・現在の状況:BL11傑 VS. U-20日本代表
スコア :1-1
得点者 :凪、冴
試合進行:前半17分経過
残交代枠:BL11傑(3)、U-20日本代表(3)
スコア、1‐1。プレーが再開した。
『さあ、
凛がボールを受け取る。最初のプレーで発揮したトライアングルという攻め手は変わりない。
ただ、中盤に立つ
「へぇ、さっきとは違う陣形なんだな」
若月が口に出す。
4‐4‐2、中盤をダイアモンドの形にした陣形。凛・宵越が銃口として機能するだけではない。両翼からの攻撃も重視させた第2陣形だ。もちろん、必要に応じて烏が下がり
そして
「けど、いくら中盤でパス交換しても無駄なんだな」
攻撃に対する守備の経験はある。若月も、颯も簡単には恐れない。
「そうだね。パスの出所がないんだろう」
颯が言う。事実、宵越たちは初撃とは異なり即座に突破口を開けなかった。
DF陣4人は強固な壁を築き、そして若月と颯が加わる。冴は前線とのスイッチとして烏と相対している。
ストライカーだろうがなんだろうが、ボールを奪わなければ始まらない。だからこその超絶守備に他ならない。ならば、その敵陣の密集地をマイボールで保ち続ける宵越・凛・潔の連携が激しいことの証明でもある。
(固い……)
潔は奥歯を噛みしめた。突破口が見つからない。
それでも、意志が聞こえる。
凛からのボール。「俺を見ろ」と。
宵越からのボール。「もっと暴れろ」と。
(いや、違う)
宵越のおかげでも、凛の力でもない。今「行け」と思考しているのは、他ならない潔自身だ。
だから、潔は自分の思うままに動く。
(凛のイメージの中で、暴れろ!)
宵越がトライアングルから分離、凛を中心に潔が動き回る。それまでとは全く異なるパス交換。
それにより凛の選択肢が跳ね上がる。守備たちを惑わせる。
それだけではない。宵越は1人前線へ飛び込んだ。
「よう、不倒ちゃん」
「どーも、主将」
宵越VS. 愛空。マッチアップ。
「引退したんじゃねーの? 雑誌社が寂しがってたぜ」
「知らん。俺は最善を尽くす、そのためにここにいるだけだ」
「最善、ねぇ……」
宵越が右翼へ駆ける。愛空はついていく。アジリティを駆使して反対へ切り返す。
「甘いぜ、不倒ちゃん」
「やるじゃねぇか主将──!」
宵越の能力は超一流だ。例えU-20代表であろうと能力は健在、優位性を保てている。それでも愛空が抜かされないのは……互いの能力を理解し把握し、宵越が抜くことで生まれる致命的な領域のみをカバーする
2人の攻防は続く。対して、オン・ザ・ボールを担う潔と凛。
「行くで、チームAの連動」
凛・潔はDMFを抜き去り、
そして、潔が舵を取るトライアングルが暴れ出す。
3人の意志はこの時、同調していた。
──
1人離れていた宵越だけでない。元から自分のゴールを求めて止まない凛、そして従順に付いてきた潔までもが離れた。
離れてゴールを狙う個別性、しかし必要があれば連携もできる宵越と潔がいる故の連動。三位一体となる、異物感極まる攻撃だ。
氷織からパスがなされる。だが。
「させるかよ、不倒」
宵越の死角から、冴がぶつかってくる。
「よし、ナイスだ天才ちゃん」
愛空のサムズアップは宵越の意識に昇らなかった。
(糸師冴……! 守備でも出張ってくんのかよ!?)
宵越のスピードが減じた。それだけではない。
「おっと、番犬が通さねぇよ!」
「クソが……」
仁王が潔を捉え、破壊しにかかる。
「弟ちゃんも通さねぇよ?」
「チッ」
愛空が凛の
前線へ駆けた3人を殺す守備に加えて、
ボールは凛へと向かう。だが、愛空が跳びあがって2度目のヘディングクリアをなした。凛との
ルーズボール。それを拾ったのは左翼の
DMF、あるいはCBとして前線を俯瞰していた烏は理解していた。
「兄弟だからか知らんが……同じやんけ、
烏も凛の二次選考での戦いは映像で知っている。凛が敵味方を問わず他者の力を理解し、その上で全力を引き出すようコントロールした戦いを。
今の冴の動きはまさにそれだ。今の戦況、DFのカルテットの動きは悪くない。
今、冴の狙った通りにU-20代表のカウンター
そして、冴は汗もかかず、平然とアップダウンを繰り返す。DMFに合流しようと動いている。
「アカンで……堅守速攻どころやない」
不落、そして猛襲。
烏の脳裏にその二文字が浮かんだ。堅守速攻が、次元を突破して進化している。
「抜かせるかよ……!」
不倒、宵越竜哉。冴に追いつく。颯からのボールを受け取った冴と宵越のぶつかり合い。
冴は即座にパスを選択した。そうすることで宵越に追随する隙を与えなかった。
右翼で超が受け取る。千切が対峙、だが超は千切の重心を逆手にとって抜き去った。
ボールは左翼、狐里へ。今度はフェイクではない真正のシュート。二子がシュートブロック。それはGKの我牙丸の助けになった。タックルによりシュートコースが限定され、経験の少ない我牙丸でもパンチングで防ぐ。
「まだ、
弾かれたボールは閃堂が拾った。対峙する蟻生。
「俺、が相手だ、エース」
「知らねぇよ──!」
蟻生 VS. 閃堂──
「蟻生! 冴来てるぞ!!」
「むっ……」
宵越の声に、蟻生の視界が開けた。死角から縫うように、宵越を振り切った冴が閃堂に迫っていた。
いったいどれだけフィールドを縦横無尽に駆け回れるのか。実況席では、照朝と夏木が舌を巻いていた。宵越や千切に負けない、それだけのコートカバーリングだった。
蟻生 VS. 閃堂──&冴。
(さすがのオシャでも守れないッ)
蟻生の思考は正しい。この状況で何をすべきか。我が強く自信があり、自分をオシャと称して曇りないエゴ。故に蟻生は慣れないDFながらその判断にたどり着いた。
この状況で危険なのは、ボールを持つ閃堂よりも糸師冴ただ1人。
蟻生は冴にぶつかる。閃堂がフリーになる。
目の前には長身の蟻生。GKは、狐里のシュートを弾いて見せた我牙丸。自信は薄い。だが、それでも。
「俺がエースだ……!」
振り切る。一閃。我牙丸の飛び込みは届かない。
残響音。ゴールポストに嫌われた。
「クッソが……!」
舞い上がるボール。左翼で
「にゃっはい、また俺の時間だ♪」
「抜かせないんだな……!」
VS.
カウンター返しだ。
ボールは右翼へ。千切が受け取る。ここもまた伍号棟時代の連携が光る。
「行くぞ、何度でも──!」
「だからさせないって……!」
颯がプレス。最初に蜂楽に抜かされ、宵越の縦パスからの千切のスピードにも翻弄された。颯はいち早く
その瞬間には、既にU-20代表のDF四枚は
「出せや! 赤いの!」
呼ばれ、千切は中央の烏へ。烏は即座に凪へ。
「させないよ、曲芸師クン」
(こいつ……速攻型のDFかっ)
凪が音留に苦心する刹那。宵越は攻めあぐねていた。
「さすが本場のDF、簡単には抜けねぇか」
「やるの不倒、匂いがせん……」
宵越竜哉 VS. 蛇来弥勒。
蛇来の守備としての強さは、ストライカーの裏抜けを封じる先読みにあった。フィールドで敵が正面突破のドリブルを仕掛ける輝かしい空間ではない、その裏で飛び出す敵を、そもそも表舞台へと立たせない。
とはいえ、宵越も一流。蛇来は裏抜けを潰すのではなく、宵越が抜いた結果パスをもらえる場所を潰すことに専念する。他と同じく、伊達に本職のディフェンダーではないということだ。宵越が大きく動ける影が戦場に生まれなければ──言い換えればフィールドが混戦とならなければ、蛇来を抜くための隙は生じない。
片や、中央の
「不倒、弟ちゃんと来て、次はコソ泥ちゃんか。飽きさせないね」
「コソ泥だ……!?」
「ああ、コソ泥だ。知ってるか
ゴールという標的を奪う盗人。それを捕まえる警察。DFならではの価値観だった。
「俺の目の届くところじゃ、ゴールは盗ませねぇよコソ泥ちゃん」
潔は苦し紛れに笑った。
「宵越も泥棒か」
初撃の凪のシュート。宵越たちに救われたが、自分は紛れもなく目の前の主将に止められた。そして今もだ。裏抜けを武器とする自分でさえ、すり抜ける方法が見つからない
凛は、
「やってみろよお巡りさん。盗み出すのも、時間の問題だぜ……!」
U‐20日本代表CB オリヴァ・愛空
VS.
挑戦者たちは、至る所で火花を散らす。
宵越の活躍によりU‐20代表が。冴のプレーによって
ここはもう、誰も彼もが挑戦者だ。
・現在の状況:BL11傑 VS. U-20日本代表
スコア :1-1
得点者 :凪、冴
試合進行:前半22分経過、カウンターの応酬後、現在はLMF凪ボールVS.音留。
残交代枠:BL11傑(3)、U-20日本代表(3)
Q18 新英雄大戦《ネオエゴイストリーグ》、宵越はどこがいいと思う?(参考程度に)
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勝利という合理性を求めるドイツへ
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テクニックと創造性を求めるスペインへ
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スピードと肉体を更に鍛えるイングランドへ
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戦術的に1-0の勝利を求めるイタリアへ
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欧州における一大市場となったフランスへ
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原作のネタバレはやめろぉ!!