転生したらパグって酷くないですか?   作:雪見沼

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評価、感想、誤字報告ありがとうございます。
短編ってなんだっけと思いながら湿度の高い投稿です。

今日のパグ崎君メモ、実はパグ崎君にも優れた物がある。それは嗅覚と味覚。ただしパグ崎君は犬だし普通だよね。と思っている。因みに犬は味覚が人間の1/5ほどしかないのをパグ崎君は知らない。


¥月%日 ミレニアム晴れ、無風に近いため湿度に注意

外出制限がやっとで解けた、アビドスでの怪我以来七神君が業務命令で俺に外出制限をかけてくるし先生まで賛同する始末。外出ができない分事務作業を増やされ、それが片付いたのはアビドスの事件が片付くのとほぼ同時だった。原作のイベント通りに進んでいるのはノノミ君やカヨコ君の連絡で分かっていたんだけど、それでもホシノ君が救出されるまでは何度もスマホを確認して気が休まらなかった。ところでノノミ君とカヨコ君はなんでほぼ同時に連絡を寄越すのかな?カイザーの都市部襲撃の時にはカヨコ君がホシノ君救出の時はノノミ君が先に表示されたけど反応からするに秒単位で同じだったと思う。…それほど俺を安心させたかったのかな、その心遣いは嬉しい限りだ。

 

平常運転に戻ったシャーレであるがまたもや先生は不在、というか最近頻繁にミレニアムに行ってるのでゲーム開発部の件が始まっているに違いない。まーそうなんだけど、

 

「前半戦は敢えてしゃしゃり出る必要はないんだよな」

 

ご存知の通り前半戦はミレニアムの内輪で争うシナリオだ、それに裏であの天才2人が糸を引いてることだし先生の心配はないだろう。問題はゲーム開発部が真剣にゲーム開発をするかどうかなんだけど、そこは先生の得意科目だろうしね大丈夫だろ。

さて、仕事も一段落したし何処か美味しい物でも…

 

ピロン!

 

『ごめん太郎君、ちょっとこの書類が緊急で必要なんだ。ミレニアムにいるから届けてくれないかな』

 

監視されているのかと疑うタイミングでやってくる先生からの連絡。俺は優雅な休憩を諦めて出かける準備を始める。

あっそうだ、ミレニアムに行くんだから連絡しないと。俺はスマホを取り出しとある相手に連絡をとる。

 

「とるの早!おっとごめん、仕事で急遽そちらに行くことになってね。任務があるんだ、それじゃしょうがない…えっ無理やり空けるってそれは問題じゃないかな。いや待ってなんとかするから落ち着いて!」

 

とある理由でミレニアムによる際は必ず連絡をしないといけない俺。これを欠かすと…思い出すのは止めとこう。ただの書類を届けるだけなんだけど、

 

「今回も予定通りには行きそうにないかもな」

 

俺は書類以外も色々用意してミレニアムへと向かうのであった。

 

 

※※※

 

「ありがとう太郎君助かったよ、それと何かトラブルには巻き込まれたりしてないよね?」

 

何事もなくミレニアムへと到着した俺に対しての先生の最初の台詞はこれだった。

 

「私がいつでもトラブってるみたいに言わないでください、それにトラブルに飛び込んでる先生が言っていい台詞じゃないですからね!」

「あはは、申し訳ない」

 

先生に頼まれた書類、シャーレの入部届。多分セミナーの襲撃が失敗した場合先生の責任にするための保険なんだろうな。それとアリス君を保護するため。全くそんなことをするぐらいならちゃんと叱って導けばいいものを。俺は先生に別れを告げると指定された場所へと向かった…んだけど。

 

「おじさん会いたかった」

 

そう言って俺は後ろから持ち上げらて抱きしめられる。俺はその声と行動でそれが誰だか理解していた。

 

「もう何度も言うけど急に持ち上げるとビックリするじゃないかカリン君!」

「ごめん、でも我慢できなかったから」

 

あまり表情には出てないが嬉しそうな雰囲気で俺の更に抱きしめるカリン君。

C&Cコールサイン02角楯カリン、実は彼女とは原作開始前というか彼女が幼少の頃から付き合いだったりするのだ。

 

※※※

 

パグ崎のおじさん、おじさんと初めて会ったのは私がまだ小さい頃の時だった。その頃の私は表情を表に出すのが苦手だったのもあって周囲から浮いた存在だった。そんな時両親がコミニケーションの練習として相手をお願いしたのがパグ崎のおじさんだった。

後から聞いた話なんだけど、両親とおじさんはボランティア活動で知り合ったそうだ。おじさんは何かに秀でてはいなかったけれど、その人柄で多くの人と仲が良かったそうだ。両親は私のため何か切っ掛けになればと相談し、そして何故か短期間だけど私の家庭教師をすることになったのだ。

 

「さて何か話そうか」

 

家庭教師という名目だけど時間の半分はおじさんとおしゃべりだった。おじさんはアルバイトやボランティアで経験したことや私の知らない物語を語って私を楽しませてくれた。そして私の話に耳を傾けてくれた。

 

「私ってみんなと仲良くなれないのかな?」

「仲良くなれるさ、カリンちゃんは伝えることが上手くできなかっただけで良い子なんだ。だから伝えることが出来たらみんなと仲良くなれるさ」

「でもどうやれば」

「それじゃ僕と練習しようか」

 

今覚えばごっこ遊びとしか思えないことだったけれど、おじさんは根気強く付き合ってくれてあの時の私は自信を持て行動できたんだと思う。

それに、

 

「カリンちゃんは何か夢はあるのかな?」

「夢…あるけど、教えない。笑われちゃうし」

「笑わないよ、夢があることは良いことなんだ。カリンちゃんの夢を笑うことなんてないよ」

 

私の夢、それは今も変わらない夢。

 

「あのね、私。可愛いお嫁さんになりたいの」

 

その夢を聞いたおじさんは、

 

「そうなんだ、じゃ良い旦那さんを見つけられるように頑張らないといけないね」

 

そう言って私の夢を応援してくれた。

…おじさんは今も昔もそういうところが欠点だと思う。

 

※※※

 

ちょっと思うところがあってカリン君の任務に同行させて貰った。

 

「おじさん、分かってると思うけど任務を開始したら離れていてね」

「うん分かってるよ、ごめんね無理言っちゃって」

「気にしないで、私もおじさんと一緒に居たかったし。それにおじさんには傷一つつけさせないから」

 

なんとも頼もしいお言葉。出会った時はあんなに小さかったのに、今じゃ見上げると僕の首が痛くなるくらいに成長してるんだよね。

さて原作通りカリン君の配置はミレニアムの高層ビルの屋上。つまりゲーム開発部のセミナー襲撃は間違いなく今日で。

 

「そろそろ来る!」

 

カリン君の呟きに俺は物陰の隅に身を寄せる。一応シールド発生装置は常備してるけど原作通りならここでも戦闘はあるし、ついでに砲撃もあるんだよな。

 

「!」

 

カリン君の狙撃が始まる、いやー子供の頃思わず某00のスナイパーのことを語ってしまい死んでしまうシーンで大泣きさせたことがあったけど、ちゃんとスナイパーをしてて良かった。

そして最初の狙撃が終わり、カリンくんに近づく影。ウタハ君の登場だ、ウタハ君は謎の椅子を伴ってカリン君に対抗しようとしたけど無理だよね。ウタハ君は戦う者じゃなくて作り出す者だ。最初から自分が勝つつもりはなくここにはいないヒビキ君の行動でカリン君を戦力として無効化するのが最初からの目的だったんだろう。

 

なのでカリン君が砲撃を掻い潜りウタハ君を倒した後俺は動き出した。

 

「ちょっと大きなお尻が近くて困ってしまうんだけどね」

「誰が大きいだ!」

 

そんな掛け合いをしているなか、

 

「ちょっとごめんね」

 

俺はウタハ君に手錠をかける。

 

「へっ?ちょっと君は!?」

「おじさん、なんで出てくるの!」

 

俺の登場に困惑する2人、

 

「いや、そろそろ終わりそうだしね」

 

そう言って俺は懐から取り出したサングラスをかける。

 

「それは!?」

「おじさん何を?はっ!」

 

その瞬間眩い光が俺たちを包む。

 

「くっ閃光弾か」

 

どうやらカリン君は避けられなかったのか目を押さえる、これで当分カリン君は狙撃が不可能になったわけだけど。

 

「君の目論見通りになったわけだけど、一応君も共犯者だし拘束させてもらった訳さ」

「ヒビキの閃光弾を何故読んでいたのかはいいとして、貴方は先生の味方ではなかったのかい。パグ崎さん?」

 

いやー確かに俺は原作通りに進んで欲しいと願っているよ、でも原作全てに納得している訳じゃないんだよね。

 

「確かに私はシャーレ所属で先生の味方だけど、全てにおいて先生の行動を肯定している訳じゃないよ?」

「ほう、つまり貴方は彼女達の行動は間違いだと?」

 

確かに自分たちの居場所を守りたい、その思いは間違いじゃない。だけど、

 

「彼女達はゲーム開発部なんだよね、今の彼女達の行動は彼女達が思うゲームを作るために必要なことなのかな?」

「!?」

 

ウタハ君は目を見開く、

 

「彼女達は自分達の居場所を守るためにミレニアムプライスで賞をとる必要があった、そのために起こした行動がコレだった。彼女達が今回手に入れた物でミレニアムプライスで賞を取ってもそれは彼女達が勝ち取った物と言えるんだろうか?」

「それは…」

 

多分、G.Bibleが彼女達の想像していた様な物だったら先生はどうしていたんだろう?思いもないただ評価されるだけのゲームを作ることになる彼女達は今の様にゲームを愛し続けることができるんだろうか?

 

「先生は何かあれば自分が責任をとるつもりなんだろうけど、私としてはその前に彼女達に気づかせて欲しかったかな。君たちが作りたかった物は最初から答えがあるものなのかってね」

「…彼女達が焦っているのは分かる、でも確かに今彼女達が求めているのはクリエイターとしては間違っているんだろうね」

 

俺は原作を知っている、G.Bibleが意味がない物でそれでもゲーム開発部は自分たちの手で賞を勝ち取ることができることを。だけど先生には別の道を進んで欲しかった、責任をとるだけじゃなく、生徒を諭しそして背中を押すことを。

 

「まぁ今回のことはちょっとした鬱憤ばらしなんだけどね」

「なんだいそれは、でも確かに違う視点から考えるのも必要なのかもね」

 

そうすれば原作よりもいい未来があるかもしれない、そうあのカードは不用意に使うのは問題だからね。

といい感じで終われば良かったんだけど、

 

「おじさん、ウタハ先輩と仲良くしすぎ」

「か、カリン君!?」

 

背後から僕を抱きしめるカリン君。

 

「それに、閃光弾の件想定してるなら教えてくれてもいいのに。そのせいで任務が失敗した」

「いやそれは、シロート考えでプロに意見するのは…」

「それがいいか悪いかは私が判断する…ちゃんとおじさんの前でカッコよく見せたかったのに」

「カリンくーん、ちょっと下ろして。待って何処に行くの、ねぇちょっとーーー」

 

こうして僕はカリン君に連行されるのであった。

 

「ところで私はこのままなのかな?」

 

ウタハ君を屋上に残して。

 

※※※

 

「そいつらにしてやられたわけか…」

 

C&Cコールサイン00、美甘ネル君の言葉に沈黙する他のC&Cメンバー。協力者がいたとはいえ前情報もあり準備を整えて出し抜かれたことは大きな問題だった。

まぁそれもあるんだが、

 

「まぁそれは後で話をつけるとして、なんだそのパグのおっさんは!」

 

何故かカリン君に抱かれた状態でこの場にいる俺。

 

「私の大事なおじさん、それと先輩にお願いがあるみたいだから」

 

そう言ってネル君の前に俺を降ろしてくれる。うん、近くで見ると迫力があるな。それに背は低いけど美人さんなんだよね。

 

「おじさん…」

「おっとごめん、えっと私は先生の同僚でシャーレの協力員なんだけど。ちょっとお願いがあってね」

 

後ろからとても冷たい視線を受け背筋を伸ばした俺はネル君に頭を下げる。

 

「話をつける件なんだけど、ミレニアムプライスの応募締め切りが終わるまで待って貰えないかな」

「あ〜ん、なんでだよ?」

「今彼女達は岐路に立っているんだ、自分たちの力で自分たちの居場所を守れるか」

 

もし原作と違い作成中にC&Cとの戦闘になったら確実に応募には間に合わない、その保険としてお願いに来たのだ。

 

「だがよ、こっちにもメンツってもんがあるし」

 

メンツかー確かにそれって大事なんだよね、それに彼女達は学園最強の組織。メンツは大事だ。それに対し俺にできることはあまりなく。

 

「えっとお土産は用意してるんだけど」

「あーお土産だーそんな賄賂なんて受け「ネルちゃんその選択はC&Cの今後を揺るがしかねないよ」はぁ、なんだそれ!?」

 

ネル君の言葉をアスナ君が遮る。いやそんな大層なものじゃないんだけど。俺はカリン君に預けていた物を差し出す。

 

「そ、それは!?」

 

それに反応を示したのはアカネ君だった。

 

「ん?アカネお前これ知ってのか?」

「これは入手困難で幻とも言われているパグ館漬物店の包み紙です」

「ってことは中身はただ漬物か、そんなの受け「ただの漬物なんかじゃありません!いいですか数年前突如現れたこのお店はその年のミレニアムプライスで優勝したんですよ!その後も他社を圧倒するクオリティで今では予約すら困難と言われ」…お、おう。すごいのは理解した」

 

アカネ君の猛烈な勢いにネルが引いている。

 

「でも、なんでそんな漬物をこのおっさんが持ってるんだ?」

 

ああ、それなんだけど。

 

「このお漬物はおじさんが作ってるから」

 

そうなんだよね。

 

「「「はっ!?」」」

 

パグ館漬物店は俺がとある美食家生徒に詰めに詰められて渋々経営している漬物店なのだ。ただ連邦生徒会の仕事もあって時間があまり取れないのと、このパグの手先だとそこまで多く作れないため数量限定で販売する小企業なんだけど。

 

「おじさんのお漬物は天下一品、食べないのは人生を3回くらい無駄にすると同じ」

「いや3回って…」

「ネルちゃーーーーーん」

「先輩ーーーー」

 

なんか異常な評価を受けてなんか幻扱いされてるんだよね。自分用と知り合い用は別に漬けてるか俺の周りでは珍しくもないんだけど。

 

「あーーーわかった。分かったから詰め寄るな。しょうがねーそいつらが応募するまでは待ってやる、だがそれ以上は待てねーし手加減もしねーからな」

「ありがとう、勿論これ以上望むつもりもないしね。それと、はい出来たら感想を聞かせて貰えると嬉しいかな」

 

こうして俺のこの騒動への介入は終わった。後はゲーム開発部が頑張るだけだけど、まぁそこはなんとかなるでしょう。彼女達はゲームを愛してるんだから。

 

 

「あのよ、ちょっとすまねーんだけさ。あの漬物また分けてくれねーか?いや他の連中が煩くてしょうがなくてよ。おっいいのか、すまねーなおっさん。今度なんか礼するからよ!」

 

なんかネル君からの連絡が来るようになり、

 

「この前ネル先輩と歩いていたよねおじさん、なんの用事だったのかな?」

 

ミレニアムのスナイパーには隠し事はできないみたい。

 

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