一般ヴェノム寄生生徒   作:ウィルキンソンタンサン

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Netflixにヴェノムが復活してました。なんだったんだ。
気が付いたら評価バーが赤かったので調子に乗って続きました。

後半、ちょーーっとだけ残酷描写注意です。題名はMealtime(食事の時間)……つまりそういう事ですね(ニッコリ


2.Mealtime

 

 

 

「……」

 

『……ハラが減った。』

 

現在、自室。少し前にあった試験の解き直しをしている状況です。

ウチのヴェノムちゃんは非常にハイスペックで、計算・暗記共に隙がありません。

よって試験中は解いてる最中に『バカ、これはこう解くんだ』とか『単位書き忘れてるぞ』とか『マーク欄ズレてるぞ』とかいろいろ教えてくれるのでかなりの好成績なのでございますが、それでは私の為にならないとこうして復習をしている次第です。

 

『メシだ。』

 

そういえば、この間で様々な事が起きました。行方不明となった連邦生徒会長が失踪前に設立した、超法規的な権限を有した連邦生徒会直下組織、連邦捜査部…シャーレ?に大人の"先生"なる人が赴任してきたのです。

要は生徒の為の何でも屋らしいのですが……。この顧問たる先生がまぁフッ軽で、生徒の為なら何処へでも!といった感じの様です。

トリニティの治安維持組織のNo.2たるハスミさんが言ってました。仕事を手伝う当番制度とかあるらしいっす。

 

『メシだ!』

 

しかし、本当にそんな聖人君子の様な方が存在し得るのでしょうか。確かに良い大人はこの自治区にも存在していますが、如何せん世間一般的に言う「悪人」が多すぎるのです。

しかもどこの自治区で勝手に戦闘してもOKという絶大な権力があるのであれば尚更。

人とはどうしても権力に溺れてしまうものです。絶大な権力を正しく扱える者などほんのひと握り。はたして大丈夫なのでしょうか。

 

『どうでもいい、メシだ!』

 

と、そこでノートの上でペンを走らせる腕が黒く変色し、勝手に動きだします。

 

『メシだ!ハラ減った!!』

 

 

メシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシメシ

 

 

「だー!うるせーー!!!チョコでも食っとけ!!」

 

『チョコレートだけじゃ足りねぇんだよ栄養が!!脳を食わせろ!!人のだ!!!』

 

「なんで人!?イルカとかじゃダメなの!?」

 

『イルカの脳が今用意できるんなら考えてやってもいい』

 

無理です。なんで私はこんなスライム風情に論破されてんだ。

しかし、脳味噌とチョコでしか栄養を摂取出来ないとは難儀な生き物です。

 

「あのね、キヴォトスの人間は基本未成年なんですよ。いたいけな子供の脳なんか食べて心痛まないんですか?」

 

『むぅ……確かに、お子様の脳味噌は小さいからな…。』

 

「そうじゃねぇよバカ。」

 

『バカだと!?オレがバカならお前はカバだ!!』

 

「なーんですとぉ!?カバはワニより強いんですよへーんだ!!私がカバならそっちはバカ……あれ、無限ループですねこれ。」

 

『どん底だったお前をヒーローにしてやったのは誰だ!?オレだ!なら少しはオレの意志を汲むのは当然じゃないのか!?』

 

「誰がどん底ですってぇ!?極めて平均的な模範生徒でしたよ私は!」

 

『どうでもいい!ハラが減った!!』

 

「分かったよチクショー!ブラックマーケット行くぞォ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『悪い奴!悪い奴!悪い奴!!悪い奴のバイキングだ!!』

 

「落ち着け食べるなバイキングじゃない。」

 

『なんでだ!?悪い奴なら食べてもいいだろ!!』

 

「良くないです皆さん子供です。生きてりゃ過ちくらい犯すでしょうよ、未成年となれば尚更ですよ。」

 

さて、寮を飛び出し現在ブラックマーケットにございます。

に、人間喰いに来た訳じゃないですよ?代替品を探しに来たまでです。

マーケットガードが配っていたブラックマーケットの案内図によると、数箇所に精肉店がありますゆえ……何とかならないかなぁ、と。

 

「……お、あった。すみませーん!」

 

「お、いらっしゃい嬢ちゃん。何の肉をお求めかな?」

 

と、犬の店員さんが出迎えてくれました。時たま思うのですが、こういった食べ物を扱う仕事を毛深い獣人の方々がやるのは衛生面的にどうなんでしょうか。

 

「脳味噌ってありますか?」

 

「ぶ、ブレインかい?こりゃまた珍しい物を……ウチには無いな、すまねぇ。」

 

「そうですか…すみません!」

 

「いやいや、こっちこそ悪いな!またな嬢ちゃん!」

 

ふむ、どうやら取り扱いが無いようです。仕方がありません、次に行きましょう。

 

 

 

 

「うーん、ウチには無いなぁ。」

 

 

「バッカじゃね!」

 

 

「そこに無いなら無いっすね」

 

 

 

 

──はい、全滅です。本当にありがとうございました。この前あった鹿の脳味噌は本当にレアだったんですね。

 

『なぁ、もう良いだろ?食っちまおうぜ?』

 

「駄目だっての……」

 

『クソッ!こんなに美味そうなのを目の前にしてお預けされる身にもなれよ!』

 

「チョコでも食ってなさい、チョコ。」

 

『チョコじゃダメだ!お前は腹が減ったと訴えて茶が出てきたら納得するのか!?』

 

「しませんねぇ!?茶を飲んだら腹が膨れるとは良く言いますけどね!?」

 

『そういう事だ!──普通の人間は食べない。だが悪いヤツならいいだろ!』

 

「良かねぇよ!?悪い事をしたのなら然るべき場所で罪を償ってもらうべきです!」

 

肩から生えてきたヴェノムちゃんを押しのけ、路地裏の自販機にタッチ決済機能付きの生徒証をかざして紙パックのいちごオレを購入。

 

大体、悪いヤツと言えども相手は子供。1度ヤンチャをしたら頭を食われるとはいよいよキヴォトスも世紀末です。コウモリのダークヒーローが暗躍する街よりも酷いですね。

 

『ならあの動物共ならいいのか?奴らは大人だ。』

 

「あー、ダメですよ。可哀想じゃないですか。」

 

『F××k!結局見た目じゃねぇか!』

 

「ロボットとかだったらまだいいですけどね〜。」

 

『基盤とオイルが美味いと思うか?』

 

「脳味噌だって別に美味しくないですよ。」

 

ジュルジュルジュル、といちごオレを吸う。

しかし、空が青い。こんなタールスライムみたいなのとそれに寄生されている私には眩し過ぎますね。

 

と、何の気なしに空を眺めていると。

 

『なんだ、登りたいのか?』

 

「は?」

 

突然ヴェノムちゃんが話しかけてきました。登りたい?……何に?

脈絡の無い発言に困惑していると、これまた唐突に身体を乗っ取られてしまいました。

 

『ちょっとちょっと!?』

 

「それなら早く言えばいいだろ」

 

と、目の前にあった壁を登り始めてしまいました。

 

『???????は?え???』

 

私を余所にビルをかけ登り、あっという間に頂上まで登り切ってしまった。

角に取り付き、ブラックマーケットを見下ろす。

 

「で、なんで登りたかったんだ?」

 

『んなこと一言も言ってねぇですわ!?!!?』

 

「あぁ!?あんな登りたそうに上見てたじゃないか!」

 

『空を眺めてただけです!!』

 

「なんだと!?じゃあ早くそう言えば良かっただろ!」

 

『言う暇も無かったじゃないですか!!』

 

やいのやいのと言い争いをしていると、急に私を包むヴェノムちゃんの身体が少し()()ました。

 

「あぁくそ…ハラが減った……」

 

『ちょっとちょっと、大丈夫なんですか!?』

 

思ったよりもマズイ状態の様です。空腹の辛さは私もよく分かりますが……人間の脳味噌なんてどうやったら確保出来るんですか!この世界がコウモリのヒーローが暗躍するような世界だったら何とかなっただろうに……キヴォトスがヴェノムちゃん向きじゃ無さすぎます!!

 

『あーもーどうしよう……ぷはっ!…食べて良い奴…食べて良い奴……!」

 

視界がボヤけ始めた為頭部だけヴェノムちゃんから出し、ブラックマーケット市街を見渡す。

極悪人はいねがー!頭を食べられたいやつはいねがー!!

 

と、そこで。

 

 

 

「あれは……?」

 

両目視力2.0*1の猛禽坂トビ、あるものを発見しました。

 

 

1台の黒塗りワゴン車。そこから目隠しをされ手を縛られた生徒たちが複数人の獣人に連れ出され、建物の中へ運び込まれる光景。

 

明らかな厄ネタがあります。

 

あーあ、これやってますよ。誘拐でしょうか?売りに出されるのでしょうか。

……本来ならば、然るべき場所へ通報するべきですが。

 

「ヴェノムちゃん。」

 

「……なんだ」

 

「もうひと踏ん張りです。あそこへ降りられますか?後は私がやります。」

 

「…あそこか…?……分かった…」

 

指示通り、ヴェノムちゃんはふらふらながら狙い通りの場所へ跳んでくれました。

 

着地と同時に、ヴェノムちゃんは力尽きたように体内へ引っ込みます。ありがとう、ヴェノムちゃん。

 

「……さて。」

 

目の前の建物へ向き直り、ゆっくりと正面扉を開きます。

中には人の気配がありません。ローファーと床の奏でる音の響き方から察するに、このフロアに人はいません。

 

……どことなく、空気の流れがおかしい気がします。

猛禽坂トビ、という名の通り、私は鳥の様な感覚を備えている為、見に迫る危機や空気の流れにはとても敏感なのです。

 

「この流れ───地下がありますね。」

 

人差し指を少し舐め、濡らして立てる。こうすることでより空気の流れを触覚的に掴むことが出来ます。

 

「ふむ。扉を開いて階段を降りる様な、普通の地下ではありませんね。恐らく、床を開くタイプ……」

 

微量な風を見て廊下を歩くと、とある一室に空気が集まっているのが分かりました。

 

「なるほど、ここですね。」

 

扉を静かに開くと、そこは何の変哲もないオフィス。しかし、1つの机の下にあるカーペットが不自然に歪んでいます。

捲ってみると、床に何かの痕が。

まるで何か、重いものを引きずり動かしたような痕。

 

机を押してみると、予想通り簡単に机が動きました。露出した床には、不自然な分割線。そして、何かを引っ掛けるかのような金属製の凹み。

 

『──これは…』

 

「ヴェノムちゃん。ちょっと力を貸して下さい…。」

 

人差し指をヴェノムちゃんを構成するシンビオートで包み、硬質化。凹みにあてがって引っ張ると──

 

「…ビンゴ。」

 

ギギギ、と音を立てて床が分割線に沿って開きました。

下には梯子があり、奥から何かの音が聞こえてきます。

 

穴の中へ身体を滑り込ませ、地下に降ります。

中は光源が無く、かなり暗いです。私は夜目が効くので問題無いですが。

 

空気の流れ的に、この暗い廊下の先には広い空間があるみたいで、そこに人が密集しています。

 

「ヴェノムちゃん……感じますか?」

 

『……あぁ。小鳥のせいでな。』

 

脳内で警笛がなっている。これは、私の危機感知が反応している証拠。

危険度メーターが振り切ってしまっています。

 

軽い気持ちで来ましたが、少し…覚悟がいる現場のようですね。

 

少し入り組んだ通路をしばらく歩くと、光がちょっとずつ強くなってきました。

この先に、現場があります。

 

 

 

さーて、遂にたどり着きました。通路の先には1つの扉。この扉を開けばもう後戻りできません。

 

……ここまで来てなんですが、もう帰りたいです。帰っちゃダメですか?

 

と、少々怖気付いていると───室内から、声が漏れているのに気付きました。

 

 

 

「クソッ、抵抗するな!!」

「……!……ッ!!」

「おい!そっち抑えとけ!」

 

 

 

「………は?」

 

考えるよりも早く、身体が動きました。

 

 

鉄製の扉を蹴破ると、中には───筆舌に尽くし難い、惨状。

 

 

裸に剥かれた女の子と、それを取り囲む半裸の獣人。

 

突如として入ってきた私に視線が集中しました。それに構わず飛び出し、獣人達に蹴りを入れて女の子を救出。

 

「……!………!」

 

目隠しに猿轡をされ、驚く程に冷たく震えた女の子をそっと抱き締めてから───私は、ポツリと呟くように言いました。

 

 

 

 

 

「ヴェノム───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

喰っていいぞ。

 

 

 

 

 

 

*1
救護騎士団からは測定不能と言われた




ではまた逃げさせていただきます。チョレギサラダバー
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