三次選考まで勝ち抜いた35人の内、トップ6が控えることになるVIPルーム。
残る29人へ、
『これまでの戦いで、お前らは間違いなくその存在を示した──
モニター越し、大した感情の見えない
絵心は宵越がサッカー界から逃げたことを、ことあるごとに槍玉にあげていた。だが事ここに至って、絵心は無粋なことを言わない。
世界選抜からの評価、絵心からの評価。周囲の選手へ与えた影響。
間違いなく、宵越は
『A・B・Cそれぞれのコンビは俺が考えうる現時点での実験的超攻撃型2トップだ。1人では生み出せない新しい攻撃をみせろ。相手はお前が世界一になるための道具だと思え』
そして
『お前らが創るサッカーが日本サッカーを破壊する刃になると自覚しろ。俺はお前らの挑戦が見たい──』
(挑戦か)
宵越は考える。この6人──いや自分たち35名は確かに他の265人を押しのけた才能の原石たちだ。
けれど、相手はU-20日本代表。20歳以下の日本の頂点に立つメンバーだ。絵心がどれだけ貶そうと、強い存在なのは変わりない。
だからこそ、必要なのは挑戦。凛、士道、宵越──この3人といえども変わりない。いや、この3人こそ挑戦をしなければ日本サッカーは変えられない。
絵心の演説が消えた後、2人が立ち上がった。
「うかうかしてたら寝首かいたんぞ、上位3人ズ」
関西弁が際立つNo.4、烏旅人。飛び跳ねた後ろ髪がうるさい。
「ウチらが最強もらうなり」
軽妙な態度が特徴のNo.5、乙夜影汰。銀髪の中に緑の前髪ワンポイントが揺らめく。
この2人はここまで宵越たちと絡むことはなかった。いや、宵越は知らないが、実際士道や凛とも絡んでいない。だからこその挑戦状だ。
「受けて立つぜ、No.4・5ども」
「ハッ、相変わらずうっざいわ不倒め」
「忍法、バナナ転がしが必要なり」
烏・乙夜と絡んでいたのは別の一人。
「やっぱりアンタらはすごかったよ。またバチバチやろーぜ、非凡・忍者コンビ」
No.6 凪誠士郎だ。
「ちゅっす」
「やっぱウザいわ、凪誠士郎」
「どーも」
凪は宵越に目を向けた。2人は二次選考の初めに、少しだけ会話をしたが。
「ん?」
「んで、あとはアンタに質問いいかな、初めましてのNo.3さん」
「いや初めましてじゃねーよ! お前俺のこと忘れたのかよ!?」
「え? そうだっけ?」
宵越はため息を吐いた。考えてみれば、コイツも玲王と同じサッカー歴半年で、しかも不倒の名前を知らないような奴だった。
「ったく……で、なんだよ」
「玲王と同じチームで勝ち上がってきたみたいだけど、玲王は元気だった? 強くなった? 上手くなった?」
なんだか知らないがまくし立てられた。
(……自分から突き放したわりに、結構気にすんじゃねぇか)
なんだか凪がチームを組んだ後の玲王の様子を教えてやりたくなったが、それよりも。
「……そもそも、俺は4thであいつを奪ったんだ。それ以前のことは、あそこのクソ悪魔に聞けよ」
「えーっと、そうなの?」
「ああ」
士道もこちらの会話に気づいたらしい。
「なにかな、たっつん♪」
「そこの白ノッポが質問だとよ。っていうか、たっつん呼ぶんじゃねぇクソ悪魔」
凪は士道にも同じことを聞いた。結果、
「知るかよ。てめぇで聞けや」
ドストレートにそう言った。宵越からすれば意外だが、どこでもあの暴力癖があるわけではないらしい。
「けどひとつだけ教えてやる」
「え」
「
「……そっか、ありがと」
じゃれ合いも終わり。トップ6は部屋が3人ずつで2部屋待機になるらしい。なし崩し的に凛・宵越・凪、士道・烏・乙夜の組合せで部屋割りが決まる。
「おい、いつまでここにいるんだボンクラ共」
別部屋の奴らはあっという間に去って行った。親切なのか煽っているのか、明らかにわかる態度で凛が宵越・凪に吐き捨てた。
「ちっ、わーってるよ。おい凪、俺たちも行くぞ」
「うぃーっす……ねぇ、アンタ」
凪に呼ばれた。
「なんだよ。っていうか、俺は宵越だ。覚えとけ、チームCコンビ」
「はいはい。で、アンタにも質問」
「なんだ? 玲王に関することは大してねぇが」
「それよりもさ。アンタ、強いじゃん」
「……まあな」
「アンタを壊した奴って、いるの?」
脈絡のない会話。問われて、一番に思いついたのは。
「不倒を初めて倒した奴。それに、憧れの対象」
凪を見る。
「俺を壊したっていうなら、あの二人だろうな」
────
それからしばらくの間、宵越たちトップ6は他の29人から隔離されて生活することになった。
チャンスが1試合の挑戦者たちは、公平性を守るために出場試合より前の試合は観戦できないが、トップ6についてはその限りではない。
食事、トレーニングは同じエリアだし、モニターでの試合観戦も許されている。とはいえシステム上、試合を観戦する相棒は同じコンビだけだが。
ただ一つ言えるのは、トップ6はほぼ全員が殺気だっていて集団生活に向かない奴らだ、ということだった。
1日目は、他29人によるABCどのチームに入るかを投票する期間。
2日目は、各試合に6時間のインターバルを挟んで3試合。A対B、A対C、B対C。
3日目は、同じく6時間インターバルで2試合。A対B、A対Cだ。
試合数は全5試合。Aチームの士道・凛は4試合、他4人は3試合行うことになる。
1試合目、宵越と凪はモニタールームで試合を観戦することになった。
第1試合:
A+潔、氷織、七星
VS.
B+千切、志熊、皿斑
結果は5‐4でチームAの勝利だった。
お互いに知り合いもいたので、それぞれの解説を聞きつつ観戦することになった。
宵越としては、凛や士道、烏や乙夜だけではない面白いメンバーの戦いになった。
そして6時間後、第2試合。選ばれる3名のチームメイトは、くじ引きでランダムに決定される──
第2試合:
A+雪宮、蟻生、西岡
VS.
C+蜂楽、玲王、清羅
宵越と凪が、水色のカラフルビブスを着て入場する。既にチームAの凛・士道が構えていた。
「お、たっつんと白ノッポすか♪」
「うっせぇよ、喧嘩コンビ」
「アンタら、さっきの試合すごかったね。また取り合いすんの?」
「さぁねー、そこのリンリンがウザイからわかんねぇが」
凛は喋りもしない。
先の試合。凛と士道は連携も皆無で、お互いのプレーを邪魔し合って烏たちに点を奪われた展開も多々あった。絵心はああ言ったが、実際二人の相性は最悪らしい。最終的には潔がその間を縫ってゴールを決めていたくらいだ。
だが一見して弱点に他ならないその態度も、二人からすれば大した弱みにはならない。
凪は凛と、宵越は士道と凛と、それぞれ試合経験がある。
油断することはない。
そしてチームA・Cそれぞれのチームメイト6人がやってくる。
蜂楽廻。
「やっほ、凪っち、それにたっつん」
「どいつもこいつもそれで呼ぶなよ……先輩を思い出すじゃねぇか」
御影玲王。
「おい、凪。俺のこと、ちゃんと見てろよ」
「うん、いこっか」
清羅刃。
「今回は味方同士だな、宵越」
「そうだな。トップ1と2……はったおすぞ」
「……あい」
それぞれ、何かしらの形で知っているメンバーだ。それは宵越にとって味方だけではない。
西岡初。それに雪宮剣優。
「今度は敵だね、宵越」
「凛と一緒にはチートだけど……今度は超える。二次選考みたいな無様は晒さない」
「ちっ、来やがったかよ」
それぞれ、不敵に笑う。
そしてもう一人、蟻生十兵衛。
「俺、羽ばたくとき──」
やたらめったら決め顔を連発する長髪のキザ男。だがその身長はこの場の誰よりも圧倒的に高く、また二次選考時のランキング3位であり、凛と共に1stクリアをしてきた事実は変わらない。
つまり、この試合も熱くなるということだ。
不倒の黄金の脚が、早く唸れと肉躍る。
第2試合が、始まる──!!
適性試験 結果等
第1試合:A+潔、氷織、七星 VS B+千切、志熊、皿斑
スコア:5‐4
得点者:士道、烏、乙夜、凛、乙夜、烏、士道、凛、潔
第2試合:A+雪宮、蟻生、西岡 VS C+蜂楽、玲王、清羅
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