青い灼熱の世界へ   作:迷えるウリボー

54 / 54


・現在の状況:BL11傑 VS. U-20日本代表
スコア :3-2
得点者 :凪、冴、愛空、烏、凛
試合進行:後半戦開始
残交代枠:BL11傑(3)、U-20日本代表(?)




No.54 起爆剤

 

 

 後半戦が始まる。

 スコア3‐2、リードを許したU-20代表も、未だ3()()()()ゴールを決めていないBL11傑も、緊張感は変わらない。

 ピッチへ戻るBL11傑。凛が舌打ちした。

「チッ、めんどくせー」

「奇遇だな、凛」

 宵越も同じだった。

「やっぱ出てきやがったか、あの触覚」

 この舞台において、唯一満面の笑みでいる存在。天を見上げ、冬の夜空を楽しんでいる。解き放たれた赤ん坊のように。

 

 U-20日本代表 士道龍聖。

 

「ありゃりゃぁ??」

 士道が、宵越・凛へ近づいてきた。相変わらずうるさくてかなわない。

「暴れてるねぇ下まつげ弟。それにたっつんも♪」

「だから、たっつん呼ぶなクソ悪魔」

「いいじゃんたっつん♪ 最後のゴール、二人の爆発、こっちもイキそうだったぜぇ?」

 宵越だけじゃなくて、潔も震えた。シンプルに怖い。なんだこの変態悪魔は。

「けど、ここからは俺のステージだ。2人とも、お疲れさん」

「……《不倒》も悪魔も関係ねぇよ。死に役として、華を添えてもらうぞ」

「むっかちーん! お兄ちゃん大好きっ子ぉ!」

 メンチを切る。どこまでもエゴイストども。

 普段ならば仲裁に入るであろう潔は。けれど一人でいる。これから始まる熱狂を前に、それをする余裕はない。潔自身、まだ自分のゴールを奪っていないし、ゴールを奪うために少しの油断も許されないから。

「反射……FLOW……俺のゴール」

 《反射》。持てる能力の全てが結実し一気に実力を発揮する、既存の思考を活かした使い方の進化。

 《FLOW》。それは絵心が最終合宿の中で示した、『奇跡を生み出す方程式』の概念。自らの最適経験により獲得する、精神の没頭状態。自分にとって最適な難しさの目標に対し、挑戦的集中の態度で臨むことで得られる新たなパフォーマンス。

 自分の実力が、例えば(No.1)よりも劣ることを自覚している潔は、成長のためにことさらこの概念を意識していた。進化するために、ゴールを奪うために、勝つために……FLOW状態へと至りプレーをすること。それをある種の命題としていた。

 それはまだできていない。熱が、煮え滾っている。

「このままじゃ、終われない──」

 戦場を睥睨する。越えるべき敵を見据える。U-20日本代表どもを。

 若月と代わった士道のポジションは、文句なしのFW。閃堂は冴と共にOMFとなった。

 

・CF: 士道龍聖

・LWG:超健人

・RWG:狐里輝

・OMF:閃堂秋人/糸師冴

・DMF:颯波留

・LSB:蛇来弥勒

・RSB:音留鉄平

・CB:オリヴァ・愛空/仁王和真

・GK:不角源

 

 統率のとれたU-20代表に、士道が加わる。間違いなく、戦況は変わる。

 

 後半戦、開始──!

 

 (OMF)(DMF)と共にボールを回す、その陰で。

「鼓動! 躍動! 俺駆ける!」

 士道がクロスラン。敵問わず密集地帯を走り前線へ。

 それは明らかなU-20代表のフォーメーションを無視した走りだ。突出した能力を持つ冴でさえ、計算に裏打ちされた緻密なパス回しやドリブルをしていた。士道は明らかに異分子。

 後方で構える二子(CB)は視ていた。

「4thステージとも全然違いますねっ」

 試合の度、発想と快楽のために不規則に動き回る自由人。士道にとっては11人対11人ではない。1人対21人なのだ。

 その士道を招いたのは、糸師冴。

 潔、狐里、烏、凪──敵味方関係なく密集地帯を高速で抜けていく超精細パスに、士道は悦ぶ。

「ははっきちゃぁ♪」

「いや届く……!」

 士道龍聖 VS. 千切豹馬。自陣(BL陣地)右翼での攻防が始まる。

「速いって便利じゃのう!」

「知るかクソ悪魔。活躍させねぇよ!」

 千切(RSB)寄せ(プレス)。そのスピードで自由にさせない。だが士道は青い監獄(ブルーロック)のNo.2。勝てないまでも負けはせず拮抗。

 その拮抗状態の光の中、闇に紛れて動く者が1人いた。

「士道、こっち!」

 

 U-20日本代表 閃堂秋人。

 新たにOMFとなった閃堂は、士道の周囲を忙しく駆け回る。

「わかってんじゃんコバンザメ(ヘボストライカー)! ほらワンツー!」

「うっせぇ! 勝つためにやってるだけだ!」

 それはBL11傑における潔と凛の関係性だ。絶対的エースが動く中で、シャドウとしてエースの動きを支え、敵を攪乱する囮役。

 千切はもちろん、蟻生、烏といった他守備陣も即座に反応できない。想定していないプレーだからだ。

 その混乱の中で、右翼自陣(BL陣地)で閃堂が横パス。士道の軛から解放されたボールは──再びの糸師冴(OMF)

 天才の眼が光る。無時間(ノータイム)で動きだす、外回転(アウトスピン)クロスで、千切を躱した士道龍聖(CF)へ。

 士道、即座に蹴撃動作(シュートモーション)

「ホラよ悪魔くん」

「エッッグいの好きぃい!」

 U-20代表が、覚醒する。()()()()()()2()()

「見えてんだよクソ悪魔っ」

「害虫駆除、実施です……!」

 

 BL11傑 宵越竜哉・二子一輝。

 

 とっさの判断だった。

 変化したフィールド。かつて、宵越も士道の読みに驚かされた。4thステージで自分の無拍子蹴弾(ノービートシュート)を防がれたから。

 だから冴に連動するのも、宵越にしては想定内。問題は、どう連動するかだった。

 二子は士道の動きを辛くも読んでいた。冴と士道を同時に捉え、パスの出所で最も危険な領域を守りきる。ただ、閃堂の動きによって二子の監視塔(センサー)が狭まった。

 不安定な二子の視界の先へ、宵越が突っ込むという守備の連携。不十分ではあるが、辛うじて士道の攻撃を防ぎきる。

 士道は舌打ちした。楽しそうに。

「やっぱいいじゃん♪ 不倒クゥン!」

「黙れやクソ悪魔っ」

 完全なインターセプトとはならない。千切が拾い、辛うじて遠く(ファー)へ逃がす。

 攻守反転。しかし攻撃枚数が足りない。烏、凪へとつないだボールは愛空に奪われ、敵陣で再び冴に回った。

 ボールが縦横無尽に駆け巡る。

 能動的な冴の動き、規律を重んじるU-20代表、そして快楽を求める士道。

 未体験の攻撃が、そこにある。

 士道は叫んだ。

「バチボコ楽しいぜぇ!」

 

 

────

 

 

 士道龍聖の能力は、《超空間感覚》。P・A付近であれば背中越しでもゴールマウスを捉えられるという、常人であれば信じることすらできないような第6感は、士道がサッカーという生命活動を生きる原動力であり、本能に他ならなかった。

 士道にとって、ゴールとは己の存在を世界に刻み込む唯一無二の手段だからだ。

 士道は、特別壮行試合の大舞台に興奮を隠せない。

 前半ベンチスタートのため発散すべきエネルギーが溜まっていた、というのもある。宵越の活躍、凛の凶暴なプレー、烏のゴール。愛空の予想外のシュート、全てを動かす冴の動き。そのどれもが、士道を昂らせていた。

 

 ──プレー開始前にして、士道は覚醒一歩手前の境地に立っていた。

 

 時々あった……そして宵越との4thステージの最後に見せた、「こいつは俺を越えてゴールまでたどり着く」だろうという感覚。

 士道ははっきりと、その感覚を認識した。

(いつもより、もっと遠くが見渡せる──)

 それは距離概念としての()()ではない。

 自分のゴールマウスが捉えられるだけでない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 潔や凛、あるいは冴のような空間把握や先読みとは異なる。あくまで自分のためである、強欲かつ限定的な未来視。

 光ってる。冴が、閃堂が。

 士道は天才だ。士道という悪魔に理屈は通用しない。だから認識したのみで言語化はできない。

 それでも、わかる。

 ()()()──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 士道龍聖の悪魔の能力。超空間感覚。

 それが、天才たちの煽りを受けて、甘美に、鋭利に、おぞましく進化していく。

 士道(CF)が前へ。

 P・A前、再びボールを持った冴が動作をしかける。蟻生(CB)を躱し、潜り込む士道。

 士道の動きがそれまでと異なった。中盤、烏と氷織(DMF2人)が混乱する。

 冴によるゲームメイク、士道の影に隠れ、閃堂(OMF)が左翼中央からやってくる。冴が閃堂へパスを出した。閃堂は蜂楽(LSB)を抜き、二子(CB)と対峙する。

 二子にとっては止めた相手。それでも油断はしない。閃堂は確かにストライカーの熱があって、その集中力が発揮されているから。前半とは違う、相対する状況。閃堂は士道へボールを繋げる。

 二子は呆気にとられた。だが、二子の読みは光っている。士道のシュートをなんとしても防ぐ。

「簡単に、撃たせませんよ……!」

「いいじゃん目隠しチビスケ♪」

 士道は知っている。二子の強さを。爆発を。

 だから、嗤う。

「けど──勝つのは俺だ!!」

 士道の蹴撃動作(シュートモーション)青い監獄(ブルーロック)の誰もが警戒する瞬間。

 士道の右脚は空振り、左脚の(ヒール)が閃いた。

 ボールは、献身的に士道の周囲を走っていた閃堂へ。

 閃堂へのパス返し。受けた本人すら驚愕した。

 

──士道が連携を!?──

 

 それは連携などではない。士道は閃堂を道具として扱っている。あくまで使役に他ならない。

 

「感謝するぜぇ、たっつん。それに天才ちゃん」

 突然舞台上に上がることとなった閃堂は、それでも必死に動いた。すぐさま中央の冴に戻す。

 その連携を、千切豹馬(RSB)は辛うじて読んでいた。全速力で冴を妨害しにかかる。これ以上、U-20代表の三角形(トライアングル)を自由にさせるわけにはいかなかった。

 けれど、一歩届かない。冴は状況に反射して即座に応える。辛うじて機能していたBL11傑の守備を崩した、連携という悪魔のささやきを放った張本人に。

 同時、悲鳴を上げる千切の脚。冴はダイレクトで、虚を突いた蟻生の裏を取った士道へ。

 即座に跳躍反転、士道は視ずとも理解していた。そこにボールが来ることを。

「おー、一点照準(ピンズド)

 右脚を振り上げる。縦一閃のドライブシュート。その名は。

「これが……俺の爆発だっ!!」

 

 龍聖・直下蹴弾(ドラゴン・ドライブ)

 青い監獄(ブルーロック)トップクラスのシュート能力を持つ士道の、さらに卓越した一撃。青い監獄(ブルーロック)の守護神でさえ反応できない。

 一歩も動けない。ボールはただネットに突き刺さるのみ。

 衝撃。茫然。

 まだ、同点。スコア3‐3。

 悪魔の進撃が始まる。

 

 

 






・現在の状況:BL11傑 VS. U-20日本代表
スコア :3-3
得点者 :凪、冴、愛空、烏、凛、士道
試合進行:若月⇒士道交代、後半5分経過(50)、士道ゴール
残交代枠:BL11傑(3)、U-20日本代表(2)


Q21 新英雄大戦《ネオエゴイストリーグ》スターチェンジシステムで指導者は……(参考程度に)

  • 原作通り3分間限定でいい!
  • 5~10分限定くらいで柔軟にしよう!
  • 試合後半から居座っていいことにしよう!
  • ずっといれる方が盛り上がるよなぁ!?
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