青い灼熱の世界へ   作:迷えるウリボー

48 / 52


・現在の状況:BL11傑 VS. U-20日本代表
スコア :1-1
得点者 :凪、冴
試合進行:前半17分経過
残交代枠:BL11傑(3)、U-20日本代表(3)





No.48 不落猛襲

 

 

 スコア、1‐1。プレーが再開した。

『さあ、青い監獄(ブルーロック)11傑の反撃開始となるのか……潔世一選手のキックからリスタートです!』

 凛がボールを受け取る。最初のプレーで発揮したトライアングルという攻め手は変わりない。

 ただ、中盤に立つ(OMF)若月(DMF)(DMF)は敵の変化を感じた。

「へぇ、さっきとは違う陣形なんだな」

 若月が口に出す。

 青い監獄(ブルーロック)11傑は全員がストライカー。誰が前線に出たとしても攻撃として機能しうる。攻撃手段はただ一人のストライカーに依存するわけではない。

 

【挿絵表示】

 

 4‐4‐2、中盤をダイアモンドの形にした陣形。凛・宵越が銃口として機能するだけではない。両翼からの攻撃も重視させた第2陣形だ。もちろん、必要に応じて烏が下がり3B(スリーバック)体制を作ることも変わりない。

 そして(LCF)宵越(RCF)(OMF)が前線で絶え間なくパス交換を続ける。宵越は若月を躱す。凛は颯をねじ伏せる。潔は狐里の裏を獲る。

「けど、いくら中盤でパス交換しても無駄なんだな」

 攻撃に対する守備の経験はある。若月も、颯も簡単には恐れない。

「そうだね。パスの出所がないんだろう」

 颯が言う。事実、宵越たちは初撃とは異なり即座に突破口を開けなかった。

 DF陣4人は強固な壁を築き、そして若月と颯が加わる。冴は前線とのスイッチとして烏と相対している。氷織(RMF)(LMF)というサイドの要には両WGが警戒している。

 ストライカーだろうがなんだろうが、ボールを奪わなければ始まらない。だからこその超絶守備に他ならない。ならば、その敵陣の密集地をマイボールで保ち続ける宵越・凛・潔の連携が激しいことの証明でもある。

(固い……)

 潔は奥歯を噛みしめた。突破口が見つからない。

 それでも、意志が聞こえる。

 凛からのボール。「俺を見ろ」と。

 宵越からのボール。「もっと暴れろ」と。

(いや、違う)

 宵越のおかげでも、凛の力でもない。今「行け」と思考しているのは、他ならない潔自身だ。

 だから、潔は自分の思うままに動く。適性試験(トライアウト)でチームAに飛び込んだように──

(凛のイメージの中で、暴れろ!)

 宵越がトライアングルから分離、凛を中心に潔が動き回る。それまでとは全く異なるパス交換。

 それにより凛の選択肢が跳ね上がる。守備たちを惑わせる。

 それだけではない。宵越は1人前線へ飛び込んだ。

「よう、不倒ちゃん」

「どーも、主将」

 宵越VS. 愛空。マッチアップ。

「引退したんじゃねーの? 雑誌社が寂しがってたぜ」

「知らん。俺は最善を尽くす、そのためにここにいるだけだ」

「最善、ねぇ……」

 宵越が右翼へ駆ける。愛空はついていく。アジリティを駆使して反対へ切り返す。

「甘いぜ、不倒ちゃん」

「やるじゃねぇか主将──!」

 宵越の能力は超一流だ。例えU-20代表であろうと能力は健在、優位性を保てている。それでも愛空が抜かされないのは……互いの能力を理解し把握し、宵越が抜くことで生まれる致命的な領域のみをカバーする領域守備(ゾーンディフェンス)を徹底しているから。

 2人の攻防は続く。対して、オン・ザ・ボールを担う潔と凛。若月・颯(DMF2人)を引っ張り出し、凛が唐突に背面踵供給(ヒールパス)で後ろへ。ボールを持ったのは、氷織羊。

「行くで、チームAの連動」

 凛・潔はDMFを抜き去り、宵越(右翼)と共にフリーで最前線に到達した。

 そして、潔が舵を取るトライアングルが暴れ出す。

 3人の意志はこの時、同調していた。

 

 ──最前線(ここから)は、俺のエゴに従う!

 

 1人離れていた宵越だけでない。元から自分のゴールを求めて止まない凛、そして従順に付いてきた潔までもが離れた。(左翼)(中央)も離れ、それぞれの位置からゴールを狙う。

 離れてゴールを狙う個別性、しかし必要があれば連携もできる宵越と潔がいる故の連動。三位一体となる、異物感極まる攻撃だ。

 氷織からパスがなされる。だが。

「させるかよ、不倒」

 宵越の死角から、冴がぶつかってくる。

「よし、ナイスだ天才ちゃん」

 愛空のサムズアップは宵越の意識に昇らなかった。

(糸師冴……! 守備でも出張ってくんのかよ!?)

 宵越のスピードが減じた。それだけではない。

「おっと、番犬が通さねぇよ!」

「クソが……」

 仁王が潔を捉え、破壊しにかかる。

「弟ちゃんも通さねぇよ?」

「チッ」

 愛空が凛の蹴弾地点(シュートポイント)を殺す。

 青い監獄(ブルーロック)のトライアングルが消される。

 前線へ駆けた3人を殺す守備に加えて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ボールは凛へと向かう。だが、愛空が跳びあがって2度目のヘディングクリアをなした。凛との空中戦(ドッグファイト)のため、ボールは狙い通りに動かない。

 ルーズボール。それを拾ったのは左翼の音留(RSB)。すぐさま中央に控える(DMF)へのパス。だが、その颯にも、あるいは若月にも、烏が即座につくことはできなかった。それは前線3人が前のめりとなり、あるいは氷織がパスを出したためでもあるが、一番は宵越に向かい前進した()()D()M()F()()2()()()()()()()()から。

 DMF、あるいはCBとして前線を俯瞰していた烏は理解していた。

「兄弟だからか知らんが……同じやんけ、()()()()()()()()()

 烏も凛の二次選考での戦いは映像で知っている。凛が敵味方を問わず他者の力を理解し、その上で全力を引き出すようコントロールした戦いを。

 今の冴の動きはまさにそれだ。今の戦況、DFのカルテットの動きは悪くない。蛇来(LSB)氷織(RMF)に、音留(RSB)(LMF)についていた。それでも宵越・凛・潔が中央3列で突破しにかかった状況なら、CBはガチガチに固める他なかった。OMFである冴が我を出しながら宵越に突貫することで、若月・颯(DMF2人)が追随する。愛空がクリアし、音留がボールを持った瞬間には2人はフリーになっていた。

 今、冴の狙った通りにU-20代表のカウンター機会(チャンス)が生まれた。

 そして、冴は汗もかかず、平然とアップダウンを繰り返す。DMFに合流しようと動いている。

「アカンで……堅守速攻どころやない」

 不落、そして猛襲。

 烏の脳裏にその二文字が浮かんだ。堅守速攻が、次元を突破して進化している。

「抜かせるかよ……!」

 不倒、宵越竜哉。冴に追いつく。颯からのボールを受け取った冴と宵越のぶつかり合い。

 冴は即座にパスを選択した。そうすることで宵越に追随する隙を与えなかった。

 右翼で超が受け取る。千切が対峙、だが超は千切の重心を逆手にとって抜き去った。

 蹴撃動作(シュートモーション)、からの横パス。蟻生が餌にかかる。

 ボールは左翼、狐里へ。今度はフェイクではない真正のシュート。二子がシュートブロック。それはGKの我牙丸の助けになった。タックルによりシュートコースが限定され、経験の少ない我牙丸でもパンチングで防ぐ。

「まだ、こぼれ球(セカンド)!」

 弾かれたボールは閃堂が拾った。対峙する蟻生。

、が相手だ、エース」

「知らねぇよ──!」

 蟻生 VS. 閃堂──

 

「蟻生! 冴来てるぞ!!」

 

「むっ……」

 宵越の声に、蟻生の視界が開けた。死角から縫うように、宵越を振り切った冴が閃堂に迫っていた。

 いったいどれだけフィールドを縦横無尽に駆け回れるのか。実況席では、照朝と夏木が舌を巻いていた。宵越や千切に負けない、それだけのコートカバーリングだった。

 蟻生 VS. 閃堂──&冴。

(さすがのオシャでも守れないッ)

 蟻生の思考は正しい。この状況で何をすべきか。我が強く自信があり、自分をオシャと称して曇りないエゴ。故に蟻生は慣れないDFながらその判断にたどり着いた。

 この状況で危険なのは、ボールを持つ閃堂よりも糸師冴ただ1人。

 蟻生は冴にぶつかる。閃堂がフリーになる。

 蹴撃(シュート)。閃堂は冴の言葉にイラつきを感じていた。今の状況、絶え間ないカウンター。冴によってフィールドが動く速度自体が加速している。それでも、自分がヒーローとなるために何をできるか。

 目の前には長身の蟻生。GKは、狐里のシュートを弾いて見せた我牙丸。自信は薄い。だが、それでも。

「俺がエースだ……!」

 振り切る。一閃。我牙丸の飛び込みは届かない。

 残響音。ゴールポストに嫌われた。

「クッソが……!」

 舞い上がるボール。左翼で蜂楽(LSB)が拾った。

「にゃっはい、また俺の時間だ♪」

「抜かせないんだな……!」

 VS. 若月(DMF)。蜂楽がドリブルで抜き去り、即座にパスを出した。

 カウンター返しだ。

 ボールは右翼へ。千切が受け取る。ここもまた伍号棟時代の連携が光る。

「行くぞ、何度でも──!」

「だからさせないって……!」

 颯がプレス。最初に蜂楽に抜かされ、宵越の縦パスからの千切のスピードにも翻弄された。颯はいち早く青い監獄(ブルーロック)両SBのドリブラーに順応しつつあった。千切が最高速度に乗りきる前に圧を掛ける。

 その瞬間には、既にU-20代表のDF四枚は領域防御(ゾーンディフェンス)を完成させていた。凛・宵越・潔もまたそれぞれが攻撃をすべく前に突っ込むが、わずかに遅れる。

 青い監獄(ブルーロック)は全員ストライカーという性質によって。U-20代表は冴の実力によって。超速攻高火力のカウンターが実現している。しかし、ことディフェンスに関しては圧倒的にU-20代表が勝る。

「出せや! 赤いの!」

 呼ばれ、千切は中央の烏へ。烏は即座に凪へ。

「させないよ、曲芸師クン」

 (LMF) VS. 音留(LSB)。トラップによって音留を翻弄する。それでも、音留は反応してくる。小刻みな動き。例え凪のトラップが予想外でも、そのクイックネスで対応してくる。

(こいつ……速攻型のDFかっ)

 凪が音留に苦心する刹那。宵越は攻めあぐねていた。

「さすが本場のDF、簡単には抜けねぇか」

「やるの不倒、匂いがせん……」

 

 宵越竜哉 VS. 蛇来弥勒。

 

 蛇来の守備としての強さは、ストライカーの裏抜けを封じる先読みにあった。フィールドで敵が正面突破のドリブルを仕掛ける輝かしい空間ではない、その裏で飛び出す敵を、そもそも表舞台へと立たせない。

 とはいえ、宵越も一流。蛇来は裏抜けを潰すのではなく、宵越が抜いた結果パスをもらえる場所を潰すことに専念する。他と同じく、伊達に本職のディフェンダーではないということだ。宵越が大きく動ける影が戦場に生まれなければ──言い換えればフィールドが混戦とならなければ、蛇来を抜くための隙は生じない。

 片や、中央の(OMF)の前には愛空(CB)がいた。

「不倒、弟ちゃんと来て、次はコソ泥ちゃんか。飽きさせないね」

「コソ泥だ……!?」

「ああ、コソ泥だ。知ってるか11番(潔世一)。ストライカーは泥棒、DFは警察にたとえられる」

 ゴールという標的を奪う盗人。それを捕まえる警察。DFならではの価値観だった。

「俺の目の届くところじゃ、ゴールは盗ませねぇよコソ泥ちゃん」

 潔は苦し紛れに笑った。

「宵越も泥棒か」

 初撃の凪のシュート。宵越たちに救われたが、自分は紛れもなく目の前の主将に止められた。そして今もだ。裏抜けを武器とする自分でさえ、すり抜ける方法が見つからない超広域守備範囲(スーパーコートカバーリング)

 凛は、()を敵視している。だったら……

「やってみろよお巡りさん。盗み出すのも、時間の問題だぜ……!」

 

 愛空(コイツ)が、俺を次の進化へと導く壁──!

 

 U‐20日本代表CB オリヴァ・愛空

 VS.

 青い監獄(ブルーロック)11傑 潔世一

 

 挑戦者たちは、至る所で火花を散らす。

 宵越の活躍によりU‐20代表が。冴のプレーによって青い監獄(ブルーロック)11傑が辛酸を飲む。

 ここはもう、誰も彼もが挑戦者だ。

 

 

 






・現在の状況:BL11傑 VS. U-20日本代表
スコア :1-1
得点者 :凪、冴
試合進行:前半22分経過、カウンターの応酬後、現在はLMF凪ボールVS.音留。
残交代枠:BL11傑(3)、U-20日本代表(3)


Q18 新英雄大戦《ネオエゴイストリーグ》、宵越はどこがいいと思う?(参考程度に)

  • 勝利という合理性を求めるドイツへ
  • テクニックと創造性を求めるスペインへ
  • スピードと肉体を更に鍛えるイングランドへ
  • 戦術的に1-0の勝利を求めるイタリアへ
  • 欧州における一大市場となったフランスへ
  • 原作のネタバレはやめろぉ!!
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