事の始まりは、中国のとある病院にて発光する赤子が生まれたというニュースだった。
以降、世界各地にて超常的な能力を有する人間が発見され、その原因は不明とされつつも時は過ぎ、いつしか超常は日常へと浸透され、夢は現実に。
世界の総人口の約八割が、何らかの特異体質である超人社会は現在、混乱渦巻く世の中にて誰もが空想して憧れた一つの職業が脚光を浴びていた。
【ヒーロー】超常に伴い爆発的に増加した犯罪件数、法の抜本的改正に国がもたつく間、勇気ある人々がコミックさながらにヒーロー活動を始めた。
これはヒーローに憧れた、麦わら帽子がよく似合う少年が、最高のヒーローになるまでの物語だ。
中学の制服に麦わら帽子という珍しい格好で1人の少年が雄英高校の門の前に立っていた。
少年の目は力強く、夢への一歩を踏み出すことへの興奮が抑えられないかのように輝いていた。
「No. 1ヒーローに、俺はなる!!!」
大きな声で両手を上げながら決意を宣言し、少年は門を潜った。
少年の名前は「麦原 ルフィ」個性:ゴム
体がゴムのように伸び縮みするという個性だ。
現在中学3年生の少年は倍率300倍、偏差値79を誇る、日本最大のヒーロー養成学校である雄英高校の受験に来ていた。
「何だあいつ、No. 1だってよ」
「すごそうには見えないぜ、どうせ落ちるさ」
ルフィは周囲の雑音を気にすることなくワクワクした様子で試験会場へ歩みを進めた。
「今日は俺のライブへようこそー!エヴィバディセイヘイ!」
「うぉー!プレゼントマイクー!」
試験会場に着くと、プロヒーローであるプレゼントマイクがハイテンションで受験生達に呼びかける。
ルフィは本物のヒーローを目に前にして興奮を抑えきれず叫びながら声援を送るが、数千人を超える人数がいるはずの会場にはプレゼントマイクとルフィの声しか響いていなかった。
「概ねシビィー!しかしノリのいいリスナーもいるようだな!それじゃあ試験の内容を説明するぜ!」
ルフィの声援に気を良くしたプレゼントマイクは上機嫌で試験内容の説明を始めた。
「俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校の校訓をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!Plus Ultra!それでは皆、良い受難を!」
説明を終え、各々が割り当てられた演習場に向かい、ルフィはその光景に目を奪われた。
「なんだこりゃあ!?街だ!家の中に街があんぞ!」
プレゼントマイクの時とは違い、今回はルフィだけでなく他の受験生も驚きを口にする。
「さすがだな、雄英スゲー!」
「こんなのがいくつも敷地内にあるのか!」
『ハイ、スタートー!』
演習場に広がる室内とは思えないビル群の光景に驚いていられるのも束の間、すぐにスタートの合図が発される、一斉に行動を開始する受験生に続き、ルフィも行動を開始した。
「ゴムゴムの〜〜、ロケット!」
ルフィは腕を伸ばし、立ち並ぶビルの屋上を掴みゴムの伸縮を利用して上空へ飛び上がり、屋上へ着地した。
「さ〜て、ヴィランはどこにいんだ〜?」
建物の屋上から周りを見渡し、できるだけ多くの仮想ヴィランの密集しているポイントを見つけ出す。
ニィッ
「よしっあそこだ!
ゴムゴムの〜、ロケット!」
仮想ヴィランの密集したポイントを見つけたルフィは個性で腕を伸ばし目的地の近くにある建物を掴み、仮想ヴィランの元へすっ飛んでいく。
ゴムの伸縮を利用し勢いをつけ、そのままターゲットである仮想ヴィランに体ごと突っ込んだ。ゴムの性質を持つルフィの体は物理的な衝撃への完全な耐性を持っており、傷一つ負うことなく直撃した仮想ヴィランを粉砕した。
ルフィは衝撃で脱げた麦わら帽子を被り直しながら立ち上がり周囲を囲む大量の仮想ヴィランへ向けてファイティングポーズを取る。
「よーし、かかってこーい!全部ぶっ飛ばしてやる!」
宣言通りルフィはあっという間に周囲の仮想ヴィランを全て破壊した。
足を伸ばしながら蹴りを放ち広範囲を薙ぎ払うゴムゴムの鞭、ゴムの伸縮性を利用し残像で腕が10本以上あるように見えるほどの高速でパンチを連打するゴムゴムのガトリング、など伸縮する体を自由自在に操り多彩な技を披露した。
一帯の仮想ヴィランを全て倒したルフィは次のターゲットを探すべく、再び屋上に飛び上がった。
屋上から周囲を見渡していると、1人の受験生が戦闘力に不安があるのか仮想ヴィランに襲われている現場を見つけた。
本来、受験生同士は合格枠を取り合う敵同士であるはずだがルフィは一切の迷いなく襲われている受験生の元へゴムゴムのロケットで飛んでいき、ロケットの勢いそのままに仮想ヴィランに飛び蹴りをお見舞いし破壊した。
「おい、お前大丈夫か?」
「あ、ありがとう!助かった!」
「シシシッ気にすんな!
じゃあ俺行くからよ、お互い頑張ろうなー!」
それからルフィは目についた仮想ヴィランを倒していき、ピンチに陥った受験生を見つけるとそれを助けながら、順調にポイントを重ねていった。
そろそろ試験時間も終了だろうという頃合いに、突如演習場に超巨大なロボットが現れた。
周囲のビルと変わらないほどの大きさの巨大なロボットに次々と他の受験生が逃げていく中、ルフィは男のロマンをくすぐられ、目を輝かせていた。
「うぉー!巨大ロボー!かっこいいー!」
その見た目にも、破壊力から感じる脅威にも、昂る気持ちが抑えられずルフィは真っ直ぐに巨大ロボの元へ突っ込んでいく。
「ゴムゴムのぉ〜!バズーカー!」
巨大ロボの元へ走りながらルフィは進行方向とは逆方向に両腕を限界まで伸ばし、伸縮の力を利用してそのまま両手を巨大ロボに叩きつけた。
巨大ロボは凄まじい衝撃に少し傾くが、すぐに持ち直し、ルフィに向かって腕を振るった。
巨大ロボの攻撃がまともに当たったルフィは吹き飛ばされ、付近の建物に激突するも、ゴム人間であるルフィには全くダメージはない。
「くっそ〜、さすがに頑丈だな巨大ロボ…
だったらこれでどうだ!」
「ゴムゴムの〜〜」
ルフィは右腕を回転させながら後方に伸ばし、再び巨大ロボに向かっていく。
「ライフル!」
技名と共に放たれたパンチはスクリュー状に回転しながら今までよりも深く鋭く、巨大ロボの腕に突き刺さりその一部を破壊した。
「シシシッ ほらみろ、壊れるじゃねーか!」
巨大ロボへの有効な攻撃手段を見つけたルフィは巨大ロボの攻撃を掻い潜りながら攻撃を加えていく、時に相手の攻撃を受けて吹き飛ばされながらも少しずつ巨大ロボを破壊していった。
巨大ロボは所々破壊され、その中でも右腕はもうボロボロという状態になった頃、プレゼントマイクのタイムアップの声が演習場全体に響き渡った。
『終了〜〜!』
「なにぃ!?もうちょっとであいつぶっ飛ばせんのに!」
ルフィが終了の声を聞き、巨大ロボと決着がつかなかったことの悔しさから文句を言っていると、1人の老婆がお菓子を配りながらその場に現れた。
「お疲れ様~、お疲れ様~、ハイハイ、ハリボーだよ、ハリボーをお食べ」
「食いもんくれんのかぁ!?ありがとうばーさん!」
「あんた、あれに随分やられたように見えたけど元気そうだね、怪我はないのかい?」
「ああ、あんなのは俺には効かないんだ、俺の個性はゴムだからな」
「体がゴムになるのかい、面白い個性だね。
ならいいよ、元気ならさっさと怪我人を運んできな!」
「ああわかった!お菓子ありがとう!」
老婆の正体はリカバリーガール、雄英の看護教諭を勤めるプロヒーローだ。
治癒力の超活性化という非常に有用な個性を持つ雄英の屋台骨であり、雄英がこのような危険な試験を開催できるのも彼女がいることが大きい。
ルフィを含めた無事な受験生達が協力し、怪我人をリカバリーガールの元へ運んでいく。
こうして大きな問題もなく試験は幕を閉じたのだった。
ルフィは巨大ロボに真っ先に突っ込むだろうなぁ、と思い緑谷くんが落ちちゃうので別会場としました。
爆豪くんあたりとぶつけて仮想ヴィランの取り合いとかさせてみたかったけど、巨大ロボと戦わせる時にどうにも邪魔になってしまうのでクラスメイト達とは会わせませんでした。
感想をいただけたらとても嬉しいです。
よろしくお願いします。