・現在の状況:BL11傑 VS. U-20日本代表
スコア :1-0
得点者 :凪
試合進行:前半12分経過、U-20代表冴、ボールキープ。
残交代枠:BL11傑(3)、U-20日本代表(3)
スコア、1‐0。中央で宵越・潔・凪を抜いた糸師冴が駆け抜ける。
だが、この状況を予想していない
(させるかよ……!)
作戦に忠実な千切は、見事その役目を全うした。実際、千切のスピードはそれだけで強力な武器だ。先の攻めの一手になったのはもちろん、守備でも人数を
(俺のスピードで、抜かせない──)
けれど、やはり相手は天才。
千切が完璧に詰め切る前に、冴はこれまでしなかったパスを選択した。50mを超える低弾道中速
それを
「素、晴らしい」
当然、それを見逃す
「待った。俺が相手だ、マネ
U-20代表のスタイルは堅守速攻。
「嫌。キツネ」
ボールはやや中央、
「サクサク前へ、これがカウンターの基本っ」
「そんなことはわかっとるわちんちくりん」
狐里 VS.
一瞬の判断。烏はU-20代表のMF陣、さらにWG陣の動きが映像とまるで違うことを感じていた。
最終合宿の最中。
烏は感じていた。明らかに、糸師冴の存在によって強化されているし──最初の宵越の速攻が、U-20代表の警戒感を最大限引き上げた。
(得点はいいけど、余計なことしおったなぁ《不倒》!)
狐里は烏を避け、斜め後ろへのパスを選択。ゴール前ミドルレンジ、そこにいたのは糸師冴。糸師冴から始まり、糸師冴で終わる攻撃の形だ。
だが、烏旅人も宵越の速攻によって水準を引き上げられた。冴に渡る攻撃のパターンを感じていた。狐里のパスを防げずとも読み切り、烏は最大限の加速をもって前進、パスに数瞬遅れて冴に立ちはだかった。
もう1人のDMF、氷織と共に。
「止めるぞドS」
「カアカアうるさいわ」
氷織・烏 VS. 冴、マッチアップ。
ボールキープ力、視野の広さを持つ二人で冴のドリブルを止める。
動く。両者の間を抜きにかかる。そこに烏が立ちふさがる。
「抜かせるかいな……!」
ハンドワークを駆使して冴を押し込める。止まった冴の挙動、それでもボールは生きていたが、氷織が足元を狙う。
否、氷織のスライディングは無意味だった。冴はむしろ烏の寄せを軸にして体を支える。
そして、烏と氷織の間を縫う絶妙なループパス。
(弟みたいなマネを──!)
(高等テクあっさり使うやんか──!)
ボールが向かう先は、前線P・Aのわずか1m外側、右翼から飛び出した
「しゃおらっ!」
閃堂の抜け出しよりも、選手や観客は何よりも冴の能力に度肝を抜かれていた。2対1で挟まれても、パス・ドリブルどちらも
それまで、日本サッカーに大した興味を持たなかった天才が、自らゲームに入り込んでいる。
フリーの閃堂。それでも、
「後ろ頼みます、野生児さん」
「わかった、二子」
たったそれだけの会話。それでも
二子は閃堂に向かって駆けた。それはシュートコースを限定する動き。曲がりなりにも、閃堂はU-20代表の中でCFのポジションを与えられた選手。だが──
(
技術はあるだろう、それでもゴールへの殺気が全く異なる。二子のセンサーにかかる光の数が少ない。
(だったら──)
二子は閃堂の左側を護った。閃堂の動きを右翼側へ誘導する。
そして残りをGKへ託す──のではない。
「頼みます……千切くん」
「なっ」
シュートモーションに入っていた閃堂は、後ろからの刺客に息を呑んだ。
閃堂の視界と気力、そして千切の速度を計算に入れた、二子の守備能力の進化。
「ナイスだ二子──」
千切が圧し、二子が刈り取るスライディングによってボールは天高く舞う。
「くそっ……!」
クリアボールに反応したのは糸師冴。P・A内側、左翼付近。
「俺と勝負だ、オ
「守備合流、ディフェンス
立ちはだかる蟻生と蜂楽。さらに、後ろに我牙丸が構える。
冴の選択はシュートだった。1トラップ、しかしそれが0トラップとも見まがうような俊敏性をもって振りぬかれる。四肢の長い蟻生を躱すような
球質故にやや遅い速度であったことが功を奏した。カーブシュートに、我牙丸は超反応で跳びついた。
「ナイス、我牙丸!」
叫ぶ千切。まだ油断はできない。
「まだインプレー!」
吠える我牙丸。ボールは右翼の際へ。
「行、くぞ」
「許すかよ!」
千切が詰める。瞬時、超は呻きと共にフリーエリアにいる冴へ返した。
「防ぎます!」
冴 VS. 二子。だが、止められない。
(センサーにかからない──)
気づいた時には後ろにいた。冴は、世界選抜程とは言わずとも、二子をして無限のプレーが視える存在だった。
もう、残る壁は我牙丸のみ。
冴は漫然と告げる。敵にではない。味方であるはずのU-20代表に向けて。
「こんなもんかよ。ヘボストライカー共」
蹴撃。
スコア、1‐1。
またも、観客が怒号を震わせる。
これだ。自分たちはこの瞬間を待っていたのだ。
俺たちの希望の星、糸師冴。
私たちと同じ日本人で、新世代
僕たちのヒーロー。
──
それ以外の言葉は何も聴こえない。
最初、
その名の通り、
実況に熱が入る。
『衝撃の
『アハハ! やっぱ天才だよ糸師冴! 守備をものともしない怒涛の2連続シュート……天才のデビューだ……!』
────
「冴くん! ナイスシュート!」
「見、事なゴールだった。天才」
「触んな、ヘボ共」
冴は、合宿への合流直後と同じく杜撰な態度だった。
「2回。俺がシュートを狙えたチャンスの数だ」
烏・氷織を抜いた直後。シュートを決めた二子を躱した直後。2回。
実際、蜂楽・蟻生とも対峙した3回目もあった。それは冴が確かにシュートをしたが、防がれたプレーでもあった。
「それを殺して、お前らへのパス供給に時間を割いてやった」
能動的に動いた冴ではあるが、同時にU-20代表を試すことも忘れていない。だからこその失望。
「サルでも決められる決定機を、お前らゴミ共が外しやがった。だから俺が決めた。それだけだ」
「くっ……」
「……」
口を歪めたのは二人。二子・千切に防がれた閃堂、そしてキープボールを冴に逃すしかなかった超。
悪口が過ぎる。愛空が諫めた。
「まーまー、ありゃあっちの
「ヘボ共は
それは先の1点目について。もちろん2点目はDF陣もプレーには絡んでいないが、それでも冴は言わずにはいられない。
「DFは止められない。FWは決められない。挙句俺がお情けで同点にしてやった。どういう了見だ?」
愛空も少しぶっきらぼうに堪える。
「厳しいね、天才ちゃん」
「当たり前だ。自分の役目を果たせないで、何が選手だ。何が日本代表だ」
冴には矜持がある。ストライカーに求める価値もある。
MFの自分より得点能力の低い人間を、冴はストライカーとは絶対に認めない。
「……だったら、天才ちゃんも役目を果たしてくれんの?」
「言っただろうが。眼をひん剥いてよく見ろって」
試し、試される関係性。その根源は変わっていない。
自分より強いストライカーが、果たして日本にいるのか。冴にとって、この試合の目的はこれだけだ。
「次はないぞ、サル以下野郎共」
「くっ、てめ──」
「まーまー、まだ始まったばっかだ、閃堂」
愛空は閃堂に肩を回した。
「
「……ああ愛空。U-20代表は俺のチームだ」
超も、狐里も、気合が入ることには変わりない。
一方、1点目を獲られた
緊張はない。最初の攻防で、
だがそれでも、冴の攻撃は異次元。一度も
こんな敵を相手に、どうすればいいのか。
決まっている。
「……お前ら、次行くぞ」
宵越が、全く堪えることなく仲間たちに発破をかけた。反応したのは、二子、氷織、凪。
「そやね。世界選抜に比べれば、楽勝や」
「二度目はありませんよ」
「だね。まだ一点取られただけだよ」
宵越竜哉に熱を当てられたエゴイスト共。
それでも、全員が宵越とフィールドを共にしたことがあるわけではない。
その一人である潔は、宵越の言葉を頼もしく感じて、それでもまだ昂りを抑えられない。
潔がこれまで見てきたエゴイストは、他にいるからだ。
「飲まれんな、潔。お前は俺だけを見てろ」
「90分後……俺がこの歓声を悲鳴に変えてやる」
宵越竜哉。糸師凛。
宵越が、フィールド全体に火をつけた。そうしてU-20代表は燻り始め──糸師冴が呼応して燃え盛る。
そして、灼熱の世界はその趨勢を広げ、敵味方を関係なく巻き込んでいく。
並び立つ凛、潔。後ろから、宵越が二人の背中を叩いた。
「面白れぇ。やってみろよ、天才の弟」
・現在の状況:BL11傑 VS. U-20日本代表
スコア :1-1
得点者 :凪、冴
試合進行:前半17分経過
残交代枠:BL11傑(3)、U-20日本代表(3)
Q18 新英雄大戦《ネオエゴイストリーグ》、宵越はどこがいいと思う?(参考程度に)
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勝利という合理性を求めるドイツへ
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テクニックと創造性を求めるスペインへ
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スピードと肉体を更に鍛えるイングランドへ
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戦術的に1-0の勝利を求めるイタリアへ
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欧州における一大市場となったフランスへ
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原作のネタバレはやめろぉ!!