皆さん大好きなエデン条約編開始です。
パグ崎メモ、原作に備えて原作生徒の趣味は大体一度は体験している。つまりはアレも読んでる。
「あ〜どうしよう〜」
頭を抱え悩む俺、何を悩んでいるかというと。
「先生がトリニティに出かけたってことはアレが始まるんだよな」
そう先生がトリニティに出かけたのである、それもティーパーティの依頼で。そうつまりエデン条約編の開始なのだ。ゲームでは原作屈指の名作と持て囃されているがそれがリアルになった俺にはたまったもんじゃない。エデン条約編では今までのアビドスやミレニアムとは違い明確に殺意を持つ奴らが相手なのだ。訓練され集団で襲いかかるアリウスの生徒、ヘイロー破壊爆弾というキヴォトス最恐の兵器。そしてミサイル爆撃、どれをとっても1つ間違えれば先生が命を落としかねないものばかりだ。そのために対策を打ちたいのだが、
「俺のコネってトリニティじゃあまり効果ないんだよな」
俺のコネの源泉は今まで励んでいたボランティアがメインになる、それに今まで助けられていたが今回は少し毛色が違う。まずボランティアというものは主催する側と活動する側に分かれる。俺は活動する側であるがティーパーティに所属する生徒は主催する側なのだ。勿論活動に顔を出すことはあるかもしれないが、それがメインではないのだ。勿論それが悪い訳じゃない、彼らがいなければ規模は小さくなるし最悪活動すら危ぶまれることになるからだ。
そのため俺は彼女らにとって、自分の主催したボランティア活動に参加した1人でしかなく。顔を覚えて貰うどころか名前も聞き覚えがない可能性だってあるのだ。
勿論手がない訳じゃない、親しくして貰っている原作生徒は確かにいるがイチカ君は前半は無理だろう。彼女が所属する正義実行委員会はティーパーティの統制下にある。無理にお願いしては彼女の立場が無くなってしまう恐れがある。
もう1人はカズサ君だが、彼女は今学園生活を謳歌している。もしこの騒動に巻き込まれたらその幸せが壊れてしまうかもしれない。
まさに八方塞がり、1番やばいエデン条約調印式までにやらないといけないことが多いのに。ここは先生を信じて関わらない?いやそれもそれであの先生だし。
俺がどうするか頭を悩ませていると、
『太郎君ごめん、ちょっと力を借りたいんだ。今すぐトリニティに来てくれないかな?』
先生のお呼び出しのメールが届く。あーどうやらスルーすら無理のようだ。
※※※
「えっと、ちょっと落ち着こう」
「ふふふ」
壁際まで追い詰められ逃げ場がない俺、そしてじわじわと俺との距離を詰めてくるハナコ君。他の補習授業部のメンバーは見てるだけだし、先生に至っては何か感心した表情で見ている。何故俺がこうなったかというと。
先生に呼ばれ向かった先はトリニティの本校舎ではなく、別館の方。つまり合宿が始まっていたのだ。原作知識で知ってはいたが展開の早さに思わず挫けそうになるがここまで来たら腹を括るしかない。えっと、到着前に連絡を入れておいたんだけど。
「太郎君」
入り口の前に先生の姿、良かったアズサ君のトラップはまだ設置されていないみたいだ。
「ごめんね急に、でも太郎君が昔家庭教師のアルバイトしてたのを思い出してね」
「それ結構前の話なんですけどね」
先生とはコミュニケーションは結構とっている、そのため自分の過去の話や持ってる資格の事など知られても問題ないものは伝えてある。今回はその過去の経験を買われ呼ばれたんだが、流石に話し過ぎたかもしれないな。
「でも専門的なやつは無理ですよ」
「その辺は大丈夫、教えて欲しいの基礎の部分だから」
つまりアズサ君やコハル君がメインって事か、原作の成長率を見るに地頭は良いみたいだしそこまで時間が掛からないかもな。
「みんなちょっとすまない、紹介したい人がいるんだ」
先生が教室のドアを開けて俺を紹介しようとする、教室には原作通り補習授業部の4人がいて3人は少し警戒感を示し最後の1人は。
「えー私は先生の同僚でパ「ペロロ様の様な舌出し!貴方は高度なモモフレンズなんですね!!」グ!?」
野生のペロロ狂に詰め寄られる俺、いや誰がペロロ信者か!舌が出るのはパグだからしょうがないんだ!
「ヒフミ落ち着いて、えっと彼はパグ崎太郎君と言って私の同僚で応援に来て貰ったんだ」
先生がペロロ狂を引き剥がして俺を紹介してくれる、一応受け入れてはくれたみたいだけどまだ警戒は解いていない感じかなってなんでまたジリジリ近づいてくるのかなヒフミ君!
自己紹介も済み勉強を開始した訳だが俺の担当はアズサ君とハナコ君になった、コハル君は打ち解けるのに時間がかかるだろうし、ヒフミ君は想定外にアレだったので納得の割り振りだと思う。俺的にもハナコ君は勉強もできることを知っているので、アズサ君に集中できるのも助かるところだ。
「パグ崎さんここは?」
「えっ、ここはだね」
アズサ君は想定していた以上に学習速度が早かった、ヘイローを持つ子達はディスクで個人勉強をするのが一般的だしやはり地力が違うのかもしれない。それに彼女の場合必要最低限しか学習させて貰えなかった背景もあり、学ぶことに真摯に取り組んでいる。コレなら俺の役割もすぐに終わるかなと思ったんだけど。
「パグ崎さんコレについて教えて欲しいんですけど?」
そう言って見せてくるのはカーマスートラ、ハナコ君の愛読書であるが多分これを見て俺の反応を見るつもりなんだろうけど。
「ん〜浦和君が良い奥さんを夢見ているのは分かるけど、時代背景的にちょっと古くないかな?」
「へ?」
俺の反応が予想外だったのかハナコ君が止まる、
「むぅ、ハナコはそういう夢があるのか?」
「この本は時代的には古いけど、愛を解説し恋愛に関するハウトゥー本なんだ。浦和くんも女の子なんだし興味があるのは仕方ないさ」
アズサ君も興味を示し俺は一般的なカーマスートラの説明をする、そして予想を外れたハナコ君は。
「いえ、それは違うというか。違う訳じゃありませんけど…パグ崎さんって思っていた以上に意地悪ですね」
そりゃそうさ、子供として振る舞えない子がいるんだ。少しは揶揄ってあげないとね。
その後もハナコ君は俺に対し、
「パグ崎さん、そんなに私の物を捲ってじっくり見るなんて…」
「この数学の解答で8がマロク(丸くてエロい)てエッチですって書いてるけど、コレって二重表現だよね?」
「そんな減点理由は初めて言われました…」
エ駄死させようと意味深な言葉を投げかけてくるが、こちらも解答のミスをついて反撃し。
「パグ崎さんちょっと暑くありませんか、ここは脱いで涼しく…」
「服を脱ぐと逆に汗が蒸発しにくくなってもっと暑くなるよ、着替えがあるならゆったりした物に着替えるのがオススメだよ」
「…もう少し我慢します」
脱ぎ魔の理由を潰したりしながら勉強は順調に進んでいった。それにしてもハナコ君ってこんなに突っかかる子だったっけ?
※※※
こんな人は初めて、先生が助っ人として呼んだ方パグ崎さんは今まで生きてきた中で1番変わった人だった。わざとカーマスートラを出して見ても、まさか良いお嫁さんになりたいだなんて勘違いされるし、私が態と間違い巫山戯た解答を表現方法で減点してくるなど私の想定を超えることばかり。
なんなんだこの人はとも思ったけれど、
「パグ崎さんはなんでハナコの難しい質問にも答えられるんだ?」
「私は家庭教師の経験もあってね。たまにいるんだ、変わった質問をしてくる子がね」
なるほどそういう経験で、アズサちゃんナイスアシストです。
「なるほど、でも学習には邪魔になるんじゃないのか?」
「そうでもないさ、興味を持つことは学ぶ第一歩だしね。それにそういう子は距離感を掴むのが苦手な子が多いのさ。そういう質問で歩み寄ってくれてるんだと私は思っているよ」
な、なんですかそれは!それじゃ私がパグ崎さんと近づきたいのに近づけない変な子みたいじゃないですか!
「ん?そうなると…ハナコ、パグ崎さんは良い人だぞ。それに戦闘力はほぼ皆無に等しい、恐れることはないぞ」
「いえ、アズサちゃん私はそういうわけでは…」
まさかのアズサちゃんの暴投がこちらに向かい赤面してしまいます。そんな私たちを見てパグ崎さんは笑っています、もうこんな恥ずかしい目にあうなんて。
その後もなんとかパグ崎さんに目にものを見せようとアズサちゃんの質問は私が勝手に答えたり、態と範囲外の難問を聞いてみたりしても。
「うんうん、ハナコ君はしっかり理解してるね」
「これはー私には難しいかな。ちょっと待ってね、その手の詳しい人に…」
私を褒めたり、分からないことは分からないと認めそれでも手助けをしようとしたり。なんですかこれは!これじゃ私がパグ崎さんに構って欲しいために絡んでるようなものではないですか!
このままではいけません、何かこうあーと言わせてイメージを逆転させなければ。
私は気づいていませんでした、先生はおろか補習授業部の皆さんが私を見て微笑んでいることに。
※※※
あー今日も疲れた。先生は泊まることを提案してくれたけどシャーレには仕事が残ってるし、これから約束があるんだよね。
「さぁて、栄養補給は何にしようかな〜」
「夜に食べ過ぎるのはあまり良くないですよ?」
「えっ?」
車に乗り込んだ俺の独り言に返事が返ってくる。急いで後部座席を見るとそこには、
「お邪魔してますね」
笑顔のハナコ君の姿、えっなんでロックはちゃんとしてたよね?
「はーやはりこの時期はエアコンがないと暑いですね、早くエンジンをかけて貰えませんか?このままじゃ汗をかき過ぎて透けてしまいそうです」
この子はまったく、ゲームでは頭の良い変人ではあったが実際にあってみるとこの子は特殊なかまってちゃんだと俺は思った。この子に合うのは同レベルの頭の良さを持つか、全く会話が合わないレベルで差がある子か。原作で友情を育めたのは、集まったメンバーがペロロ狂、エ駄死、純粋テロリストという学業では測れないメンバーだったからなんだろう。だから素直になれた、自分の才能だけを求められなかった。
そう思ったから、彼女を完全に子供扱いしてみたんだけど、
「ふー涼しいですね、それでこれから何処へ向かわれますか?人には言えない派手な建物とか?」
いつの間にか助手席に移動しているハナコくん。どうやら意地でも付いてくるつもりらしい。さてどうするか、目的の場所は問題ないけど相手がなー。
俺が思案していると、
「駄目ですか?」
少し不安そうにこちらを見つめるハナコ、ハァ〜しょうがない。あの子には怒られるかもしれないが謝るしかないか。
「これから人に会う予定もあるけど、それでいいなら構わないよ。それと先生には連絡してね」
「はい!」
笑顔で返事をするハナコ君、しかし俺彼女に何かしたっけか?
車を駐車場に止めやってきたのは可愛い外観をした建物、
「スイーツショップ?」
そう今日の目的地はここなのだ、そして約束している子は。
「あっおじさん…と誰?」
俺に気づき近づいてきたがすぐに警戒心を露わにする女の子、杏山カズサ君。俺の関わりのある原作生徒の1人だ。
「えっと、こっちは浦和ハナコくん。今やってるシャーレの仕事で知り合ってね、今日はどうしても一緒に行くんだーって車にしがみ付いてくるから連れてきたんだ」
「な、なんですかそれは!?私が駄々っ子みたいじゃないですか!」
「殆ど真実じゃないかな?」
俺の説明に立腹するハナコくん、そんな俺たちのことを見て何か察したのか。
「またおじさんの病気が発動したってことね。しょうがないか、同じ穴のムジナだし…」
最後の方は上手く聞き取れなかったけど、許してくれたみたいだ。カズサ君は俺の車を見掛けて連絡を入れてきたのだ。そして折角トリニティに来たんだからとスイーツを紹介すると押し切られ今に至るわけだ。
今日のお店はスイーツバイキングの店で学生に話題らしく俺も期待して入店したんだけど。
「それじゃおじさん、私の分も選んできてね」
「パグ崎さん、私の分もお願いしますね」
「えっ?」
いきなりパシリにされるんだけど、折角のバイキングだし選ぶ楽しみも…
「「その間に友好を育んでるから(ますので)」」
そう言われ、
「はい」
俺はそう答えるしかなかった。
※※※
目の前にいる人、浦和ハナコ。彼女はある意味トリニティで有名人だ。なんせ校内を水着で出歩き正義実行委員会に連行されるくらいだし。
そんな変人がおじさんと一緒にいるのは…ある意味運命なのかもしれないね。
「私の名前は杏山カズサ、おじさんとはちょっと前からの知り合いかな」
「浦和ハナコです、パグ崎さんとは今行われている補習で知り合いました」
補習…確かそんな噂が流れてたっけ。このトリニティで補習を受けるなんてそれは変わった…だからおじさんも関わってるのか。
「あの、ちょっと聞いてもいいですか?」
「何?」
「そのパグ崎さんについてなんですが」
思わず心でため息をつく、どうせこの子も私と一緒でおじさんが引っ掛けたんだろう。私は昔のことを思い出しながら彼女の質問にどう答えようか悩むのだった。
中学の私は荒れていた、キャスパリーグなんて痛い名前を名乗ってそこら辺の不良に絡んだりしていた。私は他の子たちより強かったからそれに調子に乗って色々喧嘩を売り過ぎた、そして。
「へへへ、さすがのキャスパリーグもこの数じゃどうしようもねーみたいだな」
「くっ」
今まで叩きのめした奴らが徒党を組んで襲ってきたんだ、少しの人数差なら問題ないけど10人以上に囲まれた私は銃を落とし足を怪我したため負けが見えていた。こんな奴らにいいようにされるなんて、私を来るであろう痛みに耐えるように目を瞑り歯を食いしばった。
その時、
「こっち、こっちです。委員会の皆さん、早く!」
そんな声が響いた。その声に私を囲んでいた奴らは動揺した。こんな状況で呼ばれる委員会なんて正義実現委員会しかない、何か対策をしていれば別だがコイツらは私を狙うために集まっただけ奴らだから。
「やべ、こんなんで捕まるなんてやってられっか」
1人が逃げ出すと後は雪崩を撃つように散り散りに逃げていった。そして私は1人取り残され。
「私も早く此処から移動しないとっ!?」
足の痛みで上手く歩けない、あーこりゃ捕まるか。そう思っていたんだけど。
「君大丈夫?なんとか上手くいってよかった」
蹲る私に手を差し伸べたのは1人のパグ顔の大人、そうおじさんと私はこうして出会ったのだ。
おじさんは私の前に座ると、手に持っていた袋から傷薬や湿布包帯なんか取り出した。
「委員会っていうのは私が叫んだ嘘なんだ、実は誰も来ていないんだよ。ちょっとゴメンね」
おじさんはそう言って私の靴を脱がせる。
「ちょ、ちょっと!」
「傷の手当てをするだけだよ、怪我をしたのは足首と脛のところかな?」
いきなり足を触られて驚いたけど、おじさんの視線は全く悪意はなくて怪我の処置を始めるから私は歩くのもキツイので仕方なくおじさんの治療を受けた。
「君は中学生かな、やんちゃをしたくなるのは分かるけど無理は駄目だよ」
「うるさいな、私の勝手でしょ」
おじさんは治療しながら私に話かけてくる。
「そうだね、君の自由なんだよね。だけど怪我をし難いとはいえ傷つかないわけじゃないからね。君は女の子なんだし」
「な、何言ってんの!?」
私が女の子、そんなこと言う奴なんて全然いなかったし。この時は何を言ってるんだと思ったてた。
「はい、治療終了。どうかな?」
私は立って見ると、さっきより全然痛みは引いていた。これなら歩いて帰れそうだ。
「今日は助かったけど、あんたの言うことなんて聞かないから」
そう言ってその日は別れたんだけど。
「あれ君は?」
「また、会ったね」
「ほら、ここ怪我してるじゃないか」
何かのタイミングでおじさんと会い、怪我をしていれば治療をして貰った。一時はストーカーかもと思ったけど、後で聞いた話だとその時は半年ほどトリニティを中心に仕事をしていたみたいで私にあったのも偶然だったそうだ。
そうして何度も会ってるせいか、
「おやカズサくん」
「あっあんたか」
街中で会うと声をかけるようになっていた、その時はスイーツショップの前で。
「カズサ君は甘いものが好きなのかい?」
「そんなわけないでしょ、こんな女の子趣味なんて私に似合うわけないし」
その時の私はキャスパリーグと名乗り暴れ回っていたのだ、そんなスイーツなんて似合わないし笑わるだけだと思っていた。だけど、
「そんなことないさ、そうだ今日は私も暇なんだ。ちょっと付き合ってくれないかな」
「ちょ、ちょっと!?」
いつもとは違う強引さで私の手を引きスイーツショップに入るおじさん、そして入店してからも困惑する私を置いて勝手に私の分も注文して目の前に並んだのは色とりどりのスイーツ。
「さぁ食べようか、今日は私の奢りだから」
奢り…それもあるけど、目の前のスイーツがとても美味しそうで。私は一口食べて、
「美味しい…」
素直にそう口に出た。
「カズサ君は私に最初に会った時、私の勝手だって答えたけど。今もそれでいいんじゃないのかな?」
「どういうこと?」
「不良を続けるのはどうかな〜と思うけど、スイーツが好きなら食べればいいし。違うことをしたいならすればいいのさ。人に迷惑さえかけなければ誰の言葉も気にする必要はないんだよ」
そう言っておじさんはスイーツを食べ始める。
「何よ、それ」
私も馬鹿らしくなって目の前のスイーツを集中することにした、でもそうかもしれない。こんな美味しい物を食べるのに人の意見なんて関係ないよね。
まぁこうして、その後もおじさんと会って。アイリ達と出会ってスケバンも無事卒業できたんだけど。
「それでパグ崎さんと貴方のご関係は?」
さっきまでおじさんの質問の時より目を細めそう聞いてくる浦和ハナコ、間違いなくコイツはおじさんに釣り上げられた魚だ。でもおじさんは釣って餌も与えてくれるが、それ以外は全く進もうとしないある意味悪い人だ。だからおじさんに釣られた人は積極的に動くんだけど、おじさんは全く動こうとしない。
浦和ハナコ、貴方はおじさんに餌を与えて貰うの待つだけの人?それとも…
だから、
「教えてあげない、だって私は進んでるから」
ライバルには塩なんて送らないんだよ。
「お、お待たせ〜」
オボンが無理だったのか、カートを借りてスイーツを運んできたおじさん。ほんといいタイミングだよね。
「あれ、なんか2人とも距離近付いてない?」
いい勘してるじゃん、おじさん。でも、
「それは」
「乙女の秘密ですよ」
おじさんはまだ知るには早いかもね。
※※※
ハナコくんを先生の元に送り返し、そのままカズサ君を乗せ走る車内。いつもなら学校の出来事を語ってくれるカズサ君がとても静かだ。そう思っていたんだけど、
「ねぇおじさん、私に何か言うことないかな?」
「えっ?」
ドキッとした、言うことというか言えないことがある。それは原作とは違う展開で、原作通り進むか不安な俺のただの我儘。
「そ、そんなことはないよ」
「そう?なら私からおじさんに言いたいこと言うね」
俺は車を止めカズサ君に向き合う。
「私はおじさんを助けたい、私はおじさんに助けられたから。助けてって伸ばした手を掴んで貰ったから。私にできることは少ないかもしれないけど、私もあの時より大きくなったんだよ。伸ばせる手は少しは長くなったんだよ」
俺はその言葉に目を覆う、本当に子供の成長は早い。俺が掴んだ手は今では俺を引っ張り上げられるくらいの強さを持っていた。そうか、俺は彼女達をまだ何もできない子供だと思い込んでしまっていたのかもしれないな。
「わかった、これは君だけじゃ無理なお願いでもあるんだ。他にも協力してもらう必要があるお願いなんだ。私を助けて貰えないかな?」
俺の言葉に、
「もちろん、私はおじさんの味方なんだから」
笑顔でカズサ君はそう答えたのであった。
その後、原作通り進んだ補習授業部は黒幕である聖園ミカ君と相対した。そして原作とは齟齬が発生した。協力要請を受け突入するシスターフッドが妨害され到着が遅れたのだ。それは致命的で先生たちは駄目かと思った時乱入した子達がいた。
「自警団です武器を下ろしてください!」
「正義の味方登場です!」
「ちょっと声が大きい!」
「報酬のスイーツ食べ放題、今抜かねば無作法と言うもの…」
「アンタ何言ってんのよ!」
「あはははー」
スイーツ部とスズミ君、レイサ君を中心とした自警団が乱入してきたのだ。パグ崎の願いを聞き入れカズサ君はスイーツ部やレイサ君に頭を下げ協力を要請したのだ。そしてそれが功を奏し、シスターフッドの合流まで耐えることができ聖園ミカ君のクーデターは失敗に終わるのであった。
原作の小さな綻びは、パグ崎に執着する新たな生徒が増えたことと、報酬で振る舞ったスイーツの失費で補うことができたのだった。