ゴム人間のヒーローアカデミア   作:炭酸ガム

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雄英高校入学!恐怖の個性把握テスト

「おいルフィ!届いとるぞ!」

「ほんとか!?じいちゃん!」

 

 雄英高校の試験から1週間、毎日ソワソワと待ち続けた合否通知が届いたとの報せに、ドタバタと足音を立てながらルフィは飛びついた。

 奪い取るように祖父の手から封筒を取り、即座に封を開けるルフィに、祖父であるガープは「やれやれ」と呆れたような視線を向ける。

 

 封筒の中に入っていた小さな機械から、ブゥンという音と共に、空中に映像が投影される。

 

『私が投影された!』

 

「うおー!オールマイト!?すぐに俺がNo. 1になってやるから待ってろよ!」

 

 憧れのNo. 1ヒーローであるオールマイトの登場にルフィは合否のことも忘れ興奮していた。

 

『驚いたかい!?麦原少年!私はオールマイトだ!実は私は今年から教師として雄英に勤めることになっていてね!君達の合否通知が最初の仕事ってわけさ!さて、早速君の合否を伝えよう!』

 

 これが合否通知であることを思い出し、ルフィはオールマイトが現れた興奮を落ち着け、緊張した面持ちでオールマイトを見つめる。

 

『………おめでとう!君は合格だ!まぁ筆記はギリギリだったようだが、実技は75ポイント!全受験者の中でもトップクラスの成績さ!来いよ少年!ここが君の、ヒーローアカデミアだ!』

 

「よっしゃー!じいちゃんじいちゃん!俺受かったぞ!」

「ぶわっはっはっは!さすがわしの孫!やりおるわい!」

 

 合格の報せを受けてルフィとガープは盛大に喜び、今夜はご馳走だと、大量の肉を買いに出掛けるのだった。

 

 

 

 

 そして時は進み4月、雄英高校登校日初日。

 ルフィは2度目の雄英高校の門の前に立っていた、真新しい制服にトレードマークの麦わら帽子を被り、これからの学生生活に向けて、決意を新たにNo. 1ヒーローになるための道を歩み始めた。

 

「えーと、俺のクラスは1-Aだったよな〜、どこだ?」

 

「おっその麦わら帽子、やっぱお前は受かってるよな〜!」

 

 ルフィが広すぎる雄英の校舎に、自分の教室の場所がわからず迷っていると1人の少年が声をかけてきた。

 

「ん、誰だお前?」

 

「俺は上鳴 電気っていうんだ、試験会場同じだったんだぜ?」

 

「そうなのか、俺ぁルフィ、よろしく」

 

「よろしくなルフィ、しかし凄かったよな〜、あんなでかいロボットと正面から戦ってボロボロにしちまうんだもんな〜、みんな驚いてたぜ。」

 

 試験で一緒だったという上鳴はルフィと同じくA組だということなので、道に迷っていたルフィはこれ幸いにと、上鳴に道案内をしてもらい一緒に教室へ向かった。

 

 しばらく上鳴と話しながら歩き続けると、2人はA組の教室にたどり着いた。

 目の前のバリアフリーの巨大な扉に驚きつつも扉を開き教室に入ると、眼鏡をかけた真面目そうな少年と、机に足を乗せた金髪ツンツンヘアーの不良っぽい少年が口論をしていた。

 

「机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の制作者方に申し訳ないと思わないか!?」

 

「思わねーよ!てめー、どこ中だよ端役が!」

 

 国内最高峰のヒーロー科とは思えない教室の雰囲気にルフィと上鳴は特に気にすることなく、自分の席を確認する。

 2人は少し離れた席だったため、お互いに「またな」と声をかけ、各々の席に座った。

 

「あ!麦わら帽子の人だ!やっぱり受かったんだ〜!

 そうだろうなと思ってたよ〜!」

 

「ん?ぎゃー!服が喋ったー!」

 

「服じゃないよー!私は葉隠 透、透明の個性なんだ!」

 

「へー、お前おばけなのか」

 

「ちっがーう!話聞いてた!?」

 

「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け、ここはヒーロー科だぞ。」

 

 隣の席の透明な少女と、自己紹介や試験のことなど、先ほど上鳴と話した内容と似たようなことを話していると、ふいに寝袋に入ったままの無精髭を生やした謎の男が教室の外から声を発した。

 

 (((な、なんか、いるぅぅぅぅ)))

 

 生徒達がその男の怪しさに沈黙し、その挙動に注目していると、男はモゾモゾと寝袋に入ったまま立ち上がった。

 

「はい、静かになるまでに8秒かかりました。時間は有限、君達は合理性に欠くね。担任の相澤消太だ。よろしくね。」

 

 (((こ、こいつが担任…?)))

 

「変な奴だなー、こいつが担任ってやだなー、ハッハッハ」

 

 (((えぇぇぇ…言っちゃうんだ…!)))

 

「早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」

 

 微妙な空気が漂う中、正直すぎるルフィを一切無視し相澤は指示を出した。

 生徒達は戸惑いながらも指示に従い、着替えてグラウンドに向かう。

 

「揃ったな…ではこれから個性把握テストを行う。」

 

「「「個性把握テストォ!?」」」

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

 グラウンドに集まった生徒達に突然もたらされた報告に、生徒達が質問を投げかけるが、相澤は「ヒーローになるならそんな暇はない。」と、ばっさり切り捨てる。

 そして先ほどメガネの生徒と口論していた不良っぽい生徒、爆豪にソフトボールを渡し、個性を使い思いっきり投げろと指示する。

 爆豪は自身の個性:爆破を使い、球威に爆風に乗せて705mという大記録を記録した。

 中学の時と違い個性を思いっきり使用できるということに、生徒達は「面白そう!」と楽しげな声を上げた。

 

「…面白そう…か。ヒーローになる三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」

 

「「「はぁぁぁぁぁ!?」」」

 

「除籍って入学初日ですよ!?理不尽すぎる!」

 

 相澤の放った除籍という言葉に生徒達は理不尽だと反論するが、相澤は一切取り合わず、そういう理不尽を覆していくのがヒーローだと語る。

 

「これから3年間、雄英は全力で君達に苦難を与え続ける。全力で乗り越えて来い。こっからが本番だ。」

 

 こうして除籍を賭けた個性把握テストが始まった。

 

 

 第一種目 50m走

 メガネの少年、飯田が個性:エンジンで3.04秒というダントツの記録を叩き出していた。

 数人、個性が噛み合わない者は個性無しで計った記録と変わらない者もいるが、概ね他の者も自身の個性をうまく活用し好記録を出し続けている。

 そして、ルフィの順番が回ってきた。

 隣のレーンを走るのは出席番号でルフィの1つ前となる緑谷だ。緑谷は、最下位は除籍になるという相澤の言葉を聞いた時から、ずっと思い詰めたように暗い顔をしている。

 

「うーん、どうすっかなぁ…あっいいこと考えた〜!」

 

 ルフィも先ほどまで緑谷と同じように悩んでいた。

 自分のゴムの個性を足の速さに活かす方法が思いつかず、どうしたものかと考えていたが、自分の番が回ってきた瞬間、何か閃いたようでニヒヒッと笑っている。

 

『スタート!』

 

 スタートの合図が出ると同時に、ルフィは腕を伸ばし、ゴール地点にあるタイム測定器を掴んだ。

 

「おい、まさか」

 

 嫌な予感がした相澤がルフィの個性を消そうと、個性:抹消を発動しようとするが、ルフィのゴムは発動型ではない。

 常にゴムの状態なので、分類としては異形型に近いため、個性を止めることができない。

 ルフィは相澤の察した通り、掴んだ測定器に向かってゴムの伸縮性を使い飛んでいく。

 あっという間に先に走り始めた緑谷を抜き去り、そのまま測定器に激突。

 測定器は見るも無惨な姿に変貌してしまった。

 

「だっはっはっは!どうだー?速かったかー?何秒だー?」

 

「失格で記録無しだ馬鹿が、お前が今ぶっ壊したそいつがタイムを測ってたんだよ」

 

「なにぃーー!?…………ご、ごめんなさい」

 

「もういい、どうせ残りは数人だ、ここからは1台で計る。次無闇に備品を破壊したら除籍だ。」

 

 ルフィによってタイム測定器が破壊されたが、幸いルフィの順番は後ろから2番目、残すは峰田と八百万のみとなっており1人ずつでもそう時間をロスすることにはならなかったため、相澤の怒りも比較的軽く済んだ。

 

「何やってんだよルフィ、笑わせるなよ!」

「ほんとだよー、記録無しになっちゃって大丈夫?」

 

「だっはっはっは!まぁー何とかなるって!」

 

 上鳴と葉隠が失格で記録無しとなったルフィを心配して声をかけるが、ルフィは気にした様子もなく笑っていた。

 

 ルフィはその笑顔の根拠を証明するかのように、第二種目の握力測定では、個性を活かすことはできなかったが、鍛えた身体能力で102キロと、相性の良い個性だった者を除けば1番の記録を出した。

 そして第三種目の立ち幅跳びでは、着地場所が砂場であることを利用し、限界まで伸ばした足を踵落としの要領で地面に突き刺し、そのまま突き刺した足を軸に体を引き寄せるという、跳んでいるというより、跨いでいると言える方法で72mを記録した。

 そして第四種目の反復横跳びを無難に終えて、第五種目のソフトボール投げの時、これまで目立った記録のなかった緑谷に動きがあった。

 

「な…今確かに、使おうって…」

 

「個性を消した。つくづくあの入試は合理性に欠くよ。お前のような奴も入学できてしまう。

 見たとこ、個性を制御できないんだろ?また行動不能になって、誰かに助けてもらうつもりだったか?」

 

「そ、そんなつもりじゃ…」

 

「どんなつもりでも、周りはそうせざるを得ないって話だ。緑谷出久、お前の力じゃヒーローにはなれないよ。」

 

 相澤からキツイ言葉を投げかけた緑谷は、そのまま2度目のボール投げに入る。

 ブツブツと小声で何かを呟きながら、思い切り腕を振りかぶり、全力でボールを投げた。

 

「SMASH!」

 

 ボールは凄まじい勢いで飛んでいき、705mを記録した。

 

「先生…!まだ動けます!」

 

 強大な個性の力に耐え切れず、赤黒く変色し腫れ上がった指を握りながら、「自分はまだ出来る!」と訴える緑谷に相澤は思わず笑みを浮かべた。

 

 

「お前すっげーなー!なんで今までそれ使わなかったんだ?」

 

「あ、じ、実はまだ個性がうまく制御できなくてさ…」

 

 常に自分の1つ前で凡庸な結果を続けていた緑谷の思わぬ記録にルフィは興奮したように緑谷に語り掛ける。

 

「やっとヒーローらしい記録出したよー」

「指が腫れ上がっているぞ、おかしな個性だ」

「スマートじゃないよね」

 

「どーいうことだこら!ワケを言え!デクてめえ!!」

 

 他の者も緑谷が出した記録に賞賛や疑問の感想を述べていた所に、1人ブチギレた爆豪が緑谷に襲いかかる。

 しかしその襲撃は相澤によって即座に取り押さえられることとなった。

 

「炭素繊維に特殊合金の鋼線を混ぜ込んだ捕縛武器だ。ったく、何度も個性使わすなよ・・・俺はドライアイなんだ。時間がもったいない、次準備しろ」

 

 それから測定は滞りなく進み、ルフィは第八種目の長座体前屈でゴムの体を最大限に利用し、72mという長座体前屈とは思えない圧倒的な記録を叩き出した。

 

 全種目の測定が終わり、相澤の元に全員が集まり結果の発表を待つ。

 トータル成績最下位が除籍になるということで皆緊張した面持ちをしている。

 

「んじゃ、パパッと結果発表。トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括開示する」

 

「ちなみに除籍はウソな。」

 

「は!?」

 

「君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」

 

「はーーーー!!!!??」

 

 「これにて終わりだ。教室にカリキュラムなどの書類あるから目ぇ通しとけ」

 

 こうして非常に濃い、雄英での1日目が終了した。

 ちなみに最終結果は

 

 1位 八百万 百

 2位 轟 焦凍

 3位 爆豪 勝己

 4位 麦原 ルフィ

 

 と50m走で失格を出したルフィは高い身体能力と比較的応用力の高いその個性で4位にまで迫っていた。

 

 




ルフィの体が伸びる長さには限度があり、72ゴムゴム。なのだそうです。多分メートルでいいだろうと判断して、ここでは72メートルということにしておきました。
厳密には元の腕や足の長さが足されると思いましたがややこしいので…
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