青い灼熱の世界へ   作:迷えるウリボー

34 / 52
No.34 トップ6

 

 

 三次選考まで勝ち抜いた35人の内、トップ6が控えることになるVIPルーム。

 残る29人へ、適性試験(3rdノルマ)クリアの鍵を説明し鼓舞した後、絵心は6人にはまた別の喝を入れに来た。

『これまでの戦いで、お前らは間違いなくその存在を示した──青い監獄(ブルーロック)の精鋭だ』

 モニター越し、大した感情の見えない青い監獄(ブルーロック)総指揮。

 絵心は宵越がサッカー界から逃げたことを、ことあるごとに槍玉にあげていた。だが事ここに至って、絵心は無粋なことを言わない。

 世界選抜からの評価、絵心からの評価。周囲の選手へ与えた影響。

 間違いなく、宵越は青い監獄(ブルーロック)の頂にいた。

『A・B・Cそれぞれのコンビは俺が考えうる現時点での実験的超攻撃型2トップだ。1人では生み出せない新しい攻撃をみせろ。相手はお前が世界一になるための道具だと思え』

 そして青い監獄選抜(ブルーロックイレブン)の席は11。35人の場で言ったように、トップ6も他から引きずり落される可能性を警鐘する。

『お前らが創るサッカーが日本サッカーを破壊する刃になると自覚しろ。俺はお前らの挑戦が見たい──』

(挑戦か)

 宵越は考える。この6人──いや自分たち35名は確かに他の265人を押しのけた才能の原石たちだ。

 けれど、相手はU-20日本代表。20歳以下の日本の頂点に立つメンバーだ。絵心がどれだけ貶そうと、強い存在なのは変わりない。

 だからこそ、必要なのは挑戦。凛、士道、宵越──この3人といえども変わりない。いや、この3人こそ挑戦をしなければ日本サッカーは変えられない。

 絵心の演説が消えた後、2人が立ち上がった。

「うかうかしてたら寝首かいたんぞ、上位3人ズ」

 関西弁が際立つNo.4、烏旅人。飛び跳ねた後ろ髪がうるさい。

「ウチらが最強もらうなり」

 軽妙な態度が特徴のNo.5、乙夜影汰。銀髪の中に緑の前髪ワンポイントが揺らめく。

 この2人はここまで宵越たちと絡むことはなかった。いや、宵越は知らないが、実際士道や凛とも絡んでいない。だからこその挑戦状だ。

「受けて立つぜ、No.4・5ども」

「ハッ、相変わらずうっざいわ不倒め」

「忍法、バナナ転がしが必要なり」

 烏・乙夜と絡んでいたのは別の一人。

「やっぱりアンタらはすごかったよ。またバチバチやろーぜ、非凡・忍者コンビ」

 No.6 凪誠士郎だ。

「ちゅっす」

「やっぱウザいわ、凪誠士郎」

「どーも」

 凪は宵越に目を向けた。2人は二次選考の初めに、少しだけ会話をしたが。

「ん?」

「んで、あとはアンタに質問いいかな、初めましてのNo.3さん」

「いや初めましてじゃねーよ! お前俺のこと忘れたのかよ!?」

「え? そうだっけ?」

 宵越はため息を吐いた。考えてみれば、コイツも玲王と同じサッカー歴半年で、しかも不倒の名前を知らないような奴だった。

「ったく……で、なんだよ」

「玲王と同じチームで勝ち上がってきたみたいだけど、玲王は元気だった? 強くなった? 上手くなった?」

 なんだか知らないがまくし立てられた。

(……自分から突き放したわりに、結構気にすんじゃねぇか)

 なんだか凪がチームを組んだ後の玲王の様子を教えてやりたくなったが、それよりも。

「……そもそも、俺は4thであいつを奪ったんだ。それ以前のことは、あそこのクソ悪魔に聞けよ」

「えーっと、そうなの?」

「ああ」

 士道もこちらの会話に気づいたらしい。

「なにかな、たっつん♪」

「そこの白ノッポが質問だとよ。っていうか、たっつん呼ぶんじゃねぇクソ悪魔」

 凪は士道にも同じことを聞いた。結果、

「知るかよ。てめぇで聞けや」

 ドストレートにそう言った。宵越からすれば意外だが、どこでもあの暴力癖があるわけではないらしい。

「けどひとつだけ教えてやる」

「え」

玲王(あいつ)の全てが今、()()()変わり始めてるぜ?」

「……そっか、ありがと」

 じゃれ合いも終わり。トップ6は部屋が3人ずつで2部屋待機になるらしい。なし崩し的に凛・宵越・凪、士道・烏・乙夜の組合せで部屋割りが決まる。

「おい、いつまでここにいるんだボンクラ共」

 別部屋の奴らはあっという間に去って行った。親切なのか煽っているのか、明らかにわかる態度で凛が宵越・凪に吐き捨てた。

「ちっ、わーってるよ。おい凪、俺たちも行くぞ」

「うぃーっす……ねぇ、アンタ」

 凪に呼ばれた。

「なんだよ。っていうか、俺は宵越だ。覚えとけ、チームCコンビ」

「はいはい。で、アンタにも質問」

「なんだ? 玲王に関することは大してねぇが」

「それよりもさ。アンタ、強いじゃん」

「……まあな」

「アンタを壊した奴って、いるの?」

 脈絡のない会話。問われて、一番に思いついたのは。

「不倒を初めて倒した奴。それに、憧れの対象」

 凪を見る。

「俺を壊したっていうなら、あの二人だろうな」

 

 

────

 

 

 それからしばらくの間、宵越たちトップ6は他の29人から隔離されて生活することになった。

 チャンスが1試合の挑戦者たちは、公平性を守るために出場試合より前の試合は観戦できないが、トップ6についてはその限りではない。

 食事、トレーニングは同じエリアだし、モニターでの試合観戦も許されている。とはいえシステム上、試合を観戦する相棒は同じコンビだけだが。

 ただ一つ言えるのは、トップ6はほぼ全員が殺気だっていて集団生活に向かない奴らだ、ということだった。

 1日目は、他29人によるABCどのチームに入るかを投票する期間。

 2日目は、各試合に6時間のインターバルを挟んで3試合。A対B、A対C、B対C。

 3日目は、同じく6時間インターバルで2試合。A対B、A対Cだ。

 試合数は全5試合。Aチームの士道・凛は4試合、他4人は3試合行うことになる。

 1試合目、宵越と凪はモニタールームで試合を観戦することになった。

 

 第1試合:

 A+潔、氷織、七星

 VS.

 B+千切、志熊、皿斑

 

 結果は5‐4でチームAの勝利だった。

 お互いに知り合いもいたので、それぞれの解説を聞きつつ観戦することになった。

 宵越としては、凛や士道、烏や乙夜だけではない面白いメンバーの戦いになった。

 そして6時間後、第2試合。選ばれる3名のチームメイトは、くじ引きでランダムに決定される──

 

 第2試合:

 A+雪宮、蟻生、西岡

 VS.

 C+蜂楽、玲王、清羅

 

 宵越と凪が、水色のカラフルビブスを着て入場する。既にチームAの凛・士道が構えていた。

「お、たっつんと白ノッポすか♪」

「うっせぇよ、喧嘩コンビ」

「アンタら、さっきの試合すごかったね。また取り合いすんの?」

「さぁねー、そこのリンリンがウザイからわかんねぇが」

 凛は喋りもしない。

 先の試合。凛と士道は連携も皆無で、お互いのプレーを邪魔し合って烏たちに点を奪われた展開も多々あった。絵心はああ言ったが、実際二人の相性は最悪らしい。最終的には潔がその間を縫ってゴールを決めていたくらいだ。

 だが一見して弱点に他ならないその態度も、二人からすれば大した弱みにはならない。

 凪は凛と、宵越は士道と凛と、それぞれ試合経験がある。

 油断することはない。

 そしてチームA・Cそれぞれのチームメイト6人がやってくる。

 蜂楽廻。

「やっほ、凪っち、それにたっつん」

「どいつもこいつもそれで呼ぶなよ……先輩を思い出すじゃねぇか」

 御影玲王。

「おい、凪。俺のこと、ちゃんと見てろよ」

「うん、いこっか」

 清羅刃。

「今回は味方同士だな、宵越」

「そうだな。トップ1と2……はったおすぞ」

「……あい」

 それぞれ、何かしらの形で知っているメンバーだ。それは宵越にとって味方だけではない。

 西岡初。それに雪宮剣優。

「今度は敵だね、宵越」

「凛と一緒にはチートだけど……今度は超える。二次選考みたいな無様は晒さない」

「ちっ、来やがったかよ」

 それぞれ、不敵に笑う。

 そしてもう一人、蟻生十兵衛。

、羽ばたくとき──」

 やたらめったら決め顔を連発する長髪のキザ男。だがその身長はこの場の誰よりも圧倒的に高く、また二次選考時のランキング3位であり、凛と共に1stクリアをしてきた事実は変わらない。

 つまり、この試合も熱くなるということだ。

 不倒の黄金の脚が、早く唸れと肉躍る。

 第2試合が、始まる──!!

 

 





適性試験 結果等

第1試合:A+潔、氷織、七星 VS B+千切、志熊、皿斑
スコア:5‐4
得点者:士道、烏、乙夜、凛、乙夜、烏、士道、凛、潔


第2試合:A+雪宮、蟻生、西岡 VS C+蜂楽、玲王、清羅

Q15 U-20 VS BL11について、貴方の読みたい展開は?

  • 宵越にBL11傑として戦ってほしい!
  • 宵越と士道でU-20代表で戦ってほしい!
  • 士道はBL側で宵越のみU-20代表入り!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。