適性試験第2試合、チームA対チームC。
スコア、3‐3。点数は互角。状況はチームCが盛り返した分だけ勢いが乗っている──とはならない。ここは
そんな状況を宵越は喜んでいる。初対面・初試合の選手もいるが、点を取った凛、士道、雪宮、凪、玲王。まるでこれまでの戦いの総決算のようだ。
そんな中──
「いいね、トップ2も3も。みんな、それぞれが怪物だ」
宵越にとって、蜂楽は自分を知らない面白い奴。それだけではない。蜂楽は二次選考を凛と共に勝ち上がってきたのだ。弱いわけがない。
「じゃあ、新生蜂楽廻が──みんなまとめて食べちゃうよ!」
プレーが再開する。凛キック、西岡と蟻生によるトライアングルは継続。先の1プレーは宵越がそれを食い散らかしたが、それでも強力な
それを再度崩すのは宵越、いや蜂楽。
いや──士道。
「どっかぁん!!」
凛のパスを士道が奪った。凛の死角からだ。
「このクソ悪魔っ」
憎々し気に吐き捨てたのは他でもない凛だ。二人は前の試合でも争い合っているし、凛は馬狼をはじめとした選手がチームでボールを奪い合う
とはいえ3‐3までの6点、この
「さーて、行っちゃうぜぇ!」
ドリブル。10人の中では上位、だが宵越や雪宮には劣るボール運び。まだボールはセンターラインを割ったところだった。
孤軍奮闘は続かない。士道の死角から蜂楽がボールを奪い取った。速度こそないが、殺気を殺した一点刺突の
「ボール奪取の巻き!」
「およ?」
「
「むしろ遺伝子を広げることを望むんだぜ♪」
「お前ら何の会話してんだっ!」
突き進む蜂楽に、宵越が後方から追いつきながら叫んだ。
蜂楽がボールを自陣へ運ぶ。曲芸のようで読みどころがない。
トリックスター。それが蜂楽廻。
「返してもらうぞオカッパ」
「返さないよ凛ちゃん」
蜂楽VS.凛。一瞬の膠着。蜂楽は宵越を見ず、けれど不倒に向けて指人差し指を示す。
蜂楽が自分との連携を求めている。宵越は瞬時に凛を抜くための位置取りをする。
「チッ」
蜂楽が凛を抜き、宵越へボールを渡した。しかしそのパスに主従の意志はない。あくまで蜂楽が自分で決めるための布石。そのために宵越を利用するという意志を感じる。
「どいつもこいつも、極Sなことでっ!」
立ちふさがる西岡を宵越は二連
「さすがにきついかっ……!」
ボールを玲王へ。玲王は蜂楽へ。即席のトライアングルだ。
自然、雪宮・凛・西岡もトライアングルで対抗してくる。そうあれば凛と宵越が三度対峙するのも必然だ。そして一次選考の時のように、宵越が凛を止めることで開ける景色があるのだ。
「アイアムエゴイストなりぃ♪」
蜂楽の眼に熱が──いや、
「蜂楽。そのドリブル、俺が止める」
立ちはだかる蟻生十兵衛。二人は二次選考、その後半にチームで戦っていた。
「いい守備だよオシャさん。でも──」
蜂楽はボールに足を乗せた。ルーレット。その上で体ごと蟻生にぶつかりに行く。如何に蟻生の四肢が長いといっても、背面からぶつかられてはボールを奪えない。
「その選択はノットオシャ。凛も士道も来るぞ」
「うんにゃ、もう俺の勝ちだよ」
蜂楽は保持したボールを、両脚で挟んだ。さらに回転、蟻生と正対する。
そこからの
さらに、意識がボールへそれた蟻生の足元を這うように、蜂楽が蟻生の背後を取る。完全なフリーだ。
もう、蜂楽の独壇場だった。遮る者は何もなく、蜂楽は曲芸のようにシュートを決める。
スコア、4‐3。
それを見届けた宵越も笑うしかない。
「どこまで強心臓してんだよ、お前」
「俺はね、怪物なんだよ」
「あん? エゴイストじゃなくてか」
「それもいいけど、怪物が好きだ」
蜂楽は宵越に中指を突き立ててくる。
「トップ6だろうが、それ以外だろうが。エゴ散らかして、食い散らかすからね」
「はっ、やってみろよ」
宵越が笑う。
本当に、どいつもこいつもイカれた奴らばかりだ。
ここには本当に、日本サッカーを変えてしまうような劇薬ばかりが揃っている。
宵越もたまたま一次選考・二次選考で
新たなエゴイストが、新たな怪物たちがいるのだ。
プレーは白熱を極める。どんな試合であっても負けることを許さない宵越と凛がいる。敵味方問わず、強者であればあるほど狂喜乱舞する士道がいる。これまでの戦いを経て、「負けたくない」という熱を生み出してきた凪がいる。
この4人がいて、適性試験が消化試合になるわけがないのだ。
仕合も終盤に近づいている。誰もが熱を滾らせる中、プレーが再開される。
宵越を筆頭に、5人全員が協力してゴールを狙うチームC。凛に蟻生と西岡が付き、さらには伏兵として士道と雪宮が一撃を狙うチームA。
宵越や蜂楽にしてやられた凛は、負けじとその二人と相対する。西岡と蟻生の限界を引き出しつつ、そこから攻め気がちな性格の雪宮の動きすら計算に入れて、最終的に自分がボールキーパーとなった。自陣でボールを持てばもうブルーロックマンなど相手ではない。美しいまでの
そして、ラストプレー。
宵越が蹴ったボールが玲王へ回った。玲王はロングパスを選択し、ボールは前線左翼の凪へ行く。
「そのパスはもうバレバレだっ!」
西岡がインターセプト。すぐさま清羅と蜂楽が青森のメッシを囲む。小刻みな動きで翻弄しようと試みるが、ダブルプレスによってボールはあらぬ方向へ向かった。宵越がすぐさまボールキープしたが、後ろに控えていた凛がカットした。今度こそ、ボールは左翼前線にいた凪に回ってきた。
激戦を前に、味方は誰しも余裕がない。凪はドリブルを選択する。立ちふさがった蟻生が純粋に技術でボールを奪い、雪宮へボールを繋げた。
左翼敵陣から雪宮が戦場を切り裂く。サングラスの奥の眼光は鋭い。玲王を抜き去り、清羅を置き去りに。
そして3人目。
「伏兵登場グラサン退場ぉ!」
「このっ、バカ野郎がっ!」
士道が雪宮からボールを奪った。敵からはむしろ隙だらけの保持者変更。前線だがまだP・Aには程遠い。
「味方同士で馬鹿やってんじゃねぇよ!」
宵越が士道に立ちふさがった。肩からぶつかる両者。一瞬の間が生まれる。士道も味方から奪ったのが悪かった。連携のない不十分な体勢は宵越一人でも妨害できた。
「ちっ、ひでぇじゃんたっつん……!」
ルーズボールを玲王が奪う。玲王はボールを凪ではなく士道の裏を取った宵越へ。
0から1へ、黄金の両脚が加速する。自陣中央から正面突破のドリブル。凛は食らいつく。
カット、自陣右翼から即座に中央右翼へ。読んでいた凛は果敢に宵越のボールを奪いにかかる。
ボールは弾かれ、宵越たちにとっての自陣中央へ。
群がる、10人のストライカーたち。
清羅がボールへ触れる。即座に
ボールはまだ自陣右翼。西岡がボールを持った。角度があり自分ではシュートできない。凛を探す。
凛に食らいつく宵越。西岡にプレスする蜂楽。
凛ではなく、中央で待つ雪宮へのセンタリング。それを辛うじて蜂楽のつま先が掠めた。
ブレる軌道。全力と全力がぶつかって生まれる運の激震地。
その
自陣左翼、凪と士道のマッチアップした場所に落ち──
「俺の……球だぁぁ!!」
士道が凪に競り勝った。
信念や勝利ではなく、まるで生命が持つ最も強い欲求。それに従い、士道は凪を打ち倒した。
結果、士道はP・Aでのボール奪取を果たし、そのボールは士道の脚によって命を吹き込まれ、ゴールネットを食らいつくす。
『
『チームAの勝利』
悦ぶのは士道のみ。
凛は沈黙し、雪宮は悔し気だ。蟻生にしても西岡にしても、満足はしていない。
チームCも顕著で、宵越は顔をゆがめる。面白そうにしているのは蜂楽くらいだ。
二次選考で宵越に対して負けたからだろう、士道が楽しそうに突っかかり、それを宵越が割と本気で殺意を現わしていた。
その姿を見つつ、けれど玲王は全力を尽くしてへたり込んでしまった。
また勝てなかった。けれど、自分の意志で、自分の力でゴールを奪い取ってみせた。偶然じゃなく、その理屈を説明できる──再現性のある形で。
──オレの進むべき、進化の道は確かに見えた──
「負けちゃったね、玲王」
振り返る。凪がいた。
「でもナイスゴールだった」
凪誠士郎。共に進むパートナーだった。けれど玲王を突き放し、トップ6にまで成り上がった天才。
玲王の宝物。
「
「……」
それは、今玲王が求める答えではない。
「でもまだ足りねぇんだろ? お前の求めるサッカーには」
「……うん」
「ハッ、だったら構うな。見下して待ってろ」
玲王は笑って見せた。
「わかった」
凪はそれだけ言って離れていった。
御影玲王。宵越竜哉に熱を当てられた人間。
だから覚醒したわけではない。玲王には元々の
それでも、七色の熱は鮮やかに燻っていく。
簡単には手に入らない、唯一無二のものを手に入れるために。
・結果:トライアウト第2試合
:A+雪宮、蟻生、西岡 VS C+蜂楽、玲王、清羅
スコア:チームA(5)‐(4)チームC
勝者 :チームA
得点者:凛、凪、雪宮、士道、玲王、宵越、蜂楽、凛、士道
なんか玲王が第2の主人公感醸し出し始めてる……
Q15 U-20 VS BL11について、貴方の読みたい展開は?
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