新帰ってきたウルトラマン -光の巨人の帰還- 作:刀持ちの烏
僕は昔からウルトラマンに憧れていた。
僕が初めてウルトラマンという巨人の名を知ったのは僕が2か3歳の時、当時設立されたばかりの防衛軍に所属している父からその存在を教えられた。
仕事の都合であまり家に帰れなかったため、僕は父が帰ってくると毎回その話をせがんだ。
その圧倒的な体躯から繰り出される打撃、一撃で怪獣を粉砕する強力な光線、そして果敢に敵に立ち向かう勇敢さ…父から伝えられるその光の巨人の話に僕は虜になっていた。
光の巨人が宇宙へと帰還した後も、父親が大侵略で殉職したあとも、依然としてその憧れは変わらなかった。
それから20年の時がたち、僕は地球防衛軍のテストパイロットとして在籍していた。
滑走路まで機体をタキシングさせながら、僕…晩秀樹はふと計器盤を見つめた。機体の調子は万全。いつでも飛行できる状態だ。
僕の乗っている機体、SF-2 3Mは前方から胴体までの形状は原型となったSF-2トライビートル(愛称は三角ビートル)と似通っていたが、戦術戦闘機関係の機材は全て取り外されており、機体の塗装すら軽量化のために剥がされていた。
そして、機体の後部には重々しいブースター・ユニットが接続されていた。これはただ推力を上げるためだけでなく、今回のとある試験に関わっているものだった。
メテオール…正式名称を地球外生物起源超絶技術というそれは、1975年から、ゴース星人の地球侵略失敗により終結した、「大侵略」と呼ばれる多数の宇宙人による地球での破壊工作が起こった1987年までに回収された宇宙船や兵器の残骸などを元に開発された、超常的な能力をもつ軍事技術の総称だ。
このSF-2 3Mにも「ファントム・アビエイション」と呼ばれるメテオールが装備されていて、その効果は1分間航空力学を無視した超絶飛行が可能という代物だ。今回の浜松空軍基地での試験がうまくいけば防衛隊の次期主力戦闘機にも装備される予定であった。
管制塔から指示が出た。
『こちら航空管制、離陸を許可する。キグナス1、幸運を祈る』
「キグナス1了解、エンジン始動。離陸します」
エンジンがうなりをあげて滑走し、離陸を開始する。
僕は離陸が成功したことを確認した。
「ん?」
同時刻、御前崎空軍基地でスクリーンを見ていた管制官が不思議そうな声を出した。
「生体反応です」
「生体反応だと?間違いないのか」
「このレーダーが誤認する可能性は限りなく低いです。おそらく本物かと」
(クソッ、まさか怪獣が再び現れるなんて…)
事実、この基地に装備されている対怪獣用レーダーは最新式のもので、誤作動を起こすことはないはずだった。
ただし、性能はいいが地下深くに眠る怪獣まではその存在を探知できず、それを行うには専用の機器を使う必要があった。今回発見がここまで遅れてしまったのもこれが原因だと言える。
「場所はどこなんだ?」
「現在怪獣は浜名湖付近の地下にいるようです。すぐに行動を開始すると思われます」
上司は頷き、すぐに警報を発しようとした。しかし、その行動をとるのはすでに遅かった。
「申し上げます!!」
その時、ドアを勢いよく開いて別の部下が入ってきた。
「浜名湖付近に怪獣出現!!そのまま浜松市に向かっています」
怪獣は浜名湖付近、長楽寺付近に姿を表した。
その体表は黒い皮膚に覆われ、頭部には長い一本の角が突き立っている。
それは二足歩行で体躯を動かしながら、市街地へと向かい進行を開始した。
森の木々を薙ぎ倒し、家屋を破壊しながら南東へ一直線に向かう。
もちろん防衛軍も動いていないわけではない。彼らは御前崎空軍基地が発した警報により、すでに富士基地や、滝ヶ原基地、駒門基地に駐屯している富士教導団、板妻基地にある第34歩兵連隊を動かしていたが、その基地のほとんどは静岡県の東に位置しており、浜松までだと戦車や歩兵を展開するには時間がかかってしまう。
そのため、警報をうけてすぐに動き出したのは富士基地に駐屯していた砲兵教導団と航空部隊のみだった。
管制塔から通信が入った。
『管制塔よりキグナス1へ、聞こえるか?』
「こちらキグナス1、どうした?」
『現在付近に怪獣が出現した。すでに浜松市以外にも警報が出ている。すでに付近の部隊が展開しているから、すぐにこの空域から退避しろ』
僕は少し考えた。
それ以外はまだ時間がかかるだろうが、航空部隊なら焼津市にあるだろうしすぐに到着するだろう。
「了解しましたすぐにここから退避します」
「こちらサムソン1、目標を目視で確認。攻撃の指示をこう」
『こちらマザーシップ、了解した。攻撃を開始せよ』
まず最初に到着したのは静浜空軍基地から発進したサムソン隊…SF-5スーパークルセイダー戦闘爆撃機4機の編隊だった。
SF-5はSF-4までの機体とは異なり、最初から防衛空軍、海軍に配備することを念頭に置いて開発された機体で、性能自体はそこまで高いものではないが、従来のものよりも汎用性に長けていた。
サムソン1は攻撃体制に入り目標へと接近、ミサイルによる攻撃を開始した。
今回発射したのはAMM-3スワン空対獣ミサイル。防衛隊内では最も普及している対怪獣ミサイルだった。
発射したのは2発、全弾が命中した。
まず1発目は敵の脚部に命中した。足元で爆発が起こり少しよろめく。
2発目は腰部に当たり、爆発…したものの、硬い表皮に阻まれほとんど効果が見られなかった。
2番機、3番機が続くように攻撃するものの目立った損傷は見られない。敵は依然として進行中だった。
もたないな。僕は直感的にそう感じた。これじゃ都市部までいってしまう。航空部隊が攻撃してるが効果が大きいわけじゃない。足止めできたとしてと押し切られてしまう。
僕はすぐに本部に繋いだ。
「こちらキグナス1よりCP、聞こえますか?」
『こちらCP、どうした?』
「こちらキグナス1、航空部隊の攻撃は効いていない。このままだと敵は市街地へといってしまうぞ」
『こちらCP、今増援部隊がそちらに向かっている。キグナス1はそのまま退避せよ』
わかっている。この機体は実験機だから武装を持っていない。当然敵に攻撃することなどできない。
だが、
「断る。キグナス1は変針し航空部隊の支援を行う」
『こちらCP、単独では危険だ。早急に現場から退避せよ。繰り返s…』
僕はすぐに通信を切ると機体を反転させた。メテオールを搭載しているのなら少なくとも敵を引きつけることはできるはずだ。
深く深呼吸した。
「パーミッションシフト、マニューバ!」
そう言って僕はコンソールにあるボタンを押す。
次の瞬間、機体が金色に発光して身体に大きな負荷がかかった。今は特殊な飛行服を着用しているため無事ではあるが、ものすごい反応速度だ。すぐに敵の目前へと接近する。
メテオールの稼働時間は1分、実際はそれ以上稼働されることが出るのだが、安全性の観点から時間制限を設けていた。
敵はすぐに僕の機体に目をつけた。僕は操縦桿を倒して、煽るように周囲を旋回する。
「来い…こっちだ」
市街地を蹂躙していた怪獣は、機体を見るなり鬱陶しそうに尻尾を振り追い払おうとした。だが、機体はそれを避けながら果敢に周囲を飛び回る。
サムソン編隊も再攻撃をかけようとしていた。
彼らもあの行動を見て黙って見ているわけにはいかず、再び攻撃する体制へと入った。
編隊は再び怪獣の後方に向かって接近する。
各機それぞれ4発、残っているすべてのAMM-3を発射した。
発射されたミサイルはすべて背面に命中し、背中の皮膚を削り、少量ではあるが体液が吹き出させた。
だが、その攻撃もさしたる効果を与えられたわけではなかった。
元々AMM-3は貫徹能力の高いことで知られていたものの、今回の怪獣はそんな簡単にまいるような敵ではなかった。
サムソン1は悔しい表情をした。これでミサイルはすべて打ち尽くしてしまった。撃てる武器はもうない。
正確に言えばまだ機銃が残ってはいたが、怪獣に攻撃するには威力が低く、効果はまったく期待できなかった。
結果的に、サムソン編隊は敵にほぼ攻撃できないまま帰還することになってしまった。残ったのは晩のSF-2 3Mのみだった。
「こりゃまずいな…」
僕はすぐに航空部隊が撤退していることを悟った。同時にカウントが0になり機体が銀色に戻る。
これで付近にいる航空機は本機のみ。しかもメテオールも切れた状態で友軍が来るまでなんとか持ち堪えなければいけない。
敵はすぐにこちらへと攻撃を仕掛けた。
今度は口から熱線を吐いて迎撃してきた。
僕はすぐに回避する。
だが、敵はそれを見越してなのかすぐさま尻尾をこちらへと振るってきた。急だったためすぐに回避できない。
僕は咄嗟に目を閉じた。
「ん?」
撃墜されてない?僕はそう思いながら周囲を見渡す。
目に映るのは地面でも、ましてや怪獣の姿でもなかった。
銀色と赤のコントラストの体表、人間に近いフォルム。僕は呆然として呟いた。
「ウルトラ…マン?」
光の巨人が帰還した瞬間であった。
刀持ちの烏です。
この度新しくウルトラマンの小説を投稿することになりました。
次回は未定ですので気長に待っていただけると幸いです。