えた。実際実務能力はお世辞にも連邦生徒会に所属するには十分ではなかった。だけれどもアビドス高の支援を訴える私たちには無かった大人からの視点や、全く何処で繋がりを持ったか分からないけれど幅広いコネやネットワークは私たちの大きな助けになった。

それに今回の生徒会長の行方不明を発端としたサンクトゥムタワーの制御権の喪失、パグ崎外部顧問の危機管理マニュアル改訂が無かったらどうなっていたことか。これがあったお陰で混乱はあるものの最低限の維持ができている。

そう私としても感謝してるし、最初はまだしも今では好意的に接しているつもりなのだけれども。

 

「な、何かな?」

 

私が視線を向けるだけで身構えるパグ崎外部顧問。何も言ってないじゃない、ただ視線を向けただけなのになんでそんな態度をとるのよ。感謝もしているし、それを言葉にして伝えているはずなのにこの態度はとても、その、そう気に入らない。確かに意見で対立して厳しい反論をしたこともあったけど、それはリンや不知火防衛室長も一緒じゃない。なんで私だけそんなに身構えるのよ、傷つくじゃない!

 

あーなんだがそんなこと考えていると腹が立ってきたわ。私は立ち上がりドアの鍵を閉める。そして、パグ崎外部顧問の方を向くと。

 

「えっなんで鍵…えーとそろそろ仕事もあるし、自分の部屋に」

 

そう言って私の横を通り過ぎようとするから、

 

ガシっ!

 

「えっ!?」

 

その小さい身体を抱えたまま椅子に座り膝の上にパグ崎さんを置く。

 

「えっ、なんで!?」

 

そう言って私の膝から降りようとするので、腕で彼を拘束し。

 

「当分、このままでいなさい!」

「は、はい!」

 

強めにそう言うと素直に返事をしてくれる。

これは、そう。いつも頑張ってくれている彼に対する感謝というがご褒美ね。いい年齢なのに女性の陰もない仕事ばかりの人生みたいだし、これぐらいのスキンシップは仕事の同僚として不思議ではないわ。ええ、全く違和感のない対応ね。

 

こうしては私は1時間ほどそのままで仕事に精を出した。その間はとても仕事の進みが良かった。もしかしたらパグ崎外部顧問に仕事をさせるよりこうして私の膝に乗せている方がいいんじゃないかしら?

 

 

 

 

「それではお願いできますか、暇な方々?」

 

完全に不機嫌なご様子の七神くんの横で愛想笑いしながらその光景を見つめる俺、そうついに先生がこのキヴォトスにやってきたのだ。その姿はアニメで見た姿に近く、もしアロナが描いた先生が目の前に立っていたら俺は多分絶望してたと思う。

おっとこのままじゃ折角用意した物が無駄になるな、

 

「ちょっと待って貰えるかな、先生」

 

俺の呼びかけに先生が振り向く。

 

「えっと貴方は?」

「おっと申し遅れました、私はパグ崎。連邦生徒会で外部顧問をしてる者です。詳しい自己紹介をしたいところですが、時間がありませんのでこれを」

 

そう言って持っていた袋から物を取り出す。

 

「これは?」

「シャーレの制服というかコートですね、それとこっちはバリア発生装置。ミレニアムに依頼した物である程度の銃弾なら自動で守ってくれます」

「あ、ありがとうございます」

 

そうこれから何度も危険の中に飛び込む先生のために用意してきたものだ。ヘイローを持っていない生粋のキヴォトス人の俺以上に防御力のない先生だ、不意の事故で亡くなってバッドエンドなんて笑えないからな。そして、

 

「後、これを」

「これは!?…すいません、これは受け取れません」

 

俺が差し出した物、銃を見て先生は拒否をする。

 

「キヴォトスは銃社会というか、銃が当たり前の世界です。護身用に必要では?」

「そうかも知れません、ですが私は先生なのです。生徒を導き共に歩む者にそれは必要ないんです」

 

うん、ゲームやアニメで知っていたがこりゃガンギマリの先生だな。うんうん、確かめになって良かった。まぁ、だけど折角用意したんだし。

俺は先生に銃を向けボタンを押す。

 

「!?」

 

先生、いや前に居た生徒や隣に居た七神くんも驚愕の表情をする。そして、

 

『ちゅ〜〜〜〜〜〜どーーーーーーん』

 

銃から響くチープな機械音。

 

「「「「へっ?」」」」

 

目を丸くする一同。

 

「あははは、ごめんごめん。先生、試すような事を言って申し訳ありません。これを見てどう判断するか知りたかったのもので。因みにこれは銃型のモバイルバッテリーです、かなりの大容量なんですよ」

 

そうこれがもう1つの保険、先生のピンチの1つが充電切れでアロナがフォローできなくなることだ。でもこれがあればその問題は少しはマシになる。

 

「あはは、それならありがたく頂きます。パグ崎さんはユーモアがある方なんですね」

「いえいえ。お渡ししたい物は以上です。それではご武運を」

 

俺の差し出す手を先生はギュッとにぎり生徒達と外に向かっていく、俺にできる事は全てやった。後は祈るだけっ$%&‘()0=〜|

 

「パグ崎外部顧問」

 

いい感じで終わったと思った俺は静かにブチギレていた七神くんに頭を鷲掴みにされ持ち上げられる。

 

「確かに安全面など私たちの不手際をフォローして頂いたのは助かりますが、どうもお巫山戯が過ぎるのではないですか!」

「いやーそれは、彼の本心を知るには…それにユーモアもないと堅苦しいと思われるのは七神くんも嫌だろ?」

 

ただでさえ七神くんはご機嫌斜めだったのを晒していたのだ。先生は気にしないだろうが、崩せる相手にはある程度崩しておく方が楽なのだ。

 

「なんですか、それ!私が堅苦しいとそうおっしゃりたいのですか!」

 

あっやべ違う方に飛び火した。

 

「それにバリアー装置の予算は何処から出たのですか、私はそんな書類決済した覚えはありませんよ」

「いや、それは…その予備費から…」

「必要な物は書類を出して決済するのがルールです、急ぎだからといって。ええ、いいですかこの際ですから言いますがパグ崎顧問貴方は…」

 

先生がシャーレの部室を開放した連絡が来るまで七神くんに説教されるのであった。

 

 

 

先生によりサンクトゥムタワーの制御権が移譲され落ち着きを取り戻した夜、私は職務室で溜まっていた仕事を処理していた。その時ドアがノックされる、ノックされた音の位置で誰か察し返事をする。

 

「今日も残業かい」

 

部屋に入ってきたのは予想通りパグ崎さんだった、そして彼の手には彼の体には大きめのティーカップ一式を乗せたお盆があった。そして彼は何も言わずにハーブティーを淹れ始める。彼は仕事が立て込むとこうしてやってきてはハーブティーを淹れ休憩を促す、最初に飲んだのはある会議の時だったかしら。会長が始まる前に皆に飲ませたハーブティー、いつもはピリつく会議がそれを飲んだことでリラックスして少し緩和された感じがした。

最後にそれを淹れたのがパグ崎外部顧問だとネタバレされた時は参加者一同目を丸くしたものだ。それからというもの、こうして彼の淹れてくれるハーブティーは私の小さな楽しみになっているのだ。彼には伝えてはいないが、

 

「根を詰めすぎないようにね」

 

そう言ってハーブティーとケーキを渡される。

 

「トリニティで今人気になってるケーキだよ、最後の1つだからみんなには秘密でね」

 

ハーブティーに口をつけその香りを楽しむ、パグ崎さん曰く匂いに敏感で細かい香の配合が得意らしい。そのためお願いすると個人用に配合してくれる、今の飲んでいるのも私専用のハーブティーなのだ。とは言っても私以外にもアオイや不知火さんなども専用のハーブティーがあるらしいのですが…

なんでしょうか少しイライラしますね、なんでしょうか確かにパグ崎外部顧問の仕事は専門性が無い代わりに多岐に及んで他部署との関わりが多いのも理解できますが、個人的な繋がりが多いのではないでしょうか。

いえ別に他意はありません、ですが生徒会長が不在の今唯一の外部顧問として役割を担う彼に問題があっては…

 

「えっと、七神くん?ケーキ気にいらなかったかな?カズサくんと食べた時はかなり美味しかったんだけど」

 

おっと考え先行してパグ崎さんを放置してしまいましたね。いえ、ケーキはとても美味しいですよ。それにしてもパグ崎さんは結構甘党なんですね、その一緒にた…

 

「どなたと食べに行かれたと?」

「いやートリニティにスイーツに詳しい知り合いの子がいてね。たまに美味しいスイーツを紹介して貰ったりしてるんだよ」

 

へーそうですか、私が仕事で大変な思いをしている時に貴方はどこの誰かも知らない女性とスイーツ巡りなんてしているのですね。

何故だか分かりませんがお腹の底から何かが湧き上がってくるの感じます、怒り?何故怒りを?それは目の前の方がスイーツ巡りをしているから。でもそれは個人の趣味で…でもいい年齢の男性が生徒と思しき女性とスイーツ巡りなど、ええ、それは由々しき問題ですね。これは究明しないいけない事案です。これは連邦生徒会の一員として必要なことなのです。

 

「あれ七神くん、なんでドアに。あれ鍵かけてどうするの?あれなんかこれとってもデジャブーなんだけど」

 

こうして始まった尋問は深夜まで続きました。真偽はまだ不明で調査続行が決まりました。私は尋問後気づけば隣の部屋に配置されたベッドで寝てしまっていました。何故かとても気分のいい目覚めでした、何か良い抱き枕があった気もするのですが。今度探してもいいかもしれませんね。

 

 

「ち、窒息するかと思った…」

 

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